第89回 デジタルクルマメディアの閉鎖が続く。うちはどうしようかな(苦笑)

カテゴリ : コンピュータ・ネット / 日時: 2009年01月29日

 

▲クルマ不況をうけてか、クルマのwebが売られたり、閉鎖したりとなかなか厳しい状況にある。昨年はオートギャラリーが閉鎖したが、年末にはwebCGが日経へ売られていったし、ドライビング・フューチャーも1月末で閉鎖ということだ。以下引用してみる。

---【以下引用】---

▲「Driving Future」 サービス終了のお知らせ

平素より「Driving Future」をご利用いただき誠にありがとうございます。
長らくご愛顧いただいておりました「Driving Future」のサービス終了についてお知らせいたします。
当サイトは、弊社モーター誌と共に国内外の自動車に関する様々な情報をお届けするポータルサイトとして努めてまいりました。
ユーザの皆さまへのサービス提供に向けてさまざまな検討を重ねてまいりましたが、この度、誠に勝手ながら下記の日付をもちまして、「Driving Future」のすべてのサービスを終了させていただきます。
これまで多くの方々にご利用いただき、編集部一同、心から感謝しております。サイト終了により、ユーザの皆さまにはご迷惑をお掛けしますことをお詫び申し上げます。
なお、サイト終了後は、弊社出版物を紹介するサイトにて自動車&オートバイ専門誌などの情報を掲載していく予定です。
これまで「Driving Future」をご愛用いただき、誠にありがとうございました。
 サービス終了までのスケジュール
2009年1月20日 10時:コンテンツ更新作業の終了
2009年2月2日 13時(予定):「Driving Future」のすべてのサービスを終了
以降は、弊社出版物紹介サイトにて雑誌情報のみを紹介させていただきます。

-----------

▲上で挙げたいくつかのサイトは親会社が雑誌の出版社であるという点で共通性がある。親会社の雑誌事業が苦しくなっていてwebどころではない、あるいはwebで少しでも利益を出したかったが、雑誌を作っていた方がまだマシだ、というところなのだろう。うちも同じような会社だからその気持ちはよくわかる(苦笑)。これに対してレスポンスやカービューといったweb専業サイトは、がんばっている。もちろんそれらも親会社があり(レスポンスはオリックス系、カービューはソフトバンク系)、インディペンデントな会社ではないのだが、この現状を見る限り、やはりwebビジネスは中小出版社には荷が重いということのようだ。

▲何より残念なのは、サイト閉鎖によって、多くの有意義なコンテンツがこの世から消え去ってしまうことだ。オートギャラリーもクルマ好きにはとてもいいサイトだったのだが、すでに跡形もない。雑誌は休刊しても古本屋などでみつけられることがあるし、連載記事は単行本になっていたりする。新聞だって縮刷版が長く保存されているし、最近はデジタルデータ化もされている。しかしサイトは、まさに見事に何もなくなってしまう。

▲これは人類にとって、とても悲しいことなのではないか。webコンテンツという文化遺産が消え去ってしまうのだ。まだ15年ほどの歴史しかないwebだが、以前もどこかで書いたとおり、無くなったサイトは本当に何も残らない。デジタルデータなのだから残す気になればそう難しいことではないはずなのだが、誰も残そうとしないのだ。これは維持のための(サーバなどの)ランニング費用を誰が出すかという問題だとは思うが、知的コンテンツが消え去ることを許しておくのは、コンテンツに長年携わってきた私としては、とてもできないことだ。と言ってみても、実はどうしようもないのだが。

▲グーグルは世界中の書籍や雑誌をスキャニングしてデータとして残そうとしているが、そんなことより今必要なのは、webのキャッシュを永続的に見られるようにきちんと保存しておくことなのではないか。消えたサイトは今でもしばらくはグーグルのキャッシュで見られるのだが、これをグーグルが永久保存していくことは、しばらくは(物理的に)無くならない書籍というものをスキャンしてデータとして保存することより重要なことのように思える。もちろん様々なwebの作り込みまでは残せないが、それでもテキストだけでも残っていれば、と思う。うちにしてももう10年以上、542台もの試乗記を残しているのだが、もしうちの会社が潰れてしまった暁には、すっかり何も残らないのだ。自分でいうのも何だがちょっと惜しい。

▲最近始めた個人アーカイブ制作サービス「生き様工房」という事業は、人の生きてきた証しをアナログな本にしようという企画なのだが、デジタルで残すこともできる時代になぜアナログ本かというと、「デジタルにしたら長くは残らない」というまさにこの一点につきる。見えないデータというものの管理を個人や企業レベルで対応していくことは、本当に大きな負担だ。グーグルの書籍スキャンも、「じゃあグーグルが潰れたらどうする」という大きな課題があって、なかなか賛同者が増えないようだし。日本の場合、国会図書館というものがあるから、そこがやるのがベストにも思えるが、こうしたことにまた「官」の力を借りざるを得ないというのもちょっと……。

▲何はともあれ、web上から消えゆくクルマコンテンツをながめながら、無力感にとらわれている。かつて見た面白かったコンテンツはもう見られない。検索しても有意義なデータが出てこない。YouTubeで一生見られないと思っていた昔のテレビ番組が見られたりするのは素晴らしいことだが、肝心のwebコンテンツが見られないというネットの現実に、私がインターネットに見たバラ色の可能性が、少し色あせて行きつつある昨今だ。

 
 

月別一覧

 

現在の位置:ホーム > 編集長コラム 水野誠志朗'sトーク > デジタルクルマメディアの閉鎖が続く。うちはどうしようかな(苦笑)