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プジョー 406新車試乗記(第117回)

Peugeot 406

 

2000年03月31日

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キャラクター&開発コンセプト

知的で控え目、ブルーライオンの主力シリーズ

1995年にそれまでの405に代わるプジョーのミドルレンジとしてデビューしたのが406だ。現在のボディバリエーションは4ドアセダンとステーションワゴン(ブレーク)、および2ドアクーペの3種類がある。日本市場への発売は翌1996年からで、クーペは1998年から発売された。スタイルや走行フィーリングは実用性と趣味性の両面を感じさせるもので、それが406の魅力のひとつとなっている。

その406が昨年、ビッグマイナーチェンジを受け、日本へも今年2000年3月より導入が始まった。マイナーチェンジの内容は内外装のデザイン、質感、機能性の向上と動力性能のさらなる進化などで、フルモデルチェンジに近いもの。

日本仕様の新型406のラインナップははじめからセダン、ブレーク(ワゴン)、クーペの3種類が全てそろっており、エンジンはセダンとワゴンに2リッターと3リッターが、クーペには3リッターが用意される。ハンドル位置はクーペのみ右/左の選択が可能で他は右のみとなる。

価格帯&グレード展開

ラインナップを整理。最大で27万円プライスダウン! セダンで299.5万円から

従来、セダンとワゴンのラインナップは、それぞれ「2.0」「V6」、その豪華仕様の「V6レザーパッケージ」の3タイプがあったが、今回から、先代の「V6レザーパッケージ」と同じ装備内容で「V6」となったため、結果、「2.0」「V6」の2タイプとなった。

価格は「セダン2.0」が299.5万円(従来型は315万円)、「セダンV6」が409万円(従来型のV6レザーパッケージは419万円)と大幅なプライスダウン。同じくワゴンボディも買いやすくなっており、「ブレーク2.0」が313.5万円(従来型は329万円)、「ブレークV6」が423万円(従来型のV6レザーパッケージは450万円)。なお、クーペは従来と同じ520万円のままとなっている。

パッケージング&スタイル

端正なデザインに若干手直しが受けられているものの、やっぱりカリーナ似?

ボディーデザインは長らく手がけてきたイタリアのデザイン工房、ピニンファリーナの手からはすでに離れており、デザインはプジョー社内によるもの。そのボディのサイズは全長4600mm(従来型比で+45mm)×全幅1780mm(+10mm)×全高1430mm(+10mm)、ホイールベース2700mmと、ショルダーラインが強調されて大きめにみえるが、トヨタ・マークIIあたりの大きさとなる。顔つきはメーカーアイデンティティの吊り目がより強調されており、存在感を増している。その他では、Bピラーのボディ同色化(セダンのみ)、リアのテールランプ、バンバーのデザインが変更されているが、極めてオーソドックスなスタイルということには違いない。トヨタカリーナに似ている、というかカリーナがずいぶん406に似ている。ちなみにピニンファリーナ製のクーペについては、デザイン面には一切手が加えられていない。

質感と装備の数を増したインテリア、シートの座り心地の良さは相変わらず不変

インパネは、オーディオやエアコンなどが収まるセンターパネル細部のデザインが変更されているものの、基本的には従来型のデザインモチーフを踏襲する。しかし質感に関しては、誰の目にも着実に進化していることが理解できるはず。加えて、嫌味にならない程度に施されたメッキパーツが功を奏してか、フランス車的な安っぽさもそこにはない。見栄えだけでなく、装備の面でもライバルに比べても負けることはない。サイドエアバッグ、盗難防止イモビライザー、マルチファンクションディスプレイ、雨滴感知式オートワイパー、クルーズコントロール、オーディオステアリングリモコンなどに加え、V6モデルには本革内装、シートヒーター、電動パワーシートといった高級車に匹敵するアイテムが標準装備される。このクラスとしてはちょっとやりすぎとも思えるが、まぁ、あるに越したことはない。

そして毎度、感心させられるのがシートだ。乗り心地とサポート性を目的に形状変更したというが、相変わらず体を包み込むような感触は健在で、腰を据えただけで”フランス車”だと分かるもの。上下、前後とが連動するハイトアジャスターとチルトテレスコピックステアリングで、最適なドラポジがとれるのも嬉しいところ。また、中央部にもヘッドレストが追加されたリアシートは、頭上高こそ拳一個分の余裕しかないものの、無理な姿勢をとることなく座れ、非常に快適だ。ただこのヘッドレストのために後方視界はやや悪化している。

基本性能&ドライブフィール

2リッターモデルは206のホットバージョン「S16」と同じエンジンを新搭載

今回、新しく搭載された2.0リッター直4DOHC16バルブエンジンは、同社の206S16と同じもので、最高出力135PS/6000rpm、最大トルク19.0PS/4100rpmを発生する。アルミブロックの採用により重量を約29kg軽減しており、エンジン効率を高めたことで3PS/0.3kgmアップ。日本には先に206S16が導入されているので、スポーツ系と誤解されそうだが、本国で採用されたのはこの406が先。今後、プジョーの中核を担うエンジンであり、経済性、実用性が高いことをウリにしている。

