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シトロエン C2 1.6 VTR新車試乗記(第313回)

Citroen C2 VTR

(1.6リッター・5速セミAT・203.7万円)

2004年04月10日

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キャラクター&開発コンセプト

シトロエンのポケットロケット

C2はシトロエンのボトムレンジを担う新型コンパクトカーだ。サクソの後継と言えるモデルで、インポーターのシトロエン・ジャポンは「新世代のフレンチホットハッチ」と称する。2003年のフランクフルトショーでデビューし、欧州では同年9月、日本では2004年4月1日に発売された。シャシーはC3/C3プルリエルや次期プジョー107と共通の「プラットフォーム1」を使用する。

車台だけでなく、パーツの多くをC3と共有するC2だが、キャラクターは正反対。4ドアで穏やかな性格の「優しいお姉さん」的なC3に対して、C2はエッジの効いた外観、ビビッドな色遣いの内装、3ドアのみの設定、2ペダルセミAT「センソドライブ」の採用など、「やんちゃな弟」的スポーツモデルだ。

欧州でのライバルは、VW・ルポ、BMW・MINI、トヨタ・ヤリス(ヴィッツ)、日産マイクラ(マーチ)、スマート・クーペなど個性派揃い。それらを相手に、C2はスタイリングや走行性能が評価され、各国で6つの賞を獲得。また、C3/C3プルリエルとC2の3車種で、2003年1月から11月まで欧州コンパクトカー市場の8%超を獲得するなど、なかなかの人気だ。

価格帯&グレード展開

VTRの1.4と1.6

日本仕様はスポーティモデルの「1.6 VTR」(203万7000円 ※消費税込み、以下同じ)と、夏からデリバリー予定の「1.4 VTR」(183万7500円) の2車種となる。全車右ハンドル、5速セミAT(2ペダルマニュアル)の「センソドライブ」仕様で、エアロパーツやスポーツシート、6スピーカー付きCDプレーヤーを装備。1.6は16インチアルミホイールが標準だ(1.4はスチール&キャップ)。日本でのライバルはクラスは少し上になるが、販売絶好調のNEW・MINI(204万7500円~)ではないだろうか。車両サイズ、スポーティな走り、魅力あるデザイン、価格と、この2台はなかなかの好敵手だ。

欧州には1.1リッターガソリン(61hp)、1.4リッターディーゼルターボ(70hp)、1.4リッターSOHC(75hp)、そしてそれぞれに5速MT仕様がある。普通のトルコンATはない。

パッケージング&スタイル

ボーイズレーサー風

サイズは全長3670mm×全幅1660×全高1460mm。ホイールベースは2315mm。C3より180mm短く、80mm低く、145mmホイールベースが短い。トヨタ・ヴィッツにかなり近い。

カボチャの馬車風の和み系C3に対して、エッジの効いた砲弾型スタイルはかなり男の子っぽい。ちょっとやり過ぎな感もある16インチの超偏平タイヤがちょっと生意気。コンパクトカーの中で、レトロでも可愛い系でもないデザインは貴重だ。C3と同じプラットフォームを使いながら全く違うデザインとするため、デザインチームはかなり苦労したようだ。

C3のパーツ流用ながら硬派に

ダッシュボード、スイッチ類などのパーツの形状はほとんどC3と同じ。しかし、室内の印象はまったく違う。樹脂パネルにダーク系カラー「トラモンタン」(フランス語で「北風」の意)を採用、半透明カラーの派手なアクセントを各所に配して、お下がり感を払拭。日本車のスポーティグレードのような子供っぽさがない。日本仕様のオーディオはクラリオンの「ADDZEST」になる。

C3オーナーがうらやましがりそうなのが、前席のバケットシート。ワイヤーで補強したサイドロールでサポート性をしっかり確保、特にランバーサポートが頼りになる。メッシュ素材の座面や背もたれはドイツ車のようにカチカチでなく、適度に柔らかい。背もたれは少し寸足らずかも。後で書くように乗り心地は決して良くないが、シートがそれを救っている。

2人掛けとして割り切る

4人乗りなので、後席は2人掛け。クッションは薄いし、クルマ自体の乗り心地も良くないから、走行中はかなり揺すられる。しかし、サポート性はあるし、肘とドアの間にかなり余裕があるので、狭苦しさはない。足下スペースはMINIより広く、ヴィッツに遜色ないレベル。しかもシートは左右それぞれ10cm前後スライドし、リクライニングも可能だ。下に切れ込んだサイドウインドウで開放感もある。空間的に唯一苦しいのはヘッドルームだ。目の前の天井は高いので圧迫感こそ無いが、165cm程度でも頭が屋根をこすってしまう。

工夫が楽しいラゲッジスペース

リアゲートは上下二分割の「レンジローバー式」。コンパクトカーへの採用は珍しく、先々代シビック(91年発売)の3ドアくらいか。最近の例ではホンダ・エレメント。ちょっとした荷物の出し入れや、狭い場所の開閉に便利で、デザインも楽しい。100kgまで耐えるので、ベンチのように座ることも出来る。テールゲート裏には、長さ71cm、容量5リッター程度の小物入れが備わる。

