愛知県ITS推進協議会、第53回会員セミナー「救急医療支援情報流通システム」

カテゴリ:講演・セミナー / 2010年08月23日

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 平成22年8月23日、名古屋駅前ミッドランドスクエア五階で、開催されたセミナーのテーマはGEMITS(グローバル・エマージェンシー・メディカルサポート・ITS)、つまり救急医療支援情報流通システム。三名の講師はすべてこのテーマに沿って講演を行った。
 平成21年度から始まった経済産業省の委託研究開発である「車載ITを活用した緊急医療体制の構築」に携わる現場からの報告である。ちなみのこの開発案件は事業仕分けの対象になったが、現在は復活している。


小倉真治氏


時津直樹氏


小川和大氏

 最初に登壇したのは岐阜大学大学院教授で高次救急治療センター長の小倉真治氏。救急車の患者たらい回しが問題になる中、救急患者がその病態に見合った適切な病院に運ばれ、適切な治療を受けられる体制を作るために、最適な情報システムの必要性を説く。救急隊の現場での勘と運に頼っている現状を、病院情報と現場情報をリアルタイムにマッチングさせることによって、搬送先病院選定の質向上を図ろうというものだ。
 システムとしては、救急車から患者の病態や重症度、搬送時間等のデータが、病院からは専門やスタッフ・設備の現状等が用意されたGセンターに集まり、総合エージェントが判断して搬送先を三カ所選定し、救急車へ伝えるというもの。これは今後2億円の予算で実験が進められていくとのことだ。また患者が名前や連絡先のほか病歴、当薬歴などのデータを入力したICカード(メディカ)を持つことも岐阜県では進められており、すでに4000枚が普及しているという。さらにドクターヘリなどとも連携して救急医療体制の最適化を進めている。

 次に車両開発に携わるインターネットITS協議会(IIC)の時津事務局長が登壇。IT武装化することで救急車をイージス艦にする、という言葉のように、救急車を中継基地として全情報を収集し、どこで何が起きているか、トヨタ自動車でよく使われる「見える化」を救急の現場で実現するという。岐阜県は山間部が多いが、全県域で衛星通信、携帯電話、無線LANをシームレスに使って常時接続状態とし、患者の容態や個人情報、映像、音声、位置情報をGセンターに送り、またセンターからの情報を受け取る仕組みのモデルカーを開発している。今年度は実フィールドで動くモデルを開発していくとのことだ。
 むろんこの車両ITプラットフォームは、救急車両に限らず共通の情報プラットフォームで、一般車両にまで広げていければ、共通の基盤で自由に繋ぎ会える世界「自動車クラウド」となり、日本の競争力になり得るという。

 最後に登壇した沖電気の小川氏は、病院現場の見える化に取り組んだ実証実験報告を行った。岐阜県内三つの病院で、救急医療の現場の医師にICカードや無線タグ等をもたせ、病院内の診察室や救急処置室、手術室などのどこにいるかを把握し、それによって忙しさを予測して救急搬入が可能かの判断をする実験である。結果、15%程度の誤差は生じるようだが、かなりの精度で状況を把握でき、かなり効果はあるようだ。医者がこれを嫌がるのは当然だが、搬送先の決定のみに使われ、個人情報が外に漏れないのであれば45%程度が容認しているという。

 電子カルテの問題でもそうだが、意外に医療の世界ではIT化が進んでいない。ITの専門家から見ればかなり簡単そうにも見えるGEMITSも、やはりかなりの困難を伴っているようだ。高齢化社会に向かい、ITのことが分かっている人ほど、自分の身に振り返ってみて、一刻でも早いシステム構築を望むところ。実証実験の進展を見守りたい。

(水野誠志朗・DAYS)

 
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