Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > MINI One/クーパー

MINI One/クーパー新車試乗記(第214回)

MINI One/Cooper

(1.6リッター・5MT/CVT・195万~235万円)

2002年03月29日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

BMWの新しいブランドとして世界で展開

2002年3月2日(ミニの日)に日本で発売された新型MINIは、1959年に登場した先代ミニのイメージを、現代風にアレンジしたクルマだ。そういう意味では最近流行の輸入レトロカーの一つと言える。ここ10年ほど、欧米のメーカーは名車と言われたクルマの復活に熱心で、フォルクスワーゲンのニュー・ビートルに始まり、新しいところではフォード・サンダーバードがその一例だ。

現在、MINIはBMWの1ブランドだが、生産はイギリス・オクスフォードにある旧ローバー工場で行われる。つまり、今でもれっきとしたイギリス車だ。ヨーロッパでは昨年から販売が始まっており、アメリカでも日本とほぼ同時に発売された。新生MINIは日米欧の3大市場を視野に入れた本格的なグローバルカーだ。

偉大なミニの名前とイメージを引き継ぐ

先代ミニは天才エンジニアのアレック・イシゴニスが生み出した革新的な超小型車だ。全長3m、幅1.4mの小さなボディに盛り込まれた大人4人が快適に座れる実用性と様々な新技術、さらにモンテカルロラリー総合優勝3回といった快挙を成し遂げた。

ただしミニがデビューから40年もの間、生産され続けた一番の理由は、その英国的なデザインにあったとも言っていい。本国ではイギリス自動車工業旧態化の象徴だったミニを、経済的「勝ち組」の日本の消費者が根強く買い支えたのも、そのデザインゆえだ。ある意味、世界で最も先代ミニにイレ込んでいた日本人ゆえ、今回のモデルチェンジを複雑な気持ちで迎えたファンも少なくない。「コンパクトなボディそのままに、先代の魅力と最先端の技術を盛り込む」という開発陣のテーマが成功したかどうかは、ひとえに日本市場での今後の売れ行きが示すはずだ。

価格帯&グレード展開

ONEとCOOPER、それぞれにMTとCVT仕様。COOPER Sも間もなく登場

ラインナップは3つ。ベーシックモデルのONE。スポーティなセッティングを施したCOOPER。そして5月から登場するスーパーチャージャー付きの最強バージョン、COOPER Sだ。ONEとCOOPERには5速マニュアルとZF製のCVT仕様が用意される。COOPER SはZF製の6速マニュアルのみだ。

ONEとCOOPERのエンジンは基本的に同じ1.6リッター直列4気筒。ONEの90馬力に対してCOOPERは116psを発揮するが、パワーの差は主にコンピュータープログラムによるもの。圧縮比も両者同じだ。ONEとCOOPERの違いはエンジン出力以外に、サスペンション(COOPERは10mmローダウンされ、よりハードな設定)、アルミホイールの有無、メッキパーツの数など。またCOOPERではルーフカラーを白と黒、どちらかを選ぶことができる。安全装備で差別化はなく、両車とも各種電子制御デバイス&6エアバッグを装備する。

価格は195万円から

「先代ミニの魅力の一つは低価格だったから」とメーカーが説明するように、新型MINIも輸入車としては「安い」部類に入る。ONEのMTで195万円。CVT仕様で205万円という価格は、プジョー206の1.6リッター(187.0~199.5万円)とほぼ同じだ。COOPERはMTで225万円、CVTで235万円、5月から登場予定のCOOPER Sは260万円だ。全体としては、VWのニュービートル(239~289万円)とほぼオーバーラップする。

パッケージング&スタイル

大型化したものの、やはりミニ

1997年のフランクフルトショーで発表された新型MINIのデザインスタディは、今思えばすでに市販型とほとんど変わらないもの。手掛けたのはBMW系列のデザインスタジオ、デザインワークス社(アメリカ、カリフォルニア州)と言われている。ちなみに同社は1997年にモンテカルロ・ラリーでお披露目された「Mini ACV30」(先代ミニ・クーパーをモチーフとしたコンセプトカー)もデザイン。ベース車両がミドシップのMGFだけに全体像は異なるが、内外装のディテール(インテリアやウインドウ・グラフィックの処理など)はACV30のアイディアがそのまま生かされている。

デザイン上の特徴は枚挙にいとまがない。ヘッドライト一体のボンネット、多用されるメッキパーツ、ブラックアウトされたA、B、Cピラーなどなど。さて、これを「ミニ」と思って見た時、一番気になるのは大型化したボディサイズだろう。新型MINI(先代ミニ比)のスリーサイズは全長3625mm(+550)×全幅1690mm(+250)×全高1425mm(+95)と大幅にアップ。ヴィッツや新型マーチ同等の大きさだ。しかし印象としては紛れもなくミニだ。

