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プジョー 207 シエロ新車試乗記(第463回)

Peugeot 207 Cielo

(1.6L・4AT・264万円)

ターボに続き、
本命となる4ATモデルに試乗。
スタイル以上に進化した、その敏捷な走りをリポート!

2007年05月25日

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キャラクター&開発コンセプト

大ヒット作206の後継モデル

累計600万台の大ヒットとなった206の後継車が、新型207だ。日本では07年3月に1.6リッターターボ+5MTの「GT」から発売されたが、販売の主力は言うまでもなく今回試乗した1.6リッターNA(自然吸気)+4ATモデルだ。こちらはゴールデンウイーク明けの5月7日から発売された。

シリーズ全体に関しては先回のプジョー207GT試乗記も参考にしていただくとして、今回の自然吸気エンジン車に限った特徴は、まずエンジンがBMW MINIの第2世代(R56型)と同じ「バブルトロニック」となったこと。一方で、ATはMINIが搭載するアイシンAW製6ATではなく、フランス車で定番の4AT(AL4型)となっている。07年度の日本国内の目標台数は207全体で5200台だ。

価格帯&グレード展開

AT車は1.6リッターの5ドアのみ

今のところ日本仕様は以下の3グレード。今回試乗したのは、4AT車の上級グレードである「207 シエロ」。非開閉式の大型サンルーフ(パノラミック・ガラスルーフ)から「Cielo」(イタリア語で「空」)が見えるというモデルだ。標準車との差額は25万円だが、その内容はガラスルーフ、ステアリング連動のコーナリングランプ、レザーコンビシート、自動防眩ミラー、パフュームディフュ-ザー(カートリッジ式の香り発生器)、バックソナーなど多数ある(アルミホイールは全車標準)。さらに+15万円でフルレザーシートになり、フランス車お得意の「小さな高級車」となる。

207(5ドア) 1.6L直4(120ps、16.3kgm)+4AT 239万円
207 シエロ(5ドア) 264万円 ※レザー仕様:279万円
207 GT(3ドア) 1.6L直4ターボ(150ps、24.5kgm)+5MT 264万円

★今回の試乗車

パッケージング&スタイル

全長4メートル超、幅は1750mmの3ナンバー幅に

ターボの3ドア車と外寸は同じ。ボディサイズ(先代206比)は全長4030(+195)×全幅1750(+80)×全高1470mm(+30)。ホイールベースは2540mm(+100)。90年代にプジョーのCセグメントカーだった306よりも大きいが、キャビン部分が小さいので印象としては小さく見える。

206は狭いトレッドとボディ下部の絞り込みが可愛らしさの秘密だったが、207は全幅をフルに生かしたワイドトレッドで、安定感のある台形スタイルとなっている。アゴを突き出したフロントバンパーがいい例だ。イメージ的には2世代ほど前のWRC用ラリーマシン「206WRC」を思わせる。プジョーと言えばピニンファリーナとの関わりが深いが、今回の207のデザインには絡んでいないようだ。

プラスアルファの装備

運転席からの眺めはGTとほとんど同じ。サポートの深いレザー&ファブリックのスポーツシートもほとんど同じものだ。左右独立式のオートエアコン、オートライト、オートワイパー、6エアバッグは全車共通。狭いところでもドアを開けやすいのは、5ドアゆえのメリットだ。ドアは「バシャン」と独特の音で閉まる。

細かいところで気になったのは、ハンドブレーキ後方にドリンクホルダーがあるのに、シエロに標準装備のアームレストが邪魔をして大型のドリンクが置けないこと。位置的にも前・後席兼用みたいな場所で、使いにくい。ドリンクホルダー必須派はチェックされたい。

名前の由来であるガラス天井

パノラミックサンルーフは、室内側の実測で長さ約79cm×幅約77cmほどのガラス天井。普通のサンルーフと異なり、前席でも空の眺めが楽しめる。固定式ゆえオープンエアは味わえないが、有効面積が広いのでサンルーフより視界はだんぜん広い。可視光線透過率は21%、赤外線は14%、紫外線は1%未満らしいが、実際のところ直射日光は暑い。が、それならば手動でシェイドを閉めればいい。運転中だと一番後ろまで手が届かないが、停止中に背もたれを倒せば(ダイアル式ではなく、ワンタッチで倒れる)ちゃんと届く。ここから青空を見たら最後、欲しくなる装備だ。

フレンチな座り心地の後席

クッションが分厚くてソフトなリアシート。最近は収納性を優先して、座り心地を犠牲にしたリアシートが少なくないが、207のものはちゃんとフランス車している。身長の高い男性はルーフの低さや絞り込み、背もたれの低さが気になるかもしれないが、ヘッドルームを稼ぐため座面を低くしたものより、ちゃんとした姿勢がとれるし見晴らしもいい。

