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フォード フォーカス新車試乗記(第119回)

Ford Focus

(1.6リッター・4AT・197万円)

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2000年04月14日

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キャラクター&開発コンセプト

欧州と北米で絶賛されるワールドカー

エスコートに代わる世界戦略車として、フォードが1998年のジュネーブショーで発表したのがフォーカスだ。今回日本に導入されるまでに、1999年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーと2000年の北米カー・オブ・ザ・イヤーを史上初のダブル受賞を果たすなど、海外での評判はすこぶる高い。フォーカスの開発はドイツ・フォードが行なっており、言わばドイツ車だが、販売は欧州全域や北米で行なわれるワールドカーだ。

一方、日本でのフォーカスは今までのところ、市販車としてと言うよりはむしろWRC(世界ラリー選手権)をスバル・インプレッサなどと共に戦うラリーカーとしてのイメージの方が強いだろう。

価格帯&グレード展開

5ドアとワゴンの2種類

日本に導入されたのは5ドアハッチバック(197万円)とワゴン(217万円)の2タイプだけ。どちらもモノグレードで、1.6リッターエンジン+4速ATの前輪駆動。デュアル&サイドエアバッグ、EBD付きABS、運転席電動リフター、CDチェンジャー、キーレスエントリー、アルミホイールなど、標準装備は充実している。輸入コンパクトカーを購入したいなら、第一候補に挙げてもいいだろう。

ちなみに、欧州でのフォーカスのラインナップは3/5ドアハッチバック、セダン、ワゴン、そしてエンジンも1.6/1.8/2.0/1.8リッターディーゼルと、バリエーションは幅広い。ちなみにラリーカーのベースとなっているのは、3ドアハッチバックの2リッターモデルだ(ほとんど別物だが)。

パッケージング&スタイル

独創的なデザイン。クーペ風の5ドアHB

5ドアHBのボディサイズは全長4155mm×全幅1710mm×全高1480mm、ホイールベースは2515mm。VWゴルフやオペル・アストラといったライバルに比べると、クラス最大を謳うロングホイールベースが特徴だ。

フォーカスのウリのひとつである大胆なデザインは、Kaから始まったフォードのデザインコンセプト「ニューエッジデザイン」を採り入れたもの。エッジといっても基本はラウンドシェープで、その中にシャープな直線を配したものだ。ただ、路上で見ると期待するほど目を引かない。

ワゴンの方はラゲッジ部分の延長で全長は+285mm、、ルーフレールの装着で全高は+75mm増している。こちらのリアビューはごくフツーで面白味に欠ける。

インテリアもニューエッジ

focus-07int-small.jpgインパネデザインは外観同様、楕円と直線が入り交じったもので、ニューエッジデザインが鮮明に表現されている。質感は同クラスの日本車並か、それ以上に高い。操作系レイアウトはドイツ車流儀で、ウインカーレバーも左側だ。インパネ右端にあるテールゲートオープナー、キー以外では開けられないエンジンフードなど、独自の操作レイアウトもあるが、結構、国産車のそれよりも使いやすかったりする。ちなみにテールゲートオープナーは、走行中は非作動。押しやすい位置だけに、間違って押したら危ないからだ。

アップライトな乗車姿勢、そつのないパッケージング

クラストップのロングホイールベースが創り出す室内は、広さもクラス最大級。この余裕をいかして、前席のヒップポイントは地上500mmの高さに設けてあり、乗車姿勢をアップライト化している。さらにチルト&テレスコ・ステアリングとシートリフター(電動式)によって、身長144~193cmの体型をカバーするという。実際、小柄な日本人でもポジションに不満はでないだろう。座り心地はやや硬めだが、ほどよく体に馴染むもの。パンと張った、いわゆるドイツ車風のシートだ。

後席は頭上高、膝元ともにかなり余裕があり、ゴルフIVよりは快適な広さを堪能できる。ヘッドレストをしっかり3名分を装備しながら、後方視界が良いことも評価できる点だ。荷室容量は通常で350リッター。6:4分割可倒式の後席を畳めば1250リッターだ。ワゴンは最大で1580リッター。いずれも同クラスの欧州車では標準的な広さだ。

