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マツダ アテンザ スポーツ 23S新車試乗記(第381回)

Mazda Atenza Sport 23S

(2.3リッター・5AT・243万6000円)

2005年09月03日

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キャラクター&開発コンセプト

内外装を小変更、5ATと6MTを採用

2005年6月23日、マツダ・アテンザ(2002年発売)がマイナーチェンジを受けた。内外装のデザインを微妙に変更したほか、従来4WD車のみだった5ATを全車に拡大採用し、さらに5MTに代えて6MTを採用するなど、モデル全体で「ギアが一枚増えた」のが目立つ進化だ。ほかにボディ剛性や静粛性のアップなど、見えない部分に多くの改良が施されている。

月間目標台数が3年前の2500台から1500台に減ったのは、RX-8やアクセラといったモデルが加わってラインナップが充実したからだろう。生産車の多くは「Mazda 6」として海外に輸出される。

価格帯&グレード展開

マツダ久々の4WDターボも登場

従来通り、「セダン」、「スポーツ」、「スポーツワゴン」の3モデルで展開。今回試乗した「スポーツ」には2リッターの「20C」(5AT:224万7000円)、2.3リッターで主力の「23S」(6MT:237万7000円、5AT:243万6000円)、18インチタイヤや大径ブレーキを備えた「23Z」(6MT:258万3000円、5AT:264万6000円)、ラグジュアリーグレードの「23EX」(5AT:264万6000円 ※新グレード)がある。4WDはスポーツワゴンのみだ。

マイナーチェンジと同時に、新開発の2.3リッター直噴ガソリンターボ「MZR 2.3 DISI(ディジー:Direct Injection Spark Ignition) ターボ」(272ps、38.7kg-m)を搭載した高性能セダン「マツダスピード・アテンザ」(302万4000円)の予約も開始された(発売は8月下旬)。これは「マツダ6 MPS」として以前から概要が発表されていたもので、マツダ久々の4WDターボカーだ。こちらはセダンのみとなる。

パッケージング&スタイル

フロントグリルがすっきりした

全長4670mm×全幅1780mm×全高1445mmのボディサイズはマイナーチェンジ前と同じ。3年前のデビュー当時は「いかにも欧米基準」と思えた全幅のワイドさだったが、今やこの程度は珍しくない。ガレージなどの使用環境によって「5ナンバーじゃないと困る」という人には選びにくいが、一般の路上ではことさら大きさを感じない。

どこが変わったか分かりにくい外観だが、変更点は多い。フロントバンパー、フロントグリル、サイドガーニッシュ、リアバンパー、リアスポイラー、アルミホイールの形状など、物によってはかなり微妙だが、変更されている。特にフロントグリルは、2本あった横桟が1本になって、すっきりした。

テレスコを追加

インパネで目立つ変更点は、センターコンソールの仕上げがチタン調(明るいシルバー)からヘアライン入りのメタル調(メタリックグレー系)になったこと。機能面ではステアリングにテレスコピック(前後の調節機構)が付いたのが大きい。

2675mmのホイールベースはこのクラスでは特に長い方ではない。しかし後席の広さは十分で、座り心地や居住性もまずまず。後席から大きな不満が出ることはないだろう。

オプションのカードキー

試乗車はオプションのアドバンスト・キーレスエントリー(3万1500円)を装備。マツダでおなじみのカードキー型で、携帯したままエンジンの始動が可能だ。ドアのロック/アンロックはドアアウターハンドルのボタンで行うタイプ。慣れるまで暗闇でボタンを手探りすることになるが、確実な方法ではある。価格も安いのでお勧めしたい。

イージークローザーが欲しい

日本では少数派の5ドアだが、ご存知の通り欧州(地域によるが)では割とスタンダードなボディ形状だ。大きな開口部とワゴンに迫る容量、それにちょっとファストバック風のスタイルが特長となる。巨大なリアゲートはダンパーのせいか気密性のせいか、一発で閉まりにくい。イージークローザーが欲しいところだ。

