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アウディ A1 1.4 TFSI新車試乗記(第624回)

Audi A1 1.4 TFSI

(1.4リッター直4ターボ・7速DCT・289万円)

TSI、DCTに加えて
アイドリングストップを搭載。
“エコ”プレミアムな
アウディの末っ子に試乗した!

2011年02月18日

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キャラクター&開発コンセプト

アウディの最小モデル。基本コンポーネンツはVWポロと共有


新型アウディ A1 1.4 TFSI
(photo:アウディ ジャパン)

2010年3月にジュネーブモーターショーでデビュー、ドイツ本国では夏から販売が始まった「A1」は、アウディブランドの最小モデル。日本では1並びの2011年1月11日に発売された。アウディ曰く「エモーショナルで個性的、最もスポーティなプレミアムコンパクト」だ。

プラットフォームは、現行のVW ポロやセアト・イビーザ(Ibiza)と共有。また日本向けの「1.4 TFSI」に搭載される1.4リッター直噴ターボエンジンや7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)も、現行のアウディA3(スポーツバック 1.4 TFSI)やVWゴルフ(TSI コンフォートライン)とほぼ共通だ。

ただしアウディの末っ子らしく、内外装はスタイリッシュ。アウディ ジャパンによれば、「アーバンエゴイスト(Urban egoist)」、すなわち「自分の価値観を大切にする、高い審美眼を持つユーザー」に向けた個性派とのことだ。

 

燃費性能にも注力され、アウディで初めてアイドリングストップ機構「スタートストップシステム」を採用。同時に昨今流行りのエネルギー回生システムも搭載(減速時の電力回生によってバッテリーへの充電を行い、オルタネーター駆動の負担を減らして燃費を稼ぐ)。10・15モード燃費19.4km/Lを達成し、エコカー減税対象車となっている。

生産拠点はベルギーのブリュッセル工場。元はVWの生産拠点だったが、2007年からアウディA3を生産している。A1の年産目標は10万台で、欧州での受注は好調なようだ。日本ではひとまず2011年に4000台の販売を目標としている。これはアウディ車全体の目標である2万台の20%にあたる。

原型は2007年の「メトロプロジェクト クワトロ」


アウディ 「メトロプロジェクト クワトロ」 (2007年)

もともとのデザインは2007年の東京モーターショーがワールドプレミアとなった「メトロ プロジェクト クワトロ」で発表されたもの。後輪を電気モーターで駆動するパラレルハイブリッドという提案は実現されていないが、デザインはほぼそのままだ。その意味では日本とも縁の深いモデルと言える。

 

※過去の参考記事
■モーターデイズ>新車試乗記>フォルクスワーゲン ポロ TSI ハイライン (2010年7月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>フォルクスワーゲン ポロ 1.4 コンフォートライン (2009年12月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>フォルクスワーゲン ゴルフ TSI コンフォートライン (2009年5月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>アウディ A3 スポーツバック 1.4 TFSI (2009年3月更新)

 

※外部リンク
■アウディ ジャパン>プレスリリース>「Audi A1」発表 (2011年1月)

価格帯&グレード展開

HDDナビ標準で289万円から。コントラストルーフはオプション


試乗車はスポーツパッケージ仕様で、さらに17インチタイヤを装着。ボディカラーはスクーバブルーメタリック。サイドデカールはもちろん非売品

導入されたのは「1.4 TFSI」の1グレード(289万円)。一クラス上のA3 スポーツバック 1.4 TFSI(305万円)と大差ないが、A1には新世代のMMI(マルチ・メディア・インターフェイス)やHDDナビシステムが標準となる。

また工場装着オプションも多数あり、それに計10色のボディカラーやコントラストルーフ仕様も加わるため、組み合わせはほとんど無数となる。受注生産、受注発注のようなケースが多くなりそうだ。

■A1 1.4 TFSI  289万円  ★今回の試乗車

 

A1で特徴的な「カラードスリーブ」は、標準のマットブラック以外に計5色ある
(photo:アウディ ジャパン)

