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新車試乗記 第26回 日産 スカイライン Nissan Skyline

    

日時: 1998年05月29日

 

カーデータ

●カテゴリー: ミディアムスポーツセダン&クーペ
●クラス(排気量):2498cc
●キャラクター : 新型スカイラインは98年の目玉ともいえる話題車。初代が1957年に誕生して以来、歴代スカイラインは日本のモータリゼーションと共に歩んできた。8代目のR32型ではスポーツ路線に復帰したものの、次のR33ではまた豪華・実用路線へ突き進んでしまった。しかし記念すべき10代目となる新型では、あの軽快でスポーツ感に溢れる野性的なスカイラインのイメージが再び戻ってきた。軽量化、ダウンサイジングによる運動性能の向上、そして280馬力のパワーを手に入れた日産入魂の一台だ。
●コンセプト:「走りの楽しさを徹底追及した本物のスポーツセダン&クーペ」をテーマに、走る、曲がる、止まる、というクルマ本来の機能を徹底追求。卓越した走行性能、走りの楽しさを予感させる精悍なスタイリングなど、あらゆる面において「スカイラインらしさ」の具体化を目指す。また、安全や環境という社会的要素との調和も図られている。
●注目度: 太りすぎた先代R33が不評だっただけに、新型R34に寄せる期待感は高い。良くて当たり前のスカイラインだけに、2代続けての失敗は許されない。21世紀に向けて生き残りを賭ける新型スカイラインは、スカGファンの声を反映させた集大成ともいえる。これでコケたら30%の車種削減を図ると発表したばかりの日産だけに、「最後の直6スカイライン」となる可能性もありえるわけで(もちろん、スカイラインより先に整理すべき車種はいくらでもあるが)、並々ならぬプレッシャーのかかったモデルチェンジといえよう。しかし、そうはいっても世間の目は意外に冷たい。セダンやクーペといった伝統的な「ハコ」に対して、もはや熱い視線は注がれないのだ。
●特筆装備 : ホイールベースを先代R33より55mm短縮するなどのダウンサイジングを図り、軽快な走りと5ナンバーサイズ並みの取り回しの良さを実現すべく、引き締まったパッケージングとした。そして世界水準の走りにふさわしいパワーユニットとなるべく、RB25DETエンジンは専用チューニングによって280馬力を達成。そのハイパワーを受け止めるため、R33GT-Rに匹敵する高剛性ボディ&シャシー「ドライビングボディ」を開発。ターボ車には電動スーパーハイキャス、ビスカスLSD、225/45ZR17インチタイヤなどが組み合わせられる。
新採用された「デュアルマチックM-ATx」は、シフトレバーとステアリングに配したシフトスイッチのどちらでもシフトチェンジが可能で、マニュアル感覚の走りが楽しめるというもの。マニュアルモード付4ATというのはすでにトヨタ、ホンダ、ミツビシで採用されているが、日産では初となる(ブルーバード、プリメーラはマニュアルモード付CTV)。また、ちょうどいいサイズのミッションユニットがなく、6速MTは見送られた。
●燃費 :10・15モードで9.8km/リットル(25GT TURBOのAT車)。リーンバーンのGT(AT車)は11.4km/リットル。。
●価格・販売 : ボディは従来どおり2ドアクーペ、4ドアセダンの2本立て。エンジンは2.5リットル直6ターボ、2.5リットル直6NA、2.0リットル直6(リーンバーン)が用意され、2.5リットル直6NAには4WDの設定もある。価格帯は209.8~320.5万円となる。販売はプリンス店。

スタイル

鋭い目つきに伝統の丸目4灯テールランプを継承し、誰もが一目で「スカイライン」だと認識できる。2ドアクーペはリアフェンダーにキャラクターラインを配し(何となくかつてのサーフラインを思わせる)、ウェッジをきかせ、野性味溢れるアグレッシブなスタイルとしている。迫力のあるリアスポイラーはオプションだが、ぜひ装着したい必須アイテム。R33のデザインとは比較にならない端正なスタイルで、R33というよりR32の進化型に見えてしまうのがおもしろい。小型化したという点で好感が持てるが、スカGファンの中心となる40代の目には少々子供っぽく写るかも?

一方、4ドアはキャラクターラインこそないものの、勢いのある伸びやかなラインとしている。これまでの4ドアセダンのリアビューは格好悪かったが、今回は2ドアクーペに近いデザインとなり、随分良くなっている。スカGの原点となる4ドアセダンだけに、もう少し日産らしい硬派なインパクトが欲しかった。

中古でR32を購入している若年層には、新型R34のスタイルは格好良くみえるはずだ。

パッケージング

ホイールベースを55mmも短縮したことで、気になるのが後席の居住空間。しかしシート厚を薄くするなどの対処で、とりあえず後席のニースペースやヘッドクリアランスはR33とさほど変わりないという。トランクスペースもR33以上の容量を確保しているが、かなり入り組んだ形状になっている上、開口部が高い。

内装(質感)

skyline-250GT-07int-small.jpg今時、珍しく直線基調のインパネデザイン。メータークラスター全体がドライバー側にスラントされ、包み込まれるような感覚が味わえる。ダッシュボード中央の独立単眼3連メーター(電圧計、油温計、ブースト計)が、走りへの気分をより一層高めてくれる。赤いステッチのステアリング、メッキ調のスイッチ類などスポーティーな演出はバッチリ。キラキラ光るざらっとしたプラスチックのインパネ素材は、好みが分かれそうだ。

注意したいのは、オプションのマルチAVシステムを選ぶと、目玉アイテムである3連メーターが外され、ポップアップ式ディスプレイが装着されてしまうこと。3連メーターが無いと平凡なインパネとなってしまうので、もしナビを付けるなら社外品を2DINポケットに装着した方がいい。ただ、位置的には見にくくなってしまう。

