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ジャガー Xタイプ 2.0 V6新車試乗記(第220回)

Jaguar X-Type 2.0 V6

(2.1L・FF・365万円)

2002年05月18日

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キャラクター&開発コンセプト

フルタイム4WDを省いて、ジャガー初の前輪駆動車に

昨年デビューしたXタイプは、親会社であるフォードのモンデオとプラットフォームを共有するジャガーの最小サルーン。フォードはフルラインナップ・ブランドとして「フォード」や「マツダ」を展開する一方、PAG(プレミアム・オートモーティブ・グループ)として「リンカーン」「アストンマーチン」「ジャガー」「ランドローバー」「ボルボ」と言った高級ブランドにも力を入れている。中でもジャガーは、メルセデスやBMW、アウディと言ったライバルに匹敵するブランドとして期待されている。

また、ジャガー・ジャパンによれば、日本国内のXタイプはドイツ系高級コンパクトセダンの他、トヨタ・ブレビス、マークII、日産スカイライン等、300万円台の国産セダンもライバルとするらしい。そこで今回Xタイプに新しく加わったのが、上位グレードが採用するフルタイム4WDを省き、365万円という価格を実現した「2.0 V6」だ。いずれにしても、これがジャガーにとって初のFF車となる。生産は従来と同じ、イギリス・リバプール近郊のヘイルウッド工場で行なわれている。

価格帯&グレード展開

365万円という驚きのプライス

今回の「2.0 V6」(365万円)は、今まで一番安かった「2.5 V6」(435万円)より、70万円も安い。ちなみに従来モデルはDVDナビシステムの標準化に伴い、一律10万円値上げされているが。その代償は4WDと400ccの排気量で、これが実際の走りにどう影響するかが気になるところだ。

価格上のライバルは、メルセデス・ベンツのCクラス(C180、395万円)、BMWの318i(ATで380万円~)、アウディのA4(2.0、362万円~)、アルファ156(2.0TS、359万円~)あたり。ただしこれらは全て4気筒モデルで、6気筒を選ぶとそれなりの価格アップとなる。また、これらドイツ系300万円台モデルに対してXタイプの装備は充実している。7インチワイド液晶付きDVDナビの他、16インチアルミホイールも標準。ただしレザーシート(21万円)、メタリックペイント(7万3500円)、シートヒーター(5.2万円)、バックソナー(6万円)などはオプションだ。

パッケージング&スタイル

XJの縮小版? スタイル&インテリアが最大の魅力

2.0 V6の外観は上位グレードとほとんど同じ。サイズも全長4685mm×全幅1790mm×全高1420mmと変わらない。異なるのはアルミホイールのデザインくらいで、タイヤも同じ205/55R16だ。数字だけ見ると大きいボディだが、見た目の印象はコンパクト。歴代XJを思わせる、優美な飴玉系!? デザインはXタイプの大きな魅力だ。

機能的なインテリア。ただし空間はタイト

Xタイプは、インテリアデザインが嬉しいクルマだ。内装はプラスチッキーだが、骨董品のような存在感をクルマに求めない人も多い。この質感ならカジュアルにも思えて、それほど気にならないと思う。

XJのモチーフをなぞったウッドパネルや、ウッドシフトノブ、伝統のJゲートは、ジャガーならでは。今やインテリアに高い質感を持つ国産車は少なくないが、ここまでベタなブリティッシュ・テイストは、やはり英国車でしか味わえない。ジャガーはジャガーというブランドだけでなく「イギリス」というブランドもうまく利用している。そういう意味で、クルマに興味のない女性層にも理解されやすいはずだ。

スイッチ類は全体的に使いやすく、今回からXタイプ全車に標準装備されたDVDナビの操作方法も分かりやすい上、反応が素速い。タッチパネルが採用されていることも評価したいところだ。基本的な操作に関して、取り扱い説明書はほとんど必要ないだろう。

ステアリングはチルトおよびテレスコピックが可能(手動)。シートは高さのみ電動。オプションのレザーシートの風合いは特に優れてはいないが、座り心地は悪くはない。ただしAピラーが寝ているので、広々とした感じはない。

後席もややタイトな印象で、特に足元のスペースは充分とは言えない。2710mmという長いホイールベースを考えると疑問が残る。フロアトンネルの出っ張りも大きいので、後席に大人3人が乗るのはかなり苦しい。ただし居心地自体は悪くないから、たまに家族を乗せるくらいなら大丈夫だろう。

ジャガー史上、最大を誇るトランクの容量は452リットル。ボディサイズが大きいので比較はアンフェアだが、メルセデスのCクラス(430リットル)、BMWの3シリーズ(440リットル)、アウディA4(445リットル)をリードする。ただしXタイプのトランクは浅く、奥行きで容量を稼ぐタイプだ。

基本性能&ドライブフィール

4WDを捨てて身軽になった

エンジンは2096ccのV型DOHC・6気筒で、従来のV6をショートストローク化したものだ。車名の表記と現実の排気量に差があることに注意。最高出力159ps/6800rpm、20.4kgm-/4100rpmで、4駆版より100kgジャスト軽い1520kgを引っ張る。圧縮比は10.8と高く、使用燃料はハイオク。タンク容量は61リッターで、10・15モード燃費は8.6km/lだ。これは2.5モデルの7.9km/l、3.0の7.4km/lより、それぞれ0.7km/lと1.2km/l良い。可変吸気システム付きのこのエンジンは、デンソー製のマネージメント・システムによって制御される。カムはチェーン駆動だ。