【主なオプション】
■スポーツパッケージ(15万円)・・・・・・スポーツシート(クロス地)、スポーツサスペンション、吹き出し口カラードスリーブ、LEDインテリアライトパッケージ、215/45R16タイヤ+7J×16ホイール
■コントラストルーフ(6万円)・・・・・・ルーフアーチをシルバーなどボディと異なるカラー(計4色)で塗装。※スポーツパッケージ装着車のみ選択可
■レザーパッケージ(28万円)・・・・・・本革シート(ミラノレザー)+シートヒーター
■バイキセノンパッケージ(12万~15万円)・・・・・・バイキセノンヘッドランプ+LEDデイライト&リアコンビランプ

 

ユーロNCAPは5つ星を取得。エアバッグは前席フロント+サイド、そしてヘッドエアバッグを標準装備

■コンペティション パッケージ(29万円)・・・・・・専用エアロパーツ、スポーツサスペンション、215/40R17タイヤ+7.5J×17ホイール
■クルーズコントロール&APS(アウディ パーキングシステム) (15万円)
■BOSE サラウンドサウンドシステム(12万~15万円)
■オープンスカイルーフ(18万~21万円)
■パールエフェクト塗装(3万円)

「S1」や「A1 スポーツバック」も登場か

欧州には1.4 TFSI以外に、1.2 TFSI(86ps)や1.4 TFSIの高性能版(ターボ+スーパーチャージャー、185ps)があり、5速/6速のMTも用意。ターボディーゼルの1.6リッターTDI(90psと105psの2種類)+5MTもある。

そしてまだ噂の段階だが、よりパワフルな「S1」も登場する模様。また2008年にはパリモーターショーで5ドアの「A1 スポーツバック コンセプト」が発表されており、こちらも市販される可能性が高い。

パッケージング&スタイル

全体に丸く、愛嬌と力強さが入り混じる

アウディらし入念な仕上げやシングルフレームグリルはそのままに、斬新かつ奇抜なデザインを採用したA1。特にコントラストルーフ仕様では丸みを帯びたルーフラインが面白い(かつてのシトロエン C3 プルリエル風)。またボンネットやリアゲートはTTやR8のように、上から覆いかぶさる「ラップアラウンドデザイン」で、これもA1に独特の表情を与えている。

 

どちらかと言えば、ワイド感より丸さが強調され、切り詰められたリアオーバーハングもお尻のように丸い。一方、大径タイヤやフェンダーはしっかり張り出し、踏ん張り感もある。結果として生意気ながらも愛嬌があり、野生動物のような力強さもある。カバとかサイの子供、といった感じか。

サイズ的にはMINI、DS3、ミトと競合

1740mmの全幅を除けば、ボディサイズはVWポロと同等だ。ただし今回登場したA1は3ドアなので、直接のライバル車はMINI、シトロエン DS3、アルファロメオ ミト、ボルボ C30あたりとなる。実質二人乗りのエコカーという点ではホンダのCR-Zとも競合するかも。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) ホイールベース(mm)
■MINI クーパー 3740 1685 1430 2465
■VW 5代目ポロ 3995 1685 1475 2470
■シトロエン DS3 3965 1715 1455 2455
■アウディ A1 1.4 TFSI 3970 1740 1440 2465
■アルファロメオ ミト 4070 1720 1475 2510
■ホンダ CR-Z 4080 1740 1395 2435
■ボルボ C30 2.0e 4265 1780 1430 2640

インテリア&ラゲッジスペース

航空機の「翼」をイメージ


試乗車はオプションのレザーパッケージ装着車(28万円高)

アウディといえば、上質でカチッとした内装がお決まりだが、A1ではそのクオリティ感を保ちつつ、空調吹き出し口をオプションの「カラードスリーブ」で縁取るなど、ポップな感じも加味されている。

アウディによれば、インパネまわりのモチーフは「航空機」とのこと。最初はコックピット感ということかと思ったが、そうではなく、航空機の翼そのものらしい。なるほど、吹き出し口はジェットエンジンのタービンということか。

新世代のMMIを採用


ポップアップ式のモニターは手動で、スプリング仕掛けで昇降する

いわゆるインフォテインメント(インフォメーション+エンターテイメント)装備も充実している。日本仕様は全て、60GBのHDDナビや地上デジタルTV(フルセグ対応)を標準装備し、A1ではこれを最新型のMMI(マルチ メディア インターフェイス)でコントロールする。

