第95回 モーターショーの消滅は日本の(産業の)消滅

カテゴリ : その他クルマの話題 / 日時: 2009年12月12日

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▲東京、名古屋、大阪という3つのモーターショーを見てきたので、その感想をまとめておこうと思う。なにせこのクルマ不況ゆえ、どこも結果としては前回比でメロメロ状態。その中で、何か救いはないのかを考えるきっかけにしたい。とにかく最大の危機は、二年後はホントにモーターショーが消えてしまうかも、ということだ。

▲まず東京ショーだが、世界に冠たるモーターショーという例年の展開からはあまりに見る影がなかった。例年がとにかく大きく立派なだけに、海外メーカーの撤退による巨大な穴をフォローするのは限りなく不可能に近かったようだ。メーカー出展の国際ショーである以上、インポーターから車両を集めるなどという軽挙には出られないし、といっておかしな企画展もやれない。むろん最後までメーカー出展に備えていたはずで、ドタキャンをしたヒュンダイあたりには損害賠償したいくらいだろう。その穴を埋める企画展示車両が哀れすら誘っていた。

▲そんな事情から、権威がありそうな日本カーオブザイヤーを引っ張ってきたものの、面白みのある展示とはいえなかった。来場者の感想もこんなクルマがあったっけ、という程度。これを見ても歴代イヤーカーというのが、大衆的な人気を獲得したモデルでないことがよくわかる。となればイヤーカーだけではなく、毎年の販売ベストテンといったヒット車両を大量に集めた方が面白かったのではないか。20年くらい前のクルマは、記憶に新しくても実車を見ることなど今ではほとんどないのだから。

▲次に開かれた名古屋のショー。これは我々も関わっているからあまり客観視できないが、見る分には相当面白かったと思う。国産はマツダ、三菱、スバルが出展せず、ダイハツなどもコンセプトカーを間引きして展示していたが、まあ一通りはそろっていたから、例年見に来る客もそう不満はなかっただろう。というのも、名古屋のショーの場合、例年基本的に輸入車は数ブランドしかなかったので、国産ショーという認識が観客側にもあったはず。しかし今年はそれを覆す大半の輸入車ブランドの出展があり、結果として例年より見応えがあったのではないか。

▲輸入車は大半が地元ディーラー中心の出展となった。主催者が地元の輸入車ディーラー組合を巻き込んだわけだが、インポーターも東京で何もやれなかった分、かなり援助をしたようだ。販売が落ち込む中、地元ディーラーとしては起死回生の勝負という側面もあったのだが、それなりの集客には満足できたよう。観客側もふだん垣根の高い輸入車を間近で見られたことには満足度が高かったようだ。新車モーターショーという点では入場料分だけの見ものはあったと思うし、何より様々な「高級車」にクルマ本来の夢が感じられたのがよかった。

▲加えて名古屋のショーは企画展として愛知県が「ITSワールド」を行ったほか、販売店ベースだが旧車からカスタムカー、果ては電動バイクに自転車試乗まで、バラエティーに富んだ展示があり、来客を飽きさせることがなかった。新車以外にタイヤのついているものは何でも来いという展開は、ショーとしての洗練にはほど遠いものの、面白さとしては十分。こうなるとメーカーを含めオートバイの出展が少なかったことが悔やまれる。バイク好きはたぶんあまり満足できなかっただろう。

▲大阪のショーもまた、ちょっと寂しさを感じさせるものだった。国産メーカーは名古屋と同じだが、地元ダイハツはちゃんと間引きせずにコンセプトカーを出展。トヨタもFT-86の横にAE86を展示しており、これは新趣向。トヨタが旧車を自社ブースに展示したのはおそらく始めてのことではないか。とはいえ、そのトヨタのブースのある展示館の半分くらいの面積で観光大物産展が展開していたのはなんだかなあ、という印象。

▲輸入車も7ブランドしか出ておらずちょっと寂しい。ちなみにマツダ、三菱、スバルはエコカーコーナーにディーラーが一台ずつ展示していた。大阪といえば大手カスタムビルダーの本拠地であり、元気なヤンキー車の展示も期待されたが、カスタマイズワールドという展示にもハイエースなどのワンボックス系の方が目につき、今ひとつ迫力に欠けていた。年明けすぐにオートサロンが開催されるだけに、一ヶ月前のこの時期の出展はさすがに厳しかったのだろう。

▲以上が3会場の印象だが、3大都市圏のこれらの場合はいずれも大幅に入場者数を減らしてしまった。しかしそれでも自動車ショーとしてはカスタムカーや輸入車単体のショーより圧倒的に多い集客があり、またイベントとして見ても、これだけの人数を集めるものは、東京はいざ知らず名古屋・大阪ではそうはないと思う。自動車が持つ力はまだまだ残っている。その意味で二年後は新型自動車の集客力だけに頼らず、もっと企画を強化して今年を上回りたいもの。国際ショーである東京はかなり難しいことが多いが、クルマがライフツールである地方のショーの場合は、まだまだやれると思う。モーターショーの消滅は日本の(産業の)消滅なのだから、がんばらないと。

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