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プジョー 3008 グリフ新車試乗記(第611回)

Peugeot 3008 Griffe

(1.6リッター直4ターボ・6AT・385万円)

プジョー初のクロスオーバー!
その出来映えに驚き、
21世紀のクルマを想う!

2010年10月02日

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キャラクター&開発コンセプト

ハッチバック、ミニバン、SUVの3要素をまとめた5人乗りクロスオーバー


今回試乗したプジョー 3008 グリフ
車両協力:株式会社ホワイトハウス プジョーディーラーネットワーク

欧州では2009年春、日本では2010年6月1日に発売されたプジョー「3008(サンマルマルハチ)」は、308シリーズがベースの5人乗り新型車。プジョー自身は「セダン、MPV(マルチ・パーパス・ビークル)、SUVの魅力を融合したプジョー初のクロスオーバービークル」と謳う。

特徴的なモノスペース・トールボーイスタイルは、2008年のパリモーターショーで発表されたコンセプトカー「プロローグ HYモーション4」から受け継ぐもの。日本仕様のパワートレインは、308シリーズのマイナーチェンジ版と同じ1.6リッター直4・直噴ターボと最新世代のアイシンAW製6速ATとなる。

4ケタ数字モデルの第四弾。ディーゼルハイブリッド版も市販予定


プジョー 5008 (日本未導入)
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

ちなみに数字4ケタの車名は、今回の3008で早くも第四弾。第一弾は2004年に欧州でデビューした両側スライドドアのコンパクトカー「1007」(日本ではすでに販売終了)だったが、欧州では2008年に三菱アウトランダーのOEM供給車である「4007」、2009年には3列シートミニバンの「5008」も加わっている。となると、残るは2000番台の「2008」だが、すでにPSA(シトロエン・プジョー・グループ)は2012年に三菱RVR(欧州名ASX)のOEM車を販売すると発表しているので、順当に行けばこれが2008となるだろう。

なお、2011年初頭には世界初の市販ディーゼルハイブリッド車となる「プジョー 3008 ハイブリッド4」が発売される予定だ。これは前輪を2リッター直4ディーゼルエンジン(120kW/163ps)で駆動し、後輪を電気モーター(27kW/37ps)で駆動する4WDモデル。最大出力は前後合わせて200psとなり、燃費は3.8L/100km(26.3km/L)を誇るという。

■過去の新車試乗記>シトロエン C4 1.6T エクスクルーシブ (2009年5月)
■過去の新車試乗記>プジョー 308 シエロ (2008年7月)
■過去の新車試乗記>シトロエン C4 ピカソ 2.0 エクスクルーシブ (2007年7月)
■過去の新車試乗記>プジョー 1007 1.4 (2006年4月)

価格帯&グレード展開

ファブリック仕様が339万円、レザー仕様のキセノン&AFS付が385万円


こちらは「3008 プレミアム」。タイヤサイズやホイールの意匠以外、外観は「グリフ」とほぼ同じ
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

日本仕様のパワートレインは前述の通り一種類で、もちろん右ハンドルのみ。グレードは2種類で、ファブリックシート、225/50R17タイヤ、バックソナー付の「3008 プレミアム」(339万円)、そして電動レザーシート、235/45R18タイヤ、バイキセノン・ディレクショナルヘッドライト、前後ソナー付の「3008 グリフ」(385万円)となる。「グリフ」は、プジョーでは最上級グレードの名称としておなじみのものだ。

ボディカラーは全7色で、内装色はファブリックもレザーも共にブラックが標準。グリフの一部外装色で、グレーのレザーをオーダーできる。

 

「3008 プレミアム」のファブリック内装
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

プジョー 3008 【1.6リッター直4 直噴ターボ(156ps、24.5kgm)+6AT】
 10・15モード燃費:10.6km/L

■3008 Premium     339万円

■3008 Griffe     385万円  ★今回の試乗車

パッケージング&スタイル

確かにクロスオーバーSUV風。猫科というよりは犬科?