 

中央のノブがコントローラー。なぜかSDカードのスロットが2基もある。携帯デジタルオーディオ機器はグラブボックス内のインターフェイスに専用コネクターでつなぐ

この新型MMIは、コントローラーこそ小型の簡易版だが、中身(ソフトウエア)は新型A8と同じものらしい。A1の場合は、周辺スイッチが小ぶりで、ドライバーからも遠いため、相当慣れないとブラインド操作は難しいが、とりあえずナビやオーディオ、車両設定などはこれで一括コントロールができる。またオーディオ関係は、ステアリングスイッチでも操作できる。

2+2以上、4シーター未満


レザーシートの形状は布のスポーツシート仕様と同じ。ステアリングのチルトとテレスコはもちろん標準

後席はもちろん2人掛け(乗車定員4名)。ホイールベースがポロとほぼ同じなので、足元は余裕だが、問題はヘッドルームだ。身長160センチ程度でも、天井に頭が干渉し、それを避けて頭を少し内側に傾ける格好になる。

 

前倒し時のヒンジに注目。ステアリングにぴったりくっつくまで倒れる

というわけで、後席は2+2以上だが、フル4シーター未満という感じ。感覚的にはMINI(ハッチバック)より余裕はあるが、ヘッドルームの点でマイナス。大人がちゃんと座れるフィアット500には及ばず、ポロの代わりにはなり得ないという感じだ。

 

大人が座るとヘッドルームが厳しい後席。2人掛けで、座面中央はドリンクホルダー

ただし乗降性は悪くない。フロントシートを前に倒す時の支点が前にあるため、背もたれがせり上がりながら前方に移動し、開口部が大きく広がる。これはおそらく、チャイルドシートを使用する際への配慮だろう。

積載性……ポロには及ばずとも、ライバル車以上


トノカバーの付いた状態。ちなみにゲート左右の白いものは、ゲートオープン時のLED式テールランプ

後席使用時のトランク容量は、カタログ値で270リッター。ポロ(280リッター)やDS3(285リッター)には及ばないが、現行MINI(160リッター)やCR-Z(214リッター)よりは大きく、十分だろう。リアゲートが寝ている分、容量は損をしているが、開閉時にリアゲートは手前にせり出してこないのは長所だ。

 

後席の背もたれは40:60の分割式。ショルダー部のレバーでロックを外す

後席の折り畳みは、背もたれをパタンと倒すだけのシングルフォールディング。完全にフラットにはならないが、日常的にはこれでほとんどの用を足すはずだ。

ここから先は日本語の取扱説明書にはないが、さらにダブルフォールディングも可能だ。こうすると拡大時のフロアはフラットになるし、操作もけっこう簡単だった。座面クッションは左右一体なので、片側だけフラットな荷室にする、ということはできないが、引越の時など大物を積むときには「助かった」と思うはず。

 

いざという時にはダブルフォールディングも可能。ヘッドレストを外す必要はない

拡大時の最大容量は920リッターで、見た目でもMINI(680リッター)より断然広く、MINIクラブマン(930リッター)やポロ(952リッター)に迫る。ただし奥行き、高さ、ともに余裕はないので、スポーツ自転車を積む場合は、前後ホイールを外し、横に倒す必要があるだろう。

 

意外にもスペアタイヤを搭載

現行ポロはスペアタイヤレス+パンク修理キットだったが、A1の日本仕様はしっかりテンパースペアを搭載する。ここは考え方次第だが、やっぱりスペアは欲しいという人には嬉しいところ。

基本性能&ドライブフィール

【アイドリングストップ】スターター音は大きめ


見慣れた1.4 TFSIエンジンだが、A1用はアイドリングストップ付

パワートレインはおなじみ1.4リッター直4・直噴ターボ(122ps、20.4kgm)と7速DCTの組み合わせ。当試乗記では、A3(1.4 TFSI)、5代目ゴルフ(TSI トレンドライン)、6代目ゴルフ(TSI コンフォートライン)に続いて、4度目の登場となる。

