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シトロエン C4 2.0 エクスクルーシブ新車試乗記(第372回)

Citroen C4 2.0 Exclusive

(2.0L・4AT・299万円)

2005年07月02日

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キャラクター&開発コンセプト

非ハイドロのシトロエン

欧州では2004年11月、日本では2005年6月に発売された新型C4は、1991年登場のZX、その後のクサラを継ぐ「非ハイドロ」シトロエンだ。プラットフォームは同じPSAグループのプジョー307と共有する。世界的に成功したクサラだが、より個性的なシトロエンを望む声は本国でも強かったようで、新型C4にはいかにもそれらしい奇抜なスタイングが与えられた。ライバル車はVWゴルフ、ルノーメガーヌ、プジョー307といったCセグメントカーだ。

価格帯&グレード展開

5ドアと3ドアで、2つの個性

シトロエン流に「サルーン」と呼ぶ5ドアモデル、および「クーペ」と呼ぶ3ドアモデルがある(※一般的にはリアゲートがあるクルマをサルーン、クーペとは呼ばないが、サルーンでもリアゲートがつくのがシトロエンの伝統だ)。サルーンは「1.6」(239万5000円)、「2.0エクスクルーシブ」(299万円)の2モデル、クーペは「1.6 VTR」(237万5000円)と5MT車で180psエンジンの「2.0VTS」(319万円)の2モデルから成る。

オプションで専用開発のHDDナビシステム(33万9000円)、レザーシート(16~20万円)、パノラミックガラスサンルーフ(9万円)の用意がある。

パッケージング&スタイル

ユーロNCAP5つ星

ボディサイズは全長4260mm×全幅1775mm×全高1480mm。ホイールベースは2610mm。車台を共有する307より背は50mmほど低いが、サイズ的には近い。307同様、フロントフェンダーは樹脂、ボンネットはアルミ製だ。10年前まで5ナンバーが普通だったCセグメントも、今や1800mm近い全幅が当たり前。ユーロNCAPで37点満点中、35点の「5つ星」を獲得した。サルーンのCd値は0.29、クーペは0.28と、ハッチバックにしては空力も優れている。

違いはドアの数のみならず

カタログ上では全長が15mm長いだけの3ドアだが、Aピラーより後ろの外観デザインは全く異なる。クーペとサルーンのどっちが好きか周囲の人に尋ねると、意見が真っ二つに分かれるのが面白い。3ドアの外観はやがてWRC(世界ラリー選手権)の新型マシン「C4 WRC」に生かされるはず‥‥だったが、その後シトロエン/プジョーは2005年限りでWRCから撤退すると発表した。目下、現行のクサラWRCとエースドライバーのセバスチャン・ローブは連戦連勝中なのだが。

外光透過式センターメーターを採用

インテリアも個性的。ダッシュボード中央に突き出た、外光透過式のデジタルディスプレイ(速度、燃料、水温、トリップなど)がユニークだ。周囲が暗くなるとバックライトの照度が瞬時に高まり、常に見やすい状態を保つ。ユニークなアイディアをシンプルな仕組みとデザインで実現したのが偉い。視認性はまったく問題なく、助手席側からも見える。

回しても回らない!?「センターフィックス・ステアリング」

もう一つ面白いのがステアリングリムと連動しない固定式のステアリングパッド「センターフィックス・ステアリング」だ。CX等に採用されたサテライトスイッチがセンターパッドに移動したようなもので、車両設定やエアコン、オーディオ、クルーズコントロールのスイッチをおよそ16個(ホーンを1個と数えて)、ジョグダイアルを4つ、さらに液晶バーグラフのタコメーターを上部に備える。2日間程度の試乗では使いこなせなかったが、慣れれば便利かも。エアバッグが回転しないので、展開時の形状を最適化できる(オムスビ型になった)という効用がある。ただし、一般的な日本人サイズの手のひらだとステアリングを握ったままではスイッチに親指が届かない。

「香り」も標準装備

アロマのグッズはカー用品の定番だが、C4の「パルファム・エアフレッシュナー」はダッシュボードに専用カートリッジを差し込んで、エアコンの送風と連動するという凝ったもの。標準でバンブー、ミント&ムスク、バニラの3種類を装備。さらにオプションでラベンダーやジャスミンなど6種類を用意する。試乗車はバンブー(竹)の香りだった。「無香料」がいいなら、ブランクカートリッジを差し込んでおけばよい。

横方向、足元の空間は十分

腰掛けた瞬間のフロントシートの当たりは固め。ハンドルはチルト/テレスコ調整が可能なので、ポジションの自由度は高い。調整幅はわずかだが、ランバーサポートも備える。Aピラーがずいぶん寝ているが、圧迫感は特にない。リアシートのクッションもやはり固めで、背もたれも立ち気味。空間は十分だが、特にラグジュアリーではない。