中央席は短時間ならOKだが、2:1分割のせいか座面クッションの硬度が左右非対称で、少々収まりが良くない。それでもちゃんと3人分の3点式シートベルトとフォースリミッター機構を備えるところが欧州車らしい。

フルサイズのスペアタイヤを収納

トランク容量は3ドアも5ドアも同じ270L。ダブルフォールディングで後席を畳めば、完全にフラットではないが、奥行きは130cmまで拡がる。ヘッドレストを付けたまま軽い力で操作できるのがいい。床下に16インチのフルサイズスペアタイヤと鉄ホイールを収納。

基本性能&ドライブフィール

低回転から力のあるバルブトロニック

1.6リッター自然吸気エンジン(120ps、16.3kgm)は、GT用の直噴ターボ(150ps、24.5kgm)と比べて、排気量(1598cc)も、ボア×ストローク(77.0×85.8mm)も、圧縮比(10.5)も同じ。ただし、こちらはBMW独創のバルブトロニックとなる。これによりスロットルバタフライが不要となり、スロットル開度の低い状態でのポンピングロスが低減され、低回転での柔軟性や燃費性能が強化されている。

そうは言ってもターボより非力なのは仕方ない、と思っていたが、実際の走りはなかなか活発だ。アクセルを踏む度にガツンとレスポンスし、Dポジションでもまるでマニュアルモードのようにキビキビと走る。

高めの回転を維持するAL4

これには、4AT(AL4型)のギアリングや独特の変速プログラムの要素も大きい。従来のAL4同様、学習機能のおかげもあって、高めの回転を維持する傾向が強まると70km/hくらいではなかなか4速トップに入らなくなる。街中では2500から3000回転くらい回ってるのが普通だ。

強めの制動時にシフトダウンしてエンジンブレーキを「かけてくれる」のも従来通り。低回転を維持しようとする国産車のCVTやトゥーランの燃費重視型DSGとはかなり性格が異なる。

それはシフトレバーを+-のシーケンシャルで動かすマニュアルモードでも同じ。自動シフトアップはするものの、4速へのシフトアップはなかなか受け付けてくれない。ちなみにこのATシフトゲートは左ハンドル用と同じで、マニュアルモードは運転席側へではなく、通常とは逆に助手席側に倒して行なう。少々慣れが必要だが、ジグザグゲート式なので誤まってN(ニュートラル)に入れてしまうことはない。いずれにしろ4速しかないし、Dでもこれだけスポーティなので(さらにスポーツモードのDSもある)、マニュアルモードに入れる意味はあまりないが。

飛ばせば飛ばすほど

207の実力は郊外の山道へ行くとよく分かる。簡単に言ってターボ・5MTのGTでも、この自然吸気・4ATモデルでも、基本的なシャシー性能はほとんど同じ。むしろ非力な4ATの方が、シャシー性能の底なしぶりをイージーに味わえる。120psをフルに使い切って2速、3速全開でコーナーに入れば、GTのタイヤ(205/45R17)よりワンサイズ小さい195/55R16タイヤが音を上げつつ、しかし狙ったラインをトレースし続ける。実はステアリングをこじればアンダーステア、オーバースピード気味なら後輪からドリフトアウトするところを、ESP(完全カットオフ不可)のスロットル/ブレーキ制御が黒子のように介入して救っている。ESPが介入しても警告音は出ないが、インパネに小さく作動表示が出るほか、場合によってはブレーキペダルに反力が伝わってくるのでそれと分かる。

なお、夜間はかなり緩い曲率のコーナーでも、車速&ステアリング舵角連動のコーナリングランプがコーナー内側を照らしてくれる。AFS(光軸可変式ヘッドライト)の普及版といった感じだが、機能的にはそれと遜色ないもの。街中の交差点でもこれは簡単に体感できる。

4ATゆえか燃費は伸びず

100km/h巡航は約2900回転弱。エンジンの力強さは十分にあるので、もう1段高いギアがあっても良いと思える。UK仕様の最高速は196km/h(122mile/h)。欧州の5MT仕様より約5km/h遅いだけだが、0-100km/h加速は5MTの10.7秒に対して12.7秒と差が付いている。

10・15モード燃費は11.6km/Lで、今回140km試乗した際の参考燃費は車載燃費計で7.2km/L、使用燃料(約20リッター)で割った数字でもほぼ同様だった。撮影やワインディング走行を含むので、一般的な状況ではもう少し良いと思われる。ちなみにGTの10・15モードは12.6km/L、当試乗記の参考燃費は約9km/Lだった。

