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プジョー 307CC Premium AVN新車試乗記(第309回)

Peugeot 307CC Premium AVN

(2.0リッター・4AT・412万円)

2004年03月13日

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キャラクター&開発コンセプト

同じCCでもフル4シーター

2002年のパリショーでプロトタイプが登場、翌2003年10月21日に日本で正式発表された307CCは、206CC同様の電動メタルトップを持つ「クーペ・カブリオレ」。つまり、ボタン一つでクーペからカブリオレに約25秒で変身し、1台で2台分のキャラクターが楽しめるモデルだ。また、206より一回り大きな307ベースのボディにより、大人がちゃんと4人乗れる点も大きな特徴。206CCは4人乗りと言えど、プラス2とさえ呼べないほど後席が狭かった。よって、広告コピーはその点を強調した「Fun For Four」(4人のための楽しさ)となっている。

クーペ/カブリオレはプジョーの伝統

そもそも、世界で初めて電動メタルルーフを採用したのは、1934年発表のプジョー「402 エクリプス」だそうだ。戦後も204、205、304、305、306、404、504等をベースとしたクーペもしくはカブリオレを常にプジョーは用意してきた。青いライオンにとってこの手のモデルは無くてはならないものなのだ。

価格帯&グレード展開

360~412万円で、レザーシート標準装備

日本仕様は計4グレード。4気筒2.0リッターエンジン(100kW=137ps)搭載の標準モデル(360万円)、豪華仕様「プレミアム」(382万円)、ナビシステムを追加した「AVN(オーディオ・ビジュアル・ナビゲーション)」(412万円)、そして206RC用の高性能2.0リッターエンジン(130kW=177ps)を搭載した「S16」(410万円)となる。

全車レザーシートは標準装備で、標準エンジン車はすべて右ハンドルの4速AT仕様。S16のみ5速MTとなり、左右ハンドルが用意される。なお、弟分の206CCは279~294万円で、ざっと100万円ほど安い。いざ購入を考えると、この差は結構重要なポイントだろう。

パッケージング&スタイル

大人の雰囲気と未来感


ボディカラーは新色を含む7色。試乗車の外板色はプジョー車でおなじみの「エーゲ・ブルー」

サイズは全長4380×全幅1760×全高1435mmで、全幅とホイールベースはハッチバックと共通。フロント部分もハッチバックとほぼ共通だ。一方でリア・オーバーハングは170mm長く、全高は95mmも低い。。つまりボディ後半の上屋とグリーンハウス(窓の部分)が、ごっそり専用になったわけだ。

 

デザイン上の特徴は、ボリューム感のある独特の外観、長いAピラー(先頭の窓枠)、大きめの窓など。ボディが大きいので206CC(全長3810×全幅1675×全高1380mm)のようなキュートさはなく、ピニンファリーナ・デザインの406クーペのような古典的な美もないが、その代わりに大人びた雰囲気や新しさが感じられる。

インパネはハッチバックとほぼ共通

インテリアは「チタン」(黒系)、「フュージョン」(黒と赤のコンビネーション)、「ラマ」(オフホワイト)、「パランブロ」(茶系)のシックな4色。試乗車の「ラマ」は、汚れは目立つが、高級感があり、なかなか粋だ。

インパネはハッチバックと基本的に同じだが、メーターは文字盤がホワイトになる。運転席には、チルト(上下40mm)、テレスコ(前後40mm)付きのステアリング、前後スライドや背もたれ角度、座面高がきめ細かく調節できるシートが備わる。

試乗車の「プレミアム AVN」は、富士通テンの「エクリプス」インダッシュDVDナビ&オーディオシステムを装備した仕様だ。ボイスコントロール機能や電話、インターネットなどに対応している。

後席に関しては、ホイールベースがハッチバックと同じだけに足元は広いが、ヒップポイントは前方に80mm移動し、クローズド時には頭上にガラスが迫る。また背もたれは直立しており、クッションも固めだ。

飛び出すロールバー

最近の欧州製カブリオレでは、衝突安全のほか、横転時の乗員保護対策もかなり入念になっている。307CCの場合は、オープンボディで定番のAピラーの補強用に、直径54mm、厚さ5mmのパイプを内蔵。リアヘッドレスト後ろに内蔵されたU字型の「オートマチックロールバー」は、横転時に炸薬の爆発力によってフロントシートベルトプリテンショナーと同時に飛び出す仕掛けとなっている。これらの対策により、衝突安全性はカブリオレボディながらユーロNCAPで4つ星を獲得している。