使い勝手に優れる5ドア

通常時の容量は320Lと平均的で、拡大時は古典的なダブルファンクションで後席を畳む。日本では依然あまり人気のない5ドアハッチバックだが、リアゲートが切り立った通常のハッチバックより開口部が広く、家具のような大物も積みやすい。開け閉めも容易だ。欧州車といえば5ドアハッチバック、さらにシトロエンといえば5ドアハッチバックである。

基本性能&ドライブフィール

シトロエンらしさ濃厚

試乗したのはサルーンの2.0エクスクルーシブ(143ps、20.8kgm)。変速機はフランス車で定番のAL4、つまり4ATだ。エンジンは低回転からトルキーで、1320kg(カタログ値はなぜか1350kg)のボディを過不足なく引っ張る。一方、AL4の変速マナーは相変わらずで国産ATのようにスムーズではないが、シトロエンのキャラクターには合っている?とも言える。特にスポーティに走らせると呼吸が合い、セミAT(2ペダルMT)みたいなダイレクト感が楽しめる。ATモードでも、使用中のギアが「D1」(1速)、「D2」(2速)という具合にインジケーターに表示されるのは便利だ。

濃厚にシトロエンを感じるのはステアリングの反応だ。ちょっと切っただけでは反応しないが、ある程度切り込むと急に遊びがなくなってシャープになる。軽く踏み込むだけで効くカックンブレーキの癖も残っており(もちろん前後ディスクだが)、スムーズな停止には繊細なペダル操作が要求される。このあたりはシトロエン伝統の味付けであり、意図的にこうなっている、と考えるべきだろう。

あたりの固さはタイヤのせいか

乗り心地はシトロエンらしい、しなやかさが絶妙なもの。まるでハイドロのような乗り味だ。ただ、2.0エクスクルーシブに標準の205/50ZR17タイヤ(ミシュランのパイロット・エグザルト)そのものは、やや固めで期待される性格に合っていない。ボディ剛性が高く、遮音・防振対策は入念なので突き上げは気にならないが、一般道の荒れたところへ行くと小刻みな上下動が気になる。高速コーナーでは確かにドイツ車並みの安定感があるが、フランス車らしいソフト感の演出には不利なタイヤだ。シトロエンらしくインチダウンしたくなる。

よく動くAFS

嬉しいのは299万円で「バイキセノン・ディレクショナル・ヘッドライト」、いわゆるAFS(Adaptive Front-Lighting System)が標準装備であること。特に現行C5やこのC4のAFS(欧州大手部品メーカーのValeo製)は、内外の他メーカーのものに比べて明らかに光軸の左右の動きが派手だ。徐行程度でも作動するので、住宅街の裏道のような場所でも面白いようにブンブン動き、ちゃんと進行方向を照らしてくれる。さらにハイビームも動くのが国産車にはないところ。夜のワインディングでは絶大な効果がある。

最高速度206km/h

Cd値0.29の空力ボディや「ラミネーテッド・サイドウィンドウ」の採用で、高速走行時の静粛性はまずまず。サイドに合わせガラスを使うのは、防犯や安全面で高価格車で採用する例があるが、このクラスでは珍しい。タイヤの件もあってか、超高速域でのシトロエン独特の矢のような直進安定性、何よりゆったりとした乗り心地といった部分は薄味だった。同モデル(2.0i 16V Auto)のUK仕様から拾ったメーカー発表値の最高速度は206km/h。ついでにクーペの2.0i 16V(5MT、180ps)は227km/hだ。

ここがイイ

AFS、ESP、6エアバッグ、そして様々な未来的なデザインと装備が付くシトロエン車が299万円。同額の国産車で、これほど面白く「買った気がする」クルマがあるだろうか? クルマに趣味性を求める人にとって、これほどコストパフォーマンスが高いクルマもないと思う。横幅こそ広いが取り回しは悪くないし、中低速ではハイドロみたいだし、コーナーではシトロエン独自の、あまりロールせず4輪が張り付いたかのような感覚で曲がっていく。それでいてこのクルマは速いところが、新しい。試乗した2リッターなら動力性能にも不満はない。よく走り、よく曲がるシトロエンだ。

内外装のデザイン。ぱっと見た時のデザインはもちろん、メーター、ステアリングやシフトノブの形状まで、オリジナリティと工夫がいっぱい。もちろんこのデザインが気に入るかどうかは人それぞれ。個性的であることに重点を置くのであれば、かなり満足がいくはず。

シトロエン車はいまだ「変」だということ。グループのプジョーはもちろん、トヨタと接近している現在でも、ベーシックカーはまだしも上級車では「変」なクルマを作り続けている。これはもはやフランスの良心、いや民族主義だ。クルマがグローバリズム(いや今やジャパニズム)に飲み込まれていくなかで、あえて違う方向を模索する姿は立派。英語ではなくフランス語で作られたクルマという感じだ。北米で売られていないのは当然だろう。

