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BMW 116i新車試乗記(第647回)

BMW 116i

(1.6L直4ターボ・8AT・308万円)

1.6直噴ターボ+8AT!
最小のBMWが成し遂げたのは、
最大の「駆けぬける歓び」だった!

2011年11月18日

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キャラクター&開発コンセプト

7年ぶりのモデルチェンジ。1.6直噴ターボ+8ATを採用


新型BMW 1シリーズ
(photo:BMW ジャパン)

2011年10月から国内でのデリバリーが始まった新型「1シリーズ」は、2004年に発売された初代に続く2代目。BMWブランドの最小モデルであり、VWゴルフやアウディA3等が居並ぶクラスでは唯一のFR(フロントエンジン・リア駆動)車になる。

新型はデザインを一新し、ボディサイズも拡大。先代で狭さが指摘されていた室内空間(特に後席)も同時に拡大されている。また新開発の1.6リッター直4・直噴ターボエンジンを全車に搭載。これはMINIのクーパーSなどに搭載されているエンジンを縦置き用に改変したもので、BMWブランドでは初搭載になる。

またこのクラスでは極めて贅沢と言える8速ATを日本仕様の全車に搭載。アイドリングストップ機構も同時に採用され、燃費性能は先代に比べて約25%改善され、JC08モード燃費は全車共通で16.6km/Lとなっている。

価格帯&グレード展開

全車1.6ターボ・8AT。116iが308万円~、120iが367万円~


(photo:BMW ジャパン)

欧州にはディーゼルターボもあるが、日本仕様は全て1.6リッター「バルブトロニック」直噴ターボを搭載。チューンレベルは2種類あり、「116i」は最高出力136ps / 4400ー450rpm、最大トルク22.4kgm / 1350ー4300rpm、「120i」が最高出力170ps / 4800ー6450rpm、最大トルク25.5kgm / 1500ー4500rpmになる。ちなみにMINI クーパーSは184psと24.5kgm、最も高性能なJCW(ジョン・クーパー・ワークス)は211psと26.5kgmだから、1シリーズにはまだまだチューンの余力がある。

欧州には6MTもあるが、日本仕様は全車トルコンの8速AT。5ドアのみなのは、今のところドイツ本国でも同じだ。

また新型1シリーズでは新たな試みとして、標準仕様、「スポーツ」(内装に主に赤のラインなどが入る)、「スタイル」(クローム仕上げのキドニーグリル、モノトーンのレザーコンビシートなどで大人っぽい雰囲気)といった具合に、内装の仕上げやアルミホイールの意匠が異なる3つのグレードを設定している。


左が「スポーツ」、右が「スタイル」(欧州仕様)
(photo:BMW ジャパン)

・116i     8速AT  308万円  ※今回の試乗車
・116i Sport  8速AT  318万円
・116i Style  8速AT  318万円

・120i     8速AT  367万円
・120i Sport  8速AT  387万円
・120i Style  8速AT  387万円

パッケージング&スタイル

逆反りフェイスが復活? ロングノーズも個性として強調

話題に出す時、「あのヘッドライトが・・・・・・」から始まる新型1シリーズ。よりワイドになったキドニーグリルはいいとして、左右に寄った三角ヘッドライトが第一印象を左右する。しかもグリルの垂直面が1960年代~80年代のBMWのように逆反りになっているのも特徴。これがクルマ好きにはある種の懐かしさを、そうでない人には新しさを感じさせる。この逆反りデザインは、すでにBMWの新型車で続々と“復活”していて(例えば新型6シリーズ)、見慣れてくるとカッコよく見えてくる可能性あり。

 

このヘッドライトはサイドに思い切り回り込んでおり、横から見た時のロングノーズ感を強めている。フロントのオーバーハングを切り詰めていた初代とは正反対のアプローチだが、おかげで初代にあった寸詰まり感はなくなり、見た目のバランスは良くなった。言わば1シリーズ・ツーリングみたいに見える、といったら言い過ぎかもしれないけど。

 

ボディサイズは全長4335mm×全幅1765mm×全高1440mmで(Mスポーツ・サスペンション仕様は全高のみ-15mm)、ホイールベースは2690mm。初代1シリーズよりも全長は95mm、ホイールベースは30mm、全幅は15mm大きくなったが、全高は変わらず。つまり依然としてゴルフやA3といったライバル車と大差ない大きさで、現行プリウスに比べれば125mmも短く、90mm低い。今や日本でも、そう抵抗のない大きさだろう。

