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シトロエン C3 1.4新車試乗記(第242回)

Citroen C3 1.4

(1.4リッター・4AT)

2002年11月02日

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キャラクター&開発コンセプト

PSAの新型シャシーを採用する「サクソ以上、クサラ未満」

2002年10月4日より日本で発売されたC3は、久々に個性的なスタイルを持ったスモール・シトロエンだ。ヨーロッパではすでに4月から販売されている。シャシーは現行206とは異なり、次期207が採用するPSA(プジョー・シトロエン・グループ)の新型シャシー「プラットフォーム1」を採用。クラス的にはサクソとクサラの中間。つまり今後はサクソがC2に、クサラがC4になると言われている。

シトロエンによれば、普段はコンパクトな「シティカー」、休日は長距離ドライブできる「ツアラー」、そんな万能性を備えたモデルがC3だという。1540mmという全高による居住性の良さもさることながら、最大の特徴はその丸っこいスタイルだ。

新生シトロエン・ジャポン初の新型車

日本でのシトロエンの販売は2002年4月より新西武自動車販売からシトロエン・ジャポン(シトロエンの100%子会社)が担う。つまり新型C3は新生シトロエン・ジャポンにとって初の新型車だ。販売目標は1,500台/年と高く設定する。これは2001年におけるシトロエン全販売台数の1,136台を大幅に越えるものだ。

価格帯&グレード展開

1.4&1.6リッター。1.6にはセミAT搭載

グレードは1.4(182万円)と1.6(199.8万円)の2種類。1.4にはシーケンシャルモード付電子制御4速ATを、1.6にはセミ5速AT「センソドライブ」を組み合わせる。5速MTの設定はない。全車5ドア、右ハンドル仕様となる。パッケージオプションとして「スタイルパッケージ」(15インチアルミ、フォグランプ、同色モール。7万円。1.6には標準)や「コンフォートパッケージ」(レザーシート、革巻ステアリング、バックソナーなど。18万円)がある。

パッケージング&スタイル

背は高いが、それはデザインのため

スリーサイズは全長3,850×全幅1,670×全高1,540mm。操縦安定性や空気抵抗の低さが重視されるヨーロッパ車にあって、C3は異様に背が高く、例えばプジョー206より10センチも高い。国産のヴィッツ、フィット、マーチ、デミオと比べて、そのどれよりも(わずかだが)高いほどだ。

背が高いのは、ボンネットとルーフが2CVのスタイルを彷彿とさせる二つのアーチを描くからだ。両車の写真を並べて比べると、まったく似ていないのだが、とにかく2CVを意識させるのは確かだ。

ネオレトロ調? の室内デザイン

インパネは大型デジタルの速度計をアーチ状のタコメーターが囲むもの。視認性は悪くないが、照明がオレンジだったせいもあり、かつてのシティ・ターボを思い出させる。ダッシュボードやドアトリムの樹脂の質感はまったくもって低いが、色使いや仕上げに遊び心もあるし、まあ許せる。丸く湾曲したフロントウインドウは光線の加減や部位によって、わずかだが歪みを感じる場合がある。気になるかならないかは個人差があるだろう。

前席シートのクッションは微妙な触感がシトロエンらしいと言えば、らしい。シートの高さはゴルフ3と同じ、シート下のバネと自分の体重を利用する方法で大きく調整出来る。チルトに加えて、テレスコまで備えるステアリングがこのクラスでは珍しい。

装備充実、ハイテク盛り沢山

エアコンは全車オートで、日差しなどで昼夜を判断し、モードを変更する機能が付く。エアバッグは前席2つとサイド2つ、そして左右カーテンエアバッグと計6個を装備。オプションとして、ルーフのほぼ全面をカバーするガラスサンルーフも用意される(2003年春から導入予定)。最新の欧州車らしくハイテクの採用にも熱心で、ブレーキアシスト連動のオートハザードランプや雨滴感知式ワイパーなども装備する。

パッケージング面で丸いルーフは前席乗員のヘッドルームにはプラスだが、後席にとっては不利になる。後席足元も狭く、背もたれの角度も立ち気味。シート自体はしっかりした造りで、ちゃんと3人分のヘッドレストと3点式ベルトが付く。

「モジュボード」を備えるラゲッジ

VDA方式で305リッターという荷室もやはり丸いデザインの影響を受けて、ライバル車に比べればやや苦しいが、一応18リッターの灯油缶が4つピッタリ納まる。シトロエンが熱心にアピールする「モジュボード」は、要するに変形可能な仕切り板だ。荷室を上下2段にしたり、リアシートを倒した時の(欧州車に珍しく、パタンと前に倒すだけ)フルフラット用の嵩上げに使ったり。もちろん、不必要なときには折り畳める。

基本性能&ドライブフィール

やや非力だが、実用に十分な動力性能

今回の試乗車は10月に導入された1.4リッターモデル(182万円)。パーケージオプション(7万円)が付き、合計189万円となる。エンジン(75ps/5,400rpm、12.5kgm/3,300rpm)は基本的に206と同じだが、圧縮比などの関係でわずかにパワフル。本国では他に1.1リッター(61ps)と1.4リッターのディーゼルが2種類(70psと92ps)ある。

