ETCと携帯電話を使った情報提供サービス社会実験レポート

カテゴリ:社会実験・各種検証 / 2007年03月08日

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ETCをもっと便利に使いこなす

普段クルマに乗る方にとって、すっかりなじみ深いアイテムとなった感のあるETC。普及率はすでに65%を突破し(2007年3月現在)、その数は現在も増え続けている。
総務省東海総合通信局が実施した今回の社会実験は、ETCと携帯電話を使った情報提供サービスだ。具体的には、ETC読み取り装置(DSRC路側機)を設置した駐車場に、ETC付きのクルマが入庫した際、そのドライバーが持っている携帯電話に、便利でお得な地域情報がメールで送信される、というものだ。


TM若宮駐車場の入口スロープ天井にETC読み取り装置が設置された

実験用に設けられた臨時の受付カウンター。一般の希望者も受け付けている

専用の読み取り機でETC車載機コードを確認し、データベースに登録する

今回、実験の舞台に選ばれたのは愛知県豊田市の中心街にある「TM若宮パーキング」。駐車券の発券機の先、スロープになった通路の天井部分に、今回、実験用のETC読み取り装置が設置された。あとはここをETC付きのクルマで通過するだけだが、利用者はその前に、あらかじめETC車載機コード情報と携帯メールアドレスを登録しておく必要がある。

ETC車載機コード情報を元に、特定の携帯電話に向けて電子メールを送信するには、当然ながら「ETC車載機コード情報」と「携帯メールアドレス」が登録されたデータベースが必要となる。
今回の実験では、このデータベース登録の受付カウンターを設置し、広く一般利用客から登録を募っている。このサービスを利用したいと思った方はまず、駐車場1階に設けられた受付カウンターで携帯電話の電子メールアドレスを申請する。次に、クルマに装着されているETC車載機に設定されている固有の識別コードを係員に読み取ってもらい(これは専用のコードリーダーを使う)、それらの情報をデータベースに登録してもらう。全部で10分程度の単純な作業だが、少々面倒な感は無きにしも非ず、といったところだ。
無事に登録を済ませたら、次回以降は、この駐車場を利用するたびに地域情報メールが受け取れるようになる。

ここで一度、ETCに代表されるDSRC(狭域無線通信)の基本原理についておさらいしておきたい。
DSRCの仕組みは、暗い舞台の天井からスポットライトが当たる様を想像してもらえれば分かりやすい。ETC読み取り装置が照らし出すスポットライトに、ETC車載機を装備したクルマが入った瞬間に無線通信が行われる、という仕組みだ。高速道路の料金所にETC読み取り装置を設置する際は問題ないが、今回の実験のように一般的な駐車場に設置する際、スポットライトが広すぎると、駐車場から出ようとする隣のクルマのETCに反応してしまうケースが懸念される。今回の実験で使用されたETC読み取り装置は、このスポットライトの範囲を限定する等のチューニングが施されており、問題なくスムーズに動作していた。

ちなみに、今回の実験で受診した電子メールには「クリスマスローズ」という花を楽しめる安城産業文化公園デンパークなどが紹介されていた。また、電子メールはクルマがETC読み取り装置を通過した約5分後に送信される仕組みになっている。これは、携帯電話の所有者が車庫入れ等の運転中であることを考慮したものだ。

実用化へ向けた主な課題は2つ


登録が済んだらいざ、ポルシェで実験開始。とはいっても運転者は普段どおり駐車場に入れるだけ

約5分後、手元の携帯電話に地域情報電子メールが届いた

総務省東海総合通信局長・鈴木薫氏。「ETCには様々な使い方がある」ということを、もっと多くの人に知って欲しいと話す

今回の実験を通じて明白になった課題のひとつが、「利用者にあらかじめ登録してもらう」という一連のオペレーションの煩雑さである。ETC車載機コードと電子メールアドレスがひも付けされたデータベースを最初に構築する際、いかに利用者の負担を軽くできるかが今後の実用化・普及の鍵になるだろう。
もうひとつの課題は、携帯で受け取る電子メールコンテンツをいかに充実させていくかである。お得なクーポン情報や特売情報など、より便利でお得な情報をタイムリーに配信する仕組みを作ることが重要だ。さらに今後は、利用者それぞれの趣味や嗜好に応じた情報のパーソナライズも(個人情報保護の問題はあるものの)、重要なサービスとなっていくだろう。

多くの人にとって、ETCといえば高速道路、という認識が一般的である。しかし今後、ETCのシステムは高速道路を降り、私たちの街の中に入り込んでくる。愛知県豊田市をはじめ、生活とクルマが密接に結びついた都市に住む方々の利便性向上に向け、その課題がより明快になった社会実験だった。
今回の実験は2007年3月14日(水)まで、愛知県豊田市若宮「TM若宮駐車場」で行われている。

【安原武志(DAYS Inc.)】

 
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