3リッターモデルは可変バルブタイミングを新採用

一方、可変バルブタイミングの新採用で10PS/2.3kgmアップを果たした3リッターV6DOHC24バルブエンジンは最高出力206PS/6000rpm、最大トルク29.0kgm/3750rpmを発生する。わずか2000回転で最大トルクの90%を発生し、6000回転までとぎれることなくそのトルクを持続させるという、いかにもフランス車らしいエンジンだ。

組み合わせられるギアボックスは、これも206でお馴染みとなった自動学習タイプの4速ATだ。5つのプログラムから最適な走行パターンを自動選択してくれるもので、切換スイッチによってノーマルモード、スポーツモード、スノーモードを任意で選ぶこともできる。

早めのシフトアップが非力感を感じさせ、減速時のシフトダウンのショックの大きさは国産車にはないもの。しかしこれがプジョーの味だ

試乗したのは2lモデルのセダン。エンジンスペックが平凡なこともあるが、それ以上にファイナルギアが一般的なセッティングよりも高いために、出足の瞬発力は鈍い。加えて高いギアを選びたがるので、アッという間に4速に入る。そして再加速をしようとしてアクセルを奥まで踏まない限り、キックダウンしない。スポーツモードにしてちょうど国産車感覚で走らせることができるという感じだ。

もちろん、ノーマルモードのままでもそれなりの恩恵はある。高速巡航では100km/hで2300rpmと低いエンジン回転に抑えられるので静かだし、燃費も良くなるだろう。このシフトプログラムはのろのろ走る日本の道路事情にはあっており、急いで走らない限り快適だ。また日本のATのようにペダルから放すと、そのままルーズに流れることはなく、速度に合わせたギアを選んでシフトダウンし、エンジンブレーキを利かせてくれる。これは特に下り坂でありがたく思うだろう。ただ、そのシフトダウンのショックが大きめなのは国産車に乗り慣れた人は驚くはず。こうしたこのATの癖は206やルノールーテシアではかなり気になる場面もあったが、こと406では滑らかさが出ていて、ひどく気にはならなかった。着実に進化していることが感じられた。

乗り心地の良さは依然として一級品

エンジン音は特に大きくもなければ、小さくもない。室内の騒音は静かな方だ。リアシートではサルーンらしい快適さを実感できる。

乗り心地はフランス車らしいしなやかなものだ。自ら「エンジンよりも速い足」と称する足回り、いわゆる”猫足”は健在。古くからのフランス車を愛好する人にとっては、かなり味が薄れたと感じるとは思うが、それでも懐の深い足回りのもたらすこのしなやかさは、国産車には全く見られないもの。ボディを水平に保ったまま、足だけが伸び縮みしているかのような感触は、いつになってもフランス車だけが持つものだ。

コーナリングでも、ほとんどロールを感じさせることなくタイヤが路面に吸い付いているかのように、フラットな乗り心地のまま駆け抜けていける。このオンザレール感覚が406の持つ最大の特徴で、これが結果的に、快適かつ楽しい走りに結びついている。このように足腰の仕上がりは、あいかわらずハイレベルにある。

ここがイイ

プジョーシトロエングループのクルマは、旧来からのフランス車らしさを、新型が出ても失っていない。406も信頼性や質感、パワー感など旧来のフランス車と比べると隔世の感があるが、それでも乗ればすぐ国産車と全く違ったフランス車の味を誰もが感じられる。特に2.0は、しなやかかつアンダーパワー(感があるだけで実際には不満なく走ることはできる)で、それがいつもの「いい味」を出している。フランス車好きにしかわからないだろうこの感覚をかたくなに維持していることは、グローバリズムのもと、均一化が進むクルマ業界で立派としかいいようがない。

ここがダメ

そうはいっても旧来のフランス車好きから見ると、ずいぶん普通のクルマになってしまったという感は強い。シートも確かにいいのだが、最近は日本車でもこうしたいいシートに出くわすことがあり、かつてのような絶対的な魅力ではなくなってきている。ボディデザインにしても居住性にしても特にアドバンテージはないし、乗ってみるといいクルマだが、見ている限りその地味さには、グッと人を引きつけるだけのものがないのが残念。

またインパネや操作系はごくオーソドックスなもので、カーナビ装着なども考えられておらず、古くさい。コラムのオーディオスイッチレバーなども、オーディオの位置を整えれば必要ないだろう。

総合評価

試乗した2.0に関していえば、人によって評価はまちまちだろう。クルマに走りを求めるような人には、パワー感の物足りなさは相当なものだし、学習型ATのシフトプログラムには不満が出るに違いない。また質感が上がったとはいえ、国際的に見れば標準的なものにすぎないし、装備にしてもサイドエアバッグにアドバンテージがある程度だ。

反対に個性やくつろぎを求める人には、デザインは別として十分な満足が得られるだろう。このクラスのフランス車はルノーにそれらしい対抗馬はなく、ハイドロのエグザンティアがライバルとなるが、あれはかなりマニアックなもの。そこそこ個性があって、日常的に乗れるセダンとしては406はいい選択となる。特に学習型ATのシフトプログラムは無駄なシフトもせず、シフトショックも少なく、エンブレもよくきき、たいへんいいという評価もできるわけで、好みによってずいぶん評価が異なるクルマだ。人の意見に惑わされず、試乗してみて自分がどう感じるか、を確かめてみるしかないというクルマだろう。

 

公式サイトhttp://www.peugeot.co.jp

 
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