荷室容量(166リッター)は、MINI(150リッター)より大きく、ヴィッツより狭い。しかしC2が優れるのは、いろいろ工夫があるところだ。荷室側から後席の背もたれが簡単に分割で倒せるほか、写真のように座面ごと前方へタンブルも可能。ダンパーが入っていて力も要らない。これで容量は879リッターまで拡大する。ただし、この状態で前席に人が座るのは事実上無理。運転手一人で、荷物を満載するのに役立つモードだ。

基本性能&ドライブフィール

5速セミAT「センソドライブ」

日本仕様のC2はセミAT「センソドライブ」のみ。C3の1.6リッターのものをリファインして搭載する。セミATとは通常のマニュアルギアボックスをアクチュエーターなどで自動シフトするもの。いわゆる「クラッチレスマニュアル」だ。

オペル・メリーバのものと違ってクリープは無いが、大まかな印象はほぼ同じ。やはり2速シフトアップ時に失速感があり、短時間の試乗だと違和感が残るだろう。しかし、1時間ほど乗ってコツをつかんで来ると、今度はダイレクト感や制御の巧みさが面白くなってくる。

まず、ATモードの芸が細かい。変速はまさに運転手の代わりにロボットが状況判断しながら精密にやってる感じで、トルコン式ATの大ざっぱ?な変速とはずいぶん印象が違う。数年前までのセミATよりかなり進歩していて、フィーリング面でもかなりのところまで来ている。欧州のメーカーがセミATの開発熟成に熱心な理由が分かる気がする。

フランス車の作法にならって?回転は引っ張り気味だ。道路の勾配やスロットルの踏み込みに応じて変速ポイントはまちまちだが、穏やかな走行では2000~3000回転ぐらいを使い、アクセル全開では6000回転まで引っ張ってシフトアップする。

パドル操作で素速くシフト

一方、シフトレバーを前後に動かすか、ステアリング横のパドルを引けば、MTモードに入る。パドルは右がアップ、左がダウン。見た目がカッコ良く、操作性も申し分ない。コラム固定式だが、ステアリングと一緒に回るより、操作しやすいかも。ダウンシフト時はアルファのセレスピードと同じく「ブオン!」とブリッピングし、レスポンスも速い。パワーが無い分、ギアが細かいからこまめにシフトできるのが楽しい。6500回転でリミッターが作動、自動シフトアップはない。

唯一不便だったのはATモードに戻るための「AUTO」スイッチが、センタコンソールの手が届きにくい場所にある点。なので走行中は、手探りで探すことになる。ポルシェのAT(ティプトロニックS)のように「しばらくマニュアル操作しなければ自動的にATモードに復帰」というロジックがベターだと思う。

小気味良い加速

110ps、車重1080kgで、パワーウエイトレシオは約10kg/ps。ヴィッツRSやサクソ/106より100kgほど重いから、目が覚めるほどの速さはない。MINIのクーパー(116ps、1160kg)のパワー感が、数字上でも実際の感覚でも近い。C3より最終減速比が低められ、加速感は小気味いい。エンジン音も悪くない。

小回りは意外にもあまり効かない。運転が突然下手になったかのように、ことごとく「一発Uターン」に失敗した。最小回転半径はカタログに記載がないが、欧州の公式サイトで約5.4メートルという数値を見つけた(計測基準が分からないので参考値)。175/65R14タイヤ仕様は4.8メートルだから、やはり大径タイヤのせいだろう。ヴィッツでも普通のモデルは4.3メートルだが、1.5RS(185/55R15)だといきなり5.3メートルに膨らむから、特にC2だけが悪いわけではないようだが。

過激でも高性能でもないが、楽しい

ハンドリングはサクソ/106のような「どこ行っちゃうの」的過激さがなくなった。まず、ステアリングを切っても曲がりたがらない、つまりアンダーステアが強い。また、電動パワステのクイック感やレスポンス不足が、山道を真剣に走らせない。195/45R16のミシュラン・パイロットの剛性に負けるのか、カップルドビーム式(トーションビームの発展版)のリアサスもちょっと頼りない動きを見せる。14インチないし15インチタイヤなら、また違った印象だったかもしれない。

乗り心地は明らかに固い。良いシートのおかげで不快感は少ないが、「乗り心地のシトロエン」という路線からは大きく外れている。固さでは定評のある?MINIのクーパーかクーパーSと同程度だ。

100km/h巡航は、5速トップで3000回転余。ここからスピードを上げるとロードノイズ、排気系のこもり音、風切り音が騒々しくなる。乗り心地の固さは、飛ばしても相変わらず。直進性はこのクラスの平均。荒れた路面ではクルマがはねるが、このあたりはMINIの上位グレードと同程度か。

メーカー発表値の最高速(欧州仕様)は195km/hだが、そこまで到達するには時間がかかりそう。まあ、絶対性能は大したことないが、それだけにアクセル全開で突っ走るのは爽快だ。

