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ボルボ C70 T-5新車試乗記(第450回)

Volvo C70 T-5

(2.5Lターボ・5AT・545万円)

2つに折っても大きいなら、
3つに折って、より小さく。
伊達な北欧製カブリオレで
オープンエアを心行くまで味わう!

2007年02月10日

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キャラクター&開発コンセプト

クーペとコンバーチブルが1台になった

欧州では2005年秋、日本では2006年12月20日に予約注文が始まった2代目C70。最新の3分割・電動トップを備えたいわゆる「クーペ・カブリオレ」であり、言うなれば初代C70のクーペとカブリオレが1台となったモデルだ。

車名は「70」だが、ベースは現行V70系ではなく、設計の新しいS40/V50系が近い。公式にはボルボの自社デザインとされているが、製造はカブリオレの開発・生産が得意な伊ピニンファリーナ社との共同作業。初代C70同様に、ボルボが40%、ピニンファリーナが60%出資するウッデバラ工場(スウェーデン)で生産される。初年度の販売目標(世界)は1万6000台だったが、北米、UK、ドイツでの販売が好調なため、生産台数は年間1万8500台に引き上げられた。

ボルボのクーペ&オープンモデルの歴史

同社のスポーツクーペの始祖と言えるのは、流麗なイタリアンデザインで人気を得た「P1800/P1800S」(1960~72年)。以後、240シリーズの6気筒モデルをベースにした「262C」(1977~81年)、700シリーズをベースに伊ベルトーネ社がデザイン・生産を行った「780」(1985~90年)、そしてC70クーペ(1996~2002年)と続いた。

一方、オープンカー(戦前モデルを除く)は、70台ほどの生産で終わった樹脂製ボディの2シータースポーツ「P1900」(1956~57年)が最初。以後は、意外にもC70カブリオレ(1996年~)まで存在しなかった (コンバーチブルに改造されたモデルはあった)。

価格帯&グレード展開

自然吸気は469万円、ターボは545万円

日本仕様は以下の2モデル。

・「C70」(469万円)    2434cc・直列5気筒(140ps)・5AT
・「C70 T-5」(545万円)  2521cc・直列5気筒ターボ(220ps)・5AT

「T-5」にはデンマークのDYNAUDIO製スピーカーとアルパイン製アンプを含む、計14スピーカー・総出力910Wのオーディオシステムが標準装備される。

パッケージング&スタイル

周囲に溶け込むクーペ

全長4580mm×全幅1835mm×全高1405mmのボディはS40より一回り大きいが、先代C70より135mm短い。クーペ状態のスタイリングは、まさにクーペそのもの。丸く大きな弧を描くルーフ、サイドのショルダーラインがカッコいい。あまりにプロポーションが自然で、周囲に溶け込んでしまうのは長所と言っていいだろう。

エキゾチックなオープンモード

オープンモードのC70は、いきなりエキゾチックカー風になる。何ともいえない優雅なたたずまいは、「(公式発表とは異なり)やっぱりデザインはピニンじゃないの?」という感じ。ブレーキを掛けると丸型4灯のテールランプが光るリアビューは、特に今回のC70が赤だったため、心なしかフェラーリ風に見える。かつてベルトーネで作られたボルボ780には「b」および「BERTONE」とエンブレムが付いたが、C70に例の「Pininfarina」のバッジは付いていない。

ボルボゆえ安全装備にぬかりはない

基本的に新世代ボルボ(現行S40/V50、S80、そして次期V70)に倣って、後ろ側が空洞のセンターコンソール「フリーフローティング・センタースタック」を採用する。ドイツ車流の堅苦しい高級感とは異なり、さらっとしたスカンジナビン・デザインで統一されている。

カブリオレモデルとして世界初のドア内蔵型カーテンエアバッグ(IC:インフレータブルカーテン)を装備(従来はシート内蔵式)。車両が40度以上傾き、横転の危険が生じた時は、先代C70同様にU字型の「ROPS(横転保護システム)バー」が飛び出し、乗員の頭部を保護する。ボルボはC70で「市場で最も安全なカブリオレモデル」を目指したという。

 

クルマの本質に関係ないと言えばそれまでだが、最近のプレミアムカーはオーディオも性能の1つとして、かなり真剣に開発している。ボルボはその最右翼の一つ。「T-5」が装備するデンマークのDYNAUDIO製スピーカーと、アルパイン製アンプから成る計14スピーカー・総出力910Wのシステムのサウンドは、並みの純正オーディオとは一線を画すもの。音質は独特だが、「試聴」する価値は十分にある。ルーフの開閉や車速に応じて、音量や音質は自動的に調整される。

