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プジョー 208 アリュール新車試乗記(第682回)

Peugeot 208 Allure

(1.2リッター直3・5MT・199万円)

もう4気筒なんて要らない!?
常識をくつがえす
スモールプジョーに驚く!

2013年01月11日

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キャラクター&開発コンセプト

ボディをコンパクト化。1.2リッター3気筒エンジンも設定


新型プジョー 208
(photo:PCJ)

プジョー 208は、同社では代々Bセグメントカーを意味する「200番台」シリーズの最新モデル。207の後継として、欧州では2012年にデビュー。日本では同年9月20日に発表、11月1日に発売された。

「リ・ジェネレーション(Re-Generation)」をコンセプトに、まったく新しい価値観を表現したという新型208は、伸びやかでスポーティなスタイリングが特徴だった207に対して、フロントオーバーハングをバッサリと切り詰めた、凝縮感あるデザインを採用。シャシーは207と同じ「プラットフォーム1」を継続して使うものの、ボディサイズのコンパクト化と約100kgに及ぶ軽量化を実施している。

パワートレインに関しては、従来の1.6リッター直4に加えて、新開発の1.2リッター3気筒エンジンを採用。この3気筒エンジンは今のところ3ドアの5MTでしか選べないが、最新のトレンドであるダウンサイジング(排気量縮小)とリデュースシリンダー(気筒数削減)を行なっている。


■過去の新車試乗記(プジョー 206、207シリーズ)
プジョー 207 SW (2008年6月更新)
プジョー 207 シエロ (2007年5月更新)
プジョー 207 GT (2007年4月更新)
プジョー 206 (1999年5月更新)

価格帯&グレード展開

3ドア・3気筒・5MTモデルは199万円


ボディカラーは白黒から、暖色、寒色まで多彩な全7色を用意。写真はシエロのブロッサムグレー(photo:PCJ)

日本仕様はとりあえず計4グレード。内容的にはエンジンが3種類(1.2リッター3気筒、1.6リッター4気筒、同ターボ)、ボディが2種類(3ドアと5ドア)、トランスミッションが3種類(5MT、6MT、4AT)と多彩。中でも3ドア、3気筒、5MTというマイナー要素の結晶ともいうべき「アリュール」はマニア注目のモデル。ただし2013年には、5速セミAT仕様も導入される模様。また、人気のパノラミックグラスルーフ仕様「シエロ」も用意される。


■208 Allure (3ドア)  1199cc・3気筒(82ps)+5MT     199万円  ★今回の試乗車

■208 Premium (5ドア)  1598cc・4気筒(120ps)+4AT   216万円
■208 Cielo (5ドア)   1598cc・4気筒(120ps)+4AT     240万円

■208 GT (3ドア)  1598cc・4気筒ターボ(156ps)+6MT 258万円

パッケージング&スタイル

スポーティからオシャレ系に変身。フロントオーバーハングを75mm削減

ガラっと変わったという印象のエクステリア。クーペのようなスタイリングが特徴だった先代207に対して、208は全体から細部まで表現が柔和になり、丸みを帯びた形状に変化。フロントグリルも508に続いてフローティンググリルと呼ばれる上品で繊細なものになった。ポジションランプやテールランプには採用されたLEDチューブも印象的。

 

試乗車は3ドア・5MTのアリュール。色はビアンカ・ホワイト

ボディサイズ(先代比)は全長3960mm(-85)×全幅1740mm(-10)×全高1470mm(同)。ホイールベースは2540mmのまま変わらないが、全長が85mmも短くなった。その縮小分のうち、フロントオーバーハングが75mmを占める。

相変わらず全幅は3ナンバーサイズだが、全長が4メートルを切ったことで気分的に気楽になる人は多いはず。これで税金などが安くなるわけではないが、少なくとも日本ではフェリー料金(1メートル単位で変わることが多い)が安くなる可能性が高い。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) ホイールベース(mm)
VW up! 3545 1650 1495 2420
MINI クーパー 3740 1685 1430 2465
プジョー 208   3960 1740 1470 2540
VW ポロ 3995 1685 1475 2470
トヨタ アクア 3995 1695 1445 2550
日産 ノート 4100 1695 1525 2600
 

