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ポルシェ 911 カレラ S (991型)新車試乗記(第676回)

Porsche 911 Carrera S (Type 991)

(3.8L 水平対向6気筒・7速DCT・1454万円)

初代誕生から約半世紀。
997から991へ
劇的進化した911に試乗!

    

2012年11月09日

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概要&ラインナップ

水冷化以来、最大のモデルチェンジ


新型ポルシェ 911(991型)。東京モーターショー 2011にて

ポルシェを代表する高性能スポーツモデル「911」シリーズ。今回取り上げるのは、2011年に登場した最新型、通称991型。伝統のファストバックスタイル、水平対向6気筒エンジン、RR(リアエンジン・リア駆動)といった点は従来通りながら、約90%のコンポーネンツを一新。ホイールベースを100mm延長したほか、先代997型の3.6リッターから3.4リッターにダウンサイジングした新型エンジン(カレラ)や量産車初の7速MTを新採用。1998年の水冷化以来、最大のモデルチェンジとなっている。

日本では2011年11月に受注を開始し、12月の東京モーターショーでジャパンプレミアを果たした。

カレラとカレラ Sの2本立て。カブリオレ、4WDもあり

エンジンはカレラが3.4リッター(3436cc)で、最高出力350ps(257kW)、最大トルク390Nm(39.8kgm)を発揮。カレラ Sは3.8リッター(3799cc)で、最高出力400ps(294kW)、最大トルク440Nm(44.9kgm)を発揮する。PDKでは左右ハンドルを選べるが、MTは今のところ左ハンドルのみ。

また、2012年8月からは電子制御フルタイム4WD、ポルシェ言うところのPTM(ポルシェ・トラクション・マネージメントシステム)を採用した「911 カレラ 4」と「911 カレラ 4S」、および各カブリオレの受注もスタートした。エンジン等はRRモデルと共通だが、リアフェンダーは左右合わせて44mm拡大される。ちなみに先代997後期型では911全体の34%を、この4WDモデルが占めたとのこと。

 

2012年11月現在の価格は、以下の通り。

■911 カレラ     1115万円(MT)/1190万円(PDK)
■911 カレラ S    1379万円(MT)/1454万円(PDK) ★今回の試乗車
■911 カレラ カブリオレ   1359万円(PDK)
■911 カレラ S カブリオレ  1639万円(PDK)

■911 カレラ 4     1265万円(MT)/1340万円(PDK)
■911 カレラ 4S    1534万円(MT)/1609万円(PDK)
■911 カレラ 4 カブリオレ   1484万円(PDK)
■911 カレラ 4S カブリオレ  1774万円(PDK)

デザイン&パッケージング

全長は65mm、ホイールベースは100mm長くなった


新型911のボンネット、フロントフェンダー、ドア、フロアの一部はアルミ製

新しい991型のボディサイズ(先代比)は、全長4500mm(+65)×全幅1810mm(同)×全高1295mm(-5)。先代より少し長くなり、ホイールベースは一気に100mm延長され、2450mmになった。結果、従来モデルにあったオーバーハングの長い感じが薄まり、良くも悪くも、RRを感じさせないスタイリングになった。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm)
ポルシェ 911 カレラ2(964型) 4245 1660 1310 2270
先代ポルシェ 911 カレラ(997後期型) 4435 1810 1300-1310 2350
新型ポルシェ 911 カレラ(991型)) 4500 1810 1295-1305 2450
新型ポルシェ ボクスター(981型) 4375 1800 1280 2475
 

デザイン一新。電動パーキングブレーキを採用


ステアリングはチルト/テレスコが可能。試乗車は電動だった。パドルシフトはオプションだが、操作しやすい

インテリアは約50%のパーツを共有する新型ボクスター(981型)同様に、デザインを一新。センターコンソールはカレラGT風になり、電動パーキングブレーキも新採用された。また先代997でも高かった質感には、さらに磨きが掛かっている。とはいえ、価格は試乗したカレラ S(PDK仕様)で1454万円もするのだから、当然と言えば当然のレベルだが。

ホイールベースは100mm延長されたが、室内長はほとんど変わらず。よって後席の空間は相変わらず+2レベルだが、乗り心地や静粛性は悪くないので、子供ならチャイルドシートで快適に過ごせるかも。実際には人を乗せるというより、手荷物を載せるのに重宝するもので、911が長年支持されてきた理由もそこにある。

 

トランクの形状はボクスターと同様だが、容量は15リッター少ない135リッター

センター部分に小物入れは備わったが、後席の居住性は従来と大差ない
 

基本性能&ドライブフィール

ボクスターとは音が違う

試乗したのはカレラ SのPDK仕様。同時に試乗した981型ボクスター Sから乗り換えて、最初の驚いたのはエンジン音の違い。排気量はボクスター Sが3436cc、この911 カレラ Sが3799ccだから、360cc程度しか違わないが、サウンドはまったく別物。ボクスターが「フォォォン!」と軽快なのに対して、カレラ Sは「バオン!」と獰猛に吠える。このあたりは明らかに吸気音および排気音のサウンドチューニングによるもの。997でもサウンド面の演出はされていたが、991型ではそれがさらに入念になっている。

