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シトロエン C5 V6 エクスクルーシブ新車試乗記(第349回)

Citroen C5 V6 Exclusive

(3.0L・6AT・458万6000円)

2005年01月15日

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キャラクター&開発コンセプト

「ニュールックC5」

C5は2000年秋のパリ・サロンに登場。4年目のマイナーチェンジを受けたモデルが2004年12月4日に日本でも発売された。ビッグマイナーと言うべき内容は、外観デザインの大変更、エンジン改良、そしてアイシンAW製6ATの搭載(V6)といったところ。特にデザインは新世代シトロエンのものとなり、英国のシトロエン公式サイトのラインナップ一覧では「NEW C5」ではなく、ズバリ「NEW LOOK C5(新しい外観のC5)」とある。いずれにしても、シトロエン独自の油圧サスペンション(「ハイドラクティブIII」)を唯一搭載し、現行モデルで最も「シトロエン濃度」が高いクルマだ。

価格帯&グレード展開

おおよそ360~480万円

日本仕様は全部で4グレード。直列4気筒のサルーン「2.0」(360万5000円)と「ブレーク2.0」(382万6000円)。そしてV型6気筒の「V6エクスクルーシブ」(458万6000円)と「ブレークV6 エクスクルーシブ」(480万7000円)だ。レザーシートは2.0に28万3500円のオプションで、V6は標準装備となる。

インポーターはサルーンと呼び、確かに一見は4ドアセダンに見えるが、正確には5ドアだ。ブレークの方は、フランス車でステーションワゴンのことを指す。

パッケージング&スタイル

新しいシトロエンの顔

シルエットは前期とほぼ同じだが、前後のデザインを一新してかなり個性的になった。「幾何学的にアレンジした」という新世代の「ダブルシェブロン」マーク、切れ上がったヘッドライトが目を引く。05年中に日本上陸するC4と共に、これが新しいシトロエンの顔となる。眉のような乳白色のポジションランプが面白い。

サルーンのボディサイズは全長4740mm×全幅1780mm×全高1480mm。前後のオーバーハングが各6cm伸びて、全長が計12cm長くなった。全幅も1cm増えた。ホイールベースは前期と同じ2750mm。横から見ると、風船のように膨らんだスタイルが分かる。トランクリッド上端がスポイラー状となっており、Cd値は0.29~0.30に向上したという。

アルミホイールのサイズは2.0とV6で共通の6.5J×16(先代のV6と同じ)だが、デザインは違う。資料によると写真のV6用は「スズカホイール」、2.0用は「ハンガロホイール」と、なぜかシトロエンには関係ないF1で縁の深いサーキット名が付く。

質感を上げたインテリア

インパネのレイアウトは大きく変わらないが、上下に区切るトリムやメーターメタルリング、ブラック・ラッカーペイント等で質感は上がっている。試乗車のシートはレザー張りで電動調節、シートヒーター付きと豪華だ。大ぶりだが、小柄な人でも収まりがいい。運転席の「ニーエアバッグ」を含めて、エアバッグは合計7個となっている。

従来同様、シフトレバー後方にハイドロの車高調整スイッチが付く。13mmアップから15mm(前)/11mm(後)ダウンが可能。V6には「スポーツ」モードが付く。

リムジン並みの後席、ワゴン以上の積載性

セダンとしては抜群に広い後席。運転手付きとしても使えそうだ。センタートンネルが無くて足元が広く、左右の移動もしやすい。収納式のリアウインドウ用ブラインドまで備える。ミニバンに慣れた家族でも満足してくれそうだ。

リアオーバーハングが6cm延びて、荷室容量は15リッター増しの471リッターに拡大。容量はクラス平均だが、開口部の広さ、使いやすさはステーションワゴン以上。後席をダブルフォールディングで畳めば、1315リッターになる。ヘッドレストを外す必要がなく、操作は簡単だ。

ライトが動くクルマの歴史

新型C5でちょっと注目したいのは、新しくV6モデルに採用された光軸可変式のヘッドライトだ。一般的にはAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)、シトロエンでは「ディレクショナル・ヘッドライト」と呼ばれるものだが、シトロエンは早くから同様のライトシステムを採用していたことで有名だ。

ここでライトが動くクルマの歴史をまとめおこう。ライトを最初に動かした市販車で有名なのは、1948年に米国タッカー社が51台だけ生産したタッカー・トーピードゥ。3灯ヘッドライトの中央がステアリングと連動して左右に動いた。続いてシトロエンDS(1955~75年)が、67年の後期型よりオプションで用意。さらにシトロエンSM(1970~75年)の欧州仕様車が標準装備した。ただし、当時、日本の保安基準には合致しなかったため、日本仕様のSMは固定式だった(米国仕様も同様に固定された)。

