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シトロエン C3 プルリエル新車試乗記(第378回)

Citroen C3 Pluriel

(1.6L・5速セミAT・279万円)

2005年08月06日

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キャラクター&開発コンセプト

1台で5通り楽しめる

「プルリエル(Pluriel)」とはフランス語で「複数」の意味。脱着可能なルーフ構造で、カブリオレ(4人乗りオープンカー)やピックアップトラックなど、1台で5つのスタイルに変身するのが特徴だ。欧州では2003年4月、日本では05年4月に発売された。右の画像は2003年の東京モーターショーのものだ。

車台はC3やC2と共通の「プラットフォーム1」だが、ボディ外板はすべて別物。ライト類や内装パーツの一部も専用パーツだ。ベースのC3シリーズはデビューしてからこの3年間で、全世界(シトロエンが展開しない北米を除く)の販売台数が100万台を突破した人気車。日本ではまだ累計2500台に過ぎないが、西ヨーロッパでは26万7000台と100倍以上のボリュームで売れている。

価格帯&グレード展開

5速セミATで279万円

右ハンドルのセンソドライブ(5速セミAT)仕様のみで、価格は279万円。メーカーオプションでレザーシート(12万6000円)が選べる。ボディカラーは全部で10色。あえてライバルを挙げれば、同じPSAグループ内のプジョー206CC(265万円~)、MINIコンバーチブル(282万4500円~)、ニュービートルカブリオレ(313万9500円~)といったところだ。

パッケージング&スタイル

地上に降りてきたショーモデル

ボディサイズ(カッコ内はC3比)は全長3935mm(+85)×全幅1710mm(+40)×全高1560mm(-20)。C3より一回り大きく、5ナンバー幅を少し越える。全幅がワイドなのは、ドア中央部が膨らんだボディスタイル(タンブルフォーム)とオーバーフェンダーのせいだ。全長と全幅だけなら、近く発売される3代目マツダ・ロードスター(3995mm×1720mm×1245mm)に近い(全然関係ないが)。

ちゃんとC3ファミリーの顔なのに、デザインはスペシャル感いっぱいの浮世離れしたものだ。ショーモデルがそのまま地上に降りて来たみたい。C3と違ってグリルレスのボンネット、気泡入りガラス製品みたいなリアコンビランプ、絶妙なカーブを描く「サイドアーチ」など、市販化のために妥協した部分が見当たらない。試乗車のボディカラーはブル-パナマ。サイドの車名ステッカーは販促用のもので、オプションではない。

ボディ同色パネルが楽しい

ダッシュボードや計器類、操作系はC3そのものだが、フィアット・バルケッタのようなボディ同色の樹脂パネルがイイ感じ。室内側ドアハンドルには手作り風?のレザーカバーがベルクロテープで止めてある。シート素材はプジョー206RCにも使われる「アピキュラ」というメッシュ素材だ。

このサイズでフル4シーター

2460mmのホイールベースは普通のC3と同じで、後席には大人が2人ちゃんと座れる。一般的なカブリオレだと、幌を収納するため後席スペースや背もたれ角度が犠牲になり、後席は「荷物置き」になりがちだが、C3プルリエルはキャンバストップ式を採用したことで、それを免れている。荷室容量も266L(通常時)とこのジャンルとしてはまずまず。背もたれを分割シングルフォールディングで倒すことも出来る。

電動ソフトトップを開けて

さて、次は得意技の「変身」だ。まず天井のダイアルスイッチで電動ソフトトップをルーフ後端まで畳む。この「パノラミックサルーン」状態はデミオなどのキャンバストップ車と同様、外から見るより開放感が高く、おそらく気候の変化が激しい日本では、この状態が一番使いやすい。多少の耐候性や「守られ感」が欲しい道路環境では、これで十分とも言えるだろう。ちなみに電動ソフトトップは多層構造で、洗車機もOKだという。

さらにルーフカセットを収納(難易度・中)