高めのヒップポイントは何となくヴィッツ似だ。エンジンはこれといって愛想もなく、実用一筋でウィーーンと回り、206より40kg重い1080kgのボディを引っ張る。街中の加速に関しては、最近試乗した新型ポロや1.0リッターのヴィッツよりも余裕がある。

やっぱり引っ張るが、違和感のないAT

フランス車のオートマと言えば、その変速マナーが気になるところ。C3も回転を引っ張り気味なのはセオリー通り。国産車が2,000回転以下を積極的に使って走る状況で、C3は3,000回転前後を維持する。エンジン音が静かなので気にはならないが、「マニュアル(シーケンシャル)モードに入ってるかな?」と勘違いするくらいだ。では、そのまま山道もチャキチャキ走れるかと言うとそうでもなく、アクセルオフするとシフトアップしてしまうのがちょっと難点だ。そういう時はマニュアルモードにした方がいい。引張り気味のプログラムが気になる場合も、これでシフトアップすることが出来る。

乗り心地には一日の長

乗り心地はシトロエンの名に恥じないと言えるだろう。ドイツ車のゴツゴツした感じとも国産車のバタバタ、もしくはポンポン跳ねる感じとは違って、微妙に当たりが柔らかい。シートも良く、長時間乗りつづけても疲労は少なくすみそうだ。しかし、トヨタ・ヴィッツやマツダ・新型デミオなどのレベルも相当高く、シトロエンの絶対性もかつてほどではないかもしれない。

ワインディングでの走りは完全に安定サイド。185/60R15という巨大なタイヤのグリップレベルは高く、そこを越えると強めのアンダーステアが出る。サイドサポートがほぼ皆無のシートもあって、ワインディングを攻める気にはならないが、限界そのものはかなり高く、ヤワな感じや危うさはまったくない。新開発の電動パワステは低速から高速まで感覚がとても自然で、まったく違和感がなかった。「これ、油圧だったかなあ」と試乗中につい思ったほどだ。

高速巡航はお手の物

100km/h巡航の4速トップは約2750回転。エンジン音は静かとは言えないが、全体としてはうるさくはない。そこからの加速は3速で気長に引っ張ることになる。メーター読みで150km/hを越えたが、そこまでにはかなりの時間と直線が必要。直進安定性は非常に高く、エンジン性能をフルに発揮し続けてもストレスは最小限だ。

ここがイイ

シフトプログラムは違和感、変速ショック無し。坂道ではエンブレがよく効くフランス車らしいもの。加速も力強い。低回転からトルク感があり、室内も比較的静か(エンジン音はそこそこするのだが)。乗り心地もいいし、6つのエアバッグ(カーテンシールドまである)、急ブレーキでスイッチの入るハザードなど安全面では割安感がある。

インパネ上段の1DINオーディオスペースはカーナビ用にもってこい。このあたりは最新車らしくて○。見た目より後席のヘッドクリアランスがあるので、まあ普通に4人乗れそう。

ここがダメ

未だ歪んでいるフロントガラス、右コーナーが見にくい湾曲したAピラー、後席の手回しウインドウレギュレーター、チルトやテレスコのレバーが解除時に跳ね返って、指にあたって痛かった、などシトロエンらしさ爆発(笑)。

欧米人向けなのか、シフトレバーやPWスイッチにはやや手が届きにくい感があった。シフトレバーといえば、バックに入ったかどうか分かりにくいのも気になるところ。節度感が欲しい。

総合評価

シトロエンの小型車という「色眼鏡」をかけてしまうゆえ、どうも冷静な評価がしづらい。シトロエンらしいシートの掛け心地、コツコツするくせにホンワリとした乗り心地、スイッチ的なブレーキのフィーリング、チープな内装。何より、やはりちょっと変なカタチなど、「シトロエンだな、これもやっぱり」と思ってしまうと、このクルマは「いいクルマ」ということになる。冷静に考えれば、他の小型車と比べてそんなに秀でたところは見あたらないのが、他のフランス車とも、むろんドイツ車とも日本車とも異なるシトロエン車らしさが乗り込むほどに感じられるゆえ、困ってしまうのだ。

普通の人が普通に乗っても不満が出ないクルマでありながら、シトロエンマニアが乗ってもそこそこ満足できるというあたりが、このクルマの落としどころだろう。それは本国でも日本でも同じ。1500台の内訳は、シトロエンマニアが300人、シトロエンマニアの奥さんが300人、おしゃれで個性的なフランス車が欲しい普通の人が900人といったところじゃないだろうか。この900人がこのクルマには大きいのだが。満足度はマニアも普通の人も同じく70%くらい、と予測しておこう。

シトロエン C3 1.4
(1.4リッター・4AT)
●全長3,850mm×全幅1,670mm×全高1,540mm●ホイールベース:2,460mm●車重:1,080kg●エンジン:1,360cc・SOHC・横置き●駆動方式:前輪駆動●75ps/5,400rpm、12.5kgm/3,300rpm●10・15モード燃費:--km/L●タイヤ:185/60R15(MICHELIN ENERGY XSE)●価格:182万円(試乗車:189万円 ※オプション:スタイルパッケージ 7万円) ●車両協力:渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

公式サイト ttp://www.citroen.co.jp/

 
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