インテリア&ラゲッジスペース

BMWらしさと最新技術が程よく混じり合う


キーレスエンジンスタートは全車標準。ただしコンフォートアクセス(ドアの施解錠までリモコン操作なしで行う)は116iだとオプション

インパネはドライバーを中心としたBMWらしいデザイン。ドライバーの方に傾いたセンターコンソール、何十年も基本デザインを変えていない(ように見える)アナログの2眼メーター、オルガン式のアクセルペダルなどなど、馴染みのある意匠で構成されている。

質感についてはこの標準車の場合、BMWらしく素っ気ないが、それでも3シリーズと見紛うようなレベルにはある。それからAピラーの角度やパッケージングの変更のせいか、前席においても空間は何となく広くなったような印象。

 

6.5インチのコントロールディスプレイは標準装備。ナビ装着車は8.8インチのワイドディスプレイになる

一方で、1シリーズへの気合いの入り方は、操作系にはっきり現れている。試乗車は最もベーシックな116i(ほぼ標準仕様車)だったが、iDrive(モニターとコントローラーのセット)、新世代の電子制御式シフトレバー、アイドリングストップ機構など各種環境技術に対応したメーター表示やスイッチ類などが標準装備となり、しかもデザインや使い勝手がよく練られている。

ただ、ナビゲーションシステムは全車オプション。試乗車も未装着だったが、最初はナビ付きだと思って、一生懸命メニューを探してしまった。ナビ装着車であればiDriveコントローラーにショートカットボタンが付く。

初代の弱点を解消


座面横にリクライナー(写真左)とシートリフター(写真右)が備わる。ステアリングのチルト・テレスコは当然ながら標準

フロントシートはホールド性やポジション調整自由度が高いもので、この点についてはほとんど不満なし。ほとんど、と言うのは手動式シートの場合、シートリフターがガススプリング式で、体重を頑張って抜かないと上がって来なくて困ったから。それと多くの人は最初にラチェット式だと勘違いして、レバーをむなしくカチャカチャと動かすはず。一方、背もたれをレバー操作一発で倒せるのはBMWの隠れた長所。

 

サイドウインドウは100%開く。中央席は小柄な人や子供なら使用可

そして1シリーズと言えば、一番気になるのが後席のはず。なにしろ先代では最大の弱点が後席の狭さと乗降性の悪さだったから。というわけで、期待と不安を胸に、リアドアを開けてみたら少しホッとした。新旧を直接比べていないので細かいことは言えないが、足運びは明らかに楽になり、ドアやサイドシルに足を引っかける心配はかなり減っている。また意識して頭を屈めなくて済むようになったのも朗報。

 

乗降性は確実に良くなった。エアバッグは計6個を標準装備

先代より20mmフットルームが拡大した後席は、もうほとんどコンパクトカーとして不満がないと思う。ゴルフよりはタイトだが、ポロが相手ならいい勝負では。背もたれの角度も適度で、座り心地は格別に良くもないが、文句もない。一昔前の3シリーズ、つまりE36型とかE46型の後席とあんまり変わらないのでは。

トランク容量はFFのライバル車と互角


容量は360リッターで、ゴルフを10リッター上回る

トランク容量は360リッターと、ライバルのFFハッチバック車と互角か、若干上回るレベル。おそらくランフラット仕様(スペアタイヤレス)が効いているはずだ。

背もたれをパタンと倒せば、ほぼフラットな床が拡がり、ワゴンのような眺めになる。この時の容量は1200リッターで、これで十分じゃん、と思う方も少なくないのでは。またしても「1シリーズ ツーリング」と呼びたい眺め。

 

ちなみにその背もたれは、試乗車の場合は60:40の分割可倒式だったが、全車オプションで40:20:40の3分割(スルーローディング・システム)も選べる。3分割シートと言えば、実はX1もそうで、そういえばリアウインドウのデフロスター(熱線)も新型1シリーズとX1は共にワイパーピボットを中心に同心円を描くものになっている。何か効果があるのだろうか?

 

新型1シリーズは全車ランフラットタイヤが標準。ゆえにスペアタイヤはなく、代わりにバッテリー(BMWではトランクが定位置)やヒューズボックスが荷室床下に収まる。わざわざバッテリーをここに搭載するのは、もちろん前後重量配分を50:50に近づけるため。

基本性能&ドライブフィール

磨きがかかった1.6直噴ターボ


BMWではこのエンジンを「BMWツインパワー・ターボ・エンジン」と呼ぶが、少なくともこの場合のツインとはツインターボではなく、ツインスクロール式のこと

試乗したのはエントリーグレードの「116i」(308万円)で、136psの1.6直噴ターボモデル。もう59万円余分に出すと、同じエンジンで馬力が170psに跳ね上がる「120i」が買えるが、結論から言えばよほどの飛ばし屋さんじゃない限り、この116iで十分だ。

