2006年11月3日(金)、名古屋工業大学の100周年記念フォーラム・ITS分科会が名古屋国際会議場で開催された。
名古屋工業大学教授・山本幸司氏による開会挨拶の後、ITS JAPAN専務理事・寺島大三郎氏による、10月にロンドンで開催されたITS世界会議の報告や、愛知県ITS推進協議会事務局長・山口正雄氏による、愛知県のITSの現状などが報告された。
さらに当日は、元ITS USAの代表を務め、現在はテキサス大学教授のチャールズ.M.ウォルトン氏による米国のITSの取り組み/今後の動向や、東京大学生産技術研究所教授・池内克史氏によるITS技術紹介が行われた。池内氏は、ITSによる各種の収集データを元に三次元仮想空間を構築し、さらには時間軸を加えた「四次元仮想空間」で交通社会を捉える、という独自の研究報告で会場内の注目を浴びた。
その後、4名のパネリストと名古屋工業大学教授・岩田彰氏のコーディネートによるパネル・ディスカッションが行われた。

(左)テキサス大学教授・チャールズ.M.ウォルトン氏/(中)東京大学生産技術研究所教授・池内克史氏/(右)国土交通省技監・谷口博昭氏

(左)ITS Japan専務理事・寺島大三郎氏/(中)愛知県ITS推進協議会事務局長・山口正雄氏/(右)トヨタ自動車(株)IT.ITS企画部長・大西弘至氏
ITSで、交通社会の負の遺産をゼロへ
寺島氏は、ITS技術の裾野の広さと関係者の多さを挙げ、関係各所との有効なコラボレーションがITS推進に不可欠であるとの認識を示した。また、トヨタ自動車(株)ITS企画部長・大西弘至氏は、トヨタのITSへの取り組みスタンスとして、交通事故等のネガティブ要素を減らし、楽しみを拡大させる「ゼロナイズ&マキシマイズ」というキーワードを紹介した。
池内氏は、ITS普及のコンセンサスとして「まずは交通社会のネガティブ要素を消してくためのITSであるべき」と指摘した。
国土交通省技監・谷口博昭氏は「ETCは普及率60%を超え、世界に先駆けている。高速の料金ニーズとは違ったニーズに応えていきたい」と語った。
パネルディスカッションを熱心に聴講していたウォルトン氏も飛び入りで発言し、ITSの最重要目標は「交通の安全確保」であり、そのための予算のあり方の検証、さらにはITS教育の必要性にも言及した。
ディスカッション終了後、一般聴講者からの質疑応答が行われた。来る超高齢化社会を見据えたITS技術の有効活用や日本のITS戦略の明確化、サスティナブル・モビリティへのさらなる取り組みを求める意見なども出され、今度はパネリストたちが熱心にメモを取る姿も見られた。
終始熱気につつまれた今回のようなフォーラムを、名古屋などの地方で開催する意義は大きい。ITSに対する国民の意識を深める上で、地方における活発なフォーラム開催は、重要な戦略のひとつと言えるだろう。
【安原武志(DAYS Inc.)】