キックダウンの多さが気になるが軽快感あり。高速は得意

トランスミッションはジャガーではおなじみのJATCO製5段AT。ギアレシオは最終減速比も含めて2.5&3.0と同じだが、シフトプログラムは変更されている。Jゲートは相変わらずインジケーター内にシフトポジションが表示されず、左側ゲートの2-3-4速は一列に並ぶので、慣れが必要だ。とはいえ、感覚的に動かす分にはわかりやすい。左ゲートは一番上に上げると2速、下げると4速、中間が3速のわけで、積極的にマニュアルシフトする時にはその3つを行き来するわけだ。4のまま右に動かせばDになるという具合に、このシフトパターンには合理性がある。ティプトロのような+-ではなく、マニュアル操作の実感があるのだ。

さてまず印象的なのが、シュンシュンと高回転まで回るエンジン。5速ATはアクセルの踏み込みに応じて積極的にキックダウンするタイプだ。3.0に試乗した時にはほとんど感じなかったシフトショックがやや気になる。ゆっくり流れに乗って走る分には低い回転数を保って滑らかに走るが、せっかちにアクセルをオン・オフさせると敏感に反応する。絶対的にトルクが小さいだけに致し方ないところだろう。

5速トップでの100km/h巡航は約2300rpmというハイギアードな設定もあって、高速巡航は楽ちんだ。エンジン音、風切り音、ロードノイズ、いずれも小さい。ここから加速を試みると、4速(100km/h時、3250rpm)では足りず、3速(同、4500rpm)までキックダウンする。ここから150km/hまでの加速に不満はない。ただしそこから上が伸び悩む。メーカーによると最高速は127mph(204km/h)。0-60mph(約100km/h)は10.4秒だ。

ハンドリングはハイレベル。乗り心地はさらに上を望む

操縦性は非常に安定しており、正確で、スポーティ。「初めから4WDじゃなくても良かったんじゃないの」と言いたくなる。普通なら大アンダーステアになるような濡れた路面でのコーナリングでも、外側に膨らむようなことはまずない。またタックインらしき動きも、今回試乗した限りまったく出なかった。ステアリングを切れば切っただけ曲がる、とてもセーフで、バランスのとれたハンドリングだ。

100km/h前後の巡航では、細かい突き上げが少し気になった。もう少しスピードレンジが高いと滑らかになる。一方で、低速の乗り心地は悪くはない。しかし出来ればもう少しソフトかつ滑らかで、願わくば重厚な「猫足」があったら、このクルマの雰囲気にも合うような気がする。

ここがイイ

Sタイプよりジャガーらしいスタイル。価格の安さ。極めて素直なハンドリングと不足のない動力性能。不足のない標準装備。特にタッチパネル式の使いやすいDVDカーナビが最初からついているのは、高く評価したい。輸入車の後付はたいへんだから。

そのナビは携帯電話や空調などをコントロールできる情報センターの役目もあり、このあたりも国産車に負けない充実度だ。しかもタッチパネルなので誰にでも使いやすい。初めての人でも使う気になれるナビだ。

ここがダメ

革シートが絶対欲しいが、21万円のプラス。その他ちょっとオプションを加えるとやっぱり400万円に達してしまう。こうなるとちょっと高いかな、という気にも。

最も気になったのはステアリングの軽さ。低速から高速まで、またワインディングでもたいへん軽く、これも重厚感を殺いでいる原因だろう。せっかくのジャガーなのだから乗り心地を含めて、もう少し重厚感を演出して欲しいものだ。さらに言えばFFにも3リッタークラスのエンジン設定が欲しいところ。

総合評価

ジャガーという過大な期待(あるいは幻想)を持って乗ると裏切られるが、乗用車として不足はない。デフレがいいとはいわないが、ジャガーブランドがこの価格で買えるなら歓迎といってもいいのでは。実際、メルセデスのC180あたりは誰が乗っても、おそらく価格相応という感を持つと思うが、Xタイプの場合、ブランドにも幻惑されて、いくらのクルマなのか分からなくなってしまう。それこそジャガー(フォード)のねらったところだろう。国産高級車を買うより、同じくらいの価格で「上級高級車を買った」という実感が得られるはずだ。

Xタイプが出たときに、400万円を大きく超える価格に中途半端な感を持ったが、300万円台なら競争力はグンと高まる。この価格差は4WDをどうとらえるかだろう。4WDはむろんFFに勝る部分がたいへん多いが、雪の多い地方でない限り、その威力を思い知るまでには至らない。街中で乗るおしゃれなクルマとしてならFFで十分、と思う。4WDでも半年で2000台売れたXタイプ。安価なFFの投入によりXタイプは当初のコンセプトであるエントリー層の取り込みをさらにすすめ、ヒット作となる予感がする。

 ●車両協力:渡辺自動車 ジャガー名古屋中央

公式サイトhttp://www.jaguar.com/jp/ja/home.htm

 
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