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アウディ A3 スポーツバック 1.4 TFSI新車試乗記(第550回)

Audi A3 Sportback 1.4 TFSI

(1.4リッター直4ターボ・7速DCT・299万円)

1.4直噴ターボ+7速DCTを積んだ
エコなアウディ!
その299万円のバリューに迫る!

2009年03月21日

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キャラクター&開発コンセプト

299万円の1.4直噴ターボ+7速DCT

日本ではアウディ販売台数の4分の1を占めるというA3。現行の2代目は2003年に登場し、国内では現在5ドアの「A3 スポーツバック」のみがラインナップされている。そのA3が2008年9月にビッグマイナーチェンジを受けた。

改良内容の一つは、VWゴルフのTSIトレンドライン(2008年6月発売)と同じ1.4リッター直噴ターボと7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)をアウディ車で初めて採用したこと。その新グレード「1.4 TFSI」は299万円とシリーズ中で最も安く、また10・15モード燃費は従来の1.6リッターノンターボの6AT車より30%優れる15.8km/Lを誇る。プレミアムなだけでなく、エコロジカルでエコノミーなアウディだ。

同時にシリーズ全体でフェイスリフトも実施。新デザインのランプ類などで印象をリフレッシュしている。

アウディ ジャパン>プレスリリース>新型アウディA3 スポーツバック発売(2008年9月25日)

価格帯&グレード展開

1.4 TFSIは299万円。ゴルフの51万円高

A3スポーツバック(高性能モデルのS3を含む)は全車右ハンドルの5ドアだが、2009年内にはソフトトップを備えた4人乗りのA3カブリオレが追加される予定だ。

目玉となる1.4 TFSIの価格は299万円。同じパワートレインを持つゴルフ TSI トレンドライン(248万円)の51万円高となる。

A3 Sportback 1.4 TFSI   1.4L ターボ(125ps、20.4kgm)・7速Sトロニック・FF  299万円  ★今週の試乗車
■A3 Sportback 1.8 TFSI   1.8L ターボ(160ps、25.5kgm)・7速Sトロニック・FF  359万円
■A3 Sportback 2.0 TFSI quattro   2.0L ターボ(200ps、28.6kgm)・6速Sトロニック・4WD  443万円

■S3 Sportback   2.0L ターボ(256ps、33.7kgm)・6速Sトロニック・4WD  515万円

なおLED付きのバイキセノンヘッドライトは1.4 TFSIにのみオプション(10万円)。HDDナビゲーションもS3を除く全車にオプション(29万円)となる。

パッケージング&スタイル

新型ヘッドライト等でフェイスリフト

ボディサイズはマイナーチェンジ前とほとんど同じ全長4290mm×全幅1765mm×全高1465mm(HDDナビ非装着車は1430mm)。プラットフォームを共有するゴルフよりも若干長くて低いが、ホイールベースはゴルフと同じ2575mm。ゆえにA3アバントではなく、ただのハッチバックでもなく、スポーツバックと名乗るわけだ。

今回変わった点で一番目立つ部分は、新型A4のようにレンズ内が隈取りされたヘッドライトだろう。特にバイキセノン仕様では、ポジションランプとして機能する7個のLEDが埋め込まれる。フロントバンパーもA4のようなエラの張ったデザインとなった。またリアコンビランプも最近流行りの光ファイバーを使ったものに変更されている。

 

インテリア&ラゲッジスペース

ゴルフより51万円高いだけのことはある

インパネも基本的には2003年デビュー時のまま。それでもこうやって現役でいられるのは、当時から質感が高かったからだろう。試乗車はオプションのレザーシートやウッドパネルが装着されているが、それを差し引いてもウレタンステアリングが標準のゴルフ TSIトレンドラインより51万円高いだけのことはあると思う。

またTSIトレンドラインではギアポジションが6速分しかメーターに表示されなかったが(つまり1速~6速か2速~7速)、A3ではちゃんと7速分表示される。せっかくの7速なのでこれは嬉しい。