インテリア&ラゲッジスペース

小径楕円ステアリングを採用


メーターは超小径ステアリングの上から見ることになる

インテリアは、エクステリア以上に大変身。まず、運転しようとして戸惑うのが、ステアリングの位置。208ではかなり超小径の楕円ステアリングが採用され、その上からメーターを見る形になる。この方式の場合、普通はセンターメーターになるが(トヨタ車に多い)、208のメーターは運転席の正面。このため、ステアリング(チルト・テレスコ付)はなるべく下にし、シートは少し高め、というポジションを取ることになる。プレスリリースに「これまでの常識とはかけ離れた光景に驚かされることでしょう」とある通り、最初は少々戸惑う。プジョーによれば、このレイアウトはヘッドアップ・ディスプレイをヒントにしたものとのこと。

7インチタッチスクリーンは全車標準


これは左のボタンを押すと表示されるメニュー画面。タッチ操作への反応は上々

もう一つ、目を引くのが、199万円のアリュールにも標準装備される7インチタッチスクリーン(解像度800×480)。トリップコンピューターの情報(平均燃費など)を表示するほか、AM/FMラジオ、そしてUSBで接続された音楽データの再生等もタッチ操作で行える(CDプレーヤーはない)。スクリーン自体の位置も、見やすくて操作しやすいところにあり、タッチパネルの反応もまずまずと、操作性は悪くない。また運転中にも操作出来るように、表示切り替えや音量調整などは、ステアリングスイッチでも可能になっている。

また、相変わらず安全装備も充実している。エアバッグは計6個を標準装備し、ドア内には頑強なビームも装備。2012年のユーロNCAPでは最高評価の5つ星を獲得している。

 

後席の乗り降りは3ドアゆえ若干面倒だが、座り心地は良く、かなり快適。後席ニ―ルームは207比で50mm増しとのこと。

シートの作りはさすがフランス車。アリュールはテックレザーと呼ばれる合皮とのコンビで、シート地のセンスもイイ
 

荷室容量は285リッターを確保(207より15リッター増)。最大拡大時は1076リッター。床下にはフルサイズのスペアタイヤを搭載する
 

基本性能&ドライブフィール

非力だけど、静か、スムーズ、トルクフル。そして懐かしい


新開発の1.2リッター3気筒エンジン。ノイズ・振動対策として、逆位相で回転するバランサーシャフトを採用。樹脂製インテークの冷却フィン?が面白い

試乗したのは1.2リッター3気筒エンジンと5MTを組み合わせた「アリュール」(199万円)。エントリーグレードとは思えない質感に驚きながらエンジンを掛けると、今度は3気筒は思えない、アイドリング時の静かさに驚く。

実際のところは、車外に出て確認すると、エンジン本体からは3気筒らしいメカニカルノイズが出ているし、マフラーからも大粒の排気音が聞こえるが、それらは車内ではほぼ完全に遮断されている。3気筒の振動に対してネガティブなイメージがある人でも、まず気にならないはず。少なくとも不快ではない。

クラッチペダルのミートポイントが高めで、いつまでも繋がらない感じに戸惑いながらも、ヌルリと発進。とても粘りのあるエンジンで、エンストはまずしないが、発進にはちょっと慣れが要るかも。また、ESPは標準装備されているがヒルホルダーはないので、坂道発進では昔ながらのコツが必要になる。

 

いったん動き出してしまえば、後はスムーズ。低回転では4気筒のように滑らかに回り、3000回転くらいで独特の粒々感を強めながらも、4000回転からはコォーーンと小気味よく、6500回転まで吹け上がる。最高出力は82ps/5750rpm、最大トルクは12.0kgm/2750rpm。絶対的なパワーがない分、息の長い加速が楽しめる。

また208の車重は、207の同型エンジン車と比べて100kgも軽量化されているが、この3気筒のアリュールではさらに、208の4気筒エンジン車(プレミアム)より90kgも軽い。非力な割に軽々と走るのは、車重の軽さが効いている。

そんなわけで、ストロークが長く、(まだ当たりがついていないせいか)やや引っかかり感のあるケーブル式のシフトレバーをカチャカチャと前後させながら、2速、3速、4速、時には5速まで駆使して走らせていると、かつての306や206のベーシックグレードなどを思い出して、なんとも言えない懐かしさを感じてしまう。

最小回転半径は5.3メートルと特に小さくないが、電動パワステは軽く、またハンドルが小径なこともあり、取り回しはイージー。また夜間は、交差点や曲がり角で舵角に応じて内側のフォグランプが点灯するコーナーリングランプ(40km/h以下で作動)が便利。

207より100kg軽く、さらに4気筒エンジン車より90kgも軽い


試乗車のタイヤは16インチのミシュランセイバー。199万円でもアルミホイールは標準装備

乗り心地は、試乗したアリュールの場合、鼻先(パワートレイン)が軽いせいか、フラット感は207より高まった印象。試乗車はオドメーターがまだ300km台ということもあり、足回りには下ろしたてのフランス車によくあるゴトゴト感があったが、しなやかに凹凸を受け流す様子は相変わらずフレンチ。