基本性能&ドライブフィール

4速までローギアードの5AT

試乗車はスポーツの23S(5AT)。3年前の発売時に物足りなかった4ATがついに全車5速化されている。カムチェーン駆動の2.3リッターMZRエンジン(178ps、21.9kg-m)の諸元は、従来通りだ。

走り始めるとまず出足がいい。1速の回転上昇が素早く、すかさず2速で胸の空く加速が味わえる。試しに各ギアのオーバーオールレシオ(1/100未満四捨五入)をマイナーチェンジの前後で比べたのが以下の数字だ。

MC前:1速:11.68、2速:6.21、3速:4.15、4速:3.01
MC後:1速:13.98、2速:7.44、3速:4.96、4速:3.60、5速:2.67

マイナーチェンジ後は1~4速全てで、20%もローギアードになる。そこにオーバードライブの5速トップを追加した、というギアリングだ。

BMWと同じ「押してダウン、引いてアップ」のマニュアルモードも慣れると使いやすく、レッド(7000回転)に当たっても自動シフトアップしないのは、2速ホールドで走りたい時に有り難い。

パワー感はロードスター並み

加速感は同じMZR系エンジンの現行マツダ車とよく似ている。エンジンは178psもあってパワフルだが、車重はMC前より40kg増えて1430kg(主にボディ補強のせいだろう)。パワーウェイトレシオは8.0kg/psなので非力ではないが、3リッター車や2リッターターボ車ほどは当然ながら速くない。パワー感はちょうど、初代/2代目までのロードスターに似ている。パワーウェイトレシオも8.0kg/ps前後と同程度で、4000回転あたりで気持ちいいエンジン特性もそっくりだ。違うのは不快な振動やノイズが出ないところで(特にこの2.3リッターはバランサーが入っている)、7000回転までスムーズに回るのがいい。

一筆描きするように

23Sのハンドリングが良いのは3年前に確認済みだ。タイヤもその時と同じ銘柄の215/45R17(ダンロップ SP SPORT 8090)。足回りは割とロールを許すタイプで、ステアリングギア比もそれほどクイックではない。スパッと曲がるのではなく、ワインディングを一筆描きするような走りが気持ちいい。ロールスピードやフロントとリアの接地感など、とてもバランスの良い走りだ。エンジンと同じ例えになるが、素のロードスターをグリップさせて走らせる時に近い。

乗り心地もいい。というか、操縦性よりも快適性の方が印象的だ。扁平タイヤだと「ガツン」と突き上げがくる定番の段差も、まるで滑らかに通過してしまう。強化ボディの剛性もダテではなく、異音が出やすい大型リアゲートもしっかりしていた。

ちょうどよい速さ

スムーズなエンジン、よく動く足回り、高まったボディ剛性、インシュレーター増量‥‥以上のような要件が揃ったことで、快適性に死角らしきものはない。4名フル乗車で後席も試したが、特に不満はなかった。

高速巡航も快適だ。100km/h巡航は2300回転で、十分に静かなロードノイズよりも、エンジン音の方はさらに小さく、まったく聞こえない。そこから3速でメーター上限までシューーンと軽快に加速するが、圧倒的な速さはなく、あくまで常識的な「ちょうどよい」速さ。もう少し尖った走りが欲しい人には「23Z」を、いや、マツダスピード・アテンザをどうぞ、というところだろう。

ここがイイ

新旧のエクステリアを見ると、特に5ドアでは誇張されていたグリルが少し主張を弱め、その分、デザイン的にバランスが良くなった。かつての「ハードトップ」を思わせる流麗なボディラインは、素直にかっこいいと思う。もちろん5ドアゆえの使い勝手のよさも文句なし。

もともと良かったエンジンや足回りに5ATが追加され、さらに高バランスのクルマとなっている。特に走りは見事にZOOM-ZOOMしてる。インパネもシルバーのモールがついた落ち着いた色調になっている。質感がずいぶん上がった感じだ。

ここがダメ

シートはレバーでリフトアップするが、シートの後部を個別に持ち上げて座面角度が変えられるとさらによい。

コンセプト的には、欧州車が過去に築いてきたものから一歩も出ていない。名車ロードスターも60年代英国スポーツカーの現代版だし、ロータリーだってもNSUが先だった。そうした欧州メーカーが捨てたものを拾い上げ、ダイアモンドになるまで磨き上げた点は誇るべきところだけれど、特にアテンザにおいてはマツダならではの主張がもうひとつ見えない。