オプションとなるが、アウディのHDDナビは相変わらず使いやすい。テレビは12セグ/1セグの自動切替式で、なおかつ停止すればすぐに映像を表示。Bluetoothにも対応している。インターフェイスが上級モデルのようなMMIではない分、ブラインド操作はしにくいが、初心者には操作しやすい。

ゴルフのような広さ感はない

パッケージング的なものも、当然ながらこの6年間で変わっていない。ファミリーカーとして考えた場合、A3のウィークポイントは後席がそれほど広くないことだ。ゴルフよりタイトに感じられるのは天井が低く、サイドウインドウが小さいせいか。リアドアは小さく、乗降性もあまり良くはない。とはいえもちろん大人4人が快適に過ごせる空間は十分にある。

後席用サイドエアバッグは今回から全車に標準化され、ゴルフ同様に8エアバッグとなった。後席のセンターアームレストとカップホルダーも全車標準となっている。

ゴルフよりスタイルと日常の使い勝手を重視

5人乗車時の荷室容量は、ゴルフの350リッターより20リッター多い370リッター。拡大方法はゴルフと同じで、背もたれを倒すだけのシングルフォールディングだ。おかげで床はフラットにならないが、操作は簡単。床下にはテンパースペアが収納されている。

基本性能&ドライブフィール

相変わらずの完成度

1.4 TFSIのパワートレインは、直噴式の1.4リッター直4ターボ(125ps/5000rpm、20.4kgm/1500-4000rpm)に、7速DCT(VWではDSG、アウディではSトロニックと呼ぶ)を組み合わせたもの。ゴルフのTSI トレンドラインより3ps多いが、基本的には同じエンジンだ。

走らせればゴルフというより、従来からあるアウディの6速DCT車に近い感じ。手触りのいいレザーステアリング、軽い電動パワステ、直噴ターボ独特の分厚いトルク、そしてVW・アウディ独特の洗練された制御を見せる7速Sトロニックといったものが、乗り手に有無を言わせない完成度を見せつける。モーターデイズでVW・アウディのDCT車をとりあげるのは7回目くらいだが、相変わらず「参りました」という感じだ。

一方、1380kgの車重に対して馬力は125psなのでパワー感はそれほどなく、全開加速時のエンジン音もそう静かではない。あくまで低回転のトルクで上品に走らせたくなるクルマだ。しかしその割に最高速はジリジリと伸びる。公称はUK仕様で203km/h(126mph)だが、確かにそれくらいは出そうな感じがした。

ゴルフより静かで乗り心地は良く、操縦性も明らかに違う

ゴルフとの違いで際だつのは、乗り心地の良さや静粛性の高さだろう。基本的にはゴルフの兄弟車であるA3だが、角のない走りはいかにも熟成期のモデルらしいもの。一つ一つの動きが滑らかであり、アイドリング中のエンジン音も車外では大きめだが、車内では静か。後方からのノイズ侵入もほぼ完全に封じ込んでいる。パワートレインやシャシー構造が同じにもかかわらず、ゴルフの前軸830kg+後軸480kgに対して、A3では840kg+540kgと後ろが60kgも重くなっているのは遮音対策のせいか。

サイズも手頃で、ゴルフにはない無いリアクォーターウィンドウを通して左後方もよく見えるなど、全体に運転がしやすい。ワインディングでの操縦性もびっくりするほど違う。ESPありきのようにテールハッピーなゴルフ(TSIトレンドライン)に対して、A3はひたすら弱アンダーのまま。どちらもタイヤサイズは205/55R16だが、7ヵ月前に試乗したTSIトレンドラインはコンチネンタルのエココンタクト3、A3はピレリP7だった。要因はともかく、ゴルフは軽快スポーティで、操り甲斐があり、A3はしっとり穏やか、スタビリティ重視、という感じだ。

試乗燃費は11.2km/L

今回は約200kmを試乗。例のごとく車載燃費計による平均燃費はいつものコースで11.2km/Lだった。なお10・15モード燃費はゴルフ TSIトレンドラインより0.4km/L優れる15.8km/Lだ。車重が重いのに燃費がゴルフよりいいのは、燃料噴射や変速プログラムなどのマネージメントの差だろうか。ギア比はまったく同じだ。いずれにしても、この燃費性能は素晴らしい。