ボンネットはプジョーお得意のアルミ製で、フロントフェンダーは複合素材となる

パッと見、ミニバンのような、SUVのような、ちょっと正体不明な3008。全長や全幅は、308ハッチバックと大差ないから、その点ではハッチバック的とも言える。ボディサイズは(カッコ内は308ハッチバック比)、全長4365mm(+75)×全幅1835mm(+15)×全高1635mm(+120)。ホイールベースは2615mm(+5)だ。

 

リアコンビライトはブーメラン型というか、エイみたいというか、微妙にゆらぎのある三角形

とはいえ、どちらかと言えば、やはりクロスオーバーSUV風に見えるのは、前後バンパー下にステンレス製スキッドプレートが付いていたり、フェンダーアーチの張り出しが強調されていたりするからだ。その顔も、最近のプジョーが自らのイメージとしてきた猫科というよりは犬科。というかブルドックか。少なくとも、土の似合う動物っぽい。

 

写真のボディカラーは、明るいところではベージュ、暗いところではシルバーに見える「ヴェイパー・グレー」

こうして見ると、サイズ自体はVWのティグアンや日産デュアリスあたりと近いし、最低地上高も160mmとまあまあ高いから(と言っても308ハッチバック比で+15mm程度だが)、やはり「クロスオーバーSUV」と呼ぶのが妥当だろう。少なくとも一般的な欧州車と違って、車止めでアゴをぶつける心配がないのはありがたい。

インテリア&ラゲッジスペース

クロスオーバーSUVというより、クーペ風のインパネ


写真のHDDインダッシュナビは販売店オプション(エクリプス製)。通常はAM/FM・CDプレーヤーが標準

クロスオーバーSUVと言うより、新種の4ドアクーペ風なのが、インパネやフロントシートまわりだ。メーターパネルの横から斜めに落ちてくるセンターコンソールは、そのまま運転席と助手席を完全に分断。質感や助手席側にグラブバーがあるところはアウディTT風でもあり、トグル風のボタンを7個ズラリと横一列に並べた意匠もスペシャリティっぽい。

 

また室内幅は308ハッチバックより75mmも広い1565mmだが、感覚的には広さよりもタイトなコックピット感の方が強い。というわけで、ファミリカーっぽさは全くなく、視点の高ささえ除けば、クーペの車内に潜り込んだような錯覚に陥る。ま、それこそ「クロスオーバーSUV」風なのかもしれないが。

 

300万円台という車両価格を考えても、装備は充実している。オートライト、オートワイパー、前後ソナー(プレミアムは後方のみ)、クルーズコントロール等は全車標準。また電動パーキングブレーキは、すでにシトロエンの方ではC6、C4ピカソ、C5の順で採用済みだったが、意外なことにプジョーでは3008が初となっている。

【ディスタンスアラート】 ヘッドアップディスプレイで車間距離の警告を行う

同じく3008で初めて採用されたのが、全車標準の「ディスタントアラート(車間距離警告)」だ。これはレーダーで前走車との車間距離を測り、設定以下に車間距離が縮まると、ドライバーに警告を与える、というもの。車速によって適切な車間距離は変わってくるので、設定は0.9秒(かなり接近しないと警告しない)~2.5秒(今回の試乗で主に使用)といった秒数で行う。70km/hを越えると監視をスタートし、警告時には表示が点滅して注意を喚起する。

 

この警告や走行速度、クルーズコントロールの作動状態などを表示するヘッドアップディスプレイがユニークだ。一般的にはフロントガラスに情報を投影するものが多いが、これはイグニッションを入れると、メーターパネルの向こう側に透明パネルを電動で立ち上げるタイプ。その昇降方法が妙に凝っているのは、おそらく埃やパネル面のキズを防ぐためだろう。フタがスライドして開いた後、斜めに伸びてきた後、垂直に立ち上がる。エンジンを切ると、自動的に格納される。視認性はフロントウインドウ投影タイプより明らかに優れる。

