第81回 名タイ休刊。また一つ、いや二つ、紙媒体が消えていくことに

カテゴリ : カルチャー / 日時: 2008年09月25日

 

▲ある意味で衝撃的なニュースだった。私の地元、名古屋で発行されている夕刊紙「名古屋タイムズ」がその長い歴史に終止符を打ち、10月末で休刊するという。通称「名タイ」というこの新聞、関西と違って地元夕刊紙・スポーツ紙の少ない名古屋にとっては、それなりの存在意義のあった新聞だ。広告も少なく、経営的に厳しそうなのはわかっていたが、一応中日新聞系でもあり、その意味では休刊は驚き。中日系の媒体でもつぶれるというのは、中日新聞が絶対的な力を持つ名古屋では衝撃とすらいえる。

▲名古屋では日刊ゲンダイや中京スポーツ(東京スポーツ)は発行されているが、地元編集面はごくわずかで、独自取材で全ページを作っていたのは名タイだけ。うちの会社はなぜか記事を書いたことがないのだが、知り合いのフリーライターは街ネタの連載を持っており、また新聞ながら新車試乗記を載せていたという点でも貴重。クルマ関連の記事をいずれうちでも書かせてもらえないものかと思っていたが、その夢もこれで絶たれてしまった。

▲何よりうちの会社にとって残念なのは、この名古屋タイムズが発行していたレジャーニューズという姉妹紙も休刊してしまうこと。レジャーニューズは一面がプロレス、二面以降はスポーツ、ギャンブルに加え、うちが10年近く書いていたアウトドア記事やクルマ記事などが掲載される、なんと全国紙だ。出張で全国のコンビニに寄ると、名古屋発の紙媒体では唯一このレジャーニューズがあり、感動したものだ。毎月1,2本書いたアウトドア記事では本当に多くのスポーツを体験取材した。空も飛んだし、海にも地にも潜った。楽しかったのだが…。

▲レジャーニューズの普通の記事は前述の通りだが、なんといっても圧巻は風俗広告と風俗ペイドパブ。全国各地の風俗情報が住んでいる土地で得られる新聞はこれだけだろう。都会にいながら北陸地方や山陰地方のデリヘル情報が見られるから、出張の友とも呼ばれた。名古屋にいながら東京の「50代・60代年増デリヘル」情報を知ることができたのも考えてみれば素晴らしい。そんな風俗があんなにたくさんあるなんてことは、この新聞で初めて知った。今やネットで調べればわかるのだが、お父さんたちにはやはり紙の手軽さは捨てがたいだろう。

▲うちが書いていたクルマの記事も、折々の面白ネタをテーマにしたエッセイ的なもの。許可も得ているので、おいおいバックナンバー記事をモーターデイズにアップしていくつもりだが、テーマが自由だっただけに、結構色々書けた。他の人が書いたモータースポーツ関係の連載も、専門誌では書きづらいことが書かれていたりして興味深かった。一見は風俗広告だらけのエログロ?新聞なのだが、まさに新聞本来の自由闊達さがあったのだ。広告はまだ十分採れているのだし、名古屋発唯一の全国紙ゆえ無くなるのは本当に惜しいと思う。

▲中日新聞系の新聞は宅配比率が高く、家庭で読まれるためエロ系の記事や広告が載せられないのが、経営的にはなかなか厳しいところ。名古屋で唯一のスポーツ紙「中日スポーツ(東京中日スポーツとは内容がかなり異なる)」も、エロは一切無し。せいぜい精力剤の広告が載るくらい。名タイも事情は同じようで、夕刊紙なのにエロは少ない。そのエロ部分をレジャーニューズが一手に引き受けていたという面はあるが、肝心の本紙がエロなしでは経営は苦しいだろう。

▲また名古屋はクルマ社会ゆえ、駅売りが弱いという問題もあった。実際、私も駅売りとは無縁の生活ゆえ、コンビニに寄った日には見出しを気にする、という程度。定期購読すればそれなりに読むとは思うが、そこまで気合いも入らない。レジャーニューズは記事を書いているので定期購読してきたが、この新聞を定期購読している人など他には知らない(苦笑)。

▲何にしろメディアが一つ(二つ)消えてしまったことは、残念至極だ。地方の新聞は厳しいといわれているが、まずこうしたものから消えていくことになってしまったわけだ。最近、地方へ出張すると、地方紙の内容の薄さが本当に気になる。取材力、ページ数、そして広告などで明らかに全国紙との差が目立っている。こうなると同じ金を出して読むなら全国紙の方がいいと思う人は増えるだろう。それなりに地方面も編集されているのだし。となると地方紙は皆つぶれ、右派の読売、左派の朝日、経済の日経という3紙だけが生き残る日が遠からず来そうだ。そうして新聞も政治も、日本全体が二大紙・2大政党といった二者選択に向かっていくように思える。それははたして素敵なことなのだろうか、と思わずにいられない。

 
 

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