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シトロエン クサラ エクスクルーシブ新車試乗記(第28回)

Citroen Xsara Exclusive

(1.8L・4AT・235万円)

1998年06月12日

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カーデータ

●カテゴリー:コンパクト5ドアハッチバック
●クラス(排気量):1761cc
●キャラクター:エグザンティアとシャンソンの間に位置するZXの後継モデル。VWゴルフ、オペルアストラ、ローバー200、プジョー306など各メーカーの小型主力車が揃うM1セグメントに属する。本国では3タイプのボディと6種類のエンジンを用意するが、日本には1.8リットルに4ATが組み合わせた5ドア(カタログには4ドアハッチバックとされている)が導入された。
●コンセプト:今年はVWゴルフ、オペルアストラなどライバル車のフルモデルチェンジが目白押し。そんな激戦区で生き残るには、やはり何か秀でた特徴が必要となる。そこでクサラは安全性や室内空間など、基本的な性能を高めている。クオリティも高められ、欧州市場のみならず世界市場で通用するミディアムカーを目指している。余談だが「XSARA」クサラという日本では奇妙な音に聞こえる車名だが、本国フランスでも大きな意味はないそうだ。「XASO」サクソ(日本名はシャンソン)、「XANTIA」エグザンティア、そしてXMと、最新のシトロエン・ラインアップには語頭に共通して「X」がつくこととなった。それにしてもこの呼び方、こと日本では馴染みにくく、覚えにくいのがつらいところ。
●注目度:安全性、パッケージングともに真面目に作られた小型ベーシックカーだが、小型の輸入車=ゴルフという印象のある日本で、どこまで通用するのか気になるところ。ごくマニアックな人を除き、見事に注目度は低い。
●特筆装備:ひとつはクラス初の標準装備となったサイドエアバッグをはじめ、徹底した安全装備。もうひとつは、高速時に前輪と同じ方向に後輪の向きをわずかに変えることでコーナリング時の安定性を高める、セルフステアリング・アクスル機構(プジョー306にも採用)。
●燃費:カタログ未記入だが、インポーターは9.2km/Lと発表している。
●価格・販売:試乗したグレードの「エクスクルーシブ」の価格は235万円。雨滴感知ワイパー、フロントフォグランプ、ボディ同色ハンドル、アルミホイール、リアワイパーなどを省略したベーシックグレードの「SX」は220万円となる。販売は当面、新西部自動車販売の系列店となる。マツダ系はシトロエン販売から今年いっぱいで撤退するためクサラは売らないが、一部店舗では新たに新西武との契約が結ばれる模様。その場合は、クサラが販売されることになる。本国では2ボックススタイルの3ドアクーペとワゴンが用意され、前者は今年中に導入される予定。

スタイル

全幅が1710mmと、わずか10mmの差で3ナンバーとなる。幅が広いのは最近のM1セグメントの特徴。スタイリングで買わせてしまうほどの個性はないが、リアエンドに明確なノッチを持つ3ボックスの外観としながらも、リアウインドウとトランクリッドがガバッと開く5ドアハッチバックとなっている。フランスでは実用車として当たり前のスタイルで、シトロエンの伝統だが、このスタイルがほぼ皆無に近い日本では、逆に個性と言えるのかもしれない。

パッケージング

4人乗ったら各人にドアを1枚を用意するという、個人&合理主義フランスのベーシックカーだからして、パッケージングが悪いわけがない。姉妹関係にあるプジョー306と比べてホイールベースが40mm短いにも関わらず、室内長は1180mmとクラス最大級となっている。ラゲッジスペースも408リットル(シート可倒時)とこちらもクラス最大級。張り出しがほとんど無いのもマル。

後席の居住性に関してもニースペースがたっぷりと確保してあり、申し分なし。ヘッドクリアランスは平均レベル。

内装(質感)

int.jpg先代ZXと比較にならない品質の高さ。先週のイタリア車(アルファロメオ)もそうだったが、最近のフランス車の品質の向上ぶりには正直、驚いてしまう。といってもようやく世界水準に達したということで特に上質というわけではない。

すべてのドアの開閉作動が3つの位置で止まるようになっているので、狭いスペースでの乗り降りの場合、非常に便利。またステアリングに設けられたオーディオスイッチも意外に使いやすい。ボリューム、モード切替、プリセットに加えてミュート機能までついているのが嬉しい。

これらはおおげさな装備でないものの、かゆいところに手が届くといった非常に親切なアイテム。でも日本必須アイテムのドリンクホルダーは装備されていない。

シート・ステアリング・シフト感触

フランス車の魅力のひとつであるシートは、小型車のクサラといえども例外でなく素晴らしい。座面長がたっぷりとあるシートは日本人の体型には少し大きいのかもしれないが、包み込むような安心感はさすがと納得できる仕上がり。これは後席においても同じ。

個人的に気に入らなかったのはシート生地の柄。また、ATシフトレバーのゲート間隔が非常に狭く、意図したレンジを通り越してしまうことがあった。慣れが必要か。

動力性能(加速・高速巡航)