ワインディングでも非力なことに変わりはないが、クイックなステアリング、軽いノーズなどが相まって、それなりに楽しく、安定して走れる。ESPはそれなりに介入してくるが、シャシー自体の限界は高い。ブレーキもよく効く。

100km/h巡航時のエンジン回転数は約3000回転。エンジン音はほとんど聞こえないほど静かで、6速が欲しいとは全く思わない。ロードノイズも静かだ。それ以上だと風切り音が大きくなってくるが、静粛性は上級モデルと大差ないように思える。が、最高速はパワー感から言って160~170km/hくらいか。この点は、国産の1~1.2リッタークラスと同等と思う。

試乗燃費は12.2~16.1km/L。JC08モードは19.0km/L


指定燃料はプレミアム。燃料キャップは相変わらずキー式だった

今回は約250kmを試乗。参考までに試乗燃費は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が12.2km/L。一般道をそれなりにエコ運転しつつ走った区間(約30km)が16.1km/Lだった。

JC08モード燃費は19.0km/L。シフトアップをサボっていると燃費は悪化する傾向にあるが、燃料タンクは50リッターとクラス不相応に大容量なので、5速に入れっぱなしにして大人しく巡航すれば足は長いはず。

ここがイイ

高い品質感、3気筒エンジン、デザイン、3ドア・5MTの導入

充実した標準装備。その上で、高くはないと思える価格設定。試乗したアリュールは199万円とプジョーの中でも最も安いモデルだが、まったく安っぽさがない。エントリーモデル=多少安っぽくてもいい、ではなく、とてもイイ物感がある。

静かで、滑らかに回る3気筒エンジン。リッターカーはもう3気筒で十分と思わせる出来栄え。室内の静粛性も極めて高い。そして足まわりの印象が重厚だから、ひとクラスもふたクラスも上のクルマに乗っているような感じがする。

ポジション面での制約はあるが、新しい提案があるインパネまわり。タッチスクリーンの機能も充実していて、この点でフランス車がずいぶん進んでいることが分かる。追って日本で開発されたナビ機能も追加されるようだ。

セミATモデルが日本発売に間に合わなかったということはあるだろうが、3ドアの5MTという、日本では超マイナーな仕様が導入されたこと。なんだかんだ言って、日本ではマニアックなクルマ好きに支えられているのがフランス車。損得で考えるとインポーターにとっては微妙だろうが、「刺さる」人は必ず全国に一定数いるはず。

ここがダメ

シフトレバーが遠い

メーターが見えるようにシートを合わせた場合、ある程度大柄か、手が長くないと、シフトレバーが遠い。特に1速に入れる時に気になる。この点だけでも、セミATが欲しくなる。またシフトフィールに関しても特に良くなく、クラッチペダルのタッチもいまいち。スポーツカーのような剛性感は必要ないが、「あえてMTを選ぶ」日本のマニアックなユーザーには、少々物足りないかも。ただ、半日も乗っていれば慣れてしまうが。

総合評価

これぞデザイン力

いつも書いてる話だが、プジョーの歴代2シリーズは、どれもスタイリングがいい。今回も当たり前のデザインにならず、それでいてフランス車特有の「変」にまでは行かず、個性的でカッコ良い。3ドアはスタイリッシュ、5ドアは上品で、大ヒットした 206に通じる雰囲気がある。そしていかにもプジョーらしい。先代より全長を短くした上で、こういうことが出来るのは、まさにデザイン力があるということ。日本車ではどうしてできないものか、と思ってしまう。

ただ、ボディサイドの、えぐったようなプレスラインは、日産ノートもそうであるように最近のトレンドなのだろうけど、いずれちょっと古びてしまうのではないか。そこは気になる。しかし試乗車の3ドアハッチバックというスタイルは、やはりいかしてる。カッコ良さなら3ドアだよなあ、と国産メーカーの人々に向かって呟いてみたくなる。

 

また、フロントグリルやライオンマークがおとなしくなったのもいい。先代207は、欧州車が競うようにグリルを派手にした流れの中にあったが、さすがに最近は、どこのメーカーも行き過ぎを反省している。過剰な押し出しは影をひそめ、おとなしくて好感が持てるデザインに変わってきた。フロントグリルは控えめが昨今のトレンド。逆にトヨタなどはここにきて、エキセントリックなルックスで存在感を示す、そんな方向のようだが、208を見ると、やはりこちらが主流ではないかと思えてくる……。