当時のものは完全に機械式のものだが、現代のAFSは車速センサーとステアリング舵角センサーの情報を計算してディスチャージ・ヘッドランプをモーターで動かす電子制御となっている。

基本性能&ドライブフィール

完成度の高いドライブトレイン

試乗したのはV6のサルーン。夜だったため、まず気付いたのが、新装備のAFS(ディレクショナルヘッドライト)。国産・輸入車ともにAFS搭載車にはほとんど乗っているが、こんなによく動くように感じるAFSは初めてだ。完全停止時には動かないが、少しでも走行すればステアリング操作にダイレクトに反応して左右(外側に最大15度、車両内側に8度)に照射範囲を振る。パワステはトヨタ車のように軽く、それでいてキビキビとした手応えがあり、正確だ。

さらにいいのがドライブトレイン。アイシンAW製の6ATは国産車のように滑らかに変速して、違和感がまったくない。V6はインテークカムシャフトのバルブタイミングの改良以外は変わらないはずだが、ATが変わったことでエンジンまでリファインされた感じがする。低速から高速域まで、ドライバーはまったくストレスを感じない。

ハイドロ健在

これで際だったのが、ハイドロの乗り味だ。フラットな姿勢を維持しながら、滑るように走る独特の感覚はまさに「マジックカーペットライド」。かつての旗艦XMのボディ剛性を上げて、静粛性をうんと上げ、ボディ各部や操作系を一新して、さらに磨きをかけた感じだ。低速でコツコツ振動を伝えてくるのは相変わらずだが、その当たりは柔らかく、ドイツ製セダンや国産高級セダンとは一線を画す独自の境地。時速110km以上では、自動的に車高をフロントで15mm、リアで11mm下げて安定性を向上し、空気抵抗を減らす。このハイドラクティブIIIは5年間もしくは20万kmのメンテナンス不要を謳う。本当に地の果てまで走ってゆけそうだ。

静粛性も高い。ロードノイズは皆無で、風切り音も小さい。最大の音源はエンジンだが、音質はマイルドだし、いい音だ。100km/h巡航時の回転数は2150回転くらい。2000~2500回転くらいでユルユル走っても良し、ハイペースで走っても良し。アクセルを踏み込めば、素速く滑らかに加速体制に入り、高速巡航は実際かなり速い。メーカー発表の最高速度は230km/hだ (2.0は209km/h)。試すのを忘れたが、任意に設定したスピードに達成すると「アクセルを踏み込みづらくする」リミッターも装備。強く踏み込むと解除されるらしい。飛ばすより、流して気持ちいいクルマだ。

ここがイイ

マイチェン前より良くなったエクステリアデザイン。特にフロントフェイスは、ボンネットの縦3本プレスラインがシャープな印象を生み出し、大成功。ただし…(以下、あとの章で)

アンダーパワーが売り!?のシトロエンも、3リッターと日本製6速ATの組み合わせなら、実に力強い走りが得られる。かなり速いクルマだ。どんなシーンでもパワーが十分なシトロエンがこんなにいいとは。パワステは一瞬軽すぎると感じるが、走り出すと適度な重さが得られ、乗りこむほどにいい感じになってくる。滑らかなドライブトレイン、ロードノイズの少なさなど、サルーンとしてほぼ最高点をつけていい。

内装も試乗車がエクスクルーシブだったため、革の手触り、樹脂類の質感、控えめな木目パネルなど、不満のない上質感を持っていた。旧フラッグシップであったXMも室内はチープだったが、革内装のエクスクルーシブでは著しくランクアップ。価格は上がるが、この内装でないと、このクルマ本来の良さは半減してしまうだろう。後席の広さもフラッグシップにふさわしいものだ。

その独自の「乗り心地の素晴らしさ」は世の中で語り尽くされてきたもので、このC5でも「いうまでもない」が、路面の細かい凹凸を拾う癖が全く気にならないレベルで、今回は走行300㎞足らずの新車ながら、走り込んだ(馴染んだ)ハイドロの味をすでに持っていた。これは歴史50年にならんとするハイドロが、さすがにそろそろ安心して乗れる完成度になっている(はず、と注釈をつけなくてはならないのがシトロエンだが)ということだろう。保証が長いからハイドロの乗り味を安心して堪能できる。これまで乗った中で、最高点をつけられる「ハイドロ」シトロエンだ。

ここがダメ

ボンネットのプレスラインを生かしてグリルレスとし、そこへ大きめのダブルシェブロンを張り付けて欲しかった。しかしここにスリットを開けたためダブルシェブロンがダブルシェブロンに見えず、ただの隙間デザインに見える。スリットがエンジン上部に風を通すため必要となるのなら、せめてメッキの縁取りをやめればいい。とにかくダブルシェブロンだけをメッキで見せるべき。今後シトロエンは全てこの顔になってしまうらしいが、残念!