シート・ステアリング・シフト感触

シート形状はショルダーサポートが大きく張り出したセミバケットタイプ。シート地はさらっとしていて滑りにくいダブルブリスターを採用し、見た目はなかなかイイ。低い着座位置、太いグリップのステアリングにシフトノブ。いかにもスポーツしてます、という仕様だ。ステアリングのシフトスイッチはトヨタのような裏表タイプではなく、親指上下タイプ(ポルシェと同じで、上が+なのもポルシェ同様)なので、初めての人にも感覚的に慣れやすい。ただ、このスイッチを有効にするモード切り換えスイッチがセンターコンソールにあり、マニュアルモードに入れてもこれを入れ忘れていると使えない。このスイッチは不要だ。変速時のトルクのつながりが滑らかなので、マニュアルモードで回転を引っ張ってもシフトショックがさほど伝わってこない。快適ではあるが、かえって感覚的にスポーツティさに欠ける気がする。

動力性能(加速・高速巡航)

280馬力エンジンに期待しすぎたせいか、「これが280馬力の加速?」とう感じ。ダイレクトな加速感はない。トルクは十分にあるはずなのだが、アクセル全開にしても「もっとパワーが欲しい」という気持ちでストレスがたまってしまいそう。

ハンドリング・フットワーク

R33GT-Rに匹敵する高剛性ボディは「なるほど」とうなずけるものだ。ハイパワーを受け止め、ダッシュ時でも、コーナーリング時でも、路面にしっかりと食いつく感じ。滅多なことで挙動を乱すことはない。何よりも感心したのが、どのような場面でも安心感があるということ。シャープでわかりやすい操縦特性だが、急な車線変更などクイックなハンドル操作ではクルマの挙動がワンテンポ遅れる感じが気になった。

乗り心地

ほどほどの硬さ。17インチタイヤとういうこともあり、強い突き上げはあるが、高級車と思って乗らない限り、一般道で不満はない。走りのスカイラインというイメージが強い人には、かえって快適すぎるのでは。

静粛性

意外な程に静かだった。さすがに新型車。快適を求める4ドアセダン購入層には満足してもらえるはず。でも2ドアでは、ストレート6ならでのエンジン音がもっと聞こえてきた方が、より刺激的でスカイラインらしいと思う。

安全性

ゾーンボディ、デュアルエアバッグ、ABS、ブレーキアシストを全車に標準設定。キセノンヘッドライトやLSDは一部グレードに標準で、サイドエアバッグは全車オプション設定となる。

環境対策

自然吸気のRB25DEエンジン搭載の2WD車はCO、HC、NOxの排出ガス値を規制値の10分の1に低減したLEV(Low Emission Vhicle)とし、よりクリーンな排気を実現している。同じく自然吸気のRB20DEエンジン搭載車はリーンバーン化して燃費向上を図っている。

ここがイイ

コンパクトで高剛性を極めたボディ。GT-Rと同じ280馬力を手に入れ、パワーウエイトレシオはGT-Rよりも優れる。もちろん絶対的なパフォーマンスの高さはGT-Rに及ばないが、FRらしい走りも含めて新型R34ならではの軽快さがあるのも確かだ。ボディサイズ、パワー、ボディ剛性、こういったあたりがぎりぎりの高いところで上手くバランスがとれたモデル、といえるだろう。前述したように、R33というより32の正常進化型というところだ。これなら変にGT-Rに媚びることなく乗れるだろう。

ここがダメ

スカイラインならではの絶対的な魅力には欠けると思う。これは凄い、これなら欲しいと思わせるだけの魅力は残念ながら感じなかった。総合的には歴代スカイラインのトップを行く性能はあると思うが、かつてスカイラインに憧れを抱いていた40代を呼び戻すほどのパワーが、そして魅力が果たしてこのスカイラインにあるだろうか。考えられる限り、走りに対する完成度を高めてあるが、時代がまだ向かい風なのも辛いところだ。

総合評価

skyline-250GT-05rear.jpgスタイル、速さ、快適さ、すべて合格。ボディ剛性、シーケンシャルシフト、エンジン、どれもすべて合格。スポーツクーペとしては。ただしこのクルマの場合、スカイラインというブランドが付くゆえ、評価が変わるのは仕方ないところ。原点回帰という姿勢は大いに評価できるが、かつてあった「カリスマ性」というものが感じられないのがつらい。280馬力だって他にもたくさんあるし、卓越した運動性能を持つクルマだってたくさんある。世界で活躍するインプレッサやランエボの方が、今や伝説的な存在になっているくらいだ。クルマ自体に「憧れ」などなくなりつつあるが、それでも「憧れ」あってこそのスカイラインだと思う。伝統にこだわりすぎているのか、今までのユーザーに縛られているのか。スカGの立場は非常に厳しいところに立たされていることは間違いないといえるだろう。やがて出るGT-Rがあるが故に、GTの存在意義が微妙になってもいる。いっそのことGT-Rははるか1000万円超の、手のでないスーパースポーツカーとして販売したらどうだろう?

お勧め度(バリューフォーマネー)

R33が不評すぎたということもあり、はじめは買い換え需要がありそうだが、爆発的ヒットは今の状況では望めそうにない。280馬力のクルマがたくさんある中で、R34を選ぶ理由となるのは、恐らくボディ剛性だろう。それなら2ドアクーペで最も安い2.0リットルエンジンのGT(224.7万円)あたりを購入してもいいのでは。高剛性ボディとFRを活かし、アクセルを全開にして思いっきり振り回せば、結構こっちの方が楽しめるかも。

         

公式サイトhttp://www.nissan.co.jp/

 
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