第60回 私のイヤーカーはダイハツソニカ

カテゴリ : 新車関連 / 日時: 2006年12月05日

 

▲今年もイヤーカーが決まった。といってもCOTY、RJC、自動車殿堂に加え、今年は「あなたが選ぶ」も加わったから、ありがたみがグッと少なくなったという感じ。実際のところ、自動車業界人に対するご褒美という感覚もあり、一般にはあまり関係ない話だろう。クルマは数年に一回しか買わない商品であり、イヤーカーといってもその時に買い換え時期が来ていない限り、あまり興味は引かれないはず。また個人的に買えそうなクルマでない限り、現実感がないものだ。例えば超高級セダンのレクサスLSはクルマ好きにさえ親近感がない存在だし、三菱「 i 」も軽自動車に興味がなければあまり心に響かない。そういう意味では、言い古されている話だが、販売的には何ら効果がないものだ。あくまで机上の賞にすぎないだろう。それではまずCOTYから見ていこう。

▲COTYはイヤーカーと言えばこれだけしかなかった当時は分かりやすかったし、人々がクルマに強い興味を持っていた時代から存在するだけに、今も一番権威があることは間違いない。これの選考委員に入ると、一流の自動車業界人と認められるようだ。名刺にCOTY選考委員と肩書きがつけられるので、フリーのライターにとっては勲章といえるだろう。それゆえ、きな臭い話も多いようだが、それはさておき、今年はレクサスLS、輸入車でシトロエンC6、先進技術で三菱「 i 」、楽しさでアウディTT、バリューでストリームとなった。私としてはLS、C6、TTは不満のないところだが、「 i 」って試乗記で書いたとおりスマートの影があって?がつくし、ストリームもインパクトという点では今ひとつだった。

▲RJCでは「 i 」が大賞。輸入車部門で受賞したメルセデス・ベンツEクラスディーゼルはまだ乗っていないだけに評価しにくいところだが、テクノロジー賞もこのクルマというのは、LSがRJCでは完全に無視されている状況にリンクしている(つまりハイブリッドのトヨタへの反旗か)。選考の仕方がよくわからないが、LSがノミネートさえされていないというのは、あまりに変な印象だ。軽自動車賞のムーヴは妥当だと思う。ソニカも良いが、シャシーが新しい分、ムーヴというのは納得できるところだ。

▲殿堂はLSが大賞で、輸入車がアルファロメオ・ブレラ、デザイン賞が「 i 」、テクノロジー賞がアウディTTのアルミとスチール併用のボディ。ブレラは確かに良かったが、トップかと言われると?だ。ことデザインに限ってなら「 i 」も文句はない。TTの技術も悪くないから文句はない。殿堂はwebで見る限り、自動車書籍出版の三樹書房やRJCにいた評論家の三本さん、星島さん、カースタイリングの藤本さんあたりが中心の組織のよう。LSをきちんと入れているあたりは、あまり偏っていないように見受けられる。

▲さて、この3つでも混乱なのに、更にネット投票で選んだという「あなたが選ぶ」が加わったからたいへん。自動車出版ネコパブリッシングが展開するweb攻勢に連動した動き(ネコの社長の笹本さんが主導)に見えなくもないが、大賞には「 i 」が来た。あとは気ままな人気投票という感じで、輸入車がフェラーリ599、スポーツカーはなんと光岡オロチ、軽が「 i 」、RVがエスティマ、エコがEクラスのディーゼル、セダンがLS。ちょっと賞の数が多すぎてありがたみがないが、ここでも「 i 」が人気のようだ。

▲実はインターネット・カー・オブ・ザ・イヤーというのをもう5年ほど前、レスポンス(当時のオートアスキー)やモーターデイズなど10社ほどで立ち上げていたことがある。3回ほど行なって自然消滅してしまったのだが、その時思ったことは冒頭でも書いた通り、多くの一般消費者にとって、新車は縁遠いものだということ。業界の人はいろいろ乗り比べているだけに、それなりに検討できるが、普通の人はメディアで知ったり、店頭で見たりする程度。こうしたことが、賞の投票を難しくしているということだ。せめてノミネート車だけでも乗り比べていれば、冷静な比較投票ができるが、それは事実上無理だ。

▲例えば「あなたが選ぶ」の1位が「 i 」だが、これは気軽に興味を持って店頭で試乗した例も多かったのでは、と思う。その親近感が1位に押し上げた気がする。その点、2位のLSを試乗した人は少ないはずで、あくまでイメージ投票ゆえ、2位に甘んじたのではないか。他の賞ではノミネートもされていないエスティマが3位にいるのは、ベストセラーカーだけに多くの人が自分のクルマとして、あるいは購入候補として票を投じたように思う。4位のオロチなど、まだ私は走っているクルマを見たことがないほどで、実際に見て投票した人は少ないのではないか。やはりネット投票制度をやるなら、投票したい多くの人が自由に試乗できる環境を整える必要もあると思う。

▲では私のイヤーカーを発表。最も進んだITSカーという点ではレクサスLSなのだが、正直なところ、走りには秀でたところを認められなかった。個人的にはシトロエンC6が気になるのだが、まだ乗っていないし、何より「シトロエンであるがゆえの個性」以上のものはないだろう(そこがいいのだが)。軽を越えた軽になったという点では「 i 」よりダイハツのソニカ、ムーヴが素晴らしい。もはや価格も軽とは呼べないくらい高いから、出来の良さはあたりまえかもしれない。しかし軽というより、小さなクルマとして素晴らしい。ミニバン的なムーヴはスペース効率の面でも有利だが、それよりソニカが小さな新しい乗り物っぽくて素敵だ。低圧ターボとCVTは理想的な動力装置だし、ITS装備の数々が初めて軽に搭載できるようになったという点でも高く評価したい。イヤーカーに選ぶなら「 i 」よりソニカだと思うのだ。

 
 

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