エンジンや駆動系は先代ZXから流用され、ボディ剛性の向上によってクサラの重量は約50kgも増えている。よって、残念ながら軽快な走りは望めない。ごく普通に流す程度なら必要にして十分だが、中間域からの加速は非常に鈍く、キックダウンさせるにもそうとう奥までアクセルを踏み込む必要がある。100馬力というスペックからして、ハナから走りには期待していなかったものの、不満が残るところ。反面、高速で一度速度に乗れば、シトロエン特有の滑るような安定した走りと、素晴らしい直進性をみせる。ただし、中間加速はやはり物足りない。

ハンドリング・フットワーク

コーナー進入時でも少ないステアリング操作で旋回し、フロントがコーナー内側に入っていく感じで、アンダーステアな感じは少ない。独自の粘っこい足で、ロールが少なく、オンザレール感覚のコーナリングはシトロエン独自のもの。

乗り心地

乗り心地の良さこそシトロエンの魅力。柔らかめ?とはじめはそう思ってしまうが、段差や継ぎ目を一度で収め、何事もなかったように通り過ぎてしまう感覚、揺れを感じさせないしっとりとした乗り心地はやはりシトロエン独自のもの。ハイドロでなくてもハイドロっぽい乗り心地。そうはいっても、ちょっと乗っただけでわかった、かつてのような感動は得られないが。

騒音

静かです。心地の良い乗り味との相乗効果でクラストップレベル? といえるほど。低周波ノイズを吸収する新開発のアコースティックフロアが使われている。

安全性

Wエアバッグに加えてサイドエアバッグもクラスで初めて標準設定された。4W-ABS、フロントフォグランプ(SXは設定無し)、リアフォグランプ、インジケーター付きチャイルドプルーフ、雨滴感知式オートワイパー、盗難防止システム、ハイマウントストップランプなど、上級車種に匹敵する安全装備が満載される。

また、Bピラーとドアパネルの裏側に凸状のレールが設けられていて、側面衝突の際にドアが車体側に入り込まないという工夫が用いられている。これはシトロエンが特許をとったパッシブ・セイフティのひとつ。他にも強化ルーフバー構造や、ドアやフロア部に高剛性HLEスチールを用いたアコースティックフロア構造を採用するなど、徹底したシトロエンのグローバル・セーフティの思想がうかがえる。

環境対策

特になし

ここがイイ

ファミリーセダンにもかかわらず、乗ってみるとやっぱりシトロエンだと感じること。わかりやすくいえば乗り心地のよさ、ということだが、低速でも、高速でも、ストレートでもカーブでも、常にボディが水平に保たれているというあの独自の乗り味が、プジョーと姉妹車にもかかわらず失われていないのは嬉しい。クラスを超えた安全への取り組みと装備の充実度というのも新世代シトロエンの特徴か。これも悪くない。

ここがダメ

やっぱりいくら何でもちょっとアンダーパワー。通常走行では問題ないが、ここぞというときにはやはりもう少しパワーが欲しいところ。某雑誌のテスト値で見る限り、かつてのBXの1.6より遅いくらい。キビキビ走ってはシトロエンとはいえないが!? 「せめてフル加速時くらいもうちょっと走れよ」と運転席でつぶやいてしまった。

総合評価

photo_2.jpgシトロエンはルノーやプジョーのようにF1で活躍しているわけでもなく、イタ車のように派手なデザインでもない。ましてクサラにはシトロエンの代名詞である「ハイドロニューマチック」も使われていない。欧州が統一されつつある現在、クサラに昔ほど強烈なシトロエン臭さを押しつけることは、ビジネスを考えるとメーカーとしてはできないことなのだ。従って日本では訴求力が余りに弱い。シトロエンは個性がそこそこ強い方が売りやすいはずだ。

とはいえ、外観にしろ、乗り心地にしろ、一見すると何ということもないが、五感を研ぎ澄ましてみると、粘りのある足腰、あたりのソフトな乗り心地といったフランス車の味をさりげなくアピールしていることが分かる。この凡人にはなかなか理解できないところを積極的に認めてしまうのがシトロエン愛好家。実はシトロエンオーナーが最も感性が鋭いのかもしれない。クサラからは、確かにそういったシトロエンの味を感じる。また「クルマを道具」として割り切っている合理主義者であり個人主義者であるフランスのお国柄も伺える。これってやっぱり伝統が生き続けているということなのだろう。はまってしまうと、シトロエンから抜けられなくなるというが、そんな魅力をクサラも持っている。

お勧め度(バリューフォーマネー)

100馬力というパワーを承知の上、人目をあまり気にしないという人(いい意味での個人主義)ならば、クサラはとても気の合う相棒になってくれるはず。ファミリーカーに良し、趣味のクルマにもまた良し。1馬力あたりの価格は高いが、装備の充実は日本車も顔負けというレベルにあり、このクラスの輸入車の中では割安感がある。


       

公式サイト http://www.citroen.co.jp/

 
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