大人2人が十分に乗れる後席

カブリオレの後席はたいていあまり居心地が良くないが、C70のそれは大人でも快適に過ごせる。クーペの時の閉所感は強めだが、足のつま先が前席下に伸ばせる点を含めて、空間的には十分に実用的。ただし乗り降りがしにくいという点は、他車とそう変わらない。

オープン時の荷室は、ルーフが収納されて狭くなるが、小さ目のダンボール箱やスポーツバッグくらいは入る。スペアタイヤは無く、代わりにパンク修理キット(後席のバックレスト中央裏側にある)を積む。オープナーがちゃんとトランクリッドにある点は便利だ。

トップの開閉は約30秒

マツダ・ロードスターRHTやフォルクスワーゲン・イオスと同じ独ベバスト社(Webasto AG)と共同開発したルーフパネルは、最新の3分割タイプ。スタイリング、収納性、オープン時の開放感がこのシステムの長所だが、開閉動作はかなり複雑で、かつてのホンダCR-Xデルソルの「トランストップ」を思わせる。

所要時間(実測)はカタログ値と同じ約30秒。これは先代C70の幌(フルオートで「30秒以内」)とほぼ同じで、早いと言えば早いが、信号待ちで行うには微妙な長さだ。しかもブレーキを踏んでいないと作動しないので、開閉が終わるまでは動けない。また動作がかなり派手なたため、路上ではちょっと気恥ずかしい。トランクリッドとルーフ自体がかなり高く跳ね上がるので、天井の低いところでは要注意。・・・と、いろいろ気になる点はあるものの、クーペ時の高い機密性と剛性感、そしてオープン時の開放感を見事に両立しているのは間違いないところ。この手のものでは現状で最高のものだろう。

基本性能&ドライブフィール

低速トルク抜群の直5ターボ

試乗したのはターボ付きの「T-5」。2521ccの直列5気筒DOHCターボ(220ps、32.6 kg-m )はボルボの高性能車でおなじみのもので、諸元はS40/V50のT-5とまったく同じだ。このエンジンは出力特性がかなり低速寄りで、最大トルクは1500~4800rpm、最大出力は5000回転で発揮する。ターボラグはほとんどまったくなく、まるで3リッタークラスのNAエンジンのようだ。静粛性は高く、のんびり走るのも得意だが、アクセルを雑に踏み込めば時にキューンと軽くホイールスピンしつつ、グーンと頼もしく加速してくれる。

トランスミッションは960や850時代からボルボと付き合いのあるアイシンAW社製の5AT。これだけトルクがあれば6ATは必要ない。100km/h巡航時はちょうど2000回転だ。試乗していないが、NAモデル(140ps、22.4kg-m)でも十分に走りそうだ。

本物のクーペみたい

乗り心地も文句なし。剛性感の高いボディはクーペ時でも、オープン時でも、まったくバタともゴトとも言わない。路面の凹凸は足回りとシャシーがすべて吸収し、振動は一切キャビンに入らない。快適性は高く、特にクーペ時の剛性感、気密性、静粛性は、本物のクーペのようだ。資料によると、クーペ時のボディ剛性はオープン時より約15%向上しているという。

ハンドリングはまったくシャープではなく、ハイスピードでの切り返しやうねりの通過時にはダンピング不足を感じる。突発的な動きが出ないところは、いつものボルボ流。大人しい性格のタイヤ(ピレリP7)のグリップを上手に使い、丁寧な操作を心がけるとなかなかの安定感を発揮する。

高速オープンクルージングを優雅にこなす

高速クルージングは非常に快適。100km/h・2000回転からアクセルを踏み込めばすぐにターボが効き、国産高性能セダン並みの中間加速で一気に160km/hくらいまで到達する。エンジン音の高まりもなく直進安定性は抜群で、キャビンは平穏そのものだ。

試乗したのは外気温5度ほどの2月真冬だったが、オープンでもほとんど寒くなかった。サイドウインドウを上げれば風は巻き込まないし、ヒーターやシートヒーターも強力なので、帽子や手袋がなくても外気温0度くらいまで大丈夫と思われる。そのまま高速を走ってもまったく問題はなく、1000万円クラスのコンバーチブルのような非日常性と優雅さが味わえる。ただし後席にはそれなりに風が吹き込むし、シートヒーターもないから、4人乗りでオープンを楽しむなら、温暖な季節の一般道に限る。

今回は約200kmを試乗。車載燃費計を参考にすれば、高速道路は約9.5km/L(100km/h巡航を守れば10km/L台も十分に可)、一般道で無駄な加速を控えると9km/L台をキープ、街乗りおよびトータルでは約7km/Lに落ち着いた。性能や車重を考えれば良好と言える。10・15モード燃費は9.3km/L(NAでも大差ない9.6km/L)。

