愛知県ITS推進協議会 第74回会員セミナー開催

カテゴリ:講演・セミナー / 2017年02月13日

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2月13日(月)、ミッドランドスクエア(名古屋市中村区名駅)にて、愛知県ITS推進協議会の会員限定となる第74回会員セミナーが開催された。各講演と登壇者は以下のとおり。

【1】超高齢化社会と交通
講師:立正大学 心理学部 対人・社会心理学科 教授 所 正文 氏

立正大学 心理学部 対人・社会心理学科 教授 所 正文 氏

2016年の年間交通事故死者数は4000人を下回った。これは統計を取りはじめて以来となる低い数字ではあるが、逆に、交通事故死者数に占める65歳以上の割合は年々上昇しており、これは諸外国と比較しても突出して高い。また、歩行中の死者が全体の半分近くを占める等の由々しき問題も浮き彫りとなってきている。

高齢者の交通事故要因として上げられるのが「認知症」だが、今後さらにその数は大幅な増加が予想されている。この事実を元に、所氏は「認知症ドライバー問題は短期間に機能不全に陥る」と予測する。その理由として、(1)認知症専門医の不足、(2)高齢者講習現場の確保困難、(3)検査の限界、の3点を挙げた。

また今後へ向けた提言として、クルマ中心の街づくり等に見られる“自動車優先主義”を改めるほか、運転を断念した高齢者のケアや、自動運転システムへの期待を表明して講演を締めくくった。

【2】高齢者の脳と運転
講師:高知工科大学 地域交通医学・社会脳研究室 室長(客員教授) 朴 啓彰 氏
(医療法人健会 高知検診クリニック脳ドックセンター センター長)

高知工科大学 地域交通医学・社会脳研究室 室長(客員教授) 朴 啓彰 氏

まず最初に、加齢やメタボ(メタボリック症候群)、喫煙、飲酒等により、脳に“白質病変”と呼ばれる虚血性変化や脳の萎縮が生じやすい、という(愛煙家やお酒好きの方にとって耳の痛い)事実の紹介が行われた。脳ドック受信者を対象にしたアンケート調査によると、脳に白質病変を起こしたドライバーはアクセルやブレーキの反応が低下し、側面に対する警戒反応も下がり、特に交差点での事故が増加する、という統計結果も紹介された。これらの結果から朴氏は、白質病変や萎縮などの脳のダメージが、高齢者の危険運転行動を説明できると予測。現行の高齢者運転講習にMRI診断を義務付けてはどうか、と提案する。MRIで脳の状態を把握することで、脳医学的な立場から交通事故をマネジメントできるのでは、という発想だ。

最後に朴氏は、白質病変などによる脳の機能低下は、日々の運動によって改善されるという事例を紹介。禁煙と適正飲酒、運動を続けることで脳機能は活性化され、ひいてはそれが運転寿命を伸ばすことにもつながるという。超高齢化社会における自動車の運転はどうあるべきか、また高齢者講習のあり方について等、たいへん興味深い提言が盛り込まれた講演であった。

【3】中山間地域の交通格差解消へのチャレンジ
-あすけあいプロジェクトの取組-
講師:名古屋大学 未来社会創造機構 研究員 剱持 千歩 氏

名古屋大学 未来社会創造機構 研究員 剱持 千歩 氏

愛知県豊田市にある足助(あすけ)・旭(あさひ)・稲武(いなぶ)の各地域における「あすけあいプロジェクト」と呼ぶ取り組みの概略が紹介された。具体的に実施する事業内容は多岐にわたり、地域住民同士が高齢者の移動を手助けする「あすけあいカー」や、自宅回りのちょっとした移動を手助けするパーソナルモビリティ“コムス”を使ったサービス「コムスサークル」等が紹介された。さらには、集会所でのイベント情報を配信するサービスや、人感センサーを使って居住者の健康を見守るサービスなどもある。「あすけあいプロジェクト」は単にモビリティの活用だけにとどまらず、ITの技術を住民に押し付けるわけでもなく、この地域で暮らす高齢者とその家族のニーズや思いを丁寧に汲み取ったものになっている、という点が非常に重要だ。

同プロジェクトの運営は現在、自治体からの助成金が大きな柱となっているが、今後は持続可能なビジネスモデルとしていく必要がある。剱持氏はこうした課題を念頭に置きつつ、「あすけあいプロジェクト」を他地域で展開できるコアモデルにしていきたい、と語り講演を終えた。

【DAYS Inc.】

 
 
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