ただし、ACCなどのレーダークルーズやプリクラッシュシステムの設定はなく、車速を制御するとか、自動ブレーキを踏むとかいった機能はない。

シートは小振りだが、ホールド性は申し分なし。調整範囲も広い


「グリフ」の運転席シートは電動レザーとなる

フランス車のフロントシートと言うと、やたら立派なものが多いが、3008のシートは巨大なセンターコンソールにスペースを取られたせいか、ちょっと小振り。ただし座り心地やホールド感は良好。背もたれと座面のクッションには、特別に二重密度の発泡材を使用したという。

また乗車位置が高い割に、ステアリングコラムがちゃんと水平に伸びてくるのもクーペっぽい乗車感の一因だ。これはステアリングシャフトのユニバーサルジョイントを通常の2ヶ所から3ヶ所に増やしたからだそうだ。

 

試乗したグリフの場合、シートは電動となり、ステアリングのチルト・テレスコ調整範囲も広いから、ドライビングポジションは自由自在。クーペぽい姿勢なのに視点は高いという独特の感覚からか、最初はどう合わせていいか戸惑ってしまうが、走りながら例のヘッドアップディスプレイが見える範囲を探してゆくと、自ずと落としどころが決まってくる。

快適な後席。巨大なパノラミックガラスルーフ

後席も当然ながら広々。前席にしっかりつま先が入るので足も伸ばせるし、背もたれの角度も適切で、「正しい乗車姿勢」を強いられることもない。ドア開口部も広めなので、乗降性もまずまずだ。

さらにセンターアームレストにはカップホルダー(ちょっと底が浅くて缶ジュースなどは不安)、サイドウインドウには日除けも備わる。静的な状態では下手なミディアムクラスセダンよりも快適だ。

 

そして頭上には一枚ガラスを固定したパノラミックガラスルーフが広がる。3008のそれは、前後長が約1.4メートル(1382mm)、最大幅が約1.2メートル(1202mm)、面積が約1.6平方メートルもある巨大なもの。後席からだと、まるで水族館の大型水槽みたいに見える。合わせガラス製で、熱カット(約86%)や紫外線カット(約99%)もするが、完全に遮光できる電動シェイドも装備。景勝地へのドライブには、もってこいの装備だ。

 

また、後席のフロアカーペットをめくると、その下には靴などが入る床下収納もある。ここを見ると、フロアが二重構造であることがよく分かる。

なお、エアバッグは計6個を標準装備。シートベルトは前席がプリテンショナー&フォースリミッター付で、後席も3名分すべてがフォースリミッター付となる。年々厳しくなる現行ユーロNCAPで、最高の5つ星を取得しているのは立派だ。現行モデルでも意外に最新基準の5つ星は少ない。

荷室アレンジは「ロー」「ミドル」「ハイ」の3段階

荷室の使い勝手にも面白い工夫がある。まずリアゲートはレンジローバーやディスコ3/ディスコ4、三菱アウトランダー(=プジョー4007)のような上下二分割式を採用。下側の「ホビーテールゲート」を倒せばベンチにもなるし、開閉時の張り出しがないから開け閉めも簡単と、けっこう良いこと尽くめの方式だ。

 

このリアゲートに合わせて、フロアボードの高さも3段階で変えられる。「ローポジション」はフロアボードを一番下にした状態。この場合、荷室容量は後席使用時で432リッター。さらに荷室側のスイッチで6:4分割の後席をワンタッチで畳めば、最大1241リッターになる。

ちなみにこの時の荷室高は、実測で約80センチ、開口部の高さは約74センチあり、フロアボードを「ローポジション」にすれば、前輪を外したスポーツ自転車の縦積みも出来る。

 

「ミドルポジション」は、リアゲートの敷居から荷室フロア全体までをフラットにするモード。この時の奥行きは約160センチで、男性でも斜めになればギリギリ足を伸ばして寝そべることが出来る。

 

