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アルファロメオ アルファGT新車試乗記(第322回)

Alfa Romeo Alfa GT

(2.0L・438万9000円/3.2L・543万9000円)

2004年06月19日

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キャラクター&開発コンセプト

156ベースのクーペ

2004年6月12日に日本で発売されたアルファGTは、156をベースにした5人乗りのクーペ。完全に2+2のGTV(96年発売)に対して、GTはフル4シーターと言える後席とハッチゲート付きの大きな荷室を持つ。エンジンは156に採用済みの2.0リッター直噴ガソリン「JTS」と高性能モデル「GTA」のものをデチューンした3.2リッターV6。しかし、最大の魅力はイタリアの老舗カロッツェリア「ベルトーネ」のデザインしたスポーティでエレガントなスタイリングだろう。

アルファと言えばクーペ

超高級車から量産車メーカーに転じたアルファロメオは、戦後の1900系クーペを皮切りに、カッコ良くて速いクーペを世に送り出してきた。ジュリエッタ・スプリント('52年~)、そして今も知名度が高いジュリア・スプリントGT('63年~)といった傑作クーペが、今日のアルファのイメージを築いたと言っていいだろう。ちなみに、ジュリエッタ・スパイダーや後継のスパイダーといった歴代2シーターオープンは、ピニンファリーナによるデザインだが、2+2のクーペモデルは現行のGTVを除いてベルトーネがほとんど。今回のGTもベルトーネ作で、その意味でもアルファの伝統に則ったものだ。

価格帯&グレード展開

3グレードで438万9000円~543万9000円

今回の日本仕様は、2.0リッター直噴エンジン「JTS」搭載の「2.0 JTS セレスピード(5速セミAT、右ハンドル、438万9000円)と、それにキセノンヘッドライトや前席シートヒーターを追加した同「エクスクルーシブ」(453万6000円)、そして3.2リッターV型6気筒エンジンの「3.2 V6 24V」(6MT、左ハンドル、543万9000円)の3車種。

価格的には、例えばアウディTT クーペ(418万9500円~561万7500円)あたりと同じ。同じアルファの2.0リッターなら、156とほぼ同じか少し高く、3.2リッターV6ならGTAよりちょっと安いかな、という微妙なスタンス。2004年の販売目標は1200台。

パッケージング&スタイル

ただの「156のクーペ」ではない

サイズは全長4495mm×全幅1765mm×全高1375mm。同じクーペながら、後席も荷室もミニマムなGTVより200mm長く、55mm高い。95年デビューのGTVは完全に一世代前のシャシーで、このGTが使う156系シャシーとは全くの別もの。2595mmのホイールベースは156とまったく同じ。

ベルトーネによるデザインは、写真より実物が断然カッコいい。よく見ると同じシャシーの156や147、そしてGTAのプロポーションを引きずっており、パーツの流用もけっこうあるが、一見そう見えないのはさすが。特にリアスタイルが個性的で、小さなテールランプもクラシカルだ。

147とほぼ同じインパネ

ほぼそっくりそのまま147と同じインパネ。ホワイトのメーター文字盤や新しいデザインのセレスピード用シフトレバーなどが違う点。ステアリング背後のパドルスイッチは一緒に回転するタイプで、右がアップ、左がダウン。

アルファGTはBOSEのオーディオシステムを全車に装備する。これがものすごくイイ音で、ちょっとびっくり。車内ノイズをマイクで拾い、損なったサウンドを補正する「AUDIOPILOT」機能付き。

ステアリングにはチルト(上下)&テレスコ(前後)調整が付くが、3.2リッターの左ハンドル・MT仕様の場合は、ペダルとの関係もあってドラポジがなかなか決まらない。逆に右ハンドル・セレスピードの場合は、割とすんなり決まる。

フル4シーターとして使える

フル4シーター(法規上は5人乗)と言っても問題ない広い後席。立派なレザーシートや大型アームレストを備え、とても豪華。走行中のノイズも前席とそれほど差がなく、乗り心地も悪くない。横Gを抑えた丁寧な運転なら、不快な思いなく過ごせるだろう。

