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フォード Ka新車試乗記(第70回)

Ford Ka

(1.3リッター・5MT・150万円)

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1999年04月16日

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キャラクター&開発コンセプト

新フォード・デザインの第1号車、日本仕様は鼻先を40mm拡大

「Ka(カァ)」を生産するのはドイツに本拠をおくヨーロッパ・フォード。同社のフィエスタをベースに、独創的なニューエッジデザインのボディとインテリアを与えた1.3リッターの3ドアハッチバックだ。フォードが進めるニューエッジデザイン・コンセプトの第1号車であり、1996年に発売されたヨーロッパではすでに累計50万台を達成している。

日本仕様はUK用の右ハンドルで、ラジエーターの大型化やエアコンの強化が行われており、そのためフロントバンパーが40mm伸びている。足回りは欧州仕様のままで、トランスミッションも5MTのみの設定。4ATの設定がない(本国にもない)のが悔やまれるところだが、ヨーロッパと同じ走りが楽しめると思えば納得できなくもない。CVTも開発されていたようだが、途中断念された、と聞く。

車名の「Ka」とは、クルマの「Car」から発展させた造語ではなく、「生命の源」を表す古代エジプトの象形文字からとられている

価格帯&グレード展開

右ハンドル+1.3リッターOHV+5MTのみで150万円

1.3リッター+5MTのワングレードで、主要安全装備&快適装備ほか、サンルーフも標準装備されて価格は150万円。スポーツサスペンションや14インチアルミなどのオプションもある。ボディカラーはメタリック系5色、ソリッド系1色の全6カラーだ。

ライバルは、ヨーロッパで同じBセグメントに属するルノー・トゥインゴ(5MTは149万円)やVWポロ(5MTは160万円)あたり。むろんトヨタ・ヴィッツもライバルとなる。

パッケージング&スタイル

合理的設計も盛り込まれた個性的スタイル

最大の特徴であるスタイルは、曲線と直線を融合させた「ニューエッジ・デザイン・コンセプト」なるもの。これからのフォード車デザインを象徴するものであり、現在WRCで活躍しているエスコートの後継車はこの第2弾となる。全長3660mm×全幅1640mm×全高1400mmと小柄でありながら、よくぞここまでという面白おかしいスタイルを作り出しており、存在感は抜群。大量投入されているCM効果もあってか、主婦や若い女性の注目も高いようだ。ホイールベースはベースとなったフィエスタと同じ2450mm。このクラスとしては異例に長い。

特徴的な黒樹脂の前後バンパー&フェンダー部は、それぞれ修復が低コストで済むように3分割となっている。バンパーの角やフェンダーの縁といった、キズ付きやすい部分だけを交換できるのだ。経済性も配慮されている点は評価できるところ (部品代がいくらかは未調査だが)。

斬新かつシンプル

ford-ka-07intsmalll.jpg内装デザインもやりすぎではないかと思ってしまうほどの大胆さ。インパネは粘土細工をぐねぐねと練った芸術作品のようだが、使ってみるとシンプルゆえに使いやすい。電動ミラー、電磁式テールゲートオープナーなどの日本向け特別装備に加えて、サンルーフも標準化されており、装備も一人前だ。メーターもハッタリ? ながら一応220km/hまで刻まれている。シートはドイツ車としてはかなり小ぶりだ。

回転式グローブボックスはサングラス程度の小物が収納できるが、中身が反転してしまうだけにキズが付きそうでちょっと心配。カセットスペースもあるが、ガタガタしそうだ。ドアポケットに設けた細缶・太缶のドリンクホルダーは確かに便利だが、ドアの開閉の際、缶の中身がこぼれてしまいそうなのがこれまたちょっと心配。

前席は不満ない広さ、後席はプラス2

乗り込んだときの前席の広さはこのクラスとしては相応といった感じ。あのトヨタ・ヴィッツのホイールベースが2370mmに対し、Kaは2450mm(クラストップらしい)もあるが、後席にその恩恵はない。膝元の余裕は拳一個ほどで、おしりを沈ませて頭上空間をかせごうとしているが、クォーターピラーが頭すぐ横に迫っており、ちょっとした揺れで頭をぶつけてしまいそう。パーソナルユースというのが適切な使い方だ。