ホイールベースも先代の2035mmから、先代ゴルフ並みの2465mmに一挙拡大。比率にして1.21倍だ。なのに後席と荷室が意外に狭いのは、クーパーSで採用する17インチタイヤとリアのマルチリンクサスがスペースを食うからだろう。こういったことからも新型MINIがファミリーカーではなく、乗って楽しいクルマを目指していることが分かる。前後オーバーハングは極めて短い。

凝りまくりのインテリア

MINIのインテリアはエクステリア以上に「デザイン」されている。まず目に入るのがセンターに位置する巨大な速度計だ。先代ミニのマーク I 時代に使われたセンターメーターが約30年振りに復活している。タコメーターはステアリングコラム一体式で、よってステアリングをチルトするとタコメーターも一緒に上下する。

しかし、正直言って、この速度計とタコメーター、慣れるまではかなり見にくい。まず速度を見たい時にも、反射的に目の前のタコメーターに目がいってしまう。さらに、センターメーター自体が国産車のものと違い、視線移動量がかなり大きい位置にあり、かなり視線を左にやらなければいけない。

ただ、このメーター問題は、オプションのナビシステムを付けると解決する。センターに16:9のワイドモニターが陣取ることで、スピードメーターはステアリング・コラム上に移動し、タコメーターと並んで配置されるのだ。これはこれで可愛らしい。

機能よりデザイン優先

その他、クラシカルなトグルスイッチの採用など、そこかしこに機能よりデザイン優先の姿勢が見える。付け加えれば後席の居住性は日本の軽以下。リアは+2と考えた方がいい。このあたりも先代と大きく異なる部分で、まずデザインありきだ。

トランク容量も150リットルと最小限。後席は50:50で分割可倒式だが、ダブルフォールディングではなく、ただパタンと背もたれが倒れるタイプ。これで最大670リットルの荷室が現れるが、どちらにしても大物の積載性は期待できない。

基本性能&ドライブフィール

BMWクオリティの造りと走り

試乗したのは現時点で4種類ある仕様のうちの、3種類。まずは最も売れ筋のクーパー・CVT仕様に試乗した。

メッキ処理された立派なドアノブを引くと、サッシュレスのサイドウインドウが数mm下がる。BMWなどで採用されているものと同じで、キャビンの機密性を上げるための工夫だが、プレミアムカーであることのアピールでもある。直角に近い角度(約80°)まで開くドアはしっかりした造りで、バムッと閉まる。

ヒップポジションは低く、シートは固い。ホールドはいまいち。特にバックレストがどうにもこうにもフィットしない。ランバーサポート部分が妙に張っている。各部の調節レバーもかなり使いにくく、最初はちょっと焦る。低いヒップポイント、そして縦に短く直立したフロントウインドウなど、雰囲気は先代ミニによく似ている。似ていないのは、先代でトラックのように寝ていたステアリングが現代的な角度に改められたこと。とはいえ新型MINIに乗って、先代の「水平ハンドル」を欲しがる人はいないだろう、多分。

走り始めて誰もが思うのは、足の固さだろう。クーパーは固い。特に道路のつなぎ目などの突き上げはなかなか鋭いものがある。ただしボデイ剛性は完璧で、重厚感さえある。このサスペンションはワインディングに行くと本領を発揮し、とにかくロール剛性が非常に高い。まさにゴーカート感覚。スポーツカーでさえ、これだけロールしないクルマは珍しい。固いだけでなく接地性にも不安を覚えなかったのは、BMW・3シリーズ譲りというマルチリンクのリアサスが効いているからか。

そういうわけでCOOPERのコーナリングスピードはかなり速く、横Gもそれなりに来る。そんな時はセンターコンソール横のストラットフレームがレッグサポートになって非常に助かった。

CVTは無難な仕上がりながら、さらなる改善を期待

MINIの1.6リッターSOHCエンジンはBMWとクライスラーが共同開発したもの。ブラジルの工場で生産されるこの通称「ペンタゴン」エンジンは恐らく次期ネオンでも採用されるはずのもの。COOPERのそれは116ps/6000rpm、15.2kgm/4500rpmを発揮。車重は1140kgだから、加速性能自体はごく普通だ。回してもパワーの盛り上がりはなく、6000rpm付近で頭打ち感がある(CVT仕様のレッドゾーンは5500rpm)。ただし振動は高回転でも小さく、音も苦しげにならない現代的なユニットだ。実際、ワインディングロードでは、ほぼ5000rpm以上に釘付け状態にして走り回った(そうしないと走らない)。

