▲若者の祭典? フジロックフェスティバルに行ってきた。思春期にロックミュージックに出会ったことで現在の自分が出来上がっているといってもいい私としては、本来はもっとロックと関係した仕事をしていてもよさそうなものだが、現在、ほとんど音楽業界とは接点がなくなっている。ということで、今回は完全に観客の一人としてこうしたイベントに参加することに。イベントといえばまず仕事で行くことの多い私としては異例のことである。
▲名古屋から高速道路と一般道を走ること5時間半、なんと新潟県! に位置する苗場スキー場に到着。今回見たいバンドはただひとつ。テレビジョンという今から25年も前のバンドの再結成版だ。ニューヨークパンクという分野に分類されるバンドだが、いわゆるやかましいパンクではなく、ニューヨークのアート性を感じさせる不思議なサウンドのギターバンドで、私のフェバリッツ。なにせ、うちの会社名はこのバンドのセカンドアルバムの曲名からつけているほどなのだから。
▲このバンドは2枚のアルバムを残して伝説になったのだが、92年に何を思ったのか再結成し、昔ほどのテンションは感じられないアルバムを残し、日本公演も行っている。ところがこのとき私は、なんと来日の事実すら気づかず、見逃してしまっている。ギタリストのソロコンサートには2度ほど出かけているが、オリジナルメンバーのテレビジョンを見られなかったというのは一生の不覚だった。あれから十年、今年のフジロックのプログラムにテレビジョンの文字を発見したときには目を疑ったが、オリジナル・テレビジョンの出演なら、これはもう行くしかないのである。
▲フジロックは苗場のスキー場数キロに渡って4つのステージがある巨大な野外フェスだが、その中でもこじんまりとした屋根つきの会場が、目指すテレビジョンの見られるステージ「レッドマーキー」。まずはロックンロールジプシーズというバンドを見たが、後期ルースターズといってもいいメンバーのこのバンドは、伝統芸的日本語ハードロックを披露。セカンドギターの下山淳は間違いなくテレビジョンの影響を受けたギタリストゆえ、後期ルースターズは好きなバンド。ライブ自体は可もなく不可もなくだったが、私にはすごく古い音楽に思えて仕方なかった。なのに若者がけっこうのっているのは不思議な感覚だ。
▲お目当てのテレビジョンは夕方6時を過ぎたころに登場。目を引くのはかつての美少年ギタリスト、リチャード・ロイドがデブのアメリカのおっさんに成り果てていること。もう50近くのはずだからしょうがないが‥‥。とはいえ、リーダーでリードギターのトム・バーラインはスリムでかなり昔のまま。ただし髪は相当薄い(涙)。他のメンバーもよる年波にはかなわないという感じ。今見ておいてよかったというか、もう5年もたったらもうちょっと見られるものないだろう。そういう私もすでにたいしたジジイなわけで、まわりにも同年代と思える人はほとんどいない。
▲演奏はダラダラと始まった。どこまでがチューニングでどこまでがセッションなのかわからないあたりも海賊版のライブ CDのとおりで、昔からこのバンドはルーズなまま。ショーアップなどまったくされていない。10年前の曲目も多く、社名にした曲など初期の曲をもっとやってくれって言いたかったが、かなりオリジナルレコードに忠実なギターソロで、まあ満足。逆に言えば、毎度おなじみの演奏をするベンチャーズ来日公演みたいなもので、マニアのための同窓会的なムードも避けられない。15年ほど前に見たトム・バーラインのソロコンサートの異様なテンションの高さと比べれば、お気楽なジャムセッションという感じだ。
▲今回のイベントでは持ち時間は1時間のようで、アンコールもなく終了。マーキームーンという名曲がいつものようにラストナンバーだが、観客はこの曲ではさすがに盛り上がったものの、全体にはおとなしい。客入りもそうは多くなく、若者の中には途中で退屈して出て行く姿も。確かに好きなバンドでなかったらかなりきついかもしれないタイプの演奏だ。反面、終わったあと、今日のバンドの中では最高だという声も聞かれ、ファンとしては溜飲が下がった。
▲25年を経てやっと見た割には、それほどの感動がなかったのは、やはり音楽は(特にパンクは)その時代のものだからだろう。エキセントリックなテンションはやはり若さゆえか。パンクはもともと既成のロックに対抗してできたもの。ローリングストーンズのような既成のロックバンドが(ジジイのくせに)今もそれなりの伝統芸を続けていられるのに対し、デブでハゲのテレビジョンの情けなさはまさにパンク的ではある。その情けなさを確認できただけでも、行き帰り10時間以上走った甲斐はあった。25年来の夢は果たしたし、いよいよもういつ死んでもいい。私も情けない人生を明日からも続けよう。