大ざっぱに言ってこのエンジンは、MINIクーパーS用の最新型エンジン(つまりバルブトロニック追加版)を縦置きに改変したもの。そんなわけで事前の予想では「エンジンの感触はMINIっぽいかも」だったが、実際にはまったくそんなことはない。いかにもBMWらしい精緻な回り方、静粛性の高さ、アクセル操作に対するナチュラルな反応など、いろんな点でBMW的にオトナ。実際のところ、エンジンはほとんど別物のようだ。

加速中にアクセルを戻すとプシュ~とターボならではの音がかすかに聞こえるが、エンジン特性そのものはけっこうノンターボ的。また、いきなり運転した人に「これって直6ですか」と聞かれても笑ってはいけない。分厚いトルクやスムーズな回転フィーリングは、6気筒に迫るからだ。「このエンジンは良いぞ」と思うまで、乗り始めてそんなに時間は掛からない。

8速ATが実にいい仕事をする


新世代の電子制御シフトレバーが1シリーズまで降りてきた。「P」(パーキング)はボタンを押すだけで入る

このエンジンを影で支えているのが新開発の8速AT。まるで高級車用ミッションをそのまま載せたように思えるほど、8速という数字には過剰感があるが、これが実にいい仕事をする。

まず出足がいいのは1速のギア比がかなり低いから。さらに8速もあるから、2速、3速へのつながりも良く、パワーバンドを外すことがまずありえない。それでいて巡航状態に入れば、2000回転未満の低回転をしっかりキープ。これも8速の成せる技だ。燃費にもそうとう効いている感じがある。

ただ、何が何でもエコ優先みたいな、極端な制御にはなっておらず、ちゃんとアクセル操作に対して過不足なく反応してくれる。このクラスでは直噴ターボ+7速DCTが最高だと思ってきたが、うーん、このパワートレインも実に良いなあ、と深く感心してしまう。

【アイドリングストップ機構】再始動時に少しショックがある


アイドリングストップ時と完全オフ時を区別するため、回転計の0の下にはもう一つ目盛りが刻まれている

街中で唯一気になるのは、アイドリングストップからの再始動・再スタート時に小さなショックが出ること。言うまでもなく再始動はブレーキを緩めた時に行われ、それと同時にクリープでクルマが動きだす、その瞬間にこのショック(唐突に駆動力が伝わる感じ)が出る。とはいえ、今回は試乗しているうちに徐々に気にならなくなったので、あんまり神経質になる必要はないかも。もちろんアイドリングストップをオフにすることも出来る。

面白いのは、マツダのi-stopのようにステアリングを少し切るだけでも再始動が可能なこと。この方法だと例のショックは出ない。また坂道発進では、多くのアイドリングストップ車がブレーキを離したときの後退を防ぐために電子制御のヒルホルダーを使うが、この1シリーズは坂道では最初から「アイドリングストップをしない」。いずれの方法でも傾斜センサーは要るので、そういう手もあるなあ、という感じ。

まるで軽量FRスポーツカー


新型1シリーズのハンドリングを一言で表すなら「バランス」。FR車のお手本のような操縦性が楽しめる
(photo:BMW ジャパン)

街乗りではすこぶる印象のいい新型1シリーズだが、ワインディングへ行くとそれは好印象から絶賛へと変化する。「パワーは十分だな」などと思っていたエンジンは、シフトレバーをスポーツモードに入れて、積極的にアクセルを踏み始めた時から、隠れていた本領を発揮し、山道を小気味よく加速してゆく。最高出力は136psだが、吹け上がりは爽やか。前述のように8速ATが見事にパワーバンドをキープし続けるので、コーナーの立ち上がりでもしっかり駆動力が掛かる。

しかもハンドリングは自由自在。コンパクトなボディ、感じのいい電動パワステ、タッチも効きも文句なしのブレーキ、よく動いて路面を捉え続ける4つの足、限界がつかみやすい16インチタイヤ(ブリヂストンのランフラット)、そして何より前後50:50の重量配分(車検証では710kg:690kg)、塊感のあるボディが、まるで軽量FRスポーツカーのような走りを、ごく平均的なスキルのドライバーに楽しませてくれる。すごく立派で、しなやかで快適に走るハチロクって感じ?

