第91回 ミサイル発射を間違えた国防力って…

カテゴリ : 社会 / 日時: 2009年04月09日

 

▲北朝鮮のミサイルが降ってきたらしい。オウム真理教がまだあったら「恐怖の大魔王」がいよいよ来たと騒ぎそうだが、オウム並みに騒いでいたのがマスコミだ。いや騒ぐというより、はしゃいでいたようにすら感じられる。自衛隊の出動を嬉々として報じ、配備をイラストで説明し、作戦を解説するのはもう、B級怪獣映画を見ているよう。まさに怪獣出現に出動する勇ましい自衛隊という図式で、自衛隊にとっては相当な宣伝効果があったのではないか。

▲宣伝効果という点では、政府は今回、当初から「危機演出」をすごく計画したと思われる。実際にはほとんど危険はなかったはずだが、危なくないと言いつつ万が一と煽り、自衛隊に迎撃命令を出し、実戦配備。危機に対応する安心の政府という図式を作ろうとしたわけだ。まあ、おかげで国民にも自衛隊出動への手順がはっきりわかったと思う。そしてNHKは大本営発表を繰り返すことがはっきりしたし、自治体へも有事体制を徹底できた。

▲これで何事もなければ万々歳のはずだったのではないか。しかし、誤報やら、その後処理やらの情けないこと。逆に本当の有事に大丈夫なのか、と国民に思わせてしまったことは大失態だろう。いや、今回はまちがいなく有事ではあったはずで、大丈夫なのか、日本政府。今回もミスが勝手に伝わって情報が一人歩きしたのだから、こうなると間違えて迎撃ミサイルのスイッチを押すことだってあるんじゃないか。そうすると北朝鮮は報復すると言っていたわけで、間違えて北との戦争が起きかねない。今回、日本の防衛力にそんな情けなさを感じた人も多いのでは。

▲北米をねらうテポドン2号より、実戦配備されているノドン(日本が射程範囲)の方が実際にはすでに大きな脅威らしいが、そういう話はあまり出てこない。すでに北はこのノドンに核を搭載したという話もあるくらいで、北の攻撃があるとすればたぶんこれだろう。自衛隊はテポドンはとにかく、ノドンの方を打ち落とせるのだろうか。政府高官の話によれば無理みたいだし、メディアもそのあたりの情報をもっと取材して明かしてもらいたいものだが、今のメディアの大本営発表体質では無理かな。

▲自衛隊は実戦をやったことがないので、いくら装備がよくても弱いのではないか、という論議は昔からある。今回、実戦体制をとってこの体たらくだから、本当に弱いという方に座布団一枚という感じだ。しかし憲法を変えて、ちゃんと軍備と認めて、紛争地帯で実戦を積んで、立派な国防力を確保したいと思っている人たちには、この情けない対応はかえって幸いしたのでは。この失態ゆえ、もっと実戦経験を積まないと、というふうにもっていくためにはいい材料だ。国民もたぶん納得すると思う。一発のミサイル打ち上げを間違うような軍隊より、もっと強い、ちゃんと守ってくれる軍隊が欲しいと思うのが普通の感情だろうから。そういう方向へ向かっていることだけは確かだな、と今回思った。

 
 

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