第85回 イヤーカーを決めるより、クルマの絵本の一冊も出した方がいいのでは?

カテゴリ : その他クルマの話題 / 日時: 2008年11月20日

 

▲私のやってる会社はポルシェの専門誌を発行し、またクルマ全般の記事をあちこちで書いている。まあクルマ全般とはいえ、基本は乗用車だ。バスやらトラックやらに関しては書いていない。その分野は専門の雑誌も出ているし、趣味の範囲としてもクルマというより鉄道に近い部類のようだ。その類の雑誌は書店でもクルマの棚ではなく、趣味・鉄道などの棚にある。ひとまずポルシェマニアと同じくらいのバスマニアはいるようだ。

▲マニアといえるほど好きにならないまでも、子供はこの手の「働くクルマ」が好きだ。同時に「電車」も。子供向けに絵本やらビデオ(最近はDVDか)、そして歌だってある。これらが記憶に刷り込まれて子供は「働くクルマ」好きに育っていくのだろう。昨今のクルマ(乗用車)に興味がないという若い男性も、小さい頃は「働くクルマ」は好きだったという人が多い。彼らは長じてバスマニアになるわけではないが、クルマよりまだバスの方に、それなりに親しみを持っているのではないか。

▲残念なことにクルマは、子供の頃に「刷り込み」されることが少ない。現在30代後半になったスーパーカー世代は、子供の頃にクルマに関して刷り込まれた記憶が今もあって、それゆえ皆、クルマがまんざら嫌いではない。しかしそれより若い人たちは、小さい頃のクルマの記憶といえば、父親のダサくて狭いセダンであったり、初期のミニバンであったりで、かっこいい乗り物としてのクルマという記憶はほとんどないはずだ。つまり、そこが最近の若い人がクルマに興味を持たないことの原因の一つに思える。

▲つまり自動車業界や出版業界がクルマを販売対象である大人に対してしか訴求してこなかったことのツケが今、巡ってきているのではないかと思うのだ。それゆえ「かっこいいクルマ」「未来のクルマが大集合」「速いぞレーシングカー」など、子供にクルマに対して興味を持ってもらえるような絵本やDVDって、今からでも必要だと思う。もちろん、売れないから作れないというジレンマを埋める必要はある。そのためにはメーカーが支援すればいい。本に広告は入れられないから、作られた本の買い取りという手もあるだろう。ディーラーの子供コーナーに置いたり、従業員に配ったっていい。

▲ところで、先回書いたとおりCOTYの日本カーオブザイヤーはトヨタのiQが獲得し、RJC カーオブザイヤーの方は私も強く推すワゴンRが獲得した。COTYメンバーである小沢コージ氏のブログ http://koji-ozawa.sakura.ne.jp/ の11月12日に「が…政治、すなわちマツリゴトって難しいワケよね。」とあるように、なんだかその決まり方がよくわからないCOTY。またCOTYでははたいした評価を受けていないワゴンR(小沢氏は一点も入れていない)が、RJCではイヤーカーになるというのも普通の人にはよくわからないところだろう。

▲こうした賞にどれだけお金がかかっているのか知らないが、もはや一般の人への宣伝活動としてはほとんど意味がないと思われる(社内の士気には影響があるかも知れないが)。そんな賞にお金を使うより、そのお金で子供向け絵本の一冊も出した方が、よほど未来の市場育成に意味があるように思われるのだ。昨今の厳しい経済状況の中で、広告費はどんどん切り詰められている。自動車雑誌からは広告がどんどん減っている中で、子供用のクルマ本を作るのにお金を出してくれと言って、ホイホイ出すメーカーがあるとも思えないが、広告予算がゼロではあるまい。であればそんな展開もぜひ検討してみるといいのではないか、と思う。

 
 

月別一覧

 

現在の位置:ホーム > 編集長コラム 水野誠志朗'sトーク > イヤーカーを決めるより、クルマの絵本の一冊も出した方がいいのでは?