最上段の「ハイポジション」は、閉じたホビーテールと同じ高さ。これだと荷室がほぼ上下に二分される(上側が55%、下側が45%)。遊び道具がこまごまと多い人には便利だろう。またホビーテールを倒して、それに腰掛けると、フロアボードがちょうどテーブルにようになり、肘をつくこともできる。これは便利だ。

床下収納スペースもあり。パンク修理キットや懐中電灯を搭載

カタログでは触れられていないが、床下にはさらに発泡スチロール製の収納スペースもある。スペアタイヤも積めそうだが、日本仕様は全車スペアタイヤレスとなり、代わりに電動コンプレッサー付のパンク修理キットが搭載されている。

 

また荷室左側には、懐中電灯も装備。差し込んだ状態で自動的に充電されるもので、フル充電で45分間使えるという。このアイディアは最近のクライスラー車(ダッジやジープも)と同じだ。プジョーはクロスオーバーSUV分野では最後発ゆえ、この3008では古今東西のアイディアを全部乗せ、という感じがある。

 

基本性能&ドライブフィール

最新ディーゼルターボ風のトルクフルな走り

3008のエンジンは、現在プジョー・シトロエンの中核ガソリンユニットとも言える1.6リッター直噴のツインスクロール式シングルターボ(EP6CDT型)。308シリーズの2010年モデル同様、最高出力は従来の140ps/5800rpmから156ps/6000rpmにアップしている。一方、最大トルクは今まで通り24.5kgm(240Nm) /1400-3500rpmのままだ。

アクセルをちょんと踏めば、電動パーキングブレーキは自動的に解除される。発進直後からしっかりレスポンスするところは、いかにも現代の直噴ターボ風だ。のんびり走る限り、エンジン回転は1400~2000回転をキープするが、トルクはすでに最大値の24.5kgmに達しているので、かったるさは全くない。車重は308ハッチバックより200kg以上重い1560kg(グリフ)だが、そうとは思えないほど軽やかに走る。

さらに力強いのが、2500回転から4000回転だ。トルク変動のないまま、ズゥゥンと一気に増速する感じは、ガソリンターボというより、最近のディーゼルターボっぽい。5000回転を超えたあたりから頭打ち感が出るが、おそらく意図的なもので、かえって好ましく思える。ターボラグはまったくない。

308/3008クラスのATがついに6速へ

オートマチックは長年引っ張りに引っ張った4ATをついにお役ご免とし、やはり308シリーズにも今年から採用されているアイシンAW製の6AT(AM6型)を搭載する。上級モデルの407、あるいはシトロエンのC5やC6、ついでに言えば現行MINIでもおなじみの同社製6ATだが、これは2速から6速までのロックアップ領域を広げるなど、各種改良の入った最新型だ。

もはや変速プログラムに違和感はないが、かといってVWのDCTや国産車のCVTみたいに徹底した低回転志向でもないあたりが、フランス車っぽい。市街地ではほとんど4速か5速で走り、6速トップには75km/h以上じゃないと入らないのだが、そのタイミングだとちょうど1400回転からのトルクバンド内に収まるし、後で触れるように燃費もすこぶるいいので、この辺がベストという判断だろう。マニュアルモードで早めに6速に入れてみたりもしたが、非力になるし振動も出るのでかえって良くなかった。100km/h巡航は約2100回転だ。

【ダイナミック ロール コントロール】第3のダンパーでリアに装備

308ハッチバックの乗り心地は相当に良かったが、背の高い3008も悪くない。後席では確かにスポーツセダン的なゴツゴツ感があるが、VWアウディあたりのクロスオーバーSUVと比べて、そう選ぶところはないと思う。フランス車特有の?情緒的な話が出る幕はなく、誰にでも理解しやすい。

さらに分かりやすいのが、ワインディングでの走り。ステアリングを切り込むやいなや、スパッとノーズが入り、完璧なグリップ感と共にすんなり曲がってしまうところは、完全にスポーツハッチバック並み。グリフの場合、235/45R18のコンチスポーツコンタクト3を履くなど、目指すところはかなりオンロード寄りだ。ESPはもちろん標準装備だが、ウエットかよほど負荷を掛けるかしないと露骨に介入することはない。

