▼今回は趣を変えてラーメンの話題。私ももちろんラーメンが好きで、10年ほど前からはかなり意識していろいろな店を食べ歩いている。一時、ラーメンデイズというサイトを開いていたくらいで、私の住んでいる名古屋地区では、たいていの店は食べた、といってもいいと思う。おかげさまで、以前にも書いた高脂血症になってしまったのだが。
▼さて、全国どこにでもご当地ラーメンというものがあるこのごろだが、私の住んでいる名古屋にも、ご多分にもれず存在している。が、その前にまずは名古屋地区(もう少し広げて愛知・岐阜・三重の東海地区)のラーメン全般について。当地区のラーメンは特にスープに決まりがないことが特徴といえば特徴だろう。しょう油、塩、味噌、豚骨と何でもあり。特に名古屋の味というものがなかったため、全国からいろいろな味が入ってきている。また、20年以上前にラーメンといえば札幌ラーメンという時代もあったゆえ、そのころからしょう油、塩、味噌には馴染みがあったともいえそうだ。店も色々あり、博多ラーメンはもちろん、高山ラーメン、喜多方ラーメン、和歌山ラーメン、富良野ラーメンなど各地のご当地ものから、薬膳系、和風さっぱり系、無化調系と様々。
▼では名古屋のご当地ラーメンだが、他の地区にはないという点では「台湾ラーメン」がそれに相当するといえそうだ。台湾ラーメンといっても台湾とは全く関係がない。このラーメンは味仙(みせん)という中華料理店が発祥とされるもの(事実はよくわからない)で、いわゆる中華スープのしょう油ラーメンに挽肉、ニンニク、韮、そして大量の鷹の爪(唐辛子)を炒めたものが乗っている、たいへん辛いラーメンだ。店によって微妙に味は異なるが、食べ終わったあと大量の汗が吹き出ることはどの店も同じ。私は一時このラーメンを邪道として避けていたが、最近けっこう好きになってきた。うまいと言うより辛さがクセになるという類の味ではあるが。
▼刺激モノ好きの東京なら出せば十分売れると思うのだが、なぜ誰もやらないのだろうといつも疑問に思う。チャレンジしてみる価値はあるはず。とはいえこれが名古屋ラーメンというのもちょっと残念だ。そこで現在、名古屋ラーメンと呼べるもう一つのラーメンをご案内しよう。それは厚切りチャーシュー入りのラーメンである。
▼これはプレーンな細麺のしょう油ラーメンに、厚さ1cmを超える巨大なチャーシューが乗っているもの。もともとは愛知県常滑市の「八百善」や岐阜県多治見市の「大石家」といった店が始めたものとされるが、現在は昭和区の「亜らま」、名東区の「せきや」などの他、「本郷亭」「厚切りチャーシュー家」「上州家」「たまらんや」といったチェーン店まで登場してきている。
▼その中でも最もおすすめなのは守山区にある「新谷」だ。魚介系のしょう油スープに、伸びるため一度に2玉しか茹でないという極細麺、自分のところで切り分けるという太く柔らかなメンマ、大きな海苔が2枚、そして厚さ2cm幅5cmはあろうかというチャーシュー(東京の人ならラフティーをイメージして欲しい)が普通の中華そばでも3個入る。これが圧巻。このチャーシューは外側がやや固め、そして中はとろとろに柔らかく、下味が芯まで染み渡っている絶品もの。やや塩味はきついため、小ご飯を注文するとおかずとしてもちょうどいい。ご飯には白菜の漬け物もたっぷりついてくる。これで650円。小ご飯は100円。
▼チャーシューは毎日仕込んではいるが、一度にそうたくさん仕込めないということで、売り切れ次第店じまいとなる(1日 100食程度)。したがって営業時間は午前11時から3時間ほど。食べたいと思ってもいつでも食べられるというものではないのだ。チャーシューもうまいが、さっぱりとしたスープも絶品で、辛目のチャーシューとの相性が抜群。チャーシューだけだとややくどくも感じるが、スープと一緒だとまるでくどさがなくなる。麺も急いで食べないと伸びてしまうほどの細麺で、のどごしがいい。有名な新宿の武蔵でも食べてみたが、新谷のラーメンは武蔵をもしのいでいると思った。
▼厚切りチャーシューというのは東京では見かけない類のラーメンだ。その意味では名古屋ラーメンといってもいいと思う。各店ともボリュームがあり、食べたあとに何か得した気分になるのも名古屋人には合っているかも。新谷の場合は、ちょっと郊外にあるし、営業時間が短いため、名古屋でもそう多くの人は食べたことのない店だ。最近、地元のテレビ局や雑誌がやっと取り上げるようになってきたが、そんなわけで、今のところ行列はそう長くはない。何かの機会があれば、全国のラーメン通にはぜひ食べておいて欲しい、名古屋だけの名店だ。