GTVの倍以上の荷室

たった155リッターのトランクが伊達な?GTVに対して、GTの荷室は倍の320リッター。これはほぼVWゴルフクラスに匹敵する。ハッチバックなので開口部は広いし、トノボードを外せば高さもある。さらにダブルファンクションで後席を畳めば、最大905リッターとステーションワゴン並み。FF車ベースゆえのメリットだ。

不便なのは、オープナーがトランクリッドになく、開けるにはセンターコンソール(もしくはリモコンキー)のスイッチを押す必要があること。もちろん、防犯という点では、この方がいいが。

基本性能&ドライブフィール

V6は山道より高速向き

今回の試乗は、箱根の合同試乗会で行った。3.2リッターV6と2.0リッターJTSの両方に乗ったが、両車の違いがよく分かって有意義だった。

最初に試乗した3.2 V6(6MT)のエンジン(240ps、29.4kgm)は、GTAモデルが積むエンジンから10馬力ダウンしたデチューン版。と言っても、前輪駆動ではほとんど許容範囲一杯のパワーだけに、力は十分。1430kgのボディをリアルスポーツ並みの迫力でグイグイ引っ張る。

アルファ伝統のV6サウンドはけっこう容赦なく室内に入ってくる。高速道路の合流車線で息の長い加速を楽しみ、助手席の人をその音でウットリさせるのが得意なエンジンだ。今回、高速を走る機会はなかったが、メーカー発表の最高速は、2.0JTSの216km/hに対して、3.2 V6は243km/hと段違いに速い。

場所が箱根だけに、主にワインディングでの試乗となったが、操縦性がすごくシャープに思えたのは、GTAに似た軽くてクイックなパワステと薄いミシュラン・パイロット・スポーツ(225/45R18)のおかげか。アンダーステアもタックインも出ないのは、そのグリップ力のおかげだろう。その範囲では安定しているが、逆に限界域まで踏み込む気にはならない。そうとう大きな前軸荷重に240psだから、フロントタイヤの負担はそうとうのはず。普通に走っていても、何となくそんな事情を感じてしまう。

2.0JTSがお勧め

と言うのも、この後に乗った2.0JTSが、走り出した瞬間「これはイイ」と声が上がるくらい、自然で気持ちよかったからだ。

まず、街乗りで、ますます改良されたセレスピードがいい。初期の147ではまだまだだった2ペダルマニュアルだが、このGTのセレはクリープが無いのを除けば、普通のトルコンATに遜色ないレベルについに来た、という感じだ。シティモードでもアップダウンのギクシャク感がほとんどない。

2.0JTSは山道でもスムーズだ。車重が70kg軽いだけとは思えないほど、身のこなしが軽快だ。V6に比べてぐっと穏やかなタイヤ(グッドイヤー・イーグル、215/45R17)のせいもあるだろう。あっけなくタイヤがスキール音を出すところなど、平均的なドライバーにとっては逆に安心だし、とにかく楽しい。これほど気持ちよく走るクルマは他にありそうで、なかなかないと感じた。

ツインスパークと張る、JTS

肝心のパワーはというと、さすがにV6の3分の2ほどしかない166ps、21.0kgmでは、自由自在に加速というわけにはいかない。しかし、この2.0 JTS(Jet Thrust Stoichiometric)エンジンは燃費向上だけを目指した直噴とは違い、パワー感やスポーティな音が特長。アルファの4発=ツインスパークのイメージは強いが(147は今でもツインスパーク)、このJTSもアルファの名に恥じないエンジンだ。

