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BMW 316ti新車試乗記(第215回)

BMW 316ti

  

2002年04月06日

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キャラクター&開発コンセプト

最新3シリーズのメカを受け継ぐ「ti」

「ti」シリーズは、3シリーズをベースに開発された3ドアハッチバックのCセグメントカー。欧州では1994年に発売され、日本へは1995年に導入された。FR(フロントエンジン、リア駆動)でありながら、ハッチバックであるのが特徴だ。当初は「ti コンパクト」と呼ばれていたが、96年から単に「ti」と名乗るようになった。

今回のtiは2代目で、昨年末に実施された現行3シリーズ(E46型)のマイナーチェンジに伴って登場したモデル。E46のメカニズムをそっくり受け継ぎ、ハード的にはE36型を飛び越えて2世代分の進化を果たしている。というのも、先代 ti は外観こそ当時の3シリーズ(E36型)風でありながら、基本骨格はそのひとつ前のE30型をベースとしていたからだ。

ボディは2ドアのみ。エンジンは1.8リッターと2.0リッターの2種類で、ともに5速ATとなる他、2.0リッターには5速MTが併設される。乗車定員は5名だ。ハンドル位置はAT車が右で、MT車が左となる。

価格帯&グレード展開

車名の数字と排気量は一致しないことに注意

2グレード構成で、1.8リッターが「316ti(299.8万円)」、2.0リッターが「318ti(AT車が323万円、MT車が313万円)」だ。車名は排気量ではなく、もはやキャラクターを表すものとなっている(わかりにくい!)。装備内容は全車、サイドエアバッグを標準化するなど安全装備はほぼ共通で、「318ti」のみにフォグランプ、レザー仕上げのステアリング、205/55R16サイズタイヤ (316tiは195/65R15サイズ)、アルミホイールなどが標準装備される。

なお、1.9リッターエンジン+4速ATを搭載していた先代「318tiセレクション(298.0万円)」との価格アップはざっと25万円。現行セダン比では、「318ti」と同じエンジンを積むセダン「318i」が380万円だから、57万円も安いということになる。「318ti」はBMWのラインナップで最もコストパフォーマンスが高いと言っても過言ではない。

パッケージング&スタイル

ヘッドライトはインテグラ風? テールランプはアルテッツァ風?

ボディサイズは全長4265mm×全幅1750mm×全高1410mm。先代と比較するとそれぞれ+55mm、+55mm、+30mm。ホイールベースは+25mmの2725mm。比較対象をセダンの318iに置きかえると全長は205mm短く、全幅は10mmワイド。VWゴルフ、プジョー307などと同様、室内を広くするためにボディサイズの拡大が図られている。

トランク部分をバサッと切り取ったスタイルは基本的に先代を踏襲するが、随所にセダン系と差別化を図った「ti」オリジナルのデザインが盛り込まれているのが新型の特徴だ。まずフロントで印象的なのがロー、ハイビームを独立させた「丸目4灯」。アルファロメオGTV風でありながら、先代のホンダインテグラ(前期型)では日本国内で不評を買った手法でもある。

テールランプもセダン系と明確な差別化が図られおり、表面をクリアにして、その奥に円形のブレーキランプ、ウインカーを配している。こちらはトヨタ・アルテッツァ風だ。

フル4シーターの居住スペース。2ドアなのが悔やまれる

インパネまわりはセダン系とほぼ共通。材質など多少コストを省いたところがあってか、セダン系ほど質感の高さは感じられない。300万円相当のクルマとしてはやや不満が残る。しかし「ヤングライン・インディビジュアル」というパッケージオプション(316tiは18万円高、318tiが20万高)を選べば、その印象もガラリと変わる。ステアリング、インパネ、センターコンソールの一部にカラーパネルが施される。

シートはドイツ車らしく大柄なもので乗り心地は硬め。背筋を伸ばしてキチンと座るものとなっている。シート調節は手動だが、手探りでシートの下をごそごそさせる必要はない。セッティングのためのレバーは右上方シート横に3つ、すべて手の届きやすい場所に付いている。それも特大サイズ。単に調整が「できる」だけではなく、「しやすい」ものだ。

室内空間はクーペとして考えれば、広い部類と言っていいだろう。FRとはいえ、2725mmのロングホイールベースは伊達ではなく、後席足元も十分な広さ。後席へッドレストはしっかり3名分ある。2ドアの不便さは残るものの、スペース的にはフル4シーターの実力を備える。

荷室は定員乗車時で310リッター、後席シートバック格納時で最大1100リッターと、先代の300~1030リッターから確実に進化している。コンパクトなFR車としては悪くない数値だ。ちなみにFFのVWゴルフは330~1184リッター、プジョー307は341~1328リッター、FRのメルセデスC200スポーツクーペは330~1100リッターとなっている。

基本性能&ドライブフィール

「バルブトロニック」を採用

エンジンはすべてオールアルミ製の直列4気筒DOHCで、「316ti」が1.8リッター(最高出力115ps/5500rpm、最大トルク17.9kgm/3750rpm)、「320ti」が2.0リッター(143ps/6000rpm、最大トルク20.4kgm/3750rpm)を搭載する。どちらも世界初の「バルブトロニック」を採用した新世代エンジンで、10・15モード燃費は1.8リッターが11.4km/L、2.0リッターが11.0km/L (MTは13.2km/L)をマークする。