 

同種のものでは3008がプジョー初採用となる「ダイナミック ロール コントロール」
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

なおサスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアはH型トーションビームと一般的だが、3008にはプジョーで初めて「ダイナミック ロール コントロール」なるシステムが採用されている。これはリアの左右ダンパーを“第三のダンパー”(正確にはセンターモジュールと呼ばれる)で油圧的に連結したもの。コーナリング時(左右逆相)には減衰力を高めてロールを抑制し、直進中のピッチングやバウンシング時(左右同相)には、しなやかな乗り心地を確保する。仕組みとしては、完全にメカニカルなもの(非電子制御)だ。通常のダンパーは相変わらずプジョー自社製だが、この部分の開発はKYB(前カヤバ)のヨーロッパ法人と共同で行われたようだ。

その貢献度はと言うと、タイヤやバネレートの要素も大きいので、装着車だけの試乗ではちょっと分からないが、3008のハンドリングが外観に似合わず鋭く、姿勢変化が少ないことは間違いない。

10・15モード燃費は10.6km/L、試乗燃費は9.1km/L~10.2km/L

最後に、恒例の試乗燃費は、いつもの一般道と高速道路をまじえた区間(約90km)が9.1km/L。空いた一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約30km)が11.6km/L、高速道路を80km/h~100km/hで流した区間(約30km)が12.3km/Lで、約160kmの試乗区間トータルでは10.2km/Lも走ってしまった。

10・15モード燃費は10.6km/Lなので、一般道ではそれと同等レベルで走ってしまったことになるが、こんなことはこの手のクルマでは初めて。要因としては、ディーゼルターボ的な出力特性(低中回転域でトルクフル)や新型6ATが効いている感じだ。指定燃料はもちろんハイオクで、タンク容量は60リッターとなる。

ここがイイ

道具としてよく出来ている。燃費の良さ

素晴らしい出来。何一つ不満がないというほど「道具としてのクルマ」としてよく出来ている。最近のクルマへの評価はそればかりだが、事実だから仕方ない。また荷室フロアボードの使い勝手やレバーで倒れるリア背もたれなど、日本車に学んだと思われる便利さも。さすがにコンビニフックはないが。

望外の燃費の良さ。これだけよく走るなら7km/Lくらいだろうと試乗中は覚悟したが、実際にはなんと2割、いや3割以上良いとは。ATのプログラムがフランス車特有の、なかなかシフトアップしない設定でこれだから、恐れ入りましたというところ。DCTで出遅れている日本車メーカーは、トルコンATでも改良次第ではまだまだDCTに対抗できる、と言っているが、それもまんざら強がりではないかも、と思えた。マニュアルモード時の変速レスポンスがクイックなのもいい。

ここがダメ

キャラクターが分かりにくい外観

パッケージングにしても走りにしても、中身はかなりスポーティなクロスオーバーSUVだが、そういったキャラクターが外観から今ひとつ伝わってこない。ちょっとミニバン(MPV)的にも見えるスタイリングは好みが分かれるかもしれない。

細かいところではセンターコンソールの蓋が助手席側開き(左ハンドル仕様のまま)なのは使いにくい。ハザードランプスイッチが7つのトグル型スイッチの真ん中にあり、慣れないとこれはちょっと押しづらい。

「ディスタントアラート」の機能は、ボルボXC60の「シティセーフティ」やスバルの「アイサイト」が実用化されている今、あまりに限定的。ヘッドアップディスプレイのデザインはカッコいいので、ぜひこれに最新のレーダークルーズや自動ブレーキを搭載して欲しいところ。

また欧州では、FFながらもプリセットダイヤルに「標準」「雪道」「オフロード」「砂地」「ESPオフ」の5モードを設定し、ESPのプログラム変更を行う機能「グリップコントロール」が用意されるようだが、日本仕様にないのはちょっと残念(ATとのマッチングの問題らしいが)。