難しいのはソフトトップとリアウインドウを荷室に収納して「カブリオレ」にするところだ。その手順は、

1.電動ソフトトップをリアウインドウと重なる位置まで電動で下げる。
2.電磁スイッチを押してロック解除し、リアウインドウをソフトトップごと跳ね上げる。
3.下開きのテールゲートを開ける。
4.荷室のフロアボードを外す。
5.リアウインドウを元に戻す。
6.さっきとは別の電磁スイッチを押して、ルーフカセット(リアウインドウ+ソフトトップ)を少し上げる。
7.ルーフカセットを反転させて荷室底に収納。
8.フロアボードを戻す。
9.テールゲートを閉める。

これで「カブリオレ」になるが、実はこれを元に戻す手順、つまり「カブリオレ」→「パノラミックサルーン」で何度かてこずってしまった。コツさえつかめば造作ないと思うが、慣れていないとそうとう焦る。

サイドアーチを外す(難易度・高)

ということで、ここから先、サイドアーチを外した「スパイダー」は試していない。さらにリアゲートを倒した「スパイダーピックアップ」も同様に試さず(日本の道交法では走行不可)。なにしろ片側12kgのサイドアーチは2ヵ所のロックを外せば外れるが、持った時のバランスが不安定で、脱着の際に落としたり、ボディに当てたりしそうだからだ。せめて二人がかりで作業を行ないたい。しかも取り外したサイドアーチは車内に収納場所がなく、ガレージ等での保管となる。南仏の別荘地でビーチカーとして使う時はどうぞ、ということだ。

基本性能&ドライブフィール

予想を上回る剛性感

車台と駆動系を共有するので、運転感覚はセンソドライブのC3とほぼ同じ。車重は1210kgとC3より120~130kgほど重いが、これは主にボディ補強によるもの。サイドシル断面をC3より幅広い15cmにアップしたほか(敷居がかなり高くなった)、フロア後半やBピラー下部にもボックス型のサブフレームを追加してある。おかげでボディ構造から想像するより剛性感はずっと高く、特にフロア剛性はがっちりしている。サイドアーチも2ヵ所だけで止まってるわりにガタピシしない。

小気味よい走り

走りもなかなかスムーズだ。1.6リッター(110ps、15.3kg-m)と5速セミATの組み合わせは街乗りに最適で、ストレスもたまらない。パドルシフトでマニュアルシフトしたり、「AUTO」モードで気楽に走ったりと、どんな走りにも小気味よく応えてくれる。クリープはないが、すぐに慣れる。

C3の60扁平から65になった分、185/65R15タイヤは大径になって接地感は十分。車重も増えて乗り心地は良い。サスペンションもしっかりしている。フロントサスはC3とほぼ同じで、リアはプルリエル専用にフレキシブル・トランスバースビーム、小型のショックアブソーバー、大径のアンチロールバーを採用したという。オーバースピード気味にコーナーに入っても、安定したアンダーステアとロール角度を維持して軽快に曲がって行く。

電動ソフトトップを開けて

といった具合に走りのバランスは優等生だけに、ルーフはぜひ開けて走りたい。先に書いたように電動ソフトトップを開けるだけで、開放感は手軽に味わえる。また、フロントガラス上部のデフレクターがバネ仕掛けで立ち上がり、不快な巻き込みを防いでくれる。ルーフカセットを収納した「カブリオレ」でも走ったが、この場合はサイドウインドウ全開だと(Bピラーレスなのでカッコいい)、風の巻き込みが一般的なカブリオレ並みに激しくなる。

高速道路でも快適

高速道路でも欧州車らしく安定して走ってくれる。UK仕様(おそらくエアコン未装備)のメーカー発表値は最高速度:188km/h、0-100km/h加速:11.6秒。意外にもC3の1.6(192km/h、11.9秒)より加速がいいのは、最終減速比が8%ほどローギアード(タイヤの大径化を差し引いて実質5%くらい)だからだろうか。