バルブトロニックとは、吸気バルブによって流入空気量を調節するシステムのこと。一般的なガソリンエンジンはアクセル操作でスロットルバタフライを動かし、吸気量を変化させて出力を調節しているが、バルブトロニックでは、スロットルバタフライの代わりに吸気バルブのリフト量を調節することで、空気の流入量をコントロールする。可変バルブタイミング&リフト機構の新しい使い方ともいえる。

メリットとしては、吸気抵抗が減ったことによるレスポンスの向上や緻密な制御による燃焼効率の改善など。具体的には従来のエンジンに比べて、約6%のトルク向上。約10%の燃費向上、約40%の排出ガス低減を実現しているという。

パワー感は不足気味だが、重厚で上質な走りは○

試乗したのは316ti。最も気になるバルブトロニックの効果はというと、少なくともこの1.8リッター+5ATでは、期待されるほどのハジケっぷりはない。確かに拭け上がり自体は軽く、アクセル操作に対しての微妙な加減速も容易で、日常的には十分の動力性能なのだが、勾配のきついワインディングやここ一発というときの加速がついてこない。1370kgの車重に対して115psはやや力不足という感じで、走りを求めるなら2.0リッター・143psの318tiが良さそうだ。

とはいえ、飛ばさなくてもハンドリングの良さを実感できるのがBMWの真骨頂。それは316tiでも不変で、50対50という重量配分やFR車ならではのバランスの良さが十分に味わえる。ひと言でいえば走り味が重厚で上質。ステアリングはかなり重めで、ズッシリとした剛性感の高さが伝わってくる。

それでいてフットワークは軽やか。ロック・トゥ・ロックは2.8回転とクイックで、慣性モーメントが小さいためか、ハードに攻めてもロール後の収まりが断然早い。ワインディングでの気持ち良さは格別だ。MT車も用意されており、コンパクトFRスポーツとしての存在は非常に貴重だ。

なお、5速ステップトロニックATのマニュアル操作は、2002年モデルからダウンが奥、アップが手前と従来とは逆方向に変更されている。これはレーシングカーのシーケンシャルミッションと同じで感覚的には正しいのかもしれない。が、現在市販車での主流はこれとは逆で、他のクルマから乗りかえると一瞬戸惑ってしまうのも事実。ま、これはオーナーになれば慣れが解決してくれるだろう。

足回りはセダン系と共通で前がストラット、後ろがセントラルアームというマルチリンクの一種を採用する。さらに最新の安全技術を搭載しており、ASC+T(オートマチックスタビリティコントロール・プラス・トラクションコントロール)、DSC(ダイナミックスタビリティコントロール=トヨタでいうVSC、メルセデスでいうESP)、さらにCBC(コーナリングブレーキコントロール)と言った1クラス上の安全デバイスを標準装着している。エントリーモデルにもこうした装備を搭載した点はさすがである。

ここがイイ

何といってもその走りの気持ちよさ。Dモードでは絶対的に力不足を感じてしまうが、マニュアル方向へシフトレバーを倒すとSモードとなり、2割方シフトアップポイントが上がる。その分、高回転が保たれるため、ここに入れておくと普段でもアンダーパワー感を感じずに走ることができる。むろんそのままシフトレバーを前後することで、マニュアルシフトも可能。がっちりしたボディ剛性感と、しっかりした足回りによって、ワインディングでは「低速でも楽しい」。むしろ、日本の道路状況ではこれくらいアンダーパワーなクルマを振り回した方が楽しいだろう。ハンドリングはシュアで、思い通りのラインを気持ちのいいリズムで走り抜けられる。

ここがダメ

ところがやっぱりエンジンは6000回転まですぐ吹けきってしまうため、もうちょっと伸びが欲しいと思ってしまうのも確か。318tiならまたひと味違うのかも。それからステアリングがやや左側にオフセットされた感じなのも気になるところ。細かなところではパワーウインドウのスイッチがシフト横にあるのも使いにくかった。やはりもはやドア側に統一すべきでしょう。

総合評価

アンダーパワーながらよく回るエンジンをブン回しながら、この走りは何かに似ているな、と考えていた。そしてハッと気付いたことは、新型MINIに走りの雰囲気が凄く似ていること。あちらはFFでもあり、エンジンサイズもタイプも全く違うのだが、足のしっかり感、ボディのしっかり感、そしてアンダーパワー感などはたいへんよく似た雰囲気だ。共にBMWのコンパクトカーであり、開発時期も同じころゆえ、やはりこうした共通性が出てくるのだろう。 そういう目でインテリアを見てみると、なるほどこちらも樹脂の質感、組み上がりのカッチリ感など共通点がかなり感じられる。デザインこそ見事に違うが、MINIと316tiはやはり同じ会社のコンパクトカーなのだな、と強く感じた。

割に安いブランド品としていかがかというと、これが以外に悪くない。フロントまわりの存在感はあるし、リアの切り取られ方も異様な感じがあって、街中ではなかなか目立つクルマだ。試乗車はシルバーだったが、ノーマルでも低く構えたスタイル、フェンダーのグラマラスなふくらみといったあたりがシルバーカラーで強調され、多くのクルマに囲まれても埋没しない個性がある。これはノーマルの3シリーズセダン以上なのでは。価格を含めたこのクルマの生い立ちをよく知る者にとっては、BMWのエントリーモデルなのだが、一般的にはブランド品として十分通用する存在感がある。

走りがよくてブランド力があり、しかも299万8000円と安いわけで、これはけっこう掘り出し物だろう。若いおしゃれなカップルはもちろん、そろそろセダン回帰したい子育ての終わった熟年層にもおすすめできる。

●車両協力:Nagoya-Minami BMW

 
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