基本性能&ドライブフィール

平凡なエンジンに、豪勢な足回りの組み合わせ

新設計のオールアルミ製1.6リッター直4・DOHCエンジンは最高出力100PS/6000rpm、最大トルク14.8kgm/4000rpm。プラットフォームの完成度からすれば、ごく平凡なスペックだ。実際、スポーティに走らせようと思うと、この1.6リッターは絶対的に力不足。フラットなトルクによる加速は、市街地で不満を覚えることはないが、中間加速ではなかなかシフトダウンしないし、シフトダウンしたとしても、回転差があってギャップを感じてしまう。

フォーカスで特筆すべきは、タフな足回りだ。フロントはマクファーソン・ストラットで、リアはこのクラスでは異例のマルチリンク。 また、ロック・トゥ・ロックで2.8回転というクイックなステアリングレシオもポイントのひとつ。この2つの要素があいまった正確でシャープなハンドリングは目を見張らされる。例えば、急なダブルレーンチェンジでも、思った通りにビシッとキレイに決まる。タイヤが粘る感じや、接地感はあまりなく、ひらりと向きを変える感じだ。ワインディングでも狙い澄ましたようなコーナリングをみせるから、運転が楽しい。こうなると、やはりモアパワーのエンジンが欲しくなってしまう。

乗り心地も静粛性もマル

スポーティーな足回りに関わらず、乗り心地はゴツゴツ感がなく、しなやかだ。段差による衝撃は上手く吸収し、欧州車的に硬めというより、日本車的な快適さだ。エンジン音が静かな分、ロードノイズは目立つが、室内の騒音は総じて低い。

高速走行では100km/hを越える頃から風切り音が気になり始めるが、エンジン音はそれほど耳ざわりではない。とはいえ、ここでもパワー不足は深刻。本線流入の際、アクセルベタ踏みでもなかなか加速しない。中間加速時もキックダウンを待つより、オーバードライブ解除ボタンの方が手っ取り早い。基本的にはよく回るエンジンだから、常時3速で走りたいくらいだ。

ここがイイ

デザイン個性的、室内広くて快適、乗り心地と静粛性よし、内装質感高く装備充実、ハンドリングもよし、ということで全体に高得点。実際、フォード(グループ)のクルマで、こんなにいいと思ったのは久々。特に内装のしっとり感は特筆モノ。ウッドパネルも木目でなく、マーブル調で嫌味がないし、ドアグリップまでがしっとりしたイイ感触。一昔前のトヨタ車みたい。シートも硬めで、いい感じ。久々に「イイ」がたくさん並んだクルマだ。

ここがダメ

足はすごくいいので、それに比べると、ややパワー不足。普通に走るのに不足はないが、ここ一番ではもっと力を、と感じてしまう。他の試乗記では「マニュアルを出せ」という論調もあるが、ウチとしては反対。このクラスがマニュアルで売れるはずない。それより2リッターATを価格抑えめで早く設定した方がいい。Kaはマニュアルしかなくて失敗しているし、今度は非力なオートマしかなくて失敗とならないよう、早く、早く。デビューから2年もたっているのだし、このあたりは日本導入時に何とかならなかったのだろうか。ちょっともったいない。

総合評価

focus-05small.jpgフォードは販売不振からインポーター内でゴタゴタがあるようで、販売ネットワークも徐々に弱体化している。そんな中で登場したこのフォーカスだが、ホントに久々のイイクルマだと思った。「ここがイイ」に書いたとおり、特に室内の質感などはリンカーンLSよりいいくらい。ただデザイン優先のインパネにはカーナビのスペースが全くないけれど…。

モノフォルム系のスタイリングは、ティーノやナディアなどを思い起こさせ、この手のデザインワークが世界的なトレンドのひとつだと理解できる。ハッチバックとして理想的なこの手のカタチも、ティーノ、ナディア、共に人気は今一つであることが示すとおり、日本では人気が出ない。

これらのことを考えると、フォーカスの先行きもなかなか困難なものが感じられるが、欧米でカーオブザイヤーを取る出来の良さで、善戦を期待したい。ゴルフと比べても「買うならこっち」なのだが、知名度、販売網が弱いだけに、実際にはゴルフが売れるのだろう。せっかくWRCで知名度を高めているのだから、ここはいっそのこと、2リッターモデルも導入して、ハデにCM展開してみたらどうだろう。そこまでやると化けるかもしれない実力を持っている。

   

公式サイトhttp://www.ford.co.jp/

 
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