軽快さが身上

低燃費とするため、メーターの表示には早くシフトアップしろという催促が出るのだが、久々のマニュアル車は楽しくて、ついつい燃費をかせぐ走りができなかった。自動的にシフトアップしてくれるセミATなら、もっと試乗燃費は良くなったはず。MT車の燃費がいいというのは、言うまでもなくすでに過去の話だ。

そして何より、軽快さが身上。ボディの軽さがパワーの少なさに優るし、トルクがフラットだから多少シフトをサボっても、軽快かつ安全に楽しめるのは何より。たかが82馬力でも1トンそこそこのボディなら、力不足にジリジリすることはない。軽量化はすべてに効く。ドライバーの体と脳と、208の4輪が直結して、素直に動く感じはクルマの原点を再認識させてくれる。それも3気筒エンジンゆえだとしたら、ガソリン車だって、まだまだやれることは多いわけだ。そんな走りを支えるシートは、人工レザーを使ったものではあるが、形状は素晴らしく、さすがフランス車とほめられる。

新成人にもオススメ

ところで、例年この時期に発表されるソニー損保の新成人1000人へのアンケートによれば、今年の免許保有率は57.1%と例年に増して高い。自分のクルマを持っているのは4人に1人。持っていない人で、持ちたい人は73%。しかし、カーライフにかけられるお金は、55.2%が月に1万円以内と回答。21歳未満なら、任意保険だけでも月額2万円は必要なはずで、1万円でクルマを維持するのは無理だ。携帯並の出費でクルマは持てないのだが、分かっているのか、いないのか。まあ分かっていないのだろう。それでいて購入上限予算は50万円以内が30.7%、100万円以内が32.5%、それ以上が36.8%という。100万円あるなら、30万円の中古車を買って維持費に当てろと小言をいいたい。

 

そんな若者がこの試乗車を欲しいと言ったら、お父さんとしてはこのクルマならと、喜んで買い与えるべきだ。クルマとしては実にベーシックで、このクルマからカーライフをスタート出来たら、クルマというものがちゃんと分かる大人になっていくはず。クルマの挙動も安全に覚えられ、運転の基本操作が身につくはず。安倍新政権は、お金のある中高年から若者への相続を促進したい意向のようだが、クルマ購入に関しても特例措置を講じて、こういう話を促進して欲しいもの。お金のある中高年は、子供や孫の成人祝いに、このクルマを買おう。それは日本の景気への、いい追い風にもなるだろう。

最初にクルマを買ってもらって原資ができると、それ以降のカーライフは充実する。例えば200万のクルマを3年後に下取りに出せば、100万円程度にはなるので、次のクルマの選択肢がぐんと広がることになる。若者がそんなふうにクルマを買わないと、この国ではクルマはただの移動手段か、金持ちのものかの二極化が進んでしまうだろう。特に今は、中年よりお年寄りの方がお金を持っているから、ぜひ孫にクルマを買ってあげて欲しい。中年では先行きの不安な人の方が多い。それが現実だ。

 

さて海外メーカーの輸入車は2012年、17.3%も販売を伸ばして、絶頂期だった1996年頃にはまだまだ及ばないものの、リーマンショック以前の数値である24万台超を達成した。しかしプジョーは5649台と前年比で8%ほど台数を落としている。これは206がヒットした10年前の1/3程でしかない。この状況を挽回するために、208には大きな期待がかかっているが、今回試乗した3気筒モデルに関しては、その期待に大いに応える出来栄えとなっている。大きなオススメマークを付けるので、おじいさん、おばあさんとディーラーへ出かけよう。 
 

 

試乗車スペック
プジョー 208 アリュール
(1.2リッター直3・5MT・199万円)

●初年度登録:2012年11月●形式:ABA-A9CHM01 ●全長3960mm×全幅1740mm×全高1470mm ●ホイールベース:2540mm ●最小回転半径:5.3m ●車重(車検証記載値):1070kg(660+410) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:HM01 ●排気量・エンジン種類:1199cc・直列3気筒DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:75.0×90.5mm ●圧縮比:11.0 ●最高出力:60kW(82ps)/5750rpm ●最大トルク:118Nm (12.0kgm)/2750rpm ●カム駆動:- ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:19.0km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソン ストラット+コイル/後 トーションビーム+コイル ●タイヤ:195/55R16(Michelin Energy Saver) ●試乗車価格(概算):199万円  ※オプション:- -円 ●ボディカラー:ビアンカ・ホワイト ●試乗距離:約250km ●試乗日:2013年1月 ●車両協力:株式会社ホワイトハウス

 
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