総合評価

素晴らしい商品ではあるが・・・・・・

「この手のクルマが欲しい人が増えたから、この手のクルマが増えてきた」と考えるべきか、「この手のクルマにしないと目新しさがなくて売れないから、この手のクルマが増えてきた」のか。いずれにしても、世界市場では今、この手のクルマが商売になっていることは確かだろう。こんなカタチなのに走りは本文のとおりスポーティそのものだし、燃費も驚くほどいい。もともと使い勝手のよさで重宝されてきた5ドアハッチバックの延長線上のカタチでもあり、スペースにはそれよりさらにゆとりがある。最低地上高もあるからちょっとした悪路も走れるし、ワイルドな印象は男性にも女性にも好まれる。アイポイントが高くて見晴らしがいい分、乗りやすいし、腰を滑らすだけで座れるシートの高さも好まれるところだろう。商品性としてはかなり高いものがある。

 

これを実現するためには、デザイナーからエンジニアまで、チャレンジングなクルマ作りが求められたはずで、気合が入るのも理解できるところ。重く、重心が高くなるクルマを、力強く、軽快に、そして低燃費で走らせるためにはどうするか、作り手としては、やり甲斐があるというものだ。そして結果として素晴らしいものができたと思う。ただ皮肉っぽく言うと、それはこれまでのフランス車的なものではなく、グローバルな味付けのものになってしまった。今までの試乗車の中では、最もフランス車らしさを感じないクルマではあった。

ゼロ二つの車名がマジョリティになる


2010年夏から日本でもデリバリーが始まったプジョー RCZ
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

この手のクルマを乗り継いでる人もいるくらいで、ニーズは確かにある。確かにあるのだが、そういった人も「道具としてのクルマ」であって、クルマ好きゆえの選択ではない。そう、20世紀のクルマ好きとしては、最も理解しにくいのがこの手のクルマ。走りならスポーツカーの方がいいのに、と思うし、こんなスタイルだったらもっとオフロードが走れてもいいのに、と思うし、もっと人を乗せるならミニバンが、とも思う。この車重でこんなに燃費がいいなら、もっと軽くすればもっと燃費が稼げるのに、とか、もっと車高が低ければ立体駐車場にも入るのにとか、なんかもう、いろいろ考えてしまう。

つまり、やっと欧州を含めて、世界中でセダン、クロカン4WD、ハッチバックといった20世紀的クルマの形状が終わりを迎えつつあるということなのかも。21世紀は古典的なカタチではなく、日産ジュークなどのように「SUVっぽいもの」が主流になっていくのだろう。もちろんプジョーでもRCZのような、スペシャリティカーとしてのクーペは作っているのだが、ゼロ一つの車名よりゼロ二つの車名がマジョリティとなっていくわけだ。ゼロ一つのモデルに惹かれるマイノリティとなってしまった20世紀少年のクルマ好きは、やがて死に絶えていく運命にあるのだろうか・・・・・、そんな感傷に浸ってしまった。

試乗車スペック
プジョー 3008 グリフ
(1.6リッター直4ターボ・6AT・385万円)

●初年度登録:2010年6月●形式:ABA-T85F02 ●全長4365mm×全幅1835mm×全高1635mm ●ホイールベース:2615mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1560kg( -+- ) ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:- ● 1598cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:77.0×85.8mm ●圧縮比:10.5 ● 156ps(115kW)/6000rpm、24.5kgm (240Nm)/1400-3500rpm ●カム駆動:チェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L ● 10・15モード燃費:10.6km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 トーションビーム ●タイヤ:235/45R18( Continental SportContact 3 ) ●試乗車価格:-円 ( 含むオプション:HDDナビ -円 )●ボディカラー:ヴェイパーグレー ●試乗距離:180km ●試乗日:2010年9月 ●車両協力:株式会社ホワイトハウス

 
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