2.0JTSの唯一の弱点は、セレスピードがギア比の関係もあってか、芦ノ湖のような低中速ワインディングでは3速から2速、2速から1速へのダウンシフトを拒むところだ(もちろん、オーバーレブを防ぐためだが)。このため、コーナー手前でエンジンブレーキが掛からず、フットブレーキだけで減速、荷重移動して曲がって行くことになる。ワインディングを気持ちよく走るなら、日本未導入の2.0JTSマニュアル版か、あるいはもっとギア比がクロスしたギアボックスが理想だ。逆に、峠に行くような趣味がなければ、2.0JTSのセレに不満を感じることはほとんどないだろう。

進化するセレスピード

最後に、マニューティ・マレッリ製のセレスピードの進化に触れておこう。今回のGTでは細かな制御だけでなく、目に見える部分でいくつか改良を受けた。

まず、従来はエンジン始動後にフルATモードの「CITY」ボタンを押す必要があったが、今回からエンジン停止前の走行モードでスタートするようになった。合わせて「CITY」モード時にマニュアル操作しても、基本的に「CITY」モードを維持するようになった。以上は、「CITYモードがすべて」というドライバーに便利になった点だ。

ここからはスポーツ派に嬉しい改良。まず、マニュアル操作時の自動シフトアップが、GTAのセレにならって排除された。これでダウンシフトが決まれば言うことないのだが…。

さらに「SPORT」モードのボタンも追加された。これはフェラーリのF1マチックと同様のもので、マニュアルモード時のクラッチ操作や変速操作を、多少のショックより速さを優先して行うもの。ATのシフトスケジュールを変えるものではない。実のところ、今回の試乗では、その違いははっきり分からなかったのだが。

ここがイイ

これ、カッコいいです。現車を前にすると、皆まずそのことに打ちのめされる(いい意味で)。前から後ろまで舐めるように眺めても、デザインワークに非の打ち所がない。モダンで有りながらどこかクラシカルで、さほど大きくないボディながらどっしりとした重量感を感じさせる。インテリアも質感の高さに加えて重厚感があり、確かに「美しい」とまで言えるクルマだ。今年のデザイン・オブ・ザ・イヤーでしょう。特に18インチの15スポークホイールをはく3.2は、足回りまで完璧に調和している(セレの17インチ16スポークホイールは迫力不足に加え、デザインも18インチに負ける)。

継続して乗り継いでいないだけに進化の過程はわからないが、このクルマに関しては、セレスピードが街乗りでたいへん良くなったと思う。クリープがないので坂道発進で気を使う必要はあるが、ATとして快適に利用できる。で、シフトレバー(というよりスティックのような感触のもの)を軽く上下させるマニュアルシフトワークは楽しさを見事に演出している。

そして真骨頂は2.0JTSの軽快な走り。乗ってわずか数m走るだけでワクワクするクルマは久々。最初に乗った3.2と同じクルマとは思えないこの感覚は何!? アンダーパワーを感じるのは相当飛ばしたときだけ。街中ではトルクもあり、低く唸るエンジン音、低いギアで引っ張るCITYモードに乗れば、低速でもワクワク。中速域で流せばボディの重量と接地感のバランスが良く、軽快感あふれる快感を生む。ワインディングに持ち出せば、コーナーをクリアするたびに「気持ちがいい」。限界性能はそう高くなく、前述のようにパワーもなくて、セレのシフトワークにも不満が残るものの、こうした気持ちよさがスポーツカー本来の楽しみを思い出させてくれる。お見事。

ここがダメ

もうこれはご愛敬と言ってもいいことで、ダメ出ししたくはないのだが、一応一般的に言えば、製品の細かい仕上がりには、オーナーなら苦情を言いたくなるだろう。例えばテールランプ内に水滴が溜まっていたり、コンソールの真ん中にドンと控える灰皿が閉まらなくなったり。全体のクオリティをここまで上げながら、なんでいつまでもこうなの、と…。

2速、3速を多用する箱根では、ここぞと言うときに2速へ落ちてくれない2.0のセレスピードは最大の不満だ。また、MTの3.2は、小柄な人間が乗るとペダル類が遠く、シートを前に出すとシフト時に肘がシートに干渉する。おそらく170㎝台以上の身長を想定したのだろう。さらにアクセルペダル右側にスペースがなく、ヒール&トゥはほぼ不可能。ボディサイズの割に小回りも効かない(特に3.2は最小回転半径6.05m)。

