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シトロエン C5 2.0新車試乗記(第188回)

Citroen C5 2.0

(2.0L・4AT・316万円)

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2001年09月15日

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キャラクター&開発コンセプト

エグザンティアとXMに代わる新しい旗艦

現在はプジョーの傘下にあるとはいえ、油圧サスなど独自のキャラクターが色濃く残るシトロエン。これまでミディアムクラスを担っていた「エグザンティア」に代わって、新たに投入されたのが今回のC5(シー・ファイブ)だ。時をほぼ同じくして「XM」も消滅したので、現在のところC5は同社のフラッグシップモデルとなっている。サスペンションはもちろん、金属スプリングを使わない油圧式の「ハイドラクティブIII サスペンション」だ。

価格帯&グレード展開

5ドアとブレークで316~422万円

ラインナップは5ドアの2リッター「2.0」(316万円)、3リッターの「V6エクスクルーシブ」(422万円)、ステーションワゴンの「ブレーク2.0」(331万円 ※10月発売開始)の計3タイプ。3リッター車はヘッドランプウォッシャー、キセノンヘッドランプ、クルーズコントロール、冷蔵機能付きグローブボックス、運転席カップホルダー、電動シートなどを標準装備し、さらに本革シートを25万円高で用意する。

パッケージング&スタイル

セダンに見えても5ドア

試乗した5ドアのボディサイズは全長4620mm×全幅1770mm×全高1480mm。ホイールベース2750mm。ちょうどエグザンティアとXMの中間の位置する大きさだ。ラウンド基調のスタイルは従来モデルと比べると普通っぽく、シトロエン・ファンにとっては物足りないかもしれない。一見すると単なる4ドアセダンに見えるが、ボディ後部に大きなテールゲートを備える5ドアハッチバックだ。

広々とした、装備充実のインテリア

居住空間はラージクラスセダンの中でも最大級と言っていいもの。インパネ中央上部にはインフォメーションディスプレイが設置され、V6では木目パネル、直4ではシルバーパネルがあしらわれている。質感そのものは特に高くないが、装備はかなり贅沢だ。主要な安全&快適アイテムに加えて、雨を自動的に感知して作動させる雨滴感応式ワイパー、周囲の明るさにあわせて自動的に点灯・消灯するオートヘッドランプ、バック中に障害物が近づくと音で警告してくれるバックソナー(警告音は日本車と違って後ろで鳴る)、キーのロックと同時にドアミラーが自動的に格納するオートマチックドアミラーなど、クラウン顔負けの充実振りだ。

フランス車ということで当然、注目はシートにも注がれる。大柄で体を包み込むようなソフトな感触は、このC5にもしっかりと受け継がれている。芯がしっかりしているので、長時間座っていても体が沈むようなことはなく、疲労を感じさせない。快適そのもの。座るだけならタダなので、ぜひ一度、販売店に行くなりしてフランス車のシートというものを体感してほしい。ただ、昔のシトロエンのシートを知る人にはかなり普通になってしまったと感じるはず。昔はもっと、もっとよかった。

ワゴン要らずの積載性

ガバッと開いたときの荷室スペースはとてもつもなく広い。普通の状態で456リッター。後席は2アクションで畳むことができる。荷室の開口部は非常に大きく、バンパーレベルから開くので、積み降ろしも楽だ(ハイドロで車高を下げれば、もっと楽になる)。しかもフロアは平らで、トランクルームランプやフロアネットといったワゴン同等の装備まで付いている。これならワゴンなんていらないんじゃないか、とさえ思えてくる。

ブレークでは、荷室の右側部分にあるサスペンションのリモコンスイッチを押すと、リアの車高が下げられる。こうしたカラクリはマニア心をくすぐるに十分だろう。やはりシトロエンは独自性を保っている。

基本性能&ドライブフィール

2.0は速すぎず、遅すぎず

搭載エンジンは5ドア、ワゴンともに2.0リッターの直列4気筒(最高出力137馬力/6000rpm、最大トルク19.8kgm/4100rpm)があるほか、5ドア専用として3.0リッターのV型6気筒(最高出力210馬力/6000rpm、最大トルク30.0kgm/3750rpm)が用意される。駆動方式はFF。ミッションは全車4速のティップシフト機能付きATのみだ。

試乗したのは2リッター4気筒の2.0。車重1380kgというミディアムクラスボディに、わずか137馬力のエンジンでは、やはりそれなりの加速でしかない。低速域のトルクがあるので力強さはあるが、絶対的には必要十分という程度。走りを求めるならV6をオススメする。

しかし、このアンダーパワー感こそがシトロエンの味でもある。むしろハイドロの乗り心地に合うのは、これくらいの加速力だ。速すぎず、遅すぎず、ちょうどいい。60㎞/hでもギアは3速で、力強さはずっと持続するから大きな不満はない。もし勾配の続く上り坂などで非力と思ったら、シフトを左側にたおしてマニュアル操作してやればいいだけのことだ。室内は静かだから、ギアが3速でも4速でもストレスはない。

4気筒エンジンのレスポンス自体は、案の定モサモサしている。これもギンギン回る高性能エンジンよりも肩に力が入らないから疲れない、とでも思えば納得できる。パワステのフィーリングはザラザラした人工的な感触がつきまとうが、これもシトロエンの味と思えば、納得できる。やはりどこか異質なのだ。最近のクルマはどんどん似たような傾向に統一されつつあるが、C5にはそれらと完全に一線を画した“味”というものがある。