ここがイイ

敏捷な猫科を思わせる、驚くほど活発なエンジン。ワインディングでの楽しさ。静粛性の高さ、変速ショックの少ない4AT。

以下は207GTと同じ。カッコいいエクステリアデザイン、質感の高いインテリア、ユーロNCAPで5つ星の衝突安全性、ステアリング舵角と速度に連動するコーナリングランプ、社外ナビを後付けしやすい2DINのオーディオスペースなど。

ここがダメ

実燃費でやや不利な4AT。そもそも同じバルブトロニック・エンジンの現行MINIクーパーはアイシンAWの6ATなのだから、この207にもそれが欲しい。PSA(プジョー・シトロエン・グループ)はすでに407やシトロエンC5/C6でアイシンの6ATを採用しており、取り引き実績は十分にある。エンジンルームのスペースの問題で載らないとも思えないが。ひょっとして順番としては307やC4が先ということか?

207に限った話ではないが、1750mmの全幅はやはり辛いところ。輸入車とはいえ特に都会に住む人(オーナーは女性も多いだろう)が生活の足とするコンパクトカーとしては、もうちょっと狭い方がいい。立体駐車場ではギリギリ感あり。サイズ的には日本に輸入されていない107が理想的なのだが。

総合評価

GT同様にかっこいいデザインを愛でながら乗り込むと、シートがスポーティに体を包む。街乗りなら、もう少しフラットな形状の方が乗り降りしやすいが、むろん走り出せばこういったシートの方がいいに決まっている。シートリフターの調節幅は大きいので、ドライビングポジションは決めやすい。ただもう少し膝下の部分を下げたいと思うが、そこまでは要求しすぎか。欧州車らしく、そこそこの体格の人がきちんと座って長時間走ると、このシートはすごくいいという印象になるはずだ。MTでは気になったペダルのセンターオフセットも、ATなら気にならないレベル。逆に左にやや寄っている分、左足ブレーキしやすいのがいい。

前述してきたように4速ギアでは役不足に思える。特に欧州車らしく高速巡航しようと思うと、エンジン回転が相当に高まり、バルブトロニックといえども燃費には不利だろう。とはいえ日本の高速道路事情なら特に不満がないとも言える。騒音対策はかなりしっかりしてあるから、100㎞/h巡航なら回転が少々高くてもうるさいといった不満はないし、エンジンに力強さがあるから走っている実感はたっぷり感じられる。眠くなるような巡航ではない。そこがいい。

高速を下りてワインディングに持って行くと「これはおもしろい!」と思わず声に出るだろう。ギアが少ない分、変速というよりハンドリングを楽しめる。2速、3速を切り替えながら走れるような速度域なら、そう恐い思いをせずに思い切り走れるのだ。回頭性はとても高いし、足はしなやかだし、上手い人のためのクルマじゃなく、そこそこの人のためのエンターテイメントマシンだ。GTは乗り手を選ぶが、こちらは誰でもOK。

206の初期モデルや古くからのフランス車では、60km/hを越えたあたりで3速、4速が変速ショックを伴って切り替わり、あまりいい印象を受けなかったものだが、207にはそれがない。変速はごくスムーズだから、意識しなければどのギアに入っていようと何ら不満はないはずだ。プジョーの場合70km/hあたりまで4速にアップしないのは、もはや確信的にやっているのだろう。メーカーがこれでいいとしているのだから、それを受け入れるか否かという問題であり、これにダメ出しはできない。このクルマの場合、年間走行距離が1万kmにも満たない人が多いはずだが、それくらいの使用であれば燃費への影響もそう気にしなくてもいいのではと思う。

GTの時にも書いたが、ディーゼルエンジンとMTの組み合わせが小型車の207にとってはスタンダードなのだろう。ガソリンエンジンとATの組み合わせはイレギュラーな仕様。日本ではディーゼルもMTも売れないから仕方ないし、さらに右ハンドルでないとダメ。そういう三重苦を背負った中で、先代より格段に進歩したニューモデルだ。

試乗車スペック
プジョー 207 シエロ
(1.6L・4AT・264万円)

●形式:ABA-A75FW ●全長4030mm×全幅1750mm×全高1470mm ●ホイールベース:2540mm●車重(車検証記載値):1280kg(810+470)●乗車定員:5 名●エンジン型式:5FW ● 1598cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 120ps(88kW)/6000rpm、16.3 kg-m (160Nm)/ 4250rpm ●カム駆動:チェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50 L ●10・15モード燃費:11.6 km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:195/55R16(Continental ContiPremiumContact2) ●試乗車価格:264万円( 含むオプション:なし ) ●試乗距離:140km ●試乗日:2007年5月 ●車両協力:株式会社ホワイトハウス プジョー名東

 
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