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プジョー 407 SW スポーツ 3.0新車試乗記(第373回)

Peugeot 407 SW Sport 3.0

(3.0リッター・6AT・450万円)

  

2005年07月09日

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キャラクター&開発コンセプト

7世代目の400番台

1890年頃から自動車生産を始めた老舗プジョー。「400番台」モデルは、戦前に401や402といった数万台レベルの量産車がすでにあり、戦後は1955年の403(カブリオレは刑事コロンボの愛車として有名)を皮切りに、404(1960年~)、事実上の後継504(1968年~)、前輪駆動化された405(1987年~)、406(1995年~)と進化した。

 

プジョー 407 エリクシール
(photo:プジョー・ジャポン)

そして第7世代となる新型「407」の見どころは、コンセプトカー「407 エリクシール」のモチーフを受け継ぐスタイリング、新設計の前後サス、シトロエンC5と同じ3.0リッターV6+アイシンAW製6ATの駆動系といったところ。世界では今年だけで29万4000台、6月に発売された日本では下半期だけで2000台を販売するのが目標だ。

価格帯&グレード展開

セダンとSWで、360万~450万円

セダンとSW(エスダブリュー。最近のプジョーはステーションワゴンをこう呼ぶ)があり、それぞれ2.2リッター直4(4AT)と3.0リッターV6(6AT)を用意。価格は360万~450万円。全車右ハンドルでATのみだが、「MT度」の高いプジョーゆえ左ハンドル・マニュアル車の導入もありえる。

パッケージング&スタイル

「407エリクシール」の4ドア版

試乗したSWのボディサイズは堂々たる全長4775mm×全幅1840mm×全高1510mm。先代406ブレークより全長で35mm、全幅で60mm大きく、メルセデスEクラス並みに成長した。特にSWはセダンより90mmも長く、伸びやかに見える。ホイールべースは2725mmと車格の割に短く、オーバーハングが長い。美しいブルーメタリックは新色のアルシオンブルー。

 

「フェリニテ(プジョー特有の猫科動物のような特徴)」がキーワードのスタイルは、2003年のフランクフルトや東京モーターショーで披露したデザインスタディ「407エリクシール(Elixir)」を4ドア化した感じのもの。傾斜の強いフロントガラスは、ピニンファリーナの影響が大だった時代には見られなかった特徴だ。今回のモデルは一応インハウス(社内)デザインと説明されている。大型ラジエイターグリルが迫力。

日本専用のセンターコンソール

外観とは正反対にオーソドクスなデザインのインパネ。基本操作に問題はないが、日本向け専用のセンターコンソールと一緒に工場装着される純正HDDナビ(パイオニア製で全車標準装備)の操作はちょっと難解だ。

またダッシュ上部に置かれたディスプレイのシュラウド(カバー)は取ってつけたような品質感で、周囲のソフトパッドに合わせてシボは付けたが、パーティングラインは残ったままというあたり、目立つ場所だけに気になる。メタル調塗装だとウインドウに反射してしまうし、ソフトパッドにするとコストが‥‥と悩んだ末の結果か。

フランス車らしく?ドリンクホルダーが前席に一切なく(ナビに場所を奪われたか)、その代わりでもないが、グラブボックスに307と同じようなクールボックスが備わる。500mLのペットボトルを2本収納可能。

「スポーツ3.0」はレザーシートが標準。座り心地は固めでドイツ車っぽく、特にメルセデス・ベンツのものに似ている。フランス車らしさを期待すると肩すかしを喰らうが、一般的には良いシートだ。

前はジャーマン、後ろはフレンチ

後席はそれらしく柔らか。足元にセンタートンネルが無いのは良いが、広さ自体はそこそこ。アームレストにドリンクホルダー「らしきもの」が備わるが、深さがなく走行中は使えない。喉が渇いたらカフェへ行け、ということか。

 

天井はガラス張りで、開放感あり。ガラスサンルーフを覆うシェイドはフロントシートでしか操作できない。後席でもシェイドの開閉スイッチが欲しい。後席サイドウインドウには手動式のプライバシースクリーンが用意される。スモークガラス全盛の昨今、ちょっと奥ゆかしくて、いい感じだ。

計9個のエアバッグ

衝突安全性にも触れておきたい。輸入車の主流は6エアバッグだが、407はドライバーの下肢を守る「ステアリングコラムエアバッグ」(容積20L)やリアサイドエアバッグ(容積9L)を含む9エアバッグを他に先駆けて採用。EuroNCAPはもちろん5つ星だ。