シトロエン伝統の油圧サスは第3世代に進化

シトロエンの専売特許とも言える油圧サス「ハイドラクティブⅢサスペンション」は、従来のシステムをさらに進化させたもの。ノーマルとスポーツの2つのモードがあり、ドライバーの走り方や道路状況によって自動的に適したモードを選択。さらにコンソールのボタンによってドライバーの任意でそれぞれを選択できるようにもなっている。

車高は3段階に変えられるほか、速度が110km/hになると車高が自動的に下がり、90km/h以下になると元に戻る。さらに70km/h以下のラフな路面を走る場合は、車高が上がる。かつてシトロエンの油圧サスは故障に悩まされたものだが、C5では配線やコネクターなどの部品点数の簡略によって、5年または20万kmの間、特別なメンテナンスを必要としないと謳っている。保証は2年間または5万km以内だ。

実際のところ、その足回りは相変わらず素晴らしい。4つのタイヤは路面の変化にどこまでも追従し、ちょっとした窪みにタイヤを落としても、ひどい突き上げはない。また高速カーブでも、当然、横Gは体にかかるが、車両そのものは路面に対して平行のまま。つまり体感的なロールが小さい。これこそシトロエンだと思う瞬間だ。昔ながらの良き伝統がしっかりり受け継がれているのが嬉しい。全体にはゆったりとした乗り味で、いかにもハイドロという味が新車からある。タイトなコーナリングではアンダーもーオーバーも出ず、オンザレール感覚を維持する(挙動が出るほどパワーがないことも確かだが)。高速道路での張り付くような直進性もやっぱりシトロエン。静粛性も高い。

エンジン、ミッション、サスペンションなど様々な機能を統合制御する「マルチプレックス・エレトロニクス」の新採用で、走り全体が自然になったこともポイントだ。日本で走らせるにあたり、かつての輸入車によくあった変速プログラムの違和感も払拭され、走りのパターンによって車高が上下する制御も自然になっている。いつのまにか車高が上がって、いつのまにか下がって、クルマを止めたときには元に戻っている。手動で車高を変えるのは、ついにボタンでできるようになった。しかもスポーツモードまでついている(若干ゴツゴツすることで、固さが体感できる)。

前述のようにギアは3速を長く保つ。かつては60km/h前後で4速へシフトしてショックが気になったものだが、今やそれもない。発進の時、急にアクセルを踏むと、強めのショックがでるなど、細かい部分での改良の余地はあると思われるが、一旦、スピードに乗ってしまったときの走りに関しては全く不満がない仕上がりだ。唯一違和感を感じるのはブレーキのフィールだろう。いわゆるカックンブレーキで、これはシトロエンの伝統的なものではあるが、やはりもう少し自然なフィーリングが欲しい。

ここがイイ

ハイドロの乗り心地はまさに絶品。唯我独尊とはこのこと。質感も初期のエグザンティアより十分高くなっているし、シットリとしたドアグリップや、すべすべした金属のシフトレバーの触感が気持ちいいのも好み。

運転席右下のコインボックスは奥に車検証入れが入る大きさがあるし、グローブボックスのフタにサングラスなど小物入れがついているのもいい。

隠しハッチバックボディは合理的で素晴らしい。剛性感も特に不足を感じなかった(経年劣化はどうだかわからないが)。リアシートはサルーンとして十分広いし、ヘッドレストを付けたまま2アクションでたためる。まるでワゴンのように使えるのがうれしい。

ウォッシャーがミスト式なのもよかった。

ここがダメ

リモコンレバー付のオーディオは音も悪くないが、標準装備がいまどきカセットというのはちょっと。カーナビもつけようがない。が、本国ではいずれきっとダッシュ上部のインフォメーションディスプレイ窓に欧州式ナビ(右左だけ指示するタイプ)がつくのだろう。

マニュアルシフトにするとき、その位置が左ハンドル車と同じで、左寄りになってしまうのは残念。ちょっと遠い感じがする。

Aピラーが太く、ドアミラーもでかいので斜め右視界が悪いのは気になった。またドアミラーは屈折式だが、どうにも見にくい。

窓を開けて車を降りたとき、リモコンで閉められるワイアレスキーはたいへん便利。ただ、そのボタンで窓を5cmほどおろせるのだが、この機能の意味が分からない。夏の換気用か?

総合評価

乗ったときにシトロエン独自の室内臭があり、走り出すとシトロエン独自の乗り心地があり、必要十分ながらアンダーパワー感のある走りに身をゆだねていると、人がなぜシトロエンに「はまる」のかがわかってくるはず。やっぱりこんな独自性があるクルマは、たくさんの新車に試乗してみても、他には絶対ないと断言できる。

反面、スタイルにはかつての独自性や強烈な魅力が感じられないし、シートも悪くはないが当たり前になってしまった。XMまではスタイリングに独自性があったが、以降、どうもスタイリングの魅力が不足していると感じてしまう。新しい「C」シリーズになって、期待したいところだったが、そこはかなり残念。同じCがつく、往年の名車CXのあの形であったなら、即買いなのだが。

 ●車両協力:渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

公式サイト http://www.citroen.co.jp/top.html

 
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