また新型ボクスター同様、アイドリングストップも積極的に行うから、赤信号から発進する度に「バオン!」が繰り返される。以前乗ったパナメーラ SのV8ほどド派手は音ではないが、その音は車内よりも車外で聞く方が豪快だから、ちょっと気を使う時もありそう。

400psで路面を蹴飛ばす

それでも、郊外を走り始めれば、このサウンドは魅力的。特にスポーツクロノ パッケージに備わる「スポーツ プラス」ボタンを押した場合は、レスポンスが一気に鋭敏になり、パワー感も劇的にアップ。フラットシックス独特のシャープな音に、高回転型V8のような艶っぽさが加わり、「フラットシックスってこんな音したっけ?」と思わせるような快音を聞かせる。もちろん最高出力は400ps、パワーウエイトレシオ3.6kg/psだから、動力性能は伊達ではない。

ちなみにボディ自体は重量比で44%がアルミ製となり、車重はカレラのMTで1410kg、試乗したカレラSのPDKで1450kgと、先代より30~45kgほど軽くなっている。ただ、前後重量配分は先代と大差ない38:62で(車検証数値から換算)、後軸には試乗車で900kgも荷重が掛かるなど、相変わらずリアヘビー。おかげで400psのパワーは全て、上から押し付けるように後輪の295/30ZR20、ピレリ Pゼロに掛かる。その後ろ足で路面を蹴飛ばす感覚は、911ならではの醍醐味であり、速さの秘密でもある。

ちなみにカレラ S(PDK仕様)の0-100km/h加速は先代より0.2秒速い4.3秒、さらにスポーツプラス ボタンを押した場合は、4.1秒に短縮される。これはボクスター S(PDK)・スポーツクロノパッケージ装着車より0.7秒も速い。

ワインディングでは持て余し気味


フロントブレーキは、カレラに4ピストン、カレラ Sに6ピストンのモノブロッキャリパーを標準装備。タイヤはカレラが19インチ、カレラ Sが20インチになる

ワインディングでは、ホイールベースを100mm、フロントトレッドを46mm拡大した結果、RR独特のナーバスな動きが消え、大げさに言えばFRみたいに走るようになった。これは新型の大きな特徴で、非ポルシェ乗りには安心感があり、生粋の911乗りには拍子抜けする部分かも。ちなみにパワステは新型ボクスター同様、従来の油圧式から最新の電気機械式(モーター+コッグドベルト駆動)に変更されている。おかげで舗装が荒れたところでも、以前のような鋭いキックバックはない。

ただ、パワーは有り余るほどあるので、ワインディングでは少々持て余すというのが、正直なところ。楽しいことは楽しいが、加速が凄まじく、常に自制心やパワーコントロールが求められる。それと比べると、オープンにしたボクスター Sの方が思い切り走れるので楽しい(こちらも相当に速いが)。これは、ボクスターの方がコンパクトだとか(全長は125mm短い)、車重が軽いとか(S同士で比べると60kg軽い)、いったこともあるが、やはりエンジン搭載位置の違いが大きいと思う。また単純なところでは、クーペか、オープンか、という違いも大きく、その文脈で言えば、ボクスターと比べる相手は、911 カブリオレの方が適している。

最高速はついに300km/h台へ

一方、高速道路では、水を得た魚のごとし。400psのパワーを思う存分に解き放って、とはいかないが、それでも高回転域の快音やダッシュの鋭さは味わえる。ちなみに最高速度は、カレラで289km/h(MT)/287km/h(PDK)、カレラ Sで304km/h(MT)/302km/h(PDK)。ついでに書くと、カブリオレはカレラ(PDK)が284km/h、カレラ Sが299km/h。ついつい数字比べをしたくなるのが、ポルシェの、ドイツ車の罪なところ。ついでに言えば、ニュルブルクリンク北コースのタイムは、カレラ S(PDK)で7分40秒。これは先代997より14秒速く、997 GT3と同タイムになる。

一方で、高速走行中の快適性も十分。PDK仕様の場合、100km/h巡航時のエンジン回転数は約1700回転と低く、ノーマルモードで大人しく巡航すれば静粛性は高い。また乗り心地も、カレラ Sに標準のPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメントシステム)も手伝って、まったく問題なし。グランドツーリングカーとして、パーフェクトに使える。

またボクスター同様、燃費性能も強化されている。アクセルオフ時には、クラッチを断絶するコースティング走行も行うし、Cd値(空気抵抗係数)はカレラおよびカレラ S共に0.29を誇る。

 

