Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > サーブ 9-5 SE 2.3t

サーブ 9-5 SE 2.3t新車試乗記(第15回)

Saab 9-5 SE 2.3t

-

photo_2.jpg

1998年03月27日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

カーデータ

●カテゴリー:アッパークラス4ドアセダン
●クラス(排気量):2290cc
●キャラクター:北欧スウェーデンのサーブは、航空機メーカーが作ったクルマとしてよく知られている。「9-5(ナイン・ファイブ)」は、'84年登場の 9000シリーズに代わるサーブのフラッグシップモデル。日本市場でのサーブの認知度を一気に高める戦略車種として、大いに期待されるニューモデルだ。
●コンセプト:サーブは'90年以降GM傘下にあるため、同じグループ内のオペル・ベクトラ(新型)がベースとなっている。今年から販売を担当するヤナセは、普及ブランドのオペルに対し、サーブをその上級ブランド(VWに対するアウディのような)として位置づけようという意志を持っている。
●注目度:同じスウェーデン車のボルボは輸入車の代表的なクルマになっているが、ここ数年、ちょっと元気のなかったサーブの新車ということで、一般の注目度は今一歩。スタイル的にも地味めだ。でも、9000の良さを知る熱心な輸入車ファンからみれば、今回の9-5はとても気になる存在のはず。
●特筆装備:サーブ自家製のエコノミー&エコロジーという特性を持つ2.3リットル直4DOHCエンジンは、ライトプレッシャーターボが組み合わせられ、低回転から太いトルクが得られるのが特徴。「エコパワー」と名付けられたこのエンジン、各気筒独立イグニッション、電子制御スロットル、振動を抑える2次バランサーなどを備え、4気筒とは思えない滑らかさが魅力だ。
サーブは一般量産車に初めてターボエンジンを導入したパイオニアメーカーということは有名な話だが、シートヒーターやヘッドライトワイパーも初めて採用したメーカーでもある。
●燃費:10・15モード燃費は(カタログには)発表されていない。
●価格・販売:装備の違いで2.3t(450万円)と2.3tSE(515万円)が用意される。'98年よりヤナセ扱いとなったことは、販売量に大きく影響するだろう。

スタイル

飛行機の翼をイメージしたグリルを持つフロントフェイスは、伝統の形で、力強く高級車としての貫禄をも醸し出している。風洞実験で磨き上げられたCd値0.29のエアロフォルムも美点だ。反面、リアスタイルは残念ながらちょっと平凡な印象となっている。

パッケージング

欧州のプレミアムセダンとしては平均レベル。ただしベクトラよりホイールベースが70mm延びておりその分リアは広く快適。大きなインパネによって包み込まれる感覚の運転席は、ゆったりとした空間となっている。ラゲッジ容量はVDAで500リットル。リアシートは4:6 の分割可倒式でトランクスルーとなるが、9000のようなハッチバックではない。

内装(質感)

photo_3.jpg赤みがかったウッドパネル、ベージュの本革が奢られた内装は北欧家具の高級感が漂い、サーブの一種独特なムードが健在だ。ただプラスチック類はちょっとチャチ。

フライトコックピットを思わせるようなインパネ、手袋をはめていても操作できる大きな操作スイッチやドアハンドルなど、良い意味での外車っぽさがあちこちに感じられる。特にサーブ伝統のセンターコンソールに内蔵されたイグニッションスイッチは、エンスー度が高い。これには衝突時に膝への損傷を防ぐという意味もある。

シート・ステアリング・シフト感触

本革シートは、人によっては柔らかめに感じられ馴染まないかも知れない。このシートにはシートヒーターならぬシートファンが仕組まれていて、ムレを解消するという効果がある。シート下からエアコン風が通る仕掛けだ。冬だけでなく夏場にも活躍してくれるありがたい装備である。インパネのエアコン吹き出し口が、一つのつまみで風向が変えられるなど、さりげない便利装備には感心させられる。奇妙なカタチのドリンクホルダーは GM側の意向で(アメリカ市場を考えて)取り付けられたらしい。

動力性能(加速・高速巡航)