大容量、ガラスハッチ付きの荷室

荷室容量は702Lとかなりの大容量。セダンの407Lのほとんど倍近い。ダブルフォールディングで後席を折り畳めば、1654Lに拡大する。屋根に食い込んでガバッと開くリアゲートも、5ドア的に使いやすい。また、ワイパー支持部のボタンを押してガラス部分だけ開けることも可能。SUVには多いが、ステーションワゴンでは意外に少ない仕掛けだ。

基本性能&ドライブフィール

3.0リッターV6+アイシンAW製6速AT

試乗したのはSWのスポーツ3.0。V6エンジン(210ps)とアイシンAW製6ATの駆動系は、すでにマイナーチェンジ後のシトロエンC5で体験済み(ギア比などは微妙に異なる)。結論めいたことを言うと、この部分の完成度が、407(3.0モデル)の印象をおおむね決めてしまう。むろんその印象は「なかなかいい」。

車重は1720kg(C5の3.0ブレーク、サンルーフ付きより90kg重い)とヘビーだから、ペースを上げたい時はマニュアルモードで高回転を使ってトルク不足を補う走りになる。6000回転時の自動シフトアップに任せて走るのがイージーで速い。クォーンというエンジン音もなかなか聞かせる。

ショックアブソーバーは自家製

車重のおかげもあって乗り心地はいい。「プジョーはショックアブソーバーを頑なに自社生産している稀有なメーカー」とカタログに大書するだけに、215/55R17サイズのピレリP7を履きながら、足回りの動きはしなやかだ。特にV6モデルはダンピングレートを9パターンで変化させる電子制御ダンパーを装備。日本車では珍しくないものだが、制御が自然なのが良いところ。ボタン操作でハードな「スポーツ」を選べば、若干だが確かにそれらしくなり、大柄なボディに似合わないフットワークが楽しめる。

一新された足回りとESP

古いプジョーファンにとって気になるのが、新設計の前ダブルウイッシュボーン、後マルチリンク(こちらは406からの進化型)の足回りだろう。鋳造/鍛造/プレスによるアルミ合金パーツを多用したもので、安定性が大きく向上した。にも関わらず、柔らかな乗り心地をキープしたところが他車と違う、というのがプジョーの主張であり、それは達成されているように思う。ワインディングでの安定感は素晴らしく高く、滅多なことではESPも働かない。車重のことを忘れさせてくれる軽快なスポーツドライビングを堪能できた。

ただ、いわゆるフランス車的な、あるいはプジョーの猫足といわれるストロークの長い、406のような乗り味は感じられず、「よくある、よくできた足」だ。速いし、限界は高いし、楽しいし、何が不満だ、といわれそうだが、406のしなやかな足にノスタルジーを感じてしまったことは確かだ。

ESPについてはカタログに面白い記述がある。「ステアリング操作速度センサーなどによって、挙動の乱れが意図的に作り出されたと判断すると、修正を遅らせてドライビングプレジャーを優先する」という部分だ。スポーツカーでは珍しくない考え方だが、上級セダンでこういうのは珍しい。実際、407にはESPのオフスイッチがあるが、車速が50km/hを越えると勝手に復帰してアレ?と思った。安全サイドに振るためかと思ったが、実際はその逆で、ESPオンでもスポーツドライビングが可能ですよ、ということらしい。オフスイッチが備わる理由は、凍結路などの超低ミュー路でトラクションを確保するためだろう(タイヤが空転する状況ではESPが邪魔をしてかえって駆動力を失う)。

静かな高速巡航

このクラスの欧州車にとって、日本の高速走行などウォーキングするようなもの。いかにも空気の流れがスムーズそうなボディは、空気の壁をくぐり抜けるように走る。100km/程度なら風切り音もエンジン音も聞こえない。サイドウインドウは先回のC4と同じく合わせガラス製で、遮音も行き届いている(後席シートの座面裏にはカーペットが張ってある)。UK仕様のデータから拾った3.0-V6(6AT)の最高速度は225km/h。日本仕様では90kgも軽く、Cd.値0.29のセダンは235km/h。このような性能のため、180㎞/h巡航程度ならジョギング感覚で軽くこなす。速度感の少なさはゼロクラウンのようで、シャシー性能の向上を実感できるところだ。ただ、結局最後までクルーズコントロールの操作がよく分からなかった。

ここがイイ

大排気量FF車らしからぬ素直で軽快な操縦性。感覚的には2リッタークラスの軽快感。そしてこの走りを支えるスムーズなパワートレイン。アイシンAW製ATの貢献度は大きい。日本で乗るクルマのオートマはやっぱり日本製が最適。シフトプログラムもまったく違和感がない。PSAとトヨタとの接近が、このいい効果を生んでいるのだろう。