 

オプションの「バリアブル・スポーツ・ステアリング」は未装着だったが、操舵フィールは十分にクイック

少なくとも以前乗ったE90型の320iや335i、そして135iよりワインディングを楽しめたのは確か。DSCなどの電子デバイスが影ながらガンガン介入してアンダーステアやオーバーステアを軽減しているのは間違いないが、基本設計がよくなければこうは走らない。実際に起こる動きは優れた軽量FRスポーツカーのそれと同じで、主役はあくまでもドライバー。

当然ながら、高速道路でも性能に不足はない。80km/hオーバーで入る8速トップなら、100km/h巡航は約1750回転で可能。それなりに走行音は入ってくるが、静粛性に問題はなく、乗り心地はボディのおかげなのか、タイヤのおかげなのか、滑るが如くスムーズ。高速燃費も良く、法定速度の範囲なら瞬間燃費計は20km/L台を確実にキープし続ける。トップスピードも十分で、最高速(発表値)はこの116iでも210km/h、120iなら222km/hに達するようだ。

試乗燃費は10.9~15.1km/L。JC08モードは16.6km/L

今回はトータルで250kmを試乗。参考までに試乗燃費は、一般道と高速道路を各種パターンで走った区間(約90km)が10.9km/L。一般道を大人しく走った時が、1回目(約30km)は13.0km/L、2回目(約25km)は13.3km/L、3回目(約40km)は15.1km/Lだった。基本的にはノーマルモード、もしくはエアコン制御も含めて燃費優先になる「ECO PROモード」(最大20%まで燃費が向上するとのこと)で走ったが、車重1400kgのFRガソリン車としては言うことなしの燃費性能では。

なお10・15モード燃費は17.6km/Lで、JC08モード燃費は16.6km/L。指定燃料はプレミアムで、タンク容量は52リッターだ。

ここがイイ

エンジン、ミッション、乗り心地、ハンドリングなど、ほぼ全て

1.6リッター直噴ターボエンジン。パワフルで、トルクフル。コントローラブルで、レスポンシブ。燃費も抜群に良く、エンジン単体重量が軽いのでハンドリングもいい。

8速AT。低めの1速から超オーバードライブの8速トップまで実にギアリングが適切で、つながりもよく、適度にシャープ。7速DCTじゃなくてもいいや、と本気で思える。シフトレバーの頭にP(パーキング)ボタンがあり、サイドのロック解除ボタンを押してポジションを切り替えるのも新しい感じ。

文句なしの乗り心地。このクラス、このボディサイズ、このハンドリングで、これだけ乗り心地のいいクルマは初めてかも。ランフラットタイヤの乗り心地が硬め、などというのは完全に昔話だと分かる。

ハンドリング。FFや4WDで安心してワインディングが走れるクルマは多いが、FRでそれを実現しているのがすごい。しかもFRらしい自由度の高い操縦性、前輪と後輪を同時に使って曲がって行く感覚も完璧に味わえる。

全車標準のiDriveはとても操作しやすかった。レクサスのリモートタッチと並んで、この手のコントローラーとしては最も使いやすい。高価な純正ナビを選ばなくても、iDriveが付いてくるところも良い。

ここがダメ

エンジン再始動時のショック

本文でも触れたように、全体の出来からすればささいなことだが、アイドリングストップからの再始動時に出るショックは、もう少し抑えたいところ。

BMWの最小モデルだが、「もう少し小さかったら」と思う人は少なくないはず。リアバンパーが出っ張っているので、バック時には要注意。オプションのリアビューカメラが欲しいところ。

総合評価

恐れ入りました

なんというか、ドイツ車の底力を感じてしまった今回の試乗。新しい116iはいままで乗ったBMWの中では「最もいい」と思えた。コンパクトなサイズ、後席に無理なく乗れるようになり、荷室もそこそこ広く、十分なパワーで、ガチッとしたボディによるFRらしい挙動を楽しめる。本文のようにエンジン・ミッションは申し分なく、ランフラットタイヤなのに乗り心地は硬くない(タイヤ交換する場合、再びランフラットを選ぶと高くつきそうだが)。そして元気に走りまわっても二桁を切らない燃費。恐れ入りました。

そういう基本的な「いいクルマ」感たっぷりでも、エコを邪険にしてはいない。ECO PROモードに切り替えれば、走りはグッとおとなしくなり、エアコンが制御され、アイドリングストップと相まって低燃費を実現することができる。ブレーキエネルギー回生システムも標準装備だ。136psの116iの場合、四六時中、元気に走りたい人には、パワー的にもたぶん不満があると思うが、少しでも燃費のことを考える人なら、ふだんは「意識的に」このモードにして走るだろう。というのは、エンジンを一度切ってしまえばノーマルモードに戻ってしまい、あくまで「意識的に」スイッチを操作しない限り、ECO PROモードにはならないから。このあたりの考え方がスマートだと思う。

