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コラム W-ZERO3は次世代ITS端末の座を勝ち取ることができるか?

カテゴリ:講演・セミナー / 2005年12月14日

 

先日、名古屋で開催されたウィルコムフォーラム2005に参加してきた。

PHS歴6年の筆者はいままで「ピッチってまだあったの?」「070?何その電話番号!」「どうせ移動中は使えないんでしょ」とさんざんな言われようをしてきたが、忍従もここまで。音声定額の発表以後、にわかに注目を浴びるようになり、契約者数はうなぎ上り。おまけに久しく絶えていた新型の音声端末もこの秋一挙に数機種が投入され、ようやくPHSにも春が訪れたと万感の思いである(言い過ぎ?)。

今回はフォーラムで初めて実機を触ることができたシャープのW-ZERO3についてITS DAYS的視点から語ってみたい。

すでにご存じの方も多いことと思うが、W-ZERO3は、640x480ドットのASV液晶、PHS通信モジュール(W-SIM)、無線LAN (802.11b)、OSとしてWindows Mobile5.0 for PocketPCを搭載したウィルコムの最新端末だ。Windowsのメリットを活かしてInternet ExplorerやMedia Player、ExcelなどのOffice系ソフトウェアも搭載しており、まさにPCが持つひととおりの機能がこれ一台に凝縮されているわけだ。12月 13日現在アナウンスされている価格は新規契約・機種変更ともに39,800円! PDA並の機能を備えた電話機として考えるとまさにバーゲンプライスといえる価格だ。

またこのW-ZERO3、車載用としても素晴らしいポテンシャルを秘めている端末といえる。以下は無線LANにPHS、Windowsの諸機能、そしてカメラを搭載するW-ZERO3でできそうなITSについて、つらつらと書いてみることにする。

車載用途で考える〜カーナビとして

Windows 搭載のカーナビといえば、クラリオンが3年前に発売した「Auto PC Cadias」が記憶に新しい。こちらはテレマティクス用のOSとも言うべきWindows CE for Automotive(ちなみにWindows MobileはWindows CEの後継バージョン)だが、内蔵のハードディスクは搭載されていない。CD/DVDドライブとUSB、PCカードスロットなどを備え、PCとの高い親和性、メールやブラウザなどWindowsベースならではの機能と5.1ch対応の本格的なAV機能を融合した、きわめて意欲的な商品だった。

だがこのCadiasは、肝心のナビゲーション機能が弱かった。ユーザーにいちばん求められていたであろうナビ機能が有料でのサービスだったのだ。本体には地図情報を内蔵せず、PHSカードなどを利用してサーバーと通信し地図情報を取得するいわゆるサーバ・クライアント方式をとっていたためデータの新鮮さという点では優れていたが、地図のダウンロード時間が長い、リルート機能がないなど、ナビとしての機能はいまひとつというのが正直なところだった。そして何よりもネックとなっていたのは定価で30万円を超えるその価格だ。ローカルのHDDを持たず通信機能も別体に依存するカーナビに30万円とは、いかに Windows搭載といえどもユーザーの食指は動かない。

携帯電話に目を向けてみると、GPS内蔵の端末でケータイNAVIウォークや助手席ナビといったサービスがすでに実用化されている。だが携帯電話の弱点は画面が狭く情報量が限られてしまうこと。その点、下手なカーナビよりも高精細のVGAサイズを持つZERO3なら問題ない。ただ、当然のことながらZERO3は車載用途を考慮されていないため、ジャイロセンサーはおろかGPSも内蔵していない。だがUSB-mini端子に接続できるGPSレシーバと電源用のシガーソケット接続ケーブルが登場すればたちまち通信カーナビに変貌する。またGPSレシーバがなくても、PHSの位置情報取得機能を利用することで簡易的な経路案内はできるだろう。

車載用途で考える〜情報端末として

インターネットITS協議会が名古屋市の南大津通で進めている「インターネットITS通り」は、幹線道路に無線LAN網を張りめぐらし、情報を配信するというもの。デモでは無線LANを搭載したノートPCを利用していたが、さすがにクルマにノートPCを持ち込むというのは非現実的。そこでZERO3の出番だ。

端末に搭載されるカメラをwebカメラとして利用することで、道の状況を後続車に随時知らせることができる。また万が一事故を起こした場合も想定してドライブレコーダ機能を持たせる、ということもできるかもしれない。高速移動時はPHSを、市街地では無線LANで通信というようなアドホック通信が定額で可能になれば、「車内ブロードバンド」の世界は現実味を帯びてくる。

歩行者ITS端末として考える

歩行者ITSの実験では、視覚障がい者用の音声案内機能、聴覚障がい者や車いす利用者のためのナビゲーション機能、あるいは旅行者のための多言語表示機能などが付加された携帯端末が利用されている。これらの機能をひとつの端末で実現できれば越したことはないが、現状では端末の形態(携帯電話/PDA/専用端末)や現在位置の検出方法、また通信方式などは試行錯誤の段階だ。ZERO3が入り込む余地はあるかもしれない。ITS用途におけるリアルタイムOSとしてのWindows Mobileの評価について、システム開発者に話を聞いてみたい。

DSRC、Bluetooth、GPS、ついでに地デジを搭載すれば最強のITS端末に!

では次にZERO3をベースとして、理想のITS端末を考えてみることにしよう。上にも書いたように、クルマに搭載するならとりあえずGPSアンテナは必須。DSRCはETCやガソリンスタンドなどの無線決済、車車間通信でも注目されている通信方式だし、できるなら入れたいところ。さらにクルマでのハンズフリー通話やPCとの接続を考えればBluetoothも絶対欲しい。歩行者ITSにも有効だろう。そして地上デジタル放送チューナーも加わればまさに最強の端末といえる!……こう書いた後で冷静になると、なんとも欲張りな話ではある。

無論、これまで述べてきたことはCPUやバッテリーなどハードウエア上の制約や、無線LANのハンドオーバーや通信方式の切り換えなど、課題は多々あろう。だがそれを差し引いても、ZERO3は「汎用 ITS端末」と名付けられる資格を持った初めての端末であることは間違いない。といいながら、筆者は今日発売のZERO3ではなく、(予算の都合上)サンヨー製の音声端末を買おうと心に決めているわけなのだが……。

 

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