第80回 もしも政界の黒幕、あるいは広告代理店だったら

カテゴリ : 社会 / 日時: 2008年09月02日

 

▲この原稿を書いているちょっと前、福田くんが安部ちゃんに引き続き政権を投げ出してしまった。国民の直接選挙で信任されて選ばれるのでなく、マスコミの調査する支持率で信任を確認する日本の首相は、なんだかとても曖昧な存在だ。国名がニホンなのかニッポンなのかなど、いまひとつ曖昧なことで成り立っているのが日本社会だから、それはそれで日本的ゆえ納得できるのだが、どうにも納得しづらいのは投げ出すという行為だ。

▲行き詰まった会社であれば私財をなげうって責任を取るとか、世が世であれば腹を切ってわびるとかになるはずだが、現在の一国の首相は何の咎めもない。安部ちゃんがそうであるように、しばらくたつとシレッと一国会議員としての業務に復帰している。たぶん私財の損はしていないし、腹を切るどころかへたをすれば首相経験者として「名誉」すら手にしている。そこは曖昧ではすまない部分だと思うのだが、政権投げ出しに関する法的な罰則はない以上しかたないのか。

▲それはさておき、私が自民党の黒幕だったらこうするという今後の展開をこの時点で考えてみたい。それはかなり荒唐無稽な話ではあるが、うまくやれば自民党はこれで生き残れるだろう。つまりそれは「野田聖子衆議院議員を首相指名する」ことだ。40代の、日本初の女性首相誕生をプロデュースするのだ。米国もマケインが女性を副大統領候補にしているので、万一高齢のマケインが亡くなったりすれば、日米で若い保守の女性トップということになる。これは話題性十分だ。

▲野田聖子ちゃんならこう言えるだろう。「民主党は、特に小沢党首は古い自民党体質そのものの旧態依然とした政治家だ。その点、若い聖子は郵政選挙では主張を通した信念の政治家であり、また若いながらも議員経験は長い。対抗馬とされる小池百合子のような変遷を繰り返すあざとさのない、清廉な政治家である」と。この女性首相をジャンヌダルクのように旗頭とし、もう一度自民党がまとまって強い政治を復活させるのだ。

▲首相はキムタクがいい、とマジでいう人が多い日本ゆえ、これは結構効くと思う。小泉元総理は劇場型政治の役者そのものだったが、大衆はそうした役者を求めている。実際の政治は取り巻き諸先輩政治家が動かし、仕事は官僚がやるので、首相に求められるのは役者としての技量である。安部ちゃんも福田君も生真面目すぎて役者じゃなかった。それが短命のひとつの理由だろう。いいマネージャーがついて、スターを演じられれば首相など誰でもいいというのは極論か。

▲聖子ちゃんにその素質があるかは未知数だが、オタクに人気があるだけの太郎ちゃんよりは一般ウケが圧倒的だと思う。その点ではどうにも古くさく見える現在の民主党(小沢党首)のやり方より絶対うまくいく。小沢と聖子のどっちを選ぶと問われたら、何となく聖子という人が過半数を超えた(当社従業員数名の調査結果)。いや、聖子なら今まで行っていない選挙へ行ってもいいという人までいた。首相に人気さえあれば公明党もまた政権に留まる決意をするのではないか。

▲以上、聖子ちゃんがどういう派閥で、どういう考えで、日本をどこへ持っていこうとしているかは一切考慮しないまま、自民党の選挙対策としてのみ検討してみた。政策という肝心かなめの選択肢ではなく、単なる人気(これがマスコミが調査する支持率の本質ではないか)で日本のトップが決まるという危うさは、日本の行く末を考えるに暗澹たる気持ちになるが、安部、福田、そして小沢のここ2年間を見る限り、閉塞感はいかんともしがたい。私だけでなく、国民の多くに強い指導者を求める気持ちがますます高まっていると思う。まるで昭和初期のように。

 
 

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