ここがダメ

まったく性格に合っていない工場装着タイヤ。メディア向けの試乗会は富士スピードウェイやその周辺でやったようだが、そのための17インチタイヤか?と言いたくなる。 サイズダウンしてハイプロファイルのタイヤをはかせるべき。それでも粘りあるコーナリングは死なないはず。

あまりに進歩のないAL4。もうこのクラスは他の欧州車もすでに一定のレベルは超えている。自社にないなら、迷わずアイシンAW製にすべき。C5で採用したアイシンAWの6ATを載せてもいい。VWゴルフだってBMWの1シリーズだって、とっくに6ATなんだから。その方がマニュアルモードも生きる。また変速プログラムもまだかつての欧州車風。4速がオーバードライブ気味で、3速を妙に引っ張るのは少なくとも日本の道路事情向きではない。

音に関してだが、アイドリング時の車外エンジン音はディーゼルみたいだ。エアコンからヒューという変な音がするのも、室内が静かなだけに気になる(個体の問題か?)。

ドリンクホルダーがフロントに1個しかない。ここだけはグローバリズムに抗わず増やしてもらいたいところだ。小物入れはずいぶん増えたがコンビニフックはない。こういったユーティリティでは日本車にもっと学ぶべき。市販のナビをつけようにもディスプレイの適当な置き場所がどこにもない。しかも純正は33万9000円とかなり高い。

総合評価

横長の線が集まったインパネ素材の不思議なシボ、回らないステアリングパッド、ダッシュやコラムにちょこんと置かれたデジタルメーター類、そして変な臭い(苦笑)。乗車すればシトロエンマニアが使う言葉「変態度」の高さがいきなりガツーンと来る。走り出せばこれがバネサスとは思えない、ゆるゆるとした乗り心地。そのゆるい乗り味に合わないタイヤの硬さが即、実感できる。ああ、これぞまさにシトロエン。ドイツ車みたいな乗り味だった307と同じ車台を使っているとは思えないこの味付けを、シトロエンはおそらく確信犯的に行っている。なぜならC4の価格帯なら、欧州ではある程度年長の人が買うはずで、つまり長年のシトロエンユーザー&ファンが買うクルマであるはずだからだ。そうしたシトロエンファンががっかりしない味付けを意図的にやってあるということだろう。むろん日本の好き者も満足できる。

反面、いつものことだが、助手席ダッシュのエアバッグの埋まっているラインが浮き出ていたり、ドアの閉める音が妙にバシャっと安っぽかったり、前述のとおりATのしつけがかなり問題だったりと、100%不満なしではいられない、といったあたりもシトロエンらしい。そういえばシフトレバーのグリップもおむすび型で他では見たことのないものだ。左右のエアコン吹き出し口の下は普通ならカップホルダーだが、ただの物入れだし、シートの間にある唯一のカップホルダーも浅くて飲み物が倒れそう(ペットボトルの場合はぎゅっと押し込むと太さ的にちょうど固定できるが、これは意図したものではないだろう)などなど楽しませて?くれる。

メッキのダブルシェブロン横伸ばしフロントグリルは相当エグいが、C5マイチェン時より違和感が少ないのは専用設計のためだろう。特にグリル下のエアダクト造形まで含めた全体の厳つい顔付きには、往年のアミ6あたりの顔との共通点を感じてしまう。3ドアクーペはリアの造形がクリフカット風だし、このあたりもアミ6みたい。デザイナーは絶対意識しているはずだ。

かようにシトロエンらしさ全開のC4は日本のシトロエン好きの琴線に触れる。プジョーのように婦女子に受けるとはとても思えないが、「クサラではちょい不満、エグザンティアのユーズドも程度のいいものは少なくなってきたし」、というシトロエンファンにはとても気になるクルマだろう。何しろ金属バネでシトロエンの味が出せているのだから。ハイドロじゃなくても胸が張れるシトロエンだ。

こうなるとスタイリッシュなブレークの登場を期待したいところ。この出来でブレークなら日本でも相当売れるはず。現状はサルーンよりクーペがカッコいいと思うが、4ドアクーペ風のワゴンにしてくれたら、と願わずにいられない。

試乗車スペック
シトロエン C4 2.0 エクスクルーシブ
(2.0リッター・4AT・299万円)

●形式:GH-B5RFJ●全長4260mm×全幅1775mm×全高1480mm●ホイールベース:2610mm●車重(車検証記載値):1320kg (F:840+R:480)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:RFJ●1997cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置●143ps(103kW)/6000rpm、20.8kgm (200Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L●10・15モード燃費:-km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:205/50ZR17(MICHELIN Pirot Exalto) ●価格:299万円(試乗車 299万6300円 ※オプション:フロアマット 6300円)●試乗距離:約220km ●車両協力:渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

公式サイト http://www.citroen.co.jp/products/c4/index.html

 
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