第51回 国民の移動インフラは国営化すべき

カテゴリ : その他クルマの話題,コンピュータ・ネット,社会 / 日時: 2006年04月21日

 

▲正月に東京の知人と会った。私は名古屋、彼は東京在住。でも意外に話が合う。それは私がわりによく東京へ行くからで、良くも悪くも日本の中心で、いろんなことがいっぱい寄せ集まっている東京のローカルな話題にそこそこつきあえるのは、メディアとネットと2時間ほどで移動できる交通機関(新幹線&クルマ)のおかげだろう。東京まで名古屋くらい(300㎞ほど)の距離だと、思い立って東京へ行くことはそう辛いことではない。東京近郊からでも2時間かけて都内へ通勤している人は多いのだから。

▲昨年、九州の福岡へ行ったら、むこうの人も東京は遠くないと言っていた。飛行機なら2時間。何せ福岡の場合、空港が博多駅からすぐの街中にあるから気軽に飛行機に乗れる。東京までの本数も多い。名古屋も昨年新空港がオープンしたが、ちょっと遠くて福岡ほど気軽な感じはない。その代わり名古屋はその気になればクルマで東京まで移動できるのがメリットだ。

▲このように名古屋からは気軽に東京へ行けるのだが、気が重いのは料金だ。新幹線では1万円ほど。クルマでも似たような数字となる。これはどうにも高すぎ。ただ8人乗りのミニバンなら一人分は1500円ほどで行ける。特にまとまった人数の移動のときはこのメリットが大きい。新幹線一人分の料金で最大8人が移動できるんだから。東京までの乗り合いタクシーミニバンを走らせたらけっこう商売になると思う。でも福岡-東京間なら新幹線で3万円ほど。クルマは時間が掛かりすぎるから新幹線で、となると、8人でなんと24万円もかかる。こうなると名古屋-東京間との差は、とても大きい。

▲一人1500円程度の移動なら気軽だ。これにはやっぱりクルマが、そして道路が重要な要件。東京まで300㎞ほどの距離をもし150㎞で/hで走れれば2時間でつく。今のクルマの性能ならそれはまったく問題なく可能。しかし道路事情(ともちろん法律も)がダメ。東名高速ができたのはもう40年も前。当時の人は40年もたてば素晴らしいクルマとハイウェイができ、日本中を高速移動できると思っただろう。今、クルマは実現したのに道路はだめだ。最高速度規制も40年前と同じ。この40年のクルマの進化を何と心得る。

▲この原因はおそらく国にある。政治家とか官僚といってもいい。民であるクルマは実現した。でも官である道路は実現させられなかった。いわんや、今はそれを実現不可能として葬り去ろうとすらしている。道路行政だけではない。年金だって税制だって、どれも国民を納得させることはできていない。といって今、急に民営化する事で解決するというのも乱暴な話だ。民営化してインフラが整うとはとうてい思えない。

▲名古屋はまだいい。もし道路ができれば移動できる距離だから。しかし福岡は、そして他の日本各地の地方は移動に関して実に不平等だ。日本国内に住んでいて、こんなに科学が発達したのだから、移動は安く瞬時にできるようにならないものか。瞬間移動装置(転送マシン?)は無理としても、国会議員のように誰もが無料で移動できる仕組みができれば、文化デバイドはなくなるだろう。当然、様々な東京一極集中の弊害もなくなっていくはずだ。新幹線や航空機の無料化(現実には税金での国営化)はできないものか。

▲北海道へ九州へと2時間1500円で安く移動できる仕組み、それが日本の活力を生み出すと思う。それができなかった、あるいはそうしたことを想像できなかったことが、現在の日本の状況を作り出している。お金がかかるから遠くへ行けないのだ。インターネットは利用にお金があまりかからない。それゆえ、全国どこにいても人はつながっていられる。物も宅配便の努力で相当早く移動が可能になっている。あとは人が素早く移動できればいいだけなのだが。

▲高速道路、JR、航空会社を国営化し、整備にじゃぶじゃぶ税金を使い、料金をどんどん引き下げる。交通をネットと同様に限りなく無料化していくことこそ、最終的には日本の国益になると思うのだが、そんな主張をする政治家はいない。いやその逆に民営化の主張ばかりだ。で、効率ばかりが優先されるようになり、やがて地方は切り捨てられる。インフラに力を入れないと国力は落ちていくだろう。日本どこでも移動は1000円くらいでできる、そんな仕組みを提案できる政治家はでてこないのだろうか。そんなことを考えながら今年も混みあった高速道路を走ることになる。

 
 

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