デイズ ITS DAYS 911DAYS

第35回 2003年のカーオブザイヤーだけど、皆さん、大事なクルマを忘れていませんか

カテゴリ : 新車関連 / 日時: 2003年12月26日

▲今年のカーオブザイヤーを決めなくてはならない。別に強迫観念にとらわれなくてもいいのだが、クルマに関わっている身としては、やっぱりはっきりさせておく必要があるだろう。日本カーオブザイヤーではプリウスを抑えレガシィがイヤーカーになるという「どんでん返し」があったが、無難に考えればやはりプリウスがイヤーカーだろう。

▲そこでレガシィに10点を入れた評論家をリストアップしてみた。黒沢元治、松田秀士、清水和夫、佐藤久美、国沢光宏、川口まなぶ、高橋健二、横越光廣、片岡英明、安東俊昌、岩貞るみこ、川上完、熊野学、島崎七生人、中部博、松下宏、山口正巳、米村太刀夫の面々。前半に結構走り系の人々を並べてみたが、やはりその人達の意志が反映したと思う。毎回トヨタとホンダばかりじゃまずいという感覚があったようにも思えるし。

▲走りで考えれば確かにレガシィだろう。3位のRX-8はコンセプトは素晴らしいが、走りの質では正直いってレガシィがいいと思う。ただレガシィには特に新しいと思える部分が少ない。その代わり独創性とかブランド力とかが熟成されて、日本車では珍しい「アイデンティティ」があるクルマになっているのが、評価されたのだろう。私も昔からスバリストだったから(どこかで書いたが、若い頃は先代R2が愛車だったし、レックス、ヴィヴィオにサンバーと、所有した軽はほぼスバルだ)素直にうれしい。が、イヤーカーとしてはちょっと無理があると思うのだ。

▲プリウスはその点、完全に独創的なクルマで、しかも先代より遙かに進化し、何ら不満がない乗用車として使えるクルマとなった。トヨタというより日本の誇りといってもいいクルマで、しかも売れているのがすごい。日本カーオブザイヤー獲得車って売れないことが多いだけに、プリウスならそれを覆したかも。レガシィ、売れ行きはもう一踏ん張りだと言うからちょっと心配。

▲売れているクルマがイヤーカーになってもおかしくない。例えばシエンタは女性に7人乗りミニバンを普及させた功労車で、これを奥さんが買ってくれるおかげで、旦那は好きなクルマを買うことができるようになった。一家に二台ミニバンは要らない。少し長期的に見れば、シエンタが売れたことでセダンやスポーツカーが売れるようになった、という現象が確認できるはずだ。シエンタはセダンやスポーツカーの復権を支えるたいしたクルマなのだ。

▲さてそろそろ、私が本当にカーオブザイヤーとしたいクルマを書こう。それはホンダのインスパイア。以下は、モーターデイズで書いた記事の一部だ。
「カードキーを所持しているとキーが必要ない。エアコンはステアリングのボタンを押して口頭で暑いと言えば温度を下げてくれる。DVDナビも地名を言うだけで目的地設定が可能。QQコール、ハンズフリーフォン、インターナビシステムやETCも装備されており、これらがちゃんと動くと、操作系はかなり未来っぽい。こうした操作系に加え、HiDSやCMSといった自動運転系装備の実用化、片バンク休止エンジンのエコ対応などで、素晴らしいネクストカーとなっている。20世紀までのホンダらしいクルマ作り(走り中心)を過去に葬り、安全と環境系のメニューを21世紀のクルマ作りとして全面に押し出したのがインスパイアであり、マルチメディアならぬマルチヴィークルと命名しよう。」

▲ レーダーで前車を追走し、ステアリングを切り、緊急ブレーキをかける、こうしたロボット的な動きをするクルマはインスパイアが初めて。私としてはこれこそ 21世紀のクルマだと思い、別冊宝島「インテリジェントカー」という本まで作ってしまったほど。しかし世の関心は薄く、日本カーオブザイヤーでは10ベストカーにリストアップさえされていない。自動車評論家ですらがまったく無視しているクルマだが、ハイテク立国日本としては、これを評価せずにいていいのか。

▲今年は交通事故による死者がずいぶん減っている。これはクルマの安全装備が充実したことも大きいだろう。今後はさらに「うっかり」など人間の不足しているところをクルマが補い、より完全で快適、そして車内に情報が溢れ、しかも乗って楽しいクルマが増えてくるはず。それを私は「クルマがロボットになる」と言っているが、そんなITS(高度道路交通システム)に直結した安全で楽しいクルマの第一歩がインスパイアだと思うのだ。5年後にはインスパイアがさらに進化したような、ITS対応のASV(先進安全自動車)が満場一致でイヤーカーになる、と予言して2003年を締めくくりたい。

大分ヤナセ
デイズでは自動車ライターを募集しています

月別一覧

 

現在の位置:ホーム > 編集長コラム 水野誠志朗'sトーク > 2003年のカーオブザイヤーだけど、皆さん、大事なクルマを忘れていませんか