ここがイイ

パワー的にもそんなに不満はないし、なにより意外なほどちゃんと走る。リアが重くなったせいか、前後のバランスもいい感じで、なんともコーナリングが楽しい。同様に重くなったせいか、乗り心地には柔らかなシトロエンらしさが増している。運転して楽しい自動車にきちんと仕上がっている。

いろいろ楽しい天井の仕掛けは、「遊び心」を買いたいところ。フロントウインドウが頭上にあまりせり出してこない分、オープン時の開放感があるし、スチールトップとかの大仕掛けでない分、4人がちゃんと乗れるのも嬉しい。

スタイリング的にはフロントマスクがC3よりシンプルで、個性的で、キュートで、すごくいい。C3もこのグリルレスタイプの顔だったらもっと売れるだろう。ユーロNCAPで4つ星を取っている安全性もいいところ。

ここがダメ

一人での取り外しを断念したサイドアーチは、もう少し軽量にするか、あるいはバランスのいいところに取っ手をつけるとかの工夫が欲しい。いっそサイドアーチ固定バージョンがあってもいいかも。

総合評価

乗り手がオープンをどれくらい必要としているかが、このクルマの評価を分けるのでは。つまり「気が向いたらいつでもフルオープン」を必要としている人には辛いクルマだが、時々オープン感覚を味わいたいという程度であれば、おすすめできる。逆に、常にオープンで、雨の降りそうなときは絶対に乗らない(当然屋根付、カギ付ガレージ所有)という人にもいいかも。その場合は「降水確率0%の日(しかも春・秋)にオシャレに決めるためのクルマ」だ。

というファンカーではあるが、実はこのクルマ、名車2CVの現代版といってもいい。屋根の開き方は、一番初期(トランクリッドまでキャンバス製)の2CVを彷彿とさせる。トラックになるというあたりも初期2CV風。C3は当初からかなり2CVを意識したクルマだったが、屋根を開けたことで、いよいよ完全に2CVになった。2CVはキャンバス屋根をクルクル丸めて開けたが、プルリエルも同様。リア部分がトラックみたいに使えるってあたりも、まさに2CV。メタルトップとか、もっといいオープンのやり方はあるのに、あえてこういう方式にしたのは2CVを現代に甦らせたいというシトロエンの意志が感じられる。合理性を優先させず、先にコンセプトがあってそれを無理矢理成立させてしまうあたりは、まさにシトロエンの面目躍如だ。

ということで現代に甦った2CV=プルリエルだが、道具としてガシガシ使う(トラックモードがあるくらいだから)というにはちょっと高価。2CVと違って一見、高級車然としているのが残念。毎日の足としてガシガシ使え、たまにはオープン時に雨に降られて室内が濡れたってかまわないような、そんな廉価版も出て欲しいもの(10年後くらいの中古車のプルリエルがそんなスタンスか)。2CVベースで1968年から20年近く作られたメアリ(メハリ)みたいな、気軽なお遊びクルマバージョンの登場を期待したい。ちなみに本国には1.4リッター廉価バージョンがあるようだが、パワー的にはやはり1.6リッターくらいが下限だろう。


試乗車スペック
シトロエン C3 プルリエル
(1.6リッター・5速セミAT・279万円)

●形式:GH-A42NFU●全長3935mm×全幅1710mm×全高1560mm●ホイールベース:2460mm●車重(車検証記載値):1210kg (F:720+R:490)●乗車定員:4名 ●エンジン型式:NFU●1587cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置●110ps(80kW)/5800rpm、15.3kgm (147Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/47L●10・15モード燃費:-km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:185/65R15(MICHELIN ENERGY XSE) ●価格:279万円(試乗車 279万円 ※オプション:-)●試乗距離:約130km ●車両協力:渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

公式サイトhttp://www.citroen.co.jp/products/pluriel/index.html

 
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