第79回 マイクロカー新型スマートが私の「マイカー」

カテゴリ : クルマ / 日時: 2008年08月11日

 

▲新型スマートをついに買って、ここ一月ほど乗っている。ご承知の通り、二人乗りの変なマイクロシティカーである。思い起こせば10年前、初代スマートを初めて目にした時から、ある意味、恋いこがれてきたクルマだ。若い頃から軽自動車に乗り、やがて最新ポルシェまで乗ってみたものの、結論として「小さいクルマが好き」な私としては、スマートこそまさに「マイカー」という気分のクルマなのだ。

▲08年4月に新型スマートを試乗してみて、ターボなしでの自然なトルク感、かなり許せるところまで良くなったセミオートマ、そしてずいぶん良くなった乗り心地の3点に関して、ほぼ及第点をつけた。反面、ちょっとデブになったスタイリング、当たり前になったインパネデザインなどはがっかりしたところ。特にちょっと大きくなってシャープさを失ったスタイリングは、購入時に悩んだところだ。安全面だけでなくデザイン面でもスマートの要であるセーフティセルの、後部カラーリングが変わったこともカッコ良さを削いでいる要因。今でももうちょっと何とかならないかと思う。

▲そういう不満を持ちつつ買ってしまったのは、トヨタのiQというマイクロカーが年内に出る話を聞いてしまったため。こちらは4シーターでたぶんトヨタらしく隙のない作りになっているだろう。ただ2シーターで完全にひとまわり小さい(全長で265mm、全幅で125mm)スマートこそ、本家マイクロカーであるという確信というか、自負から購入に踏み切ったのだ。iQは大きな話題になるのはもちろん、賞をも取ると思うが、せっかくのマイクロカーが大きいというのはどうかと思うのだ。確かに小さくてもこんなに広い、こんなに乗れますというのが日本車の特徴だったのだが、そのパターンをこのクラスでまたやってどうする、と思う。

▲二人しか乗れない、そのかわりとにかく小さい、そういう潔さの面でスマートを支持し、iQが出る前に、その意志をはっきりしたかったから、急いで買ったのである。このところ毎日乗っていて思うことは「それに間違いはなかった」ということだ。とにかく自分の手足といえるサイズ感はマン・マシーンの一体感を強調してくれる。しかも床が高くてアイポイントはミニバン並みに高い。ここはスマートの最大の利点。つまり人が立ったアイポイントにも近く、これはもう搭乗型ロボットに乗っている気分。というか自分がクルマになってしまったかのようだ。

▲さらにこのクルマ、リアエンジン車でもある。スバル360の時代からポルシェ911に至るまで、私の車歴でリアエンジン車が占める年月はFFやFRより長い。現代で乗用リアエンジン車は事実上911とスマートしかないわけで、その点でも私のアイデンティティに合致する。昔、一番長く乗った軽自動車の初代スバルR2は、全長2995mm、全幅1295mm、全高1345mm、ホイールベース1920mmだった。スマートは全長2720mm、全幅1560mm、全高1540mm、ホイールベース1865mm。サイズは相当に近く、パワーは車重430kgのR2が30馬力、810kgのスマートが71馬力。つまりはほぼ同じ。クルマなんてものは「これでいいのだ」とバカボンのパパ(赤塚先生・合掌)のように言いたい。

▲最後に肝心のエコ性能に関して。10・15モード燃費はリッター18.6kmだが、この暑い中、エアコン全開でチョイ乗りを繰り返していると、10㎞走らないこともある。しかもハイオク。それでも高速で遠出したときは15㎞ほど走ったから、年間でトータルすればだいたい12~13㎞位になると思う。大昔のことではっきり思い出せないが、R2も確かそんなものだったように思うから、いったいクルマは、そして人類はこの半世紀で進化したのだろうか、と考えてしまった。R2に乗っていた頃も、オイルショックもあって「エネルギー危機のためには人類は小さなクルマに乗った方がいい」なんて思っていたのだし。いずれにしても乗っていて現在のクルマの半分くらいがスマートのようなクルマになっても別に不便はない、という確信は持てた。スマートに乗っているとヴィッツクラスのクルマですらが、無駄な乗り物に見えてくる。乗ったことのない人は、ぜひ試乗してみて欲しい。

 
 

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