カーナビもどうつけたらいいか、苦労しそうだ。

総合評価

全然違う、という人もいるかもしれないが、RX-8に似ていると思う。特に、姿形ではなくコンセプトが。両車共に一人で乗っても様になるのはもちろん、家族4人でも乗れる大人のクーペなのだ。4人乗ってもアルファGTの方が荷室が大きい分、さらに使いやすいし、二人乗りならほとんどワゴン並の905リットルの荷室がある。サイドこそ観音開きではないが、この実用性は素晴らしい。でもって、美しいボディデザイン(これはRX-8も)。脱帽である。

しかも過激ではなく、ほどほどに走るゆえに乗って楽しく、やや不満だがATもある、というあたりもRX-8的。ATの不満さ加減もアルファGTの方が少ない。しかしこれはずいぶん印象が良かった2.0JTSの話。3.2は運転ポジションがうまく決まらなかったこと、ノーズの重さを押さえ込んで軽快さを演出してあるのだが、2.0JTSほどの自然さがないなど、結果として両車の差はかなり際だった印象だ。

知り合いにもアルファ乗りが多い。特にスタイリッシュな4ドアの156は実用性が高く、中古車も豊富に出回っているから、思いつくだけでも数人が乗っている(多くはマスコミ業界人)。そんな彼らのアルファ選びのきっかけは、もちろんカッコ良さもあるが、今が旬のブランド性だ。まだ権威的なところが残るメルセデス、今さらという感の強いBMW、大衆的すぎるオペルやVW、まじめすぎるボルボ、マイナーなサーブ、アッパークラスに力がないフランス3メーカー、二人しか乗れないスポーツカーブランド、国産・アメ車は論外、と考えていくと、現在のところマスコミ関連の人々に人気があるのはジャガー、アウディ、そしてアルファ。この中でもオシャレ度で、あるいはスポーツ性で、さらにはエンスー度でアルファは頂点だ。家族持ちの場合は4シーターが必需品ゆえ、必然的に156に落ち着く。信頼性も含めて、ユーザーからの不満も意外に少ない。

このアルファにもう一台、フル4シータークーペが加わったのだから、ますますアルファが数を増やすことは間違いない。よくどんなクルマに乗ったらいいかを相談されるが、アルファGTをそのおすすめリストの上位に割り込ませたいと思う。それもかなり上の方に。ただし重要なアドバイスを追加しなくてはならない。「あなたはこのオシャレさに負けない乗り手たり得るか」と。

試乗車スペック
アルファロメオ アルファGT 2.0 JTS セレスピード
(2.0L・5速セミAT・438万9000円)

●形式:GH-93720L●全長4495mm×全幅1765mm×全高1375mm●ホイールベース:2595mm●車重(車検証記載値):1360kg(F:ー+R:ー)●乗車定員:5名●エンジン型式:937A1●1969cc・DOHC・4バルブ直列4気筒・横置●166ps(122kW)/6400rpm、21.0kgm (206Nm)/3250rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/63L●10・15モード燃費:ーkm/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:215/45R17(Good Year Eagle F1)●試乗車価格:438万9000円(オプション:ー)

アルファロメオ アルファGT 3.2 V6 24V
(3.2L・6MT・543万9000円)

●形式:GH-93732L●車重(車検証記載値):1430kg(F:ー+R:ー)●エンジン型式:936A●3179cc・DOHC・4バルブ・V型6気筒・横置●240ps(177kW)/6200rpm、29.4 kgm (289Nm)/4800rpm●10・15モード燃費:ーkm/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:225/40R18(Michelin Pilot Sport)●試乗車価格:-円(オプション:ー) ●車両協力:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン株式会社

公式サイトhttp://www.alfagt.jp/

 
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