なお、ポロの1.2 TSIエンジン(105ps、17.8kgm)は、これの小排気量版に見えるが、実際にはSOHC・2バルブヘッド+アルミブロックの完全別物。1.4はDOHC・4バルブで、強度に余裕のある鋳鉄製ブロックを使う。

A1はアウディ初のアイドリングストップ装着車ということで、エンジンが温まっているなど諸条件を満たせば、最初の赤信号でエンジンがストンと止まる。ただ、実際にはアイドリング音が静かなので、エンジンが止まったことには気づかないことが多い。むしろ意識するのは、エンジンが掛かる時だ。

 

というのもこのA1、「キュキュキュキュッ」というスターターノイズがけっこう大きめ。最初は少しビックリするほどだ。ヒルホルダー制御のおかげで坂道で後ずさりしないのは良いが、もう少しスターターノイズを抑えるか、始動性を高めてスターターの回る時間を短縮したいところ。洗練度はマツダのi-Stopや日産セレナには及ばず、マーチ並といったところだ。もちろん、音が気になるならアイドリングストップを切ってしまえばいいのだが。

ただ、これも慣れてしまえば、どうということはない。今回は突然の降雪で大渋滞に巻き込まれ、アイドリングストップを存分に味わったが、ヘッドライト、ワイパー、ヒーター&シートヒーターを使用していても、特に問題なし。ワイパーは動いている途中だと一瞬止まるが、レインセンサー付なので、停止時は間欠モードに入ることが多かった。

ちなみにアイドリングストップ時にシートベルトを外したり、ドアを開けたりすると、ブレーキを離しても再始動しない。この場合は、いったんパーキングかニュートラルに入れて、手動で(キーで)始動する必要がある(メーター内に同様の指示が出る)。これはうっかりミスを防ぐための安全装置だが、クルマに詳しくない人はとっさに対応できない可能性があるので、事前に知っておいた方がいいだろう。

オプションの17インチタイヤは明らかにオーバーサイズ


試乗車のタイヤは標準サイズより2インチ大径の17インチ

走り始めて最初に驚いたのが、タイヤからのコツコツとした突き上げ感だ。段差ではリアからダンッと鋭いショックが入ることもある。実は標準のタイヤサイズが205/55R15のところ、試乗車はオプションによってスポーツサスペンションと215/40R17(コンチネンタルのスポーツコンタクト2)という仕様になっていた。特にハンドリングに悪影響があったわけではないが、これはさすがにオーバーサイズ。ハンドリングは確かに鋭いが、A3のようなしっとり感はなく、ポロのようなしなやかさにも欠け、タイヤの転がる音は騒々しい。ルックス重視ならともかく、性能的には標準の205/55R15で十分だろう。

 

ポロと同じで、フロントはストラット、リアはトーションビーム
(photo:アウディ ジャパン)

今回は途中から雪が降り始め、ドライ路面ではあまり走れなかったが、ハンドリングは17インチタイヤということで、フロントもリアもべったりグリップしたまま。発進時やコーナーの立ち上がりではトラクションコントロールの介入を受けることもあるが、トルクステアはなく(ESPには電子制御デフ機能も入っている)、リアが流れることもない。電動油圧パワステの手ごたえは軽めだが正確だ。

ただポロと比べてどうかとなると、少なくとも、このプラットフォーム、この程度のパワーなら、ポロ 1.2 TSIの方がバランスがいい、というのが割と一般的な感想のように思える。

動力性能は十分。面白さには少し欠ける

トルクはわずか1500回転から20.4kgm(200Nm)もあるので、実用車としての動力性能は十分だ。ただし馬力は122psしかなく、高回転での伸び感もあまりないため、多少なりともスポーティさを期待してしまうと、少し物足りなさはある。冒頭でエンジンはポロの1.2 TSIと別物という話をしたが、パワー感そのものは大差ない感じ。下の表とは少し矛盾するが、排気量とパワーが増した分、車重も90kgほど増えているからか。試乗車の場合、タイヤの影響も大きかったと思う。