ハイデッキのため後方視界は良くない。音で障害物との間隔を知らせるパーキングセンサーの標準装備は有り難いが、リアビューカメラか何かで目視したいところ。ところがセンターコンソールのかなりのサイズを占めるオーディオ(CDもあって、音質的にも不満がない)は、インパネ上部のインフォメーション・ディスプレイ(ハイドロの車高確認のためにも必要)やハンドルレバーのスイッチに連動、さらに車速にまで連動しており、外すには忍びない。こうなるとモニターは一体どう付ければいいか悩むところ。2つの円をモチーフとしたインパネには平面がなく、円がクロスしたセンター部分のインフォメーションディスプレイは、目視できるままでなくてはならない。つまり事実上ディスプレイが取り付けられないこの状況は困った。

前席にドリンクホルダーがないこと。センターコンソールにあることはあるのだが、浅くて、細いドリンク缶などは急発進で倒れてしまいそう。リアにはアームレストにちゃんとあるのだが。また、燃費は特別悪くないが、良くもない。

総合評価

2003年にシトロエンは全世界で137万2000台を売っている。しかし日本ではわずか1736台(全車種合わせて。とはいえ前年比伸び率44%!)。翌年の2004年は年間2074台と日本では伸び率好調だが、それでもいかにも少ない。で、そのうちC5(旧型)は、10月までの数字でなんと238台。ライバルとなるメルセデスのEクラスは日本で年間1万3187台も売れているのだから、その余りの少なさに唖然とする。シトロエン・ジャポンは新型C5を2005年にこの倍売るもくろみのようだが、それでも500台ほど。2リッターは30代の子供のいない夫婦、3リッターは40代、50代のお金持ちをターゲットとしているのは同クラス他車と同じだが、年間250人もシトロエンマニアが果たして増えるだろうか。

とはいえハイドロシトロエン好きにとって、この少なさはある意味うれしい。やはりハイドロは特殊な「愛でるべき存在」なのだ。世界でこれしかなく、街でもまずすれ違うことはない。それでいて新型C5の完成度は高い。セダンとして申し分のないパッケージング(もちろん5ドアハッチであることもシトロエン好きの誇り)で、AFSまで装備されるユーティリティー装備の充実度も素晴らしい。シトロエンの発明であるハイドロと日本の技術である6ATが一緒になった理想のクルマだ。

XMもそうだったが、後期型(マイチェン後)のシトロエンは間違いなく完成度が高く、今回試乗してもそれを十分体感できた(試乗できてないが2.0リッターエンジン+AL4も良くなっているらしい)。この先、ハイドロが継続生産されていく保証はどこにもなく、一般的にマイチェン後2年がシトロエンのモデルチェンジサイクルだから、「今買わないと」と、気が焦る人も多いだろう(いや、多いわけないか)。とにかくかつてのハイドロオーナーは新型C5にぜひ試乗してもらいたい。

血液ドロドロの生活習慣病になっても、なかなか今の生活習慣から抜け出せないが、同様にハイドロのシトロエン病もドロ沼のビョーキ状態から抜け出せないひとが多い。ともにおいしい味(ハイドロはもちろん乗り味)がやめられないからで、久々にC5に乗ってビョーキが再発しそうなモーターデイズスタッフ(特に水野)であった。

試乗車スペック
シトロエン C5 V6 エクスクルーシブ
(3.0リッター・6AT・458万6000円)

●形式:GH-X3XFU●全長4740mm×全幅1780mm×全高1480mm●ホイールベース:2750mm●車重(車検証記載値):1560kg (F:1020+R:540)●乗車定員:5名●エンジン型式:XFU●2946cc・DOHC・4バルブ・V型6気筒・横置●210ps(152kW)/6000rpm、30.0kgm (285Nm)/3750rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L●10・15モード燃費:ーkm/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:215/55R16(MICHELIN Pirot PRIMACY)●価格:458万6000円(試乗車:同じ ※オプション:ー)●試乗距離:約120km ●車両協力:渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

公式サイト http://www.citroen.co.jp/products/c5/index.html

 
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