ここがイイ

一見して、チョイ乗りして、なんとな~く楽しくなってくること。外観はかなりトヨタ系の小型車に似ているが、ひと味違ったオリジナリティはちゃんとあるし、シートやシフトノブ、ドアノブなどのカラーコーディネイトも楽しい雰囲気。ATモードで出て行くとシフトアップの失速感に「オオッ」と慌て、パドル操作に気づくと「セミATも悪くないじゃん」となる。1.6の割にはパワー感がないだけにシフト操作に励む楽しさがあるし、固い足、曲がらないコーナリングに「このじゃじゃ馬が」なんて思い始めた頃にはすっかりこのクルマが気に入っているはず。結局、ただの乗りやすい小型車じゃないことが、クルマ好きをニコニコさせることになる原因だ。

2分割テールゲートは便利でムードがいい。ドライバーの感覚にフィットして作動するオートワイパーやオートライトも良くできている。任意の速度に簡単に設定できる「オーバースピード警告アラーム」は残り点数の少ない人には嬉しい装備だし、ユーロNCAPで4つ星の安全ボディや6エアバッグも嬉しいところ。センソドライブはスマートやメリーバと比べると3速以降のつながりにスムーズ感がある。

ここがダメ

ちょっと攻め込んでみようと思っても、突っ張った感じの足回りは気分を萎えさせる。電動パワステからのインフォメーションも少なく、何しろ軽い。ただ、C2もシトロエン特有の7000㎞程度走り込んでから激変する足だとしたら、新車時のこの固さも許せるところ。さてさて……。

センソドライブは坂道では後退してしまうので、左足ブレーキを使ったところ、シフトのつながりがギクシャクすることがあった。ブレーキとシフト制御面のリンクに関してはまだ課題があるのかも。

総合評価

前窓と後窓のラインに段差をつけたサイドのキャラクターラインは、ダイハツYRVとC2だけに見られるもの。シルエットはヴィッツにかなり似ているし、正面から見るとイストっぽいし、シートのメッシュ生地もどこかで見たものに似ている。品質感もかなり高く、その点でどことなくトヨタグループのクルマからインスパイアされた印象が強い。トヨタがプジョー・シトロエングループ(PSA)と小型車の合弁生産で合意したと報道されたのは2001年の7月のことだから、開発途上にあったC2に少なからず影響したのかも、と考えるのは、うがった見方か。ともあれ、異端を良しとしてきたシトロエンも、王道を行くクルマ作りになったものだと、しばし感慨にふける2ヶ月前までのXMオーナーであった(苦笑)。

もっとも、ハイドロを生かすのは大型モデルで、かつてのAXあたりもノーマルサスのスタンダードな小型ハッチバックだったわけで、その系統として考えれば、C2もシトロエンの伝統に則ったものといえるだろう。C3はおとなしいが故に食指が動かなかったが、C2はクルマ好きとしては何かとても気になるものを持っている。それもちょっとへその曲がったラテン車好きには。良くできたクルマだ、なんて言い切れないアクの強さをたっぷり持っているのだから。下取りを含めた金銭的な部分で考えれば、手堅い選択のBMW・MINIを買った方がいいし、それでもエンスー心はまあ満たせる。しかし、C2を買うということは、もう一つ高みに登る(あるいはドロ沼に落ちる)という選択になる。売れて欲しいけど、結局MINIほどは売れないはずなので、同じクルマとすれ違うことは滅多にないはず。男の子&男性が乗るなら、C2の方が断然カッコ良い。

資料によるとシトロエンの日本国内での販売は、昨年は前年比44.4%とか。もともと分母が小さいのでこの数字を高評価はできないものの、確実にシトロエンユーザーが増えてきているというのは、バブル期のBXを中心とした爆発的な売れ行きに対する逆風が、やっと癒えてきた証拠だろう。全世界規模でも7年連続で販売台数が増加中とか。分かる人には分かるダブルシェブロンのブランド力。その力の前にはセンソドライブのシフト失速感なんて小さなこと。MINIよりC2、ルポよりC2、マイクラよりC2、そしてヴィッツよりC2。なんて思うのはまだシトロエン病(やまい)が癒えてない証拠かも。そう思わせるものがC2にあったのは事実なのだ(2ヶ月前に手放したXMに後ろ髪を引かれているため、やや冷静さを欠いたレポートか?)。


試乗車スペック
シトロエン C2 1.6 VTR
(1.6リッター・5速セミAT・203.7万円)
●形式:GH-A6NFU●全長3670mm×全幅1660mm×全高1460mm●ホイールベース:2315mm●車重(車検証記載値):1080kg(F:680+R:400)●エンジン型式:NFU(TU5JP4)●1587cc・直列4気筒DOHC・横置●●110ps(80kW)/5800rpm●15.3kgm(147Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/41L●10・15モード燃費:ーkm/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:195/45R16(MICHELIN Pirot PRIMACY)●乗車定員:4名●価格:203.7万円(試乗車:203.7万円 ※オプション:ー)●試乗距離:約220km ●車両協力:渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

公式サイト http://www.citroen.co.jp/

 
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