 

ナビがない分、操作がシンプルだったこともあり、iDriveは使いやすかった。車両情報、取説などをここで簡単に見られることはメリットだ。ただせっかくの大画面なので、バックモニターはつけたいところ。ナビを付けなくてもリアビューカメラとパークディスタンスコントロールは10万円で付けられる。今後のクルマはナビなどオプションにしてしまう方がいいと思うから、ナビを標準装備としなかったことは逆に評価したい。最新PNDでも、スマホでも、気に入ったものを載せればいいのだ。その結果として車両価格は308万円~なのだから、言うことはない(ちなみにオプションのナビパッケージは27万円)。

となれば、これはもう買い、と言いたいところだが、スタイリングは先代同様、どうにも今ひとつ馴染めない。クルマというものは「カッコイイ」と思わないと欲しくなれないもの。カッコイイの価値は人それぞれだが、BMWと言えど量販車である以上は、多くの人にそう思われた方がいいだろう。万人がカッコイイと思うカタチになったら、それこそ大ヒットするはず。まあ、本文にもあるように単なる5ドアハッチではなく、コンパクトスポーツワゴンだと思えば、あんがい悪くないかも。

日本のコンパクトカーが二世代くらい古く見える

この10年、日本車がハイブリッドを中心としたエコ方向に振れまくっている間に、ドイツ車はひたすらガソリン車の基本性能を磨いていたようだ。ゴルフやポロにしても、この1シリーズにしても、コンパクトカーの実力がここまで凄くなってしまうと、日本車はしばらく追いつけないのではないか。ポロの7速DSG、1シリーズの8速ATなど、このクラスに載せるか?というようなものが平気で搭載されている。むろんこれは欧州ではいまだAT自体がプレミアムということかもしれないが、CVT中心の日本のコンパクトカーはなんだか二世代くらい古く見えてしまう。

ということで、購入したらこんなにいいクルマを日常的に使うことになるのだが、「エヴリデイ・イズ・ア・ワインディング・ロード」(by シェリル・クロウ)というわけにも行かないだろうし、毎日のお買い物にここまでのガッチリ感がいるのか、とも思う。短期間の試乗では明らかに日本車に勝ち目はないのだが、多くの人には単なる過剰性能かもしれない。もしかすると、もうちょっとダルな、そうタイで作られた日本車のようなクルマのほうが、多くの人の日常使いはふさわしいのかも。116i にはハイブリッドのような分かりやすい記号性もないし、そのキャラクターも少々玄人向け。アウディ車のようなオシャレさ、可愛らしさにも欠けている。長年乗ったあとの幸せ感は、経済性とあわせて考えると、どちらがいいのだろうか。

 

今年、COTY(カー・オブ・ザ・イヤー)の10ベストカーに入っている新型1シリーズだが、クルマ好きとしては一位にしたいものだ。日産リーフに代表される日本の未来的エコカーの対極でもあり、ボルボのようなハイテク安全装置もないが、走る、曲がる、止まる、燃費、パッケージング、価格に関して最もバランスがとれている。リーフ、プリウスα、フィットシャトル、デミオ、ミライースの日本車勢、パサート、メルセデスCクラス、プジョー508、ボルボS60/V60の中では、リーフとその対極にある1シリーズの争いになると思うのだが。今年COTYは東京モーターショーとタイアップしたので、選考結果は12月3日に発表される。

試乗車スペック
BMW 116i
(1.6L直4ターボ・8AT・308万円)

●初年度登録:2011年10月●形式:DBA-1A16
●全長4335mm×全幅1765mm×全高1440mm
●ホイールベース:2690mm ●最小回転半径:5.1m
●車重(車検証記載値):1400kg(710+690) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:N13B16A
●排気量・エンジン種類:1598cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・縦置
●ボア×ストローク:77.0×85.8mm ●圧縮比:10.5
●最高出力:136ps(100kW)/4400-6450rpm
●最大トルク:22.4kgm (220Nm)/1350-4300rpm
●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/52L
●10・15モード燃費:17.6km/L ●JC08モード燃費:16.6km/L

●駆動方式:後輪駆動(FR)
●サスペンション形式:前 ダブルジョイント スプリングストラット+コイル/後 5リンク+コイル
●タイヤ:205/55R16 (Bridgestone Turanza ER300 RFT ※ランフラット)
●試乗車価格:-円 ※オプション:- -円 ●ボディカラー:ブラック サファイア
●試乗距離:250km ●試乗日:2011年11月
●車両協力:Nagoya-Minami BMW(株式会社モトーレン東海)

 
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