スタイリングの個性はこのクルマの大きなアドバンティッジ。巨大なサンルーフも楽しい。最新ボディーや電子デバイス、9エアバッグなどの安全装備がもたらす安全性。プラスチッキーな部分がほぼなくなったインテリア素材の品質向上。アームレストが定位置から持ち上がってちょっと前に出た位置で止まるといった小技もいい感じ。

ここがダメ

日本仕様のため無理矢理つけたようなインパネセンター部。ダッシュ上部のエアコン吹き出し口配管まで変更したようだが、素材のちゃちさが出てしまった。気にすると、気になる。エアコンはその影響があるのか、オートにしておくと妙に足下が涼しかった。また温度設定も低めにする必要があった。

雨滴感知型オートワイパーはルームミラー基部にセンサーがあるが、これが黒くてでかくてフロントウィンドウ上で目障り。オートヘッドライトだが、夕暮れは意外に早く点灯する。ところがスイッチにオートオフポジションがないため、結局スモールポジションに。早く点灯した方が安全だが、一番につけるのはちょっと気が引ける。またシトロエンにはあるAFSの設定がない。モニター類がまったくないのも物足りなく感じた。全幅が1800mmを越えるクルマだけに、日産車のようなサイドブラインドモニターが欲しいところ。一応バックソナーはあるが、今さらという感じ。世界で売るつもりなら、先端装備はもうちょっとがんばってもらいたい。マルチファンクションディスプレイも残念ながら日本語が選べなかった。使いこなしには練習が必要だろう。

総合評価

プジョー・シトロエン・グループ(PSA)では、グローバリズムを目指すプジョーブランドと、ローカリズムを目指すシトロエンブランドという位置づけが密かになされているのかもしれない。307もフランス車と言うより、まるでドイツ車のような硬めの足が印象的だったが、今回乗った407はより固いとされる3リッターだったこともあり、同様の印象を受けた。先週乗ったC4が金属バネなのにハイドロみたいな「ベタなフランス車」だったことを思うと、先代の406のネコ足が懐かしく思い出されてしまった。

プジョーの最新車は、どんどん世界での売れ筋を考慮したクルマになっている。407も何人かの試乗後、フランス車乗りからは固いといわれ、ドイツ車乗りからは乗り心地がいいという感想をもらった。まさにその中間で、それは世界どこでも受け入れられる性格ということになる。それは硬めのシートにも表れており、フランス車乗りからは不評、ドイツ車乗りからは好評だった。乗り味は日本車のようでもあり、どんなクルマから乗り換えても大きな不満はでない、というもの。

年間30万台を売るためにはグローバリズムの中に身を投じるしかないわけだが、ルックス的には個性が求められる。そこで強烈に寝たAピラーが象徴する、過激なまでのスタイリングで勝負することになる。このAピラーとクーペ風のリア回りを持つワゴン車SWのスタイリングは、強い個性があって、存在感を確立している。アウディが大きなグリルで存在感をアピールするように、確かにこれなら埋没はしない。妙に前後に長いオーバーハングがイマイチ、カッコ良さを殺いでいる気もしないではないが。

あくまで印象の問題だが、フランスの3つのメーカーはそのフランス車度において、シトロエン>ルノー>プジョーという図式ができる。

欧州だけでなくグローバルに通用するクルマでルノーに対抗=プジョー。

保守的な欧州(及びマニアックな)フランス車好き向けに特化(一部小型車は除く)=シトロエン。

F1で勝ちまくりフランス車を世界に通用させてやろうじゃないか=ルノー。

407がその図式の中にあるとすれば、ユーザーのフランス車度によって評価は異なるだろう。一般的なクルマ好きとしては、文句なくよくできたクルマということになるが、フランス車度が高いと果たして……。



試乗車スペック
プジョー 407 SW スポーツ 3.0
(3.0リッター・6AT・450万円)

●形式:GH-D2BRV●全長4775mm×全幅1840mm×全高1510mm●ホイールベース:2725mm●車重(車検証記載値):1720kg (F:1080+R:640)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:XFV●2946cc・V型6気筒DOHC・4バルブ・横置●210ps(155kW)/6000rpm、29.5kgm (290Nm)/3750rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L●10・15モード燃費:8.0km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ: 215/55R17(Pirelli P7) ●価格:450万円(試乗車 450万円 ※オプション:- -円)●試乗距離:約200km●車両協力:株式会社ホワイトハウス プジョー ディーラー ネットワーク

プジョー・ジャポン>407 SW http://www.peugeot.co.jp/lineup/models/407/sw/index.html

 
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