かといって、これ以上のパワーも、本来の姿ではないように思えるし。むしろ日本仕様のA1にも、ポロと同じ1.2 TSIがあっていいような気がした。

 
   203km/h
  最大
出力
最大
トルク
0-100km/h
加速
最高速 10・15
モード燃費
VW ポロ 1.4 コンフォートライン (7-DCT) 85ps 13.5kgm 11.9秒 177km/h 17.0km/L
VW ポロ 1.2 TSI (7-DCT) 105ps 17.8kgm 9.7秒 190km/h 20.0km/L
MINI クーパー(6AT) 122ps 16.3kgm 10.4秒 196km/h 16.4km/L
VW ゴルフ TSI コンフォートライン
(7-DCT)
122ps 20.4kgm 9.5秒 200km/h 16.8km/L
アウディ A1 1.4 TFSI(7-DCT) 122ps 20.4kgm 8.9秒 203km/h 19.4km/L
アウディ A3 1.4 TFSI(7-DCT) 125ps 20.4kgm 9.6秒 16.6km/L
アルファロメオ ミト 1.4T(6MT) 155ps 20.5-23.5kgm 8.0秒 215km/h
VW ポロ GTI (7-DCT) 179ps 25.5kgm 6.9秒 229km/h 16.6km/L
MINI クーパー S (6AT) 184ps 24.5kgm 15.6km/L

試乗燃費は11.6km/L。高速巡航は約17km/L。10・15モードは19.4km/L

恒例の試乗燃費は、いつもの一般道と高速道路の混じった区間(約90km)で11.6km/L。以前試乗したA3 1.4 TFSIの時(11.2km/L)と大体互角だったが、意外にもポロ 1.2 TSI(同10.0km/L)より、いい数字が出てしまった。気候条件や乗り方の差は否めないが、パワーに余裕がある分、飛ばしても燃費の落ち込みは1.2 TSIより少なかったかもしれない。

その後は突然の積雪で、1時間で10kmちょっとしか進まない大渋滞に巻きこまれたが(東京都内の幹線道路はいつもこんな感じか)、それでも約10km/Lを維持。アイドリングストップが無かったら、もっと悪化していたと思う。翌日、高速道路を80~100km/h巡航で走った区間(約10km)は約17km/Lだった。なお100km/h巡航は他の小排気量TFSI/TSIエンジンとほぼ同じ約2000回転でこなす。

10・15モード燃費は19.4km/Lで、ポロ 1.2 TSI(同20.0km/L)に迫る。指定燃料はいずれもハイオクで、タンク容量も同じ45リッターだ。

ここがイイ

デザイン、十分な性能、ポップアップするディスプレイ


(photo:アウディ ジャパン)

デザイン的な好みは別として、このサイズでアウディにしか見えないスタイリングはたいしたもの。大径タイヤが外に張り出して踏ん張ったスタイルは、コンセプトカーと大差なく、先日のレクサス CT200hとは全く異なる印象。作り手がクルマのカッコ良さとは何かを理解していることが、クルマ好きに伝わってくる。

 

最近のゴルフやポロ同様、十分な動力性能と燃費性能。とりあえず時代の要請に合わせてアイドリングストップを搭載してきたこと。そしてVW車を超える上質な内装。これまたデザイン的な好みは別として、小さな高級車はこういうもの、と分かっている人の作品だろう。小型右ハンドル車ながらドラポジに不自然さはなく、足元も十分広い。夜間は常時ペダルのあたりがLEDで照らされていたが、これ、なぜか心理的な安心感があった。初めての経験だった。

手動でポップアップするナビディスプレイ。いつも言うとおり、ディスプレイを置くなら、このダッシュ中央上部が最もいい位置となる。手動ならコストは安いと思うし、どうせほとんど開けて使うものだから、これで十分。今後は、全車こうなって欲しいものだ。

ここが気になる

スターター音、後席ヘッドルームの狭さ、MMIの操作性

アイドリングストップから再始動する時のスターター音、そしてクランキングの長さ。またターボの過給に関しても、時にややラグが感じられた。ただ欧州車の場合、こういったところはモデルチェンジを待たず、どんどん改良されていくだろう。

確信犯だろうが、後席で頭が天井に当たるのは、残念な部分。このサイズでフィアット500より使えない後席というのは、日本でもちょっと販売に影を落とすのでは。むろんそれがスタイリング重視ということなのだが。やがて出るであろう5ドアでは、どういう処理がなされるのだろう。