普通に走る限り、CVTの操作に特別な知識は必要ない。電子制御によるクリープがあり、発進そのものはとても自然だ。しかしアクセルを踏み込んだ時の反応は良くない。CVT、特に小排気量のそれは、エンジン回転数が上がってから、少し遅れて加速に移るというものが多いが、このMINIのZF製CVTは逆。エンジンの回転がそれほど上がらず、何とか低回転のまま加速しようとする。その加速が緩慢だ。

もう少しキビキビ走りたいなら、シフトレバーを右に倒してスポーツモードを選ぶことも出来る。エンジン回転数はおよそ1000rpm弱上昇し、街中の慌ただしい流れでも、何とかもどかしさを感じずに済む。さらにスポーティな走りを望むなら、シフトレバーを前後に動かし「ステップトロニック・モード」(6速マニュアル・シーケンシャル)を選べばいい。ギアチェンジの反応は半呼吸遅れる感じだが、目くじら立てるほどではない。気になるのは、引いてアップ、押してダウンというシフト方法だ。これはやはり逆の方が自然だと思う。

ONEのマニュアルは安全で楽しい

続いてONEのマニュアル仕様にも乗った。乗ってまず思うのは、「乗り心地がイイ!」ということだ。COOPERで気になった突き上げが、ONEではほぼ気にならない。確かにロール/ピッチングは少し増えるが、絶対的には依然小さい。

またエンジンが90psとアンダーパワーなため、いくら飛ばしてもコースアウトする気がしない。心拍数も上がらず、冷や汗も出ない。そして怖くない。確かに古典的な意味でのスリルはないが、これはこれでとても楽しい。マニュアルがOKの人なら、新型MINIのベスト・バイはONEのマニュアルではないか、とステアリングを切りながら強く思った。

ちなみにインターネットサイト「webCG」では、MTもいいが「CVTのデキも文句ない」とし、CooperとOneに関してはサスペンションがよりソフトな後者に好印象を持ったとリポートしている。しかし、当MOTOR DAYSとしては、「どうしてもCVTじゃなきゃ困る」のでなければ、MTが現状ではベターと考える。COOPERのCVT車よりOneのMT車の方が「エンジンを回して走る」感覚はずっと気持ちよかったのだ。確かにCOOPERの名前とエンジンパワー、装備には心惹かれるが、ベーシックモデルたるOneを積極的に選ぶ手もありと、言っておこう。

ここがイイ

現代的な走りを、安全性を、快適性を手に入れながら、40年来のミニらしさをうまくテイストとして残していること。特にボディスタイルは実に見事。誰が見てもミニそのものながら現代のクルマになっている。トヨタ2000GT、いすゞ117クーペあたりを、このやり方で復活させて欲しいところ。

やっぱりミニはMTでしょ、と思わせたOneの実力は高い。COOPERのMT車に乗っていないので断定はできないが、アンダーパワー車を振り回すのは楽しいし、それこそがミニのミニたる所以。旧ミニをそのまま現代風にしたと言う意味では、これでしょう。

ここがダメ

COOPERは売れ筋車なのだから、もうちょっと足を柔らかくしてもよかったのでは。COOPER Sを出すのだから、足の固さはそれに任せる方がいいと思う。COOPERのCVTが販売のメインになることは明白なのだから、足は快適に振って欲しかった。また、ステップトロニックはスポーティーに走ろうとしてもリニア感に乏しく、日本製のCVTと比較しても、完成度はいまいちだろう。

パワーウインドウスイッチはインパネセンターにズラリと並ぶトグルスイッチの一番端だが、この位置は使いにくい。あまり奇をてらわず、ドアに付けて欲しかった。リアシートへ入るための前席シートバックのレバー操作がたいへんわかりにくい。角度調整も兼ねたものだが、もう一つレバーを付ければいいのに。

総合評価

先代ミニも女の子が乗れるようなヤワなクルマではなかったのだが、それでも女の子ウケしてあれだけヒットしたわけだ。新型にもしっかりその精神が受け継がれているのには感心。新型のCOOPERは、女の子の足としてはとてもおすすめできない硬派仕様だと思う。でも可愛いから女の子も乗るだろう。またうるさ方のオジさんには、この固さがなかなかお似合いのクルマとなり、きっと喜ばれるだろう。このあたりが見事に旧型と同じ。これこそMINIというブランドを生かした一番うまいやり方。さすがBMWである。

と、そう斜に構えなくても、もっと素直に、眺めて満足、乗って楽しく、買ってお買い得と、3拍子揃っていることは誰が見ても間違いない。乗る前は、可愛さ目当ての女の子から、エンスーのオジさんまでをフォローするゆえ、広い世代に広がる大ヒット車になるハズ、と思っていたが、試乗して、その出来の良さを確かめた今は、ますますその感を強めた。

         

http://www.mini.jp/公式サイト

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 

MINI 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