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第53回 あまり一方方向ばかりからものを見ない方がいいと思う

カテゴリ : 社会 / 日時: 2006年02月03日

▲今回はものすごく微妙な問題を書こう。まずはホリエモンだ。現在彼は被疑者であり、有罪ではない。警察や検察に捕まった時点で黒のように報道されることは昔から疑問があったが、今回はそのことによって株価が暴落し、経済的には大きな損失を被った人もいたわけで、もしこれで無罪だったらその損失は誰が補填するのか、と思う。これも一種の風説の流布にも見えるが、国家権力なら許されるということか。

▲ホリエモンは法律違反をしたのだろうか。やったのかもしれない。としてもあまり罪悪感はなかったようだ。粉飾決算なんて多かれ少なかれどこでもやってるじゃん、という感覚だったのだろうか。またビジネスホテル東横インが条例違反で摘発された。社長は「時速60㎞制限の道をちょっとオーバーして走っている(一般的には許されがちな)程度の法令違反のつもりでいた」といって顰蹙を買っている。彼にもあまり罪悪感はなかったようだ。

▲法律は守らないといけない。法治国家に生きるための重要な義務だ。しかし法律を全て守っては生きていけないという面もあることは、過去の歴史が物語っている。第2次大戦後の日本で、闇米は食べてはいけないと言って餓死した役人がいたという話があるが、これなど庶民が法に縛られたら生きていけないこともあるという顕著な例だろう。道路交通法も同様で、あまり法に縛られた運転をしていると、身に危険がおよぶことさえあるということは、同感してもらえると思う。

▲また大学の講義では「法は常に強いものの味方だ」と聴いたこともある。解釈次第でいかようにもなり、その解釈は正義でなく強い方になびくと。裁判の結果ですらが、その時点での裁判所の判断に過ぎない。過去の判例を参照にその時代に応じた一つの見解が出されたものというわけだ。というくらいだから検察・警察に拘束されたからといって有罪のわけはなく、先日無罪が言い渡された愛知県の幼児誘拐殺人事件のように、えん罪ということすらある。

▲おかしなことだが慣例として法規制されないことも多い。例えばこれだけクルマの安全性を法や行政指導で規定しながら、転べばすぐ死に直結する危険な乗り物であるモーターサイクルがいまだ存在しているのはとても不思議だ。また新聞や雑誌、本というメディアが独占禁止法に抵触せず再販制で価格を維持しているのも、考えてみれば不思議だ。資本主義社会なのに、メーカーが価格を決め、それが全国どこでもまったく崩れないで流通するという商品(しかも新聞のようなマスメディア)があるのは、諸外国からは奇異に見えるだろう。

▲つまるところ法律は守るべきものでありながら、けっこう曖昧なものでもあるわけだ。そこで最近気になるのは、そんな法律を破ったと思われるものに対して、勝ち誇ったような論調で述べるメディアや、個人(掲示板やブログ)があまりに多いことだ。特に最近は個人がweb上では匿名であるのをいいことに、法を破ったものが悪いという、実に一元的な論調でヒステリックに意見を述べているのが気になる。法律は曖昧なものとしてもう少し多角的な、そして柔軟な物の見方をしないと、あらぬ方向へ世間が向いてしまうような気がしてならない。

▲ライブドア問題に関しては、おばあさんに育てられたという高卒苦労人の宮内が、天才肌の堀江を立てて常識を破壊する野望に燃えたという、古典的な出世物語に収束しそう。こうなればもちろん出るくぎは打たれるパターンで、守旧勢力であるフジテレビあたりの趣旨返しでやられたのでは、と勘ぐりたくなる。あくまで一般論だがこの成熟した資本主義社会で急成長するような会社は、多少の法律違反は犯していると思う。犯していないまでもグレーゾーンはまず持っているわけで、今回もそこを突かれたわけだ。フジのようなテレビ局は今では違反を犯さなくても十分儲かる構造を構築しているから、法律違反をする必要もないわけだが、成長の途中ではフジも、お家騒動(?)などかなりグレーな部分があった。

▲例のビジネスホテルはとても便利で使い勝手が良く、ネット予約しやすくて価格も安い。それが成長の原因だろう。今回の件は、門外漢なのでよくはわからないが、ニュースで叩きまくらなくてはならないような条例違反なのだろうか。行政指導が行われたといった程度ですむニュースが、偽装マンション問題と一緒くたにされた、一種の集団ヒステリー(ファシズム?)のようになってマスコミ報道されているようにも見える。何だか世の中、ちょっと嫌な感じがしてきた。

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