ここがイイ

パワートレイン、燃費、車両価格、機能性など

エンジンとミッションは本当に秀逸。試乗中、メルセデスのCLSと併走したが、こちらが1.4リッターの低燃費エンジンであることをすっかり忘れてしまった。これでエコなのだから、たいしたものだ。モデル末期であることは確かだが、今回のマイナーチェンジにより、十分すぎるほどの競争力を得た。モデル末期こそ買い、という欧州車の掟が今でも有効だとすれば、まさに買い時だろう。

燃費はまず文句なし。車両価格も比較的安い。スポーツバックという名前とは裏腹に乗り心地もよく、日常的なタウンユースに最適だし、ワゴン的にも使える。右ハンドルだが、A4よりドライバー左足付近のスペースは広く感じられる。環境面でも経済面でも高評価だし、アウディというブランド力も大きな魅力。中流(中の上?)を自負する小人数家庭にとって、一家に一台というクルマとして最適。

ここがダメ

基本デザインの古さ、TVから地図表示に自動で戻らないナビ、慣れが必要な坂道発進

シングルフレームグリルとなった今見ても、やはりかなりおとなしくて、インパクトのない外観。ドアハンドルがグリップ式ではなく引き上げ式なのもちょっと。インテリアも何となく少し古い感じは否めない。

HDDナビ装着車の場合、停車するだけでテレビが映るのはいいが、その場合は走り始めても自動的に地図表示にはならず、メニュー画面にしかならない。これは以前からそうなのだが、何とかしてもらいたいところ。

相変わらず電制クラッチによるクリープは弱めで、坂道発進は苦手。ヒルホルダーがあるので坂道でブレーキを離してもしばらく保持するのは確かだが、アクセルを緩めるだけだと後ろに落ちてしまう。また左足ブレーキを使う時は、ブレーキを離してからしばらくヒルホルダーによってブレーキが残ることを考慮しないと、かえってややこしいことになる。

快適さ優先でありながらスポーティさも残してはいるが、クルマの挙動を楽しみたい古典的なクルマ好きなら、ゴルフTSI トレンドラインの方が面白い。

総合評価

アウディの業績

このクルマ不況の中、アウディの業績は悪くない。アウディAGは昨年(2008年)、13年連続の販売記録更新と史上初の100万台突破となる100万3469台の販売台数を達成し、前年比4.1%増。31億7700万ユーロもの税引前利益を出している。

一方、日本国内でも、今年年頭のアウディ ジャパンの発表によると、「2008年通年の登録実績は、前年を上回る(プラス5.4%)1万6040台を記録。1967年の輸入開始以来、過去2番目に多い登録台数であり、純輸入車市場(乗用車)における市場シェアは、1998年のアウディ ジャパン発足以来、過去最高となる8.3%(前年は6.6%)へ上昇」とのこと。今年はこれを上回る販売をめざし、都市圏にディーラーを増やしていくという。

国内の直近販売台数は1月が606台(前年比77.2%)、2月が857台(前年比81.2%)とメルセデスやBMWが前年比60%台の中で、なかなかの健闘。北米でもこの1、2月、高級車市場が34%落ち込む中、6.1%減にとどまっている。

アウディが伸びるわけ

好調の原因は、第一にA4などの新車攻勢だ。ほかの原因も世界市場はともかくとして、日本市場ではわかりやすい。それはブランド地位の確立だろう。アウディはその昔、ヤナセで売られていた頃はベンツオーナーの奥さんの足グルマとか、当時のベンツの趣味の悪さを嫌うオシャレ系お金持ちのクルマとされていた。その後、ヤナセが販売をやめたことで急速に知名度と販売力を失ったが、非ヤナセ系の販売店展開を地道に行うことで耐え、さらにオペル撤退によるヤナセ系販売店の復活で一気に販売力を高めた。これが現行A3が登場した2003年頃の話だ。

