▼先週、名古屋市や豊田市のある愛知県では知事選挙が行われた。現職の神田真秋氏(51)が当然のごとく勝利し、2年後の愛・地球博(愛知万博)に、住民から改めてGOサインが出た格好だ。この万博とセットで愛知県の常滑市沖の海上に新空港が建設されているが、これも信任されたことになる。投票率は38.91%で前回を3.01ポイント下回った。相変わらず3人に一人しか投票していない。
▼私も実は選挙に行かなかった。神田氏が勝つことはほぼ間違いない上、残念ながら神田氏に積極的に投票をしたくなかったからだ。私も万博賛成、空港賛成派であり、事実上トヨタ万博になるのでは、といわれている万博には、職業上も積極的に関わろうとしている。常滑の空港も、必要なのは間違いなく、開港後の2007年にはトヨタ自動車が広報機能だけを東京に残して、名古屋に引っ越してくることを歓迎するものだ。
▼しかしなぜ投票に行かなかったのか。それは神田氏に魅力がない、ということに尽きるだろう。県議会オール与党態勢(自民、民主、公明、保新推薦)2期目の神田氏には、ほとんど何も問題がない。この4年の県政も失敗らしきものはない。また特に派手なパフォーマンスもなく、難しい問題の多かった万博に関してもそつなく進行させている。隣の県である岐阜県の梶原知事や、三重県の北川知事は個性的で精力的だ(それゆえ反発もある)が、神田知事はとにかく地味。愛知県の全国における印象を体現しているような人物だ。
▼神田氏は若干47才で県知事になっており、現在でもまだ51才と実はたいへん若い知事だ。私の昔の知人の同級生でもあり、同世代的な感覚すらある。長野県の田中知事あたりとも年齢的に近い。であればもっと若さを押し出しても良さそうなものだが、オールバックのルックスもジジ臭く、精力的な雰囲気はない。今回の選挙では、出馬した茶パツの元県議・井桁亮氏(33)にすっかり若さのイメージを持って行かれてしまった。
▼ではこの井桁氏に同じ茶パツ仲間? として投票できるかというと、万博を県民投票するとかの行き当たりばったりの政策ゆえ、とても無理。メインの対抗馬であったNGO代表の池住義憲氏(58)は万博反対、空港反対と、相も変わらず現実的でない政策を連呼するばかり。とてもじゃないが、神田氏への批判票としてすら投票する気になれない。そういうわけで、結局投票という重要な行為を今回は行えなかったのである。
▼それでも唯一投票してもいいかと思ったのは、もう名前も忘れてしまったが、もう一人出馬していた変な爺さんだ。この選挙そのものが違法であるというような主張で、提訴もしているらしい。かなり電波系の人物で、むろんメディアもまともに扱っていないのだが、この人が3万票ほど得票を得ていたのには驚かされた。これはまさに批判票として投じられたのではないか。わざわざ選挙に出かけ、この爺さんに投票した人には、かなり強烈な意志が感じられる。
▼いつも選挙のたびに思うのだが、選びたい人はいないけれど選挙には行きたい、という人は少なくないはずだ。つまり「どの人も信任しません」という有効投票があってもいいと思う。これはマーケティング的に見れば、かなり重要なデータだろう。まさに選挙人の積極的な意志であり、政治に対する強烈なメッセージになり得ると思う。投票率の低さで政治への無関心を嘆くより、投票制度の変更こそが必要だろう。
▼でもこれをやると、かなり(政治家にとっては)やばい結果がでるということは容易に予測できる。それが分かっているからこそ、立法に関わる政治家からはこういう話がでてこないのだろう。今後、電子投票によって投票率を上げたいという思惑は分かるが、であればその前に選択肢を増やすことが、なにより重要だと考える。ちなみに愛知県の有権者数の約三分の一を占める名古屋市の投票率は31.78%で、前回より4.86ポイントも下回った。すみません、私もその原因の一人です。