最高出力は170馬力と控えめだが、低回転域から厚いトルクが広範囲で維持され、ターボの違和感もまったくといっていいほど感じられず、扱いやすい。静止からの加速は、ハーフスロットル程度でもタイヤが軽く鳴るほどのダッシュを見せる。直4とは思えないくらいに滑らかに回り、エンジン音も静か。V6の必要性を感じさせない程、良くできた4気筒エンジンだ。マウントがしっかりしていて振動も非常に少ない。

高速操安性も優秀で、オーバー150Km/h域でもクルージングの気持ちよさを味わせてくれる。100km/h巡航のエンジン回転数は2000回転程度と、2.3リットルエンジンとしてはハイギアードにセッティングされているので、燃費も悪くないはず(今回未測定)。

ハンドリング・フットワーク

ハンドリングは素直で軽快。ボディサイズを感じさせないということから考えれば、スポーティともいえるだろう。クイックなところはないが、スポーツカーのようにガシガシとばす性格ではないので、快適性を重視するのならこれくらいベストだろう。

乗り心地

ソフトな乗り心地なのだがグニャグニャしておらず、しなやかで、ハーシュネスもなく、どんな路面も軽くいなしていく。超高速からワインディングロードまで、がっしりと安定したフィーリングで、文句なしの乗り心地だ。ステアリングフィールも重厚で質感の高いセッティングとなっている。

騒音

エンジン音は静かなのだが、タイヤノイズの大きさがちょっと気になる。これはタイヤ交換を試してみるべきだろう。

安全性

デュアルエアバッグ、ABSが標準装備、サイドエアバッグはオプションとなる。また、後面衝突時にヘッドレストが上に動いて頭部を保護し、ムチ打ち症を抑えるアクティブヘッドレストも注目したい装備だ。

環境対策

エコノミーとエコロジーという意味を持つ「エコパワー」エンジンだけに環境を意識したパワーユニットといえる。「エコパワー」の「パワー」は「パワフル」という意味の他に「信頼」という意味も含まれている。

ここがイイ

最近の輸入車が全般的に個性が薄れつつある中、サーブらしい独自の味を出している。GM傘下となりオペル車をベースとしながらも、ここまで個性を出せたのはマル。文句ない走り、上質なインテリア、充実した装備、向上した品質感など、クルマの仕上がりは二重マル。そして、まだたくさん走っていないという希少性が、「外車」としての価値を高めている。

さらに嬉しいのはヤナセ扱いになって、買いやすくなった(買える場所が増えた)こと、安心感が高まったことだ。

ここがダメ

全体的に上手く仕上げているだけに、特別注文をつけたいという欠点はない。強いていえばやはりリアスタイルを中心としたエクステリア。9000みたいな、とはいわないが、せっかくならもうちょっと強烈な個性が欲しかった。

総合評価

9000から一回りボディサイズが大きくなり、品質感も向上したことにより、ライバルのBMW5シリーズやベンツEクラスと堂々と渡り合えるようになった。最新の技術だけでなく最善の技術を盛り込んだサーブの芯のあるクルマづくり哲学は評価できる。信頼性や耐久性が高いはずだし、結構ローテクな各種装備も、電子制御ギッシリのハイテク装備以上に機能的なものばかりで、長く愛されるクルマになりそうだ。

お勧め度(バリューフォーマネー)

ネームバリューではBMWやベンツにはかなわないが、個性は主張できる。しかもサーブの方が若干安い価格設定となっているのは魅力(下表参照)。さりげない個性を求めているクリエイティブ系の熟年層にはいいかも。思った以上の満足感が得られるはず。

ヤナセ扱いとなってアフターサービスの安心度は高くなったが、下取りのはやはり若干不安。逆に新車に手が届かない人は、3年後位に中古車で購入するといいかも。

(サーブ9-5とライバル車の比較)
サーブ 9-5SE・・2.3L直4(170ps/28.5kgm) 515万円
メルセデス・ベンツE230・・・2.3L直4(150ps/22.4kgm) 570万円
BMW・525i・・・2.5L直6(170ps/25.0kgm) 543万円
アウディA6・・・・2.4L・V6(165ps/23.5kgm) 498.5万円

-

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 

最近の試乗記一覧