開閉は全自動で25秒

屋根の開閉は、スイッチ一つの全自動だ。電動油圧ポンプ1個、油圧シリンダー5個による作動時間は、カタログ値で約25秒。実測では開けるのに23秒、閉めるのに21秒だった。

ルーフロックの施解除を含めた時間だから、かなり速い。作動が終了すると「ポーン」という電子音が鳴る。4つのウインドウを同時に開閉できるスイッチも付く。微低速なら、走りながらでも作動する。

 

とは言え、信号の待ち時間でやるには微妙な時間だ。そもそも、変身の様子がそうとう大げさなので恥ずかしく、間に合わなかった時や、万が一動かなくなった時のことを考えると路肩よりはコンビニなどの駐車場に入れたくなる。

 

また実は今回の試乗車の場合、一度カブリオレからクーペにすると、荷室内のルーフ格納スペースを確保する役目の、仕切り(トノカバー)が外れてしまうことがあった。このトノカバーより上にトランクの物がはみ出すと電動ルーフが動かない仕掛けだが、トノカバーの片側の支えが外れてしまうとやはりルーフは作動しない。試乗車だけの症状だと思うが、久々にフランス車らしさを見た思い!? だった。

なお、欧州にはルノーの新型メガーヌにも同種のクーペ・カブリオレがあるが、現在のところ日本では307CCが唯一の電動メタルトップ・フル4シーターとなる。

206CCと大差ない荷室容量

クーペ状態のトランクルーム容量は350リッター(VDA方式)。カブリオレ状態ではルーフを格納するため、204リッターに減少する。大型スーツケースがちょうど1個という感じだ。床下にはフルサイズのスペアタイヤが納まる。206CCはそれぞれ約400/200リットル。307CCの最大容量が小さいのは、後席スペースを優先したからだ。

トランクを開ける方法はキーレスのリモコンを長押しするほか、トランクリッドのバッジ「307CC」の数字「0」の中を押す。607と同じ方法だが、教えてもらわないと分からない。一種の盗難防止対策のようだ。

基本性能&ドライブフィール

動力性能は平均的。カブリオレであることを忘れる快適性

試乗したのは100kW、すなわち137psの標準エンジン車。206、307、406でおなじみの実用エンジンで、4速ATもおなじみAL4型。前後方向にレバーを動かすシーケンシャル式マニュアルモードを持つ。

1490kg(ハッチバックの190kg増し)に137ps、19.6kgmというパワーゆえ、動力性能はごく普通。交差点の立ち上がりでアクセル全開にすると、1速へのキックダウン時に少し息をつくこともあるが、パワーは十分だろう。回しても騒音・振動が高まらない、欧州車らしいエンジンだ。相変わらずATはブレーキング時にシフトダウンを行うフランス流だが、これはこれでいい。

乗り心地はとても良く、上級セダン/クーペ並み。というか、クーペで走ると、カブリオレであることを完全に忘れてしまうくらいだ。この手の電動メタルトップ車は、速い速度で段差を乗り越えるとルーフの継ぎ目から「バキッ」と音が出ることがあるが、307CCは荒れた路面でもそんなことはなく、屋根がシェイクすることも無かった。おかげで、静粛性も高い。一般的なハッチゲート付きのクルマ(ハッチバック車やクーペの一部)より優れると感じた。

山道も少し走ってみた。ハンドリングは意外にスポーティで、感覚としてはほとんどニュートラルステア。予想よりアンダーステアが軽いのは、ボディ後半に電動トップ機構が載って、重量配分が後ろよりになったせいかも。パワーはそこそこで普通の4ATだから、軽く流すのが気持ちいい。電動油圧ポンプ式の可変式パワーステアリングの感覚は素晴らしく滑らかで、これは交差点を曲がる時でもちゃんと感じられる。

