第70回 イヤーカーはVWのゴルフヴァリアント

カテゴリ : その他クルマの話題 / 日時: 2007年12月31日

 

▲さて、恒例のイヤーカーに関して書こうと思う。しかしその前に今年の暮れに思うことを二、三。まずはクルマに乗る環境がどんどん厳しさを増していること。ガソリン代が高騰していることはその最たるものだが、昔よりは燃費がよくなっているので、実はこれ、かなり相殺されていると思う。とはいえクルマにとって逆風であることは確か。また当然ながら飲酒運転を良しとするものではないが、飲酒運転の罰則強化も心理的にクルマ離れを推進するものといえるのではないか。いわゆるネズミ取りもまだ頻繁に行われているし、駐車違反の取り締まりも厳しい。これらによってクルマは乗らなくてすむのであればその方がいいというマインドが世間を覆いつつあるように思う。

▲超高性能車が次々に発表されながら、それに載ることのできる道路環境はまったく変わっていないことも残念だ。超高性能車が現に目の前にあるのに、法律を犯す以外にそのクルマを自在に走らせることなど不可能。そんな商品に存在意義があるのか、とすら考えてしまう。せめて時速80km規制の高速道路くらいは制限速度引き上げをしてもと思うのだが、そんな話は全くなく、それどころかトラックの速度制限装置によって、東名高速など制限速度ですら走ることができない。この影響もあってか、追い越し車線をゆっくり走って譲らない「違反車」も増え、混雑に拍車をかけているのが現実だ。

▲クルマの性能が一般人にとってはもはや十二分なものとなってしまった結果、人々のクルマに対する興味がますます萎えてきているのも悲しい現実だろう。市街地から高速まで普通に走る分には今や軽でも何ら不満はないし、新型フィットあたりに乗ると、ステイタスという部分を除くと、もうクルマなどこれ以外に必要ないと思ってしまうだろう。そして、1台の所有期間はさらに伸び、ますますクルマは売れなくなる。

▲この年末、絶賛されているのはそんなフィットとGT-Rだ。フィットは前述のようにクルマへ夢を失わせてしまうほどよくできたクルマだし、GT-Rは夢こそいっぱいあるものの、肝心の走る場所がサーキット以外にない。法律を守ってGT-Rを公道で楽しんでいるという人が今後現れたら、ぜひ会ってみたいものだ。ということでこれらのクルマは、出来はいいが、とてもイヤーカーには選べないのだ。

▲では何がよかったか。一台ではないがゴルフのTSI・DSGファミリー。他にはシトロエンのミニバンC4ピカソ。日本車では三菱のランエボXがよかった。翻ってトヨタからは多くの新車が登場したが残念ながらどれも心に響かなかった。世界的には絶好調だが今年は「大丈夫か今後のトヨタ」という感が強い。日産ではスカイラインクーペやエクストレイル、デュアリスあたりは確かによかった。マツダ・デミオ、MINI、ボルボC30といったコンパクトカーもよかったと思う。ただ、セダン系はどれも今ひとつ。メルセデスの新型Cクラスも、なぜそんなに絶賛されるのか分からない。

▲ゴルフTSI・DSGファミリーはどれも乗ってすぐ面白がれる。詳細はMOTOR DAYSの各車試乗記をご覧いただきたい。ゴルフはトゥーラン以外にヴァリアントにも乗ったのだが、実はこれが一番よかった。よそで書いた記事をちょっと引用しておく。「試乗車は2リットルゆえ主力の1・4リットルより低回転からトルクが豊か。ドライバーのアクセルワークとリニアに呼応する加速感が実に心地よい。トルコンを介さないDSGがパワーをダイレクトに駆動系へ伝えるのを、誰もが体感できるはず。偏平タイヤの硬さをいなしながら足回りはよく動き、乗り心地もいい。クイックすぎず、それでいてドライバーの意志をリニアに路面へと伝えてくれるハンドリング、小気味よいパドルシフト。これぞまさにスポーツワゴン。快感の走りだ。」というわけだが、このクルマは「ほぼ」法定速度内で気持ちよく走れるのがいい。ただ、あまりかっこよくはないし、ステイタス感もないから、400万円を出して買うのには思い切りがいるかも。

▲ピカソの方は、これこそ他の何者でもないシトロエンそのもの。かつてのDSを思わせる妙な操作系など、すべてにおいて個性の塊であり、乗っていてシトロエンの快感をたっぷりと味わうことができる。ただこのクルマ、7人乗りミニバンで後部座席一つ一つはやはりやや狭い。本国にはある5人乗りであればたぶんベストだろう。5人乗りはモノスペースカーといわれるもので、日本車も一時、盛んに挑戦したが、結局敗れ去った分野。それらは5ナンバーミニバンのスペースを持つ5人乗りセダンであり、個人的には日本でも何とか復活させて欲しい分野だ。

▲まあ、日本に入らないクルマである5人乗りピカソをイヤーカーにするわけにもいかないので、やはり今年はゴルフ、それもヴァリアントをイヤーカーにしたい。ゴルフ自体は、今まであまりいいと思ったことはなかったのだが、様々なスーパーカーが出てきたゆえに、今年は常用域でいいクルマだなあと思うことの重要性を気づかせてくれた。MT嫌いの私にとって、DSGは理想的なミッションだし、ドライバーが意識してうまく走らせれば燃費が稼げるTSIもハイテクながら押しつけがましくなくていい。外車志向は強くないつもりだが、今年はそんな結論になってしまった。来年はがんばれ、日本(の普通の)車。

 
 

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