基本性能&ドライブフィール

今の時代に”OHV”と”5MT”

エンジンは最高出力60PS/5000rpm、最大トルク10.5kgm/2500rpmの1.3リッター直4・OHV。何とも古くさい形式だが、コスト、スペース、サービス面を考えると、この手もアリだと思う。その一方でエンジン制御システムEEC-Vというフォードの最新技術も投入されている。トランスミッションは5速MTのみ。フォードジャパンはヨーロッパの本物の走りを提供したいがために、これを導入したと主張しているが・・・。素人考えではあるが、マツダ・デミオのATあたりをのせることはできなかったのか、とふと考えてしまう。いずれにせよ、このクラスならATの導入を期待したい。

非力なりに一生懸命走る

スペックからも分かるとおり走りはパワフルとはいえない。市街地では超低回転から最大トルクを発生するため不満ないレベルだが、追い越しなどのとっさの加速時は、シフトを2速落としてフルアクセルが必要だ。絶対的にパワー不足なのでキビキビ走るにはシフトチェンジを繰り返すことになるが、ウインカーレバーも左側なので、運転は結構忙しい。むろんシフトフィーリングも別段スポーティではない。とはいえ、一生懸命クルマを”走らせている”という感じはあり、スポーツカーの楽しさとは違う「運転する楽しさ」を堪能できることは事実。シフトチェンジが気にならない人なら、走りに大きな不満はでないだろう。

エンジンはOHVという古くさいイメージとは異なり、結構洗練されている。SOHCのクルマから乗り替えても、何ら気になることはないだろう。ステアリングが少し重いので、小型車としてはしっかり感がある。これは乗り心地についても同じで、シャッキとした感じはライバルのトゥインゴやヴィッツあたりの柔らかさとは明確に異なり、ドイツ車的な安定感がある。特に高速巡航はヨーロッパ仕込みだけあって安定しており、ノイズさえ気にしなければ、ロングドライブも平気でこなしてくれるだろう。100km/hはもちろん130km/hあたりでも十分巡航できる。

ここがイイ

スタイルは賛否が分かれそうだが、日本車では絶対できないデザインだけに、輸入車としての存在感はある。「ヘェー、外車買ったんだ」と誰からも認めてもらえるはず。ここが最大のイイところだ。ルーテシアあたりだと、知る人ぞ知るという感じだが、これなら速攻で自慢できます。

ここがダメ

そのスタイルゆえ、乗る人を選び、乗る場所を選んでしまう。あまりに目立つので、乗るのにはそれなりの覚悟(とファッション)が必要。フォードとしては都会のオシャレな若者をターゲットに設定しているようだが、そういう層のファッションセンスに、このクルマは合っているのだろうか(ファッションにはいまいち疎いのでよく分からないが)。とはいえ厚底ブーツで平気で運転する若者には、クラッチ踏むのは辛いでしょう。

総合評価

ford-ka-05small.jpgハードをそつなく(リーズナブルに)まとめて、デザインで差別化を図る手法は、さすが激戦カテゴリーの勝負クルマらしいところ。で、それが欧州では吉と出たわけだが、少なくとも日本でバカ売れすることはないと思う。ただ、個性があるということは何をさておいても素晴らしい。メーカーが一生懸命な割に、消費者はどんなクルマが出ても何だか同じようなクルマに見えてしまっている現状で、ここまでの存在感は高く評価したい。性能より知名度で売れてしまうのが今の消費動向なので、このクルマが「化ける」可能性は十分あると思う。で、そのカギは、諸事情があるのは承知の上でいうが、やっぱり何はなくともATだろう。このサイズ、このカタチ、この走りとハードの完成度でATがあれば、確実に数倍の販売が見込めるはず。厚底ブーツでも乗れるクルマを出すべきだ(注:厚底ブーツで運転するのはやめましょう)。

100点満点で…

85点

          

公式サイトhttp://www.ford.co.jp/

 
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