風の巻き込みは状況次第

高速巡航もまったく快適に行える。100km/hはおおよそ2600rpmで、このくらいの速度域だとオープンでも窓を閉めていれば、少なくとも前席では風の巻き込みがなく快適だ。頭上に伸びるAピラーとフロントウインドウが、風の巻き込みを100km/hくらいまでほぼ押さえ込んでくれる。青空が前に広がり、風にビュービュー吹かれるのを求める向きには物足りないかもしれないが、天候に左右されずオープン走行を無理なく楽しむ作りが、現代のカブリオレモデルの主流だ。

とはいえ、60km/h以上だと、後方(シートバックの間)から足元に吹き込む風が気になってくる。3月の日中(気温13℃ほど)なら問題ないが、3℃に冷え込んだ夜間はヒーター最強でも下半身が寒かった。この下方向への風の巻き込みは、4シーターのカブリオレ独特のものだろう。オプションでウインドディフレクターを用意するが、ひざ掛けを用意して乗るのも雰囲気があって良いかも。

また、クローズド状態ならば150km/h巡航もこれまた快適。とはいえ、せっかくのオープンゆえ、屋根を開けて快適法定速度+アルファの現実的な流れにのって、まったり走るのがいいだろう。

ここがイイ

スタイリングのきれいさ、雰囲気のオシャレさ、良い乗り心地、低回転からトルク感のある走り、スポーティで滑らかなハンドリング、電動ハードトップの便利さ、4人が乗れる実用性の高さ。

風の巻き込みが少ないので、ほとんどオープンでいられるのはうれしいところ。内装色が4種類あって、外から見えるのがうれしい。

ここがダメ

ステッチの効いた革張り・メタル調パネルのインパネは、じっくり見るともう少し質感が欲しいと思えてくる(今後の向上に期待)。オートエアコンは温度が上がったあとでもファンが高速で回り続けていたが、これはなぜ?

ドアがとても長いためシートベルトのアンカーがかなり後ろで、小柄な人だと手を伸ばすのがかなり辛い(手前でアンカーを保持するステーがあれば…)。

総合評価

電動ハードトップのオープンカーは、クルマ好きにとって昔からの理想(夢)だ。すでに多くのモデルが出ているが、デザイン、機能性、2座か4座か、などで様々な考え方があり、その選択はユーザーにゆだねられていると言っていいだろう。307CCの場合は、Aピラーが長く伸び、頭上をおおうことで、オープン時の開放感より風に対する快適性を重視してある。少なくともドライバーはあまり面白くないが、同乗者のウケはいいだろう(特に後席)。通常の使用には確かにこの方が実用的で安全。電動ハードトップのクルマはこれが正解で、開放感が欲しいなら別の選択がある。

 

307CCのメーカー試乗会の行われた南仏プロヴァンスは、温暖なリゾート地。こうしたクルマに数人で乗ってバカンスを過ごすのはフランス人の憧れだろう。日本では、それが伊豆の温泉地であったとしても、そこへこの307CCで行ける人はかなり上層階級の人ということになる。オープンのまま東名高速を巡航し、箱根あたりのワインディングを快適に楽しみ、申し分ない宿へ。そんな時、数ある所有車の中からこのクルマを引っ張り出せれば最高だ。

もちろん、307CCはファーストカーに耐える実用性も備えている。平日は奥さんが乗るだけといった家庭ならファミリーカーになるし、キャリアな女性にも似合うだろう。そしてノーマルの307ではちょっと不足している華が307CCにはある。これは大きなセールスポイントだ。

ちなみに我々の試乗は、春なお寒さの残る名古屋近郊の田舎道で行ったため、かなりシビアになったことを付記したい(苦笑)。

試乗車スペック
プジョー 307CC Premium AVN
(2.0リッター・4AT・412万円)

●形式:GH-307CC●全長4380mm×全幅1760mm×全高1435mm●ホイールベース:2610mm●車重(車検証記載値):1490kg(F:870+R:620)●エンジン型式:RFN●1997cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●137ps(100kW)/6000rpm、19.4kgm (190Nm)/4100rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L●10・15モード燃費:10.4km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/55R16(ダンロップ SP SPORT 2000 E)●価格:412万円(試乗車:同じ)●試乗距離:約260km●車両協力:株式会社ホワイトハウス プジョー ディーラー ネットワーク

公式サイトhttp://www.peugeot.co.jp/cars/showroom/307/cc/index.html

 
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