第93回 選挙で反対票が投じられたらいいのに

カテゴリ : 社会 / 日時: 2009年08月29日

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▲いよいよ衆議院の選挙が迫っている。今回は民主主義国家にあらざる事実上の一党独裁がついに倒れる、歴史的な選挙となりそうだ。2つの大勢力にはかつての独裁政党の派閥争いという側面もあって、根本的な大変革にはなりそうもないが、それでも何かが変わってくれないと閉塞感は打破できないという国民の思いは、多分結果に出るはず。それにしても今回、一方があまりにも大勝することになると、前回の郵政選挙同様、結局日本国民は右へも左へもひとつの方向へ流されやすい、という昔からの体質が変わっていないことの証明にもなるのでは。

▲そして今回は出馬している2つの宗教勢力が選挙後にどうなるか、にも興味が持たれるところ。政教分離の原則にもかかわらず、ある程度大きくなった宗教団体が政治に出てくるのは、古今東西の常識とはいえ、例えばかつてのオウム真理教のように、選挙敗北後の動きがやはり気になるところ。非合法活動は論外だが、いろいろな意味で様々な宗教勢力が過激さを増すのは勘弁してもらいたい。

▲そんな選挙も私は仕事の関係上、投票日には投票所へ行けないので、期日前投票というのを生まれて初めてやってみた。会場の区役所で用意されていたのは、通常の投票所とほぼ同じセットだが、投票箱はひとつ。人員も同様に居るのだが人数は少ない。それでも私が住んでいる名古屋市のある区の場合、ざっと10人ほど。朝早くから夜は20時までなので、たぶんこの人達も二交代はするはず。すると人件費だけでも一日20~30万円はかかるだろう。全国で毎日やっているわけで、これは相当な金額だ。ネット投票とかできるようになればこの経費は省けると思う。民主党は手をつけるだろうか。

▲会場に行くと期日前投票の理由をまず住所氏名とともに記入しないと行けないのだが、いくつか理由が書いてあってそれに適当に丸をつければいい。自己申告だから証明は要らない。こうなると何も投票日当日に選挙へ行く必要はなくなってしまう。実は選挙なんて、適当な日に適当に行けばいいのだ、と気づいた。ということは期日前投票がもっと活用されると、投票率って大きく変わるのでは。ネット投票にしろ、期日前投票にしろ、大事な選挙権を行使できる選挙制度は体制に大きな影響を与えるわけだから、各党慎重にならざるをえないと思うが、民意を反映するにはそろそろ手を加える必要があると思う。

▲期日前投票なのですっかり忘れていたが、裁判官の国民審査というのもあった。まったく予備知識無しに信任投票をせよ、というのもあまりに強引だが、×をうたない限り信任になってしまう。といって×を打つ知識もない。これも形骸化した困った制度のひとつだと再認識。裁判でいえば審判員制度が始まっており、これの賛否は問われたことがないので、せっかくならこの制度の国民投票でもすればいいのに、と思いつつ、しかたないので投票はした。投票拒否とか、白票を投じる自由を用意しないのはますます制度の不備なのでは。

▲この国民審査のように、普通の選挙でも反対票を投じることができるといいのに、といつも思っている。こいつだけは絶対に議員にしたくない、この党だけは絶対反対という投票ができたら選挙に行くのに、という人は少なくない。そのネガ票をポジ票と相殺して結果を出すと面白いことになるだろう。それだって国民の意見というもの。少なくとも選挙、政治に関する意識は高まるし、自分が投票してもしなくてもどうせ結果は変わりない、という無力感を持つ人を少しは動かせるのでは、と思う。

▲マニュフェストを元に、誰がいい、どの党を指示するという積極性で政治を動かすには、人々のはっきりした意志が必要だが、そんなに政治に対して意識的な人は多くない。それでも不満は皆持っているのだから、その気持ちをくみ上げる仕組みは是非欲しいと思う。ただそういう仕組みを作ると、日本人の場合はますますダーッと一気にひとつの方向へ流れてしまうかも。期日前投票にしても、ネット投票にしても、投票を簡単にした途端、変な方向へ行ってしまっては元も子もないと思うが、まあそれも日本の、というか人類の運命ということなのかもしれない…。

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