総合評価

よいクルマというのは、こういうクルマのことだろう。不足ないパワー、乗り心地が良くて踏ん張る足、クロスしてショックのない5AT、静かで直進性が高い150㎞/h巡航、巨大なハッチと荷室側レバーでフラットになるワゴン並の荷室、スタイリッシュなエクステリアデザイン。全てにおいてまったく不満がなく、誰でもこのクルマは良くできている、と納得するはず。街中の速度で走っていてもワクワク(ZOOM-ZOOM)できる完成度は、マイナーチェンジでさらに高まった。今年の試乗車で部門別ベストカーを選ぶとしたら、このクラスでは最右翼だ。マイチェン前のモデルを含め、絶賛の声は多い。

そんないいクルマなのにワゴンやセダンをあわせて月販目標1500台というのが、このクルマの悲しいところ。そしてこんないいクルマを買ったとしても、人に分かってもらえないのは辛い。アテンザという車名もまだまだ知名度が低いから、辛さに拍車がかかる。思い起こせばマツダはネーミングで損をしてきた。かつてランティスという名車もあったが、広く知れ渡ることなくその名も途絶えている。現行車種でもアクセラ、プレマシーあたりは、まだ知名度が高くない。一方、例えばスバルはレガシィ、インプレッサといった主力車種の名前を10数年も変えていない。車名をブランドとして育てる努力をしていると思う。

現代において、クルマの良し悪しは販売に何ら影響しない。どんなに出来が良くても、売れないクルマは売れないし、ハード的に平凡なクルマでも、市場のツボにはまると妙に売れる。特に日本市場はそれが顕著だ。いいもの=売れるものではないことは、クルマに限らず多くの商品が実証している。モーターデイズのスタッフもクルマに関してはそれなりに良し悪しを判断できると思っているが、白物家電になると途端にだめ。好ましい印象のメーカー品にするか、価格で選ぶか、という素人買いになってしまう。クルマは白物家電に比べるとまだデザインで勝負できるが、こと性能に関しては、もはや消費者は白物家電的な判断しかできないだろう。

つまりこれだけのいいクルマがたいして売れないのは、(ブランド戦略を含めた)宣伝の問題ではないか。そしてもう一つ、いいクルマ=いい走りという図式は欧州では成り立っても、日本では成り立たない。日本では、いい走り < ブランド力 < 市場のツボ という図式になる。5ドアハッチバックが現在の市場のツボを外していることは間違いないし、ブランド力は明らかに不足。ということで、マツダは多くの商品を海外(主に欧州)で売る。マツダが2005年上半期(1~6月)に国内で生産したアテンザは6万5642台。そのうち日本で販売されたのは8662台に過ぎない。残りは輸出され、さらに海外生産されたアテンザが5万1060台もある。つまりアテンザを日本で買うことは輸入車を買う行為に近い。となれば、それはそれでオーナーには誇らしさがあるはず。そのあたりをもっとくすぐる宣伝広報ができれば、と思わずにいられない。


試乗車スペック
マツダ アテンザ スポーツ 23S

(2.3リッター・5AT・243万6000円)
●形式:DBA-GG3S●全長4670mm×全幅1780mm×全高1445mm●ホイールベース:2675mm●車重(車検証記載値):1430kg (F:870+R:560)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:L3-VE●2260cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置●178ps(131kW)/6500rpm、21.9kg-m (215Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/64L●10・15モード燃費:12.6km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:215/45R17(DUNLOP SP SPORT 8090) ●試乗車価格:256万7670円(オプション:レインセンサーワイパー&オートライトシステム 1万2600円、撥水ガラス&ミラー 1万500円、フロントエアダムスカート 5万3340円、アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム 3万1500円、フロアマット 2万3730円)●試乗距離:約150km ●車両協力:東海マツダ販売株式会社

マツダ公式サイトhttp://www.mazda.co.jp/

 
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