総合評価

ナロー以来の911らしさは薄まった

997から991へ。911は大きく変わった。かつて930、964、997を数年ずつではあるが所有して、かなり入れ込んでいた身ゆえ、やはり911というクルマには特別な感情を持ってしまう。そこで991、まずはそのスタイリング。評価が高かった997と似た、見慣れたカタチであることは大変喜ばしい。996のように評価が分かれることはないだろう。ただ、よく見ると、リア部分は少し間延びした感じに見える。実際、リアクォーターガラスの後端とタイヤの中心はずいぶん離れた。弊社発行の911DAYS (2012年夏号)には、ホイールベースが延びた要因の一つとして、エンジン位置は変わらず、ドライブシャフトの角度が変わったことを挙げているが、とにかくこのリアの造形は、これまでの911のボテッとした印象とはちょっと違うなと感じる。

そして屋根からテールへのラインは、スッと落ちるのではなく、少し跳ね上がるように見える。ここは997好きとしては、やや違和感を感じてしまうところ。テールランプがかなり低い位置にあることも関係しているようだ。フロントガラスもより傾斜し、フロントのトレッドが広がっていることもあって、ショートホイールベースの小さなクルマという歴代911にあった「小さな塊」感が薄くなっている。流れるようなラインによってスポーツカーらしさは強まっており、一般的にはなんともカッコよくなった、と言われるはずだが、ナロー以来の911らしさというものは薄まったように思え、一抹の寂しさを禁じ得ない。

GTカーのようでもあり、スーパーカーのようでもある

インテリアはエクステリアほど変った感じはしないが、室内寸法的にはほとんど変わらないにもかかわらず、ちょっと広さにゆとりが出たように感じる。逆に言えばタイトなコクピット感は、やや減少している印象だ。シートも997より豪華に感じられた。パナメーラ以降のセンターコンソール形状は好みではないものの、操作系は997から乗り換えても違和感がなく、そこは良き伝統ということだろう。

走ってみても印象は同様で、確かに911という乗り味なのだが、これまであった、どこか緊張感を強いられる部分はなく、ゆえにこれまでの911とはちょっと違うという感覚がつきまとった。絶対的な速さなど性能面の向上は著しいが、街乗りする限りは、より快適性を高めた印象で、20インチタイヤにも関わらず乗り心地もセダンのように快適。新型991 カレラ Sの性能は、997 GT3並みのはずなのに、同時に乗った新型ボクスターの方が、よりスポーツカーらしい感覚が強かった。誤解を恐れずに言えば、かつての928のようか。一クラス上のGTカーになったという印象が強かった。

一方で、圧倒的なパワーや、従来のフラットシックスに期待されるものとはちょっと異なる排気音はかなり勇ましく、その点ではまるで「スーパーカー」の類に乗っているようだった。もちろん911だってその仲間だが、フェラーリやランボルギーとは立ち位置が違ったはず。しかしまるで、そういったジャンルのクルマに乗っているような感覚が、試乗中ずっとついて回った。

スーパーに行けるスーパーカー

そんな991だが、日々のお買い物にすら使える日常性は今だ健在で、どんなシチュエーションでも乗りこなせる「スーパーに乗って行けるスーパーカー」であることは変わりない。試乗中、初めてアイドリングストップした時には一瞬ドキッとしたが、こういった日常性を意識した機能がついていることこそ、スーパーに行けるスーパーカーであることの証ともいえる。

加えて電気機械式パワステ、コースティング機能、そしてやがて出るであろうハイブリッドなどから見ても、燃費を気にする日常乗りのクルマとして作られていることは明らか。日常性と一世代前のGT3並の性能を併せ持つ、まさに真のスーパーカーとなったのが991ということか。考えてみれば、そうした性格こそ、911の本質であった。とんでもない性能とかっこ良さを備えたクルマを日常的に乗りこなす、という真の意味での「スーパーカー」であること。991はそうした911の本質を更に昇華させたクルマということなのだろう。    
 
   

試乗車スペック
ポルシェ 911 カレラ S (991型)
(3.8L 水平対向6気筒・7速DCT・1454万円)

●初年度登録:2012年3月●形式:ABA-991MA103 ●全長4500mm×全幅1810mm×全高1295mm ●ホイールベース:2450mm ●最小回転半径:-m ●車重(車検証記載値):1450kg(550+900) ●乗車定員:4名

●エンジン型式:MA103 ●排気量・エンジン種類:3799cc・水平対向6気筒DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:-×-mm ●圧縮比:12.5 ●最高出力:294kW(400ps)/7400rpm ●最大トルク:440Nm (44.9kgm)/5600rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/64L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:-km/L

●駆動方式:リアエンジン・後輪駆動(RR) ●サスペンション形式:前 マクファーソン・ストラット+コイル/後 マルチリンク+コイル ●タイヤ:前:245/35ZR20、後:295/30ZR20(Pirelli P-Zero) ●試乗車価格(概算):-円  ※オプション:- -円 ●ボディカラー:ダークブルーメタリック ●試乗距離:-km ●試乗日:2012年10月 ●車両協力:ポルシェ・センター鈴鹿

 
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