以来アウディは右肩上がりを続けてきた。一時、販売を落としたことで分母が小さくなったゆえ、そこからだんだん増やすことができたという側面はあるものの、小・中型の高級輸入車では、メルセデスやBMWと互角のブランド力を固めたということが大きい。Cクラスや3シリーズと並んで、A4は今やまったく互角といっていいし、A/Bクラス、1シリーズとでは、A3の方が総合的な商品力という点では上か、とも思えるほど。ここまで丹念にブランド(とディーラー)を育ててきたアウディ ジャパンの展開は、ひとまず成功だったといえそうだ。むろん、アウディは品質面(特に内装)が他ブランドよりはっきりと上質だったことが成功の原因といってもいい。またディーラーも、現在はヤナセ系と非ヤナセ系が適度なライバル関係となって、結果的によい成果をあげている。

この間、シングルフレームグリルに移行したことも大きな意味を持つ。グリルが変わったことで、強力なブランドイメージを確立できたし、A3のようにモデルサイクルの間でグリルが変わった車種は、フルモデルチェンジに近い見た目の変化を可能とした。同じ2代目A3でも、初期モデルと現行モデルとでは別のクルマと言っていいほど見た目のインパクトに差がある。最初は違和感があったシングルフレームグリルも、今となっては旧型がずいぶん古びて見えるほど馴染んでしまった。これなら2代目A3の初期モデルから現在のA3への乗り換えだって考えていいほどだ。そしてモデルチェンジサイクルが長いクルマが、メーカーに利益をもたらす事は自明の理である。

ゴルフTSI トレンドラインはいいけど、という人に

そして今回のA3は、ゴルフのTSIトレンドラインが気に入ったものの、どうにもあの作りは質素すぎるという人にグッと来るモデルといえそうだ。A3 1.4 TFSIの価格はステーションワゴンとなるゴルフ ヴァリアント TSI トレンドライン(264万円)の約40万円アップ、あるいは同ヴァリアント TSI コンフォートライン(ツインチャージャー+6速DSG、308万円)とほぼ同じだ。つまり動力系はトレンドラインで十分、積載性もゴルフ程度で十分、ボディサイズも手頃だが、装備だけはもうちょっとよかったらと思う人に、A3はバッチリはまる。VW・アウディグループ内で、見事に棲み分けが出来ているわけだ。

この素晴らしいエンジンとミッションで、オートエアコンや感触最高の革ステアリング、電動シート、オートライトやアルミホイールがついているのだから、まさに小粒な優等生。気になるのはモデル末期ということだが、オプションのバイキセノン&LEDポジションライトでもつけておけば、向こう3年ほどはそう古びることはないはず。なによりこのご時世で「ガイシャ」を買っても、人からあまり悪い印象はもたれないクルマであることは間違いない。この燃費を説明すれば、たぶん誰もが誉めてくれるだろう。

試乗車スペック
アウディ A3 スポーツバック 1.4 TFSI
(1.4リッター直4ターボ・7速DCT・299万円)

●初年度登録:2008年9月●形式:ABA-8PCAX ●全長4290mm×全幅1765mm×全高1465mm ※HDDナビゲーションパッケージ装着車 標準仕様の場合は全高1430mm ●ホイールベース:2575mm ●最小回転半径:5.1m ●車重(車検証記載値):1380kg( 840+540 )●乗車定員:5名 ●エンジン型式:CAX ● 1389cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:76.5×75.6mm ●圧縮比:10.0 ● 125ps(92kW)/ 5000rpm、20.4kgm (200Nm)/ 1500-4000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/55L ●10・15モード燃費:15.8km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 4リンク ●タイヤ:205/55R16( Pirelli P7 )●試乗車価格:369万円( 含むオプション:バイキセノンパッケージ 10万円、SEパッケージ<本革仕様、シートヒーター、ウッドパネル、APS=アウディ・パーキング・システム ※リア> 28万円、HDDナビゲーションパッケージ 29万円、オプションカラー<パールエフェクト> 3万円 )●試乗距離:200km ●試乗日:2009年3月 ●車両協力:アウディ名古屋中央

 
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アウディ 名古屋中央

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