ITSフォーラム2006/基調講演・パネルディスカッション

カテゴリ:講演・セミナー / 2006年11月06日

 
 

国交省・酒井利夫氏による主催者挨拶の後、豊田市助役・菊池春海氏による基調講演でフォーラムの幕が開けた。

菊池氏はITSに関する新しい技術やコンセプトが次々と生まれた時期を「ITSファーストステージ」とした上で、愛知県豊田市が推進する「ITSセカンドステージ」への取り組みを紹介。利用者のサービス向上を主眼に置き、従来の地域交通計画の中にITS導入計画を盛り込んだ最新事例が報告された。具体的には、豊田市中心部の来訪者対策や、毎年紅葉シーズンでにぎわう香嵐渓周辺の交通対策などが紹介された。

第二部は、名古屋大学大学院教授の森川高行氏が議事進行を務める中、4名のパネリストによるITSへの取り組みや現状報告、意見交換が行われた。


(左)名古屋大学大学院教授・森川高行氏/(右)名城大学助教授・水尾衣里氏

名城大学助教授の水尾衣里氏は「ITSは、従来の『移動の効率を上げる技術』から『移動の質を向上する技術』へと変化する」と述べ、車内でメールをチェックしたり音楽を購入してダウンロードする自らのスタイルを紹介した。「ITSは自然を守る『環境ITS』であるべき、また過疎に悩む地方でITSが活かされる仕組みが欲しい」と持論を述べた。

国交省・中部地方整備局・名古屋事務所長の長谷川金二氏は、道路整備を指示する立場として「問題の解決に向けて、これまでの土建屋的発想と同じレベルでITSを発想するクセをつけたい」と述べ、ITSの重要度がより高まっているとの認識を示した。

松下電器産業の半場信宏氏は「ITSの認知度を高めるには、もっとユーザー側の視点で見るべき。たとえばETCがこれだけ普及した理由は『ETC割引』の存在が大きい」と指摘。「便利でお得なキラーコンテンツ(よりユーザーにとって魅力的な仕組み)が必要」と述べた。

第一部で基調講演を務めた菊池氏からは「ITSによる渋滞予測や環境への配慮などがさらに進めば、人々の行動が変わる。それは地方の活性化へとつなげるチャンスであり、さらには都市を抜本的に変革する起爆剤ともなる」との予測が紹介された。

最後に森川氏より「これまでのITSファーストステージは、自動車を中心とした、モビリティを高めるための技術研究だった。ITSセカンドステージは『街を良くする』『生活を良くする』ためのアプローチになる」と述べ、1時間30分のパネルディスカッションを総括した。


(左)松下電器産業・半場信宏氏/(右)国交省中部地方整備局名古屋事務所長・長谷川金二氏

ITSの世界は、真っ白な紙にさまざまな夢を自由に描くだけの「ファーストステージ」から、いよいよ「セカンドステージ」へと突入する。ばらばらだった技術同士が密接に結びつき、単なるハードウェアの進化から「ニーズを踏まえた、より良いサービスの提供」へのシフトが進もうとしている。これはまさに、われわれ一般自動車ユーザー・一般市民が待ち望んでいた展開であり、今後の進展におおいに期待したい。

 
 

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