新型のMMIを搭載してきたのはいいが、少なくともA1用のコントローラーやメニューボタンは独特で、少なからずフラストレーションを感じた。また国産の純正ナビの場合、音声操作は適当に話しても通じるところまで来ているが、これは一通り専用のコマンド(言葉)を覚えないと使い物にならない。現時点で最上のものを目指しているのはよくわかるが、スマホとの連動など、今後激動の時代に入るナビの世界ゆえ、難しい問題だ。

フルセグTVの映りはいいが、相変わらず走行中にナビ画面に自動復帰してくれない。走行中はナビ、止まればテレビ、というパターンは他メーカーの純正ナビでも増えてきているので、特に問題ないと思うのだが。

パドルシフトがオプションにもない。来る「S1」には付くのだろうが、この1.4 TFSIだってオプション込みで300万円を優に超えるわけで、ぜひとも欲しい装備。

総合評価

2010年は過去最高。欧州ではBMW、メルセデスを越える

アウディ ジャパンは、プレスカンファレンスを毎年名古屋でも行なっているので、そこでの話をまず書いておこう。アウディの世界販売は2009年には凹んで95万台だったが、2010年にはそこから15%も伸ばして109万台になった。これは過去最高だった2008年の100万台を上回る、アウディ史上最高の販売台数。リーマンショックをものともせずに伸びている稀有なプレミアムブランドだ。EU25カ国の2010年販売台数は、アウディ 60万台、BMW 58万8000台、メルセデス・ベンツ 57万1000台で、ついにプレミアムブランドのトップに踊りでている。

日本でも伸び続けており、2010年はヤナセが扱っていた1990年当時の1万6691台を抜いて、1万6854台となり、日本におけるこれまでの最高販売台数となった。台数が急落しているメルセデス・ベンツ、BMWを急追しており、昨年の新車販売台数ではアウディ1台に対して他ブランドは2台程度というレベルにまで迫っている。

 

そこでアウディ ジャパンは2011年の販売目標を20%増の2万台に設定。「Big&Small戦略」と銘打って、新型A8をはじめ、今年中に日本での販売が開始されるA7、フルモデルチェンジするA6などのBigモデルと、SmallモデルのA1とで、この数字を達成する目論見だ。2万台の内訳は、ハイエンドモデルが合計3000台、A1が4000台、既存モデルが合計1万3000台。

東海地区では新富裕層がアウディを支える?

デイズのある東海北陸エリアでは、プレミアムインポートカー市場が2009年の1万5276台から2010年には8.2%増えて1万6530台になった。この数字からもインポーターにとっては重要な市場であることが分かる。またアウディ ジャパンにとっても2010年の当地区販売実績である2812台は、全販売台数の16.7%を占める。近畿が2846台、首都圏が6423台、その他全国が4774台だから、人口比率でいったら最良の市場ということだ。

これを受けて2011年は、顧客販売登録ベースで30%増の3430台を販売目標に設定し、さらに5年後の2015年にはそこから31.2%増の4500台へ伸ばすという計画だ。アウディ車は大都市圏で売れるクルマとはっきり見定め、今後は大都市圏で販売店の増強や改修を進めていくという。これをうけて名古屋でも今年中に新しい販売店が一つ誕生する予定だ。

このように強気のアウディだが、なぜそこまで伸びているのだろうか。海外の事情は今ひとつ分からないが、日本国内では経済的な格差がこれまでにない形で開いていることが原因の一つに思える。いままでメルセデス・ベンツに乗っていたような富裕層はまだ当然いるのだが、それとは別に、総中流化と言われていた人々の間でも格差が拡大し、ちょっとだけ裕福な新富裕層とでもいうべき人々が都市部で増えていると思われるのだ。ベンツに乗るのははばかられるけれど、アウディなら大丈夫、アウディなら品が良い、という人の絶対数が増えている、ということだ。

ポロがベースではあるが・・・・・・


(photo:アウディ ジャパン)

そこで今後の販売目標達成、その命運を握っているのは、最多台数を確保する使命が与えられたA1の動向ということになる。価格的にも新富裕層にはぴったりのクルマである。今回、あのポロがベースということもあって、期待をふくらませて試乗したが、ポロのようにクルマ好きを直撃する走り、雰囲気ではなかった。ポロに、もうちょっとゆとりを持たせたような感覚は、もちろんプレミアムブランドゆえだが、その分、ストレートな印象というか、チープさが持つ潔さみたいなものは減っているように思った。

