第55回 三菱「i」の2シーターを熱望する

カテゴリ : 新車関連 / 日時: 2006年03月24日

 

▲これから書くことは三菱自動車に聞いてもはっきりと答えてはくれないし、どのメディアを見てもはっきり書かれていることではない。そこであえて憶測のみで書いてみたい。裏付けを取った事実を掲載するのがメディアの役割だと思うので、ここから先は私の私的な想像に過ぎないが、なぜ「i」がRRなのか、を推理してみたいと思う。そういうことが不快という人は、ここから先は読まないで欲しい。

▲「i」のレイアウトを三菱が独自に思いついて開発したと考えるのは難しいだろう。小型車はFFであることがごく自然だし、その方が今までの開発資産を利用して生産することができる。ある意味まったく時代に逆行した(挙動を押さえ込むことがたいへんな)RRを新開発することは、まるで合理的ではない。これはポルシェ雑誌を発行している会社の人間だからあえて言うが、ポルシェ自身、何度もRRをやめようともがき、結局販売的にRRであることをアイデンティティにせざるを得なくなったため、最新の技術でRRを制御していくことになった、という歴史から学んだことだ。つまりこの時代に新たなRRを出す意味は、ビジネスの上ではないということだ。

▲にもかかわらず「i」がRRなのは、スマートがRRだったからではないか。「i」はおそらく、当初はスマートのフルモデルチェンジ車として企画開発されていたと思う。もちろんダイムラー・クライスラーと三菱が蜜月であったために計画されたこと。不振のスマートの次期新型を、ダイムラーが開発するより、ラインナップに軽を持ち、小型車にノウハウのある三菱が担う方がいいと考えるのは自然だ。三菱がグループ会社になったのをこれ幸いと、スマートは三菱へ、という流れになったのだろう。

▲「i」をショートホイールベースにし、2シーターにすると、まさにスマートになる。カタログ写真をコピーして、ボディ真ん中を切り取り、前後をくっつけてみるといい。未来的な2シーターコミューターが姿を現す。これぞスマートのフルモデルチェンジ車だ。「スマート2」である。開発当初には当然ながら2シーターも4シーターも考えられていたと思う。フォーツー、フォーフォーの2タイプが開発されていたはずだ。「i」はそのうちのフォーフォーが生き残って製品になったものなのではないか。

▲三菱は不祥事が続き、結局ダイムラー・クライスラーとも手が切れてしまった。その間に、「i」も何度か開発中止になりかけたという。しかし、三菱の復活を社会に示すためにも、また開発にかけられた費用を無駄にしないためにも、「i」は開発が続けられた。ただし、日本で量販するためにフォーフォーとして。「i」は運転席下に燃料タンクがあるが、これは結果としてホンダ・フィットと同じになってしまうので、ホンダに対し特許料を支払っているという。本来の2シーターであれば支払う必要などなかったはずだ。

▲三菱の技術者から、「i」のパワーユニットはスマートにも載ります、という言葉も聞いている。これは現行スマートに載せ替えられるという意味(エンジンや、特にミッションが代わるとスマートはずいぶん良くなるはず)か、あるいはスマートそのものが新型になるという意味なのか、その時点では判然としなかった。今となってはどちらでもいいが、少なくとも「i」の開発者達がスマートを意識していたことは間違いないと言う証明だろう。

▲このように考えると、「i」の特別先進的なイメージがなぜ生まれてきたかが想像できる。もともとは2シーターの「スマート2」であり、それをベースにホイールベースを伸ばして4シーターにしたわけだ。従って日本の事情に合わせた1600mm以下の背の高さではないことや、前2席が何となく窮屈なのもわかる(2シーターのスマートだったら、現行スマートのように助手席をロングスライドさせて、広い印象を作り出すことができた)。

▲ということでスマート2、じゃない「i」は4人乗りしか出なかった。販売にはデザインがもっとも重要な要素だから、「i」は当面売れると思う。性能的には別に文句はない。ただ、私としては2シーターが出て欲しい。スズキツインはちょっとスタイルが辛かったし、基本的には3ATだった。そんなツインが消え去った今も、2シーターの「i」なら、きっとそこそこは売れると思う。本家スマートが今後どうなるかわからない(一説では消滅とも)現在だからこそ、もう一度2シーター「i」を検討することはできないだろうか。かつてクラシックミニをショートホイールベースにしたミニミニという改造車がナンバーを取得しているくらいだし、ツインだってアルトのショートホイールベース車だった。「i」ならきっとすぐできるはず、なんて夢を見ている。

 
 

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