ここがイイ

普通のクーペに全く遜色ない、クーペ時のしっかり感。オープンでもクローズドでもスタイルがよくて快適性が高いこと。意外やしっかり座れる広い後席。ロック操作の必要がないフル電動のトップ。

良い乗り心地、高い静粛性、抜群の直進安定性、高性能車並みの追い越し加速(T-5)、優れた燃費。インテリアも素材自体はそう高価な感じはしないが、デザインのスマートさで十分オシャレ。シートのフィット感も抜群。

ここがダメ

バック時の後方視界の悪さ。クルマの性格から言って、街で気軽に乗りこなしたいところだが、ならばバックモニターは必須。同じくナビゲーションシステムも標準装備が望ましい。フリーフローティングセンタースタックの上段はダッシュと一体化しているから、インダッシュのナビが後付けできそうだが、やはり純正が欲しいところ。

意図的なものかもしれないが、ブレーキはややスポンジー。このクラスでアダプティブヘッドライトではないのも惜しい。

総合評価

ガイシャのオープンカーである。寒空の下、フルオープンで走っていると、いやがおうにも注目を集める。試乗車の赤いボディと白い内装はなかなかオシャレだが、派手といえばこれほど派手なものはない。しかし嫌みがないのはボルボらしいところ。道行く人からも羨望のまなざしはあっても妬みのような視線を浴びることは少ないようだ。こんな派手な「ガイシャ」でも、何となく知的でほほえましく見えてしまうのは、ボルボというブランドが持つ知的なイメージのせいだろう。

初代C70はクーペとカブリオレで、日本市場で計1200台以上を販売したというが、特にカブリオレの方は布製幌やクラシカルなスタイリング、内装の「ごつさ」が古き良きボルボのイメージをとどめていた。しかしこの新しいC70は、一気に2世代飛び越して進化したかのよう。何よりスタイリングが圧倒的にいい。クーペにしたときも窓が小さく見えて締まった印象になるし、開ければ典型的なカッコよさ。すれ違いざまに子供に「あ、オープンカーだ!」と言われたのは長い試乗経験の中でも初めてのことだ。

オープンで走っていても60km/hくらいまでは運転席にはまったく風を巻き込まないからエアコンをつけておけば寒さ知らずだし、サブウーファーの効いたオーディオもかなりいい音だ。しかもパワーは十分で乗り心地も優しい。MINIのコンバーチブルに試乗したのは一昨年の今頃だが、オープンの爽快感は変わらなくても、それとは比較にならない優雅な走りがC70の大いに優れた点だろう。ターボを感じさせず常に良好な力がわき出てくるのが気持ちよく、走りに不満はほとんどない。とてもよくできたクルマだ。

 

C70以外でも輸入車ではBMW・3シリーズカブリオレ、フォルクスワーゲン・イオスなど、この手のクルマが大流行だが、国産車には存在しない。ガイシャの独壇場だ。確かに4座のオープンハードトップなど、国産車の商売にはまったく合致しない商品に見える。作っても売れっこないとメーカーの誰もが考えているはずだ。だがクルマの基本性能がそろそろデッドエンドに行き着いている現在、走りよりエンターテイメント商品へ移行していくだろうクルマの商品性に喝を入れる起爆剤としては、悪くないのではと思う。特に売れていないセダンなど、次のモデルではかつて流行したハードトップみたいなカッコいい形として、さらにオープンも可能とすれば、小銭持ちの団塊世代にヒット間違いなし、だと思うのが、花粉症が国民病となっている日本ではやはり無理なのだろうか。

試乗車スペック
ボルボ C70 T-5
(2.5Lターボ・5AT・545万円)

●形式:DBA-MB5254 ●全長4580mm×全幅1835mm×全高1405mm●ホイールベース:2640mm●車重(車検証記載値):1730kg( F:960+R:770 )●乗車定員:4 名

●エンジン型式:B5254 ● 2521cc・直列5気筒・DOHC・4バルブ・ターボ・横置●220ps(162 kW)/5000rpm、32.6 kg-m ( 320 Nm)/1500~4800rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/62 L ●10・15モード燃費:9.3 km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:235/45R17 ※オプション( Pirelli P7 )

●試乗車価格:- 万円( 含むオプション: ベーシックパッケージ、オプションアルミホイール&タイヤ ) ●試乗距離:約200km ●試乗日:2007年2月 ●車両協力:ボルボ・カーズ尾張一宮

 
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