 

もちろんポロとは値段も違い、プレミアム感も全く違うから、比較するわけにはいかない。ポロがいくらいいと言われても、イメージとしては中流の女性向けで、VW最安値車ということもあり、買うのをためらう新富裕層は多いはず。その点A1は、小さな高級車という雰囲気がそこそこにあり、新富裕層のダウンサイザーにとっては強くそそられるモデルだ。ポロ直系の走りは、よほどこだわる人以外は満足のいくものだろうし、スタイリングはアウディそのもので、A1からA8まで、そのテイストは見事に同じだから、それをヨシとする人なら悪くない。

ただしこのクラスに魅力的なデザインの欧州車は多いから、その中で最高とはちょっと言いづらいのもまた確か。とくに単色カラーだと惜しい。買うならぜひカラーリングに凝りたいところだ。単色ではなく、コントラストルーフ仕様がマストではないか。

小さなプレミアムカーとして成立している

Sトロニック(DCT)のもたらす走りは、ポロゆずりなので文句なしだろう。気になるのはアイドリングストップの音だが、慣れればだんだん気にならなくなるし、分かりやすくて同乗者にはかえってウケるかも。アイドリングストップする輸入車というだけで、エコ度(スマートさ)をアピールできるのだし。もちろんこの機構は燃費に効いてくるから、状況次第ではポロよりいい数字をたたき出せる。同様にポルシェのパナメーラもDCT(ポルシェはPDKと呼ぶ)とアイドリングストップを搭載しているが、それにも似た感触があるところを見ると、DCTとアイドルストップ機能のスムージングは、エンジン本体や補器類を含めて、これからの課題かもしれない。DCTはMTベースで、そういえば初代ヴィッツのアイドリングストップ車もMTだったが、あれもこんな感じだった。

また、この手のクルマはシトロエン DS3もそうだが、方向性としてはどうもBMWのMINIを意識しているよう。ランチアのイプシロンみたいなまったり路線とか、あるいはアウディ独自の提案があればもっと良かったと思う。とはいえ、全体としては日本車にはない小さなプレミアムカーとして成立しており、これはかなり売れるだろう。

 

ところで、アウディのディーラーでは機能説明にiPadを利用している。A1の場合、webにコンフィグレーターがあって、そこでカラーやオプションを選択するシミュレーションが楽しめる。ポルシェのオフィシャルサイトにもあるツールだが、とても楽しいものだ。MMIも善し悪しは別として、がんばっていると思うし、このあたり、国産車よりは進んでいるのではないか。となると、あと望むものはプリクラッシュや自動ブレーキといった安全系の最新デバイスだろう。この部分、VWグループはあまり話がない。アウディが真のプレミアムを目指すのであれば、次はそこだと思う。

試乗車スペック
アウディ A1 1.4 TFSI
(1.4リッター直4ターボ・7速DCT・289万円)

●初年度登録:2011年1月●形式:DBA-8XCAX ●全長3970mm×全幅1740mm×全高1440mm ●ホイールベース:2465mm ●最小回転半径:5.0m ●車重(車検証記載値):1190kg(740+450) ●乗車定員:4名

●エンジン型式:CAX ● 1389cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:76.5×75.mm ●圧縮比:10.0 ● 122ps(90kW)/5000rpm、20.4kgm (200Nm)/1500-4000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L ●10・15モード燃費:19.4km/L ●JC08モード燃費:-km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット(+コイル)/後 トーションビーム(+コイル) ●タイヤ:215/40R17( Continental ContiPremiumContact2 )●試乗車価格:359万円( 含むオプション:スポーツパッケージ 15万円、バイキセノンパッケージ 12万円、レザーパッケージ 28万円、215/40R17タイヤ+7.5J×17ホイール 12万円、カラードスリーブ 3万円 ●ボディカラー:スクーバブルーメタリック ●試乗距離:180km ●試乗日:2011年2月 ●車両協